STAP細胞の存在が揺らいできた。何からできたのか、万能性はあるのか。論文に根源的な二つの疑惑が浮上し、理化学研究所が撤回を含めて検討を始める事態になった。

 ■証拠示す画像、流用の疑惑

 STAP細胞の論文は1月末、理研の小保方晴子ユニットリーダーらが英科学誌ネイチャーに発表した。若いマウスからとった血液細胞のリンパ球を弱い酸で刺激するだけで、さまざまな細胞になれる「万能細胞」になるという、生物学の常識を覆す内容。しかも、iPS細胞やES細胞といった従来の万能細胞より簡単に作れると説明したため、再生医療への応用の期待も高まり、小保方さんは「時の人」となった。

 2月中旬から、論文の画像や記述などに不自然な点があるとの「疑惑」がインターネットなどで表面化したが、「単純ミス」の可能性もあり、理研は「研究成果は揺るがない」と強気の立場だった。

 ところが、理研が今月5日に公表したSTAP細胞の詳しい作製手順書の中に、本当にリンパ球からつくられたのか疑問を抱かせる記述があった。