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政治
【集団的自衛権 第1部 欠陥法制(1)後半】半島有事、日米民間人救出でも守れぬ弊害
集団的自衛権をめぐる議論のポイントは、日本の領域外で自衛隊が何をできるかに答えを出すもので、地理的に制約されるものではない。とはいえ、行使の対象として「一丁目一番地」に据えるべきは、やはり東アジアでの有事だ。
前防衛相で拓殖大特任教授の森本敏氏は、集団的自衛権を行使する事例として「尖閣諸島防衛の際、公海上で米海・空軍が攻撃された場合の日米共同対処」に加え、朝鮮半島有事での対処も不可欠だと強調する。
元空将の織田邦男氏は、集団的自衛権を行使できないままだと任務遂行に弊害が出る朝鮮半島有事のシナリオとして「米軍の民間人救出作戦」を挙げる。
日本が第1避難先
半島有事が起きると、日米両政府とも真っ先に韓国からの自国民避難に着手することになる。韓国に住む米国人は約22万人、日本人は約3万人とされる。
米国は軍用機に加え、チャーター機や民間航空機も総動員し、短時間で米国人を脱出させる。第1の避難先として日本を想定しており、日韓間をピストン輸送するため航空機が日本に向けて列をなす。
《そこへ北朝鮮のミグ29戦闘機が接近し、民間人を乗せた航空機を撃ち落とそうとしたら…》
織田氏はそうシミュレーションし、「対領空侵犯措置として周辺上空を飛行している航空自衛隊の戦闘機パイロットは傍観するしかない」と指摘する。自衛隊法にミグ29を撃墜する根拠がない上、集団的自衛権の行使に抵触するためだ。
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