2014年02月26日
現代病にはカスタムメイドの治療を
私自身で実践と検証した結果をもとに治療情報分析を行いました。
結果辿りついた答えに最も適合している医師の治療プログラムを紹介します。
※もちろん発症メカニズムについてお伝えしたこのブログのすべての記事に目を通したうえでお読みください。
本ブログは一般医学から病態を理解するための情報提供ブログです。
ルノー博士の治療法を私は次の様にとらえています。
この発症原因自体が「乗り合いバス」的な病の性質に加え、患者の身体機能の強弱から生活環境や生活習慣による症状の違い、家系的病因リスクすべてを分析した上で患者個々に寄りそうカスタムメイドの治療法…患者一人一人、オンリーワンの治療
なお、心理的マネジメントの重要性も軽視できませんが、ホメオパシーや気功治療はあくまで「心理的」治療に分類してください。
薬理作用や病気全体がまかなえる治療法ではありません。
患者の中には中毒やアレルギーやカンジダ腸症の者がいるので誤解は危険です。
もちろん、その他に心理的アプローチが欠けていてもうまくいかないケースもあるので、分析は慎重にどうぞ。
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講演3「天然キレート剤(グルタチオン)、ミネラル、ビタミンによる解毒」
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏 (PDFファイル)
http://www.umweltmedizin.org/profil-ifu/ifu-international/japanese/
【機能性医学モデルによる検査プログラム紹介】
(病気に焦点を当てる医療から、患者に焦点を当てる医療へ移行しようとすること)
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏
①血球数測定:ルーティーンでやるだけではなく、ホモシステイン、高感度CRP、イ
ンターロイキン6(炎症のマーカー)、ビタミンD3も測定する。
②有害物質(毛髪、血液、尿)
③有機酸:オーガニクス総合分析。新しい検査法であり、後で詳述する。
④ポルフィリン・テスト:重金属毒の深刻度を測定。
⑤フタル酸塩:内分泌かく乱物質で、これらも尿から検出されることがある。
信じられないかもしれないが、ドイツで測定された小児の実に100%から尿中から内分泌かく乱物質が検出されたと8月に発表された。
⑥アレルギー:特に食物アレルギーの検査も行う。MCSの人たちは化学物質に過度に
1曝露されていることによって典型的なアレルギー症状も発症する。日々の食べ物に対しても、そうだ。
⑦検便:遺伝子解析。
⑧MRT:核磁気共鳴画像。
【「特異的適応症候群(SAS)」】
セリエの汎適応症候群との比較で、環境医学者セロン・ランドルフ教授(内科医、精神
科医)は「特異的適応症候群(SAS)」という概念を構築した。
ステージ1警告期 ストレス因子となるアレルゲン等を摂取時、一時的に鬱様症状が。 ステージ2順応期 暴露を続けるこの期間に自覚症状はない。数カ月から数年にわたる。
テージ3疲労期 移行期を経て疲労期に。
MCSの様な重篤な急性あるいは慢性の反応を引き起こすようになる。
(ここで初めて病気になったという自覚症状が出てくる!)
【 MCSの原因 】
①突発的先行事件、細菌感染を含め、新改築他の化学物質的ストレッサーとの遭遇
②トリガー(発症のきっかけ)、上記への慢性的暴露原因。
③メディ2エータ(憎悪因子、仲介因子)の三つがある。
④原因となる腸の障害
解剖学的にも、神経束の90%が腸と大脳の間で繋がっている。
神経伝達物質は、この腸管の部分で見つけられる。
栄養障害の症状群、腸管壁侵漏症候群、過敏性腸炎、発症因子の慢性的暴露、セロトニンの障害等々、数々の問題を生じさせている。
【 生化学的個人差 】
両親からの遺伝子に「環境要因」などトータルストレッサーが、「どんなプログラムを発動するか?」が問題。
癌化か?慢性疲労症候群か?ES・CS・MCSか?パーキンソン病か?他の難病か?
【 医学的分析 】
具体的に測定している代謝産物(有機酸)
①メチルマロン酸=ビタミンB12マーカー
②ホルムイミノグルタミン酸塩=葉酸マーカー
③パラヒドロキシフェニル乳酸塩=酸化促進剤/発がん物質
④高濃度の硫酸塩=解毒作用の昂進、又は酸化ストレス
MCS患者は、エネルギー生産欠乏(ATP:アデノシン三リン酸)をもたらすミトコ
ンドリア障害の兆候を示すことが多い。
体は解毒のためにエネルギーの8割を必要とする
ため、ミトコンドリア障害は解毒機能の低下と直接的に結び付く。グルタチオンやαリポ
酸、CoQ10といった物質は、ミトコンドリアの働きを助けることで解毒能力を高める
【 治療法:DNA概念(ルノー提唱) 】
治療法をまとめ「DNA概念(コンセプト)」と命名(各頭文字からの略称)
①Dwtoxification 解毒療法
…クリーンな環境と解毒
②Nutritional-Therapie 栄養療法
…②正常分子(Orthmolecular)サプリメント
(ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸)
③Anti-Stress-Management ストレス対処マネジメント
…③ストレス対処プログラム(サウナを利用した理学療法、マッサージ、スポーツ等)
プラス、④個別指導(環境医学・機能医学の基礎を個人指導する)
生化学的に個人的に違うので、個人に合わせて指導しなければならない。しかし、ここ
は非常に時間がかかるところだ。
【 自閉症と化学物質過敏症 】
参加者 ルノー先生が治療をしている子どもたちの中で、いわゆる自閉症だが化学物質
が関与していると思われる人がどのくらいいて、どのくらいの治療効果が得られているの
か。
ルノー ちょっと難しいご質問だ。確かにADHDや自閉症の子もいるし、自閉症の子
どもの90%は腸に問題があると言って良いと思う。特に金属などが解毒できないという
ケースが多い。フェーズ2の解毒まで行くのに十分なグルタチオンがないことなどによ
り、体内にある様々な金属をうまく代謝できない。自閉症の子どもでも1~3年で正常に
なることもある。自閉症は確かに遺伝子的な要素もあるが、遺伝子というのは非常にダイ
ナミックで、サプリメントやミネラル食品、良い空気でもってサポートしてあげれば、遺
伝子の良い形質が発現する場合もあると思う。
<原文>
講演3「天然キレート剤(グルタチオン)、ミネラル、ビタミンによる解毒」
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏
本日は、私がMCS(多種化学物質過敏症)患者を治療し始めてから学んだ様々なこ
と、特に実践的な考え方についてお話しさせていただきたい。
1.MCSとは何か
今日は、いろいろな毒性化学物質について話がされているが、いったいいくつの化学物
質が登録されているのだろう。化学物質とは必ずしも限らないが、新しい物質が先月以
降、5000万も登録された。日々、3万もの新しい物質が登録されている。MCS患者
について原因化学物質を特定するのは非常にお金がかかるし(特定の目的がある場合以外
は)それをやることに意味はない。
MCS患者は、一般に広く使用される多種類の化学物質に、極微量でも反応する。
一般に使用されている化学物質とは、たとえば、化粧品、洗濯洗剤、建物内の化学物
質、車内の(霧状になる)化学物質、プラスチックからの揮発ガス、溶剤、香水(これも
非常に大きな問題だ。ドイツでは「化学物質過敏症ネットワーク」( w w w . c s n -
deutschland.de)という患者団体から、香水に関する論文が出されている。たばこだけで
はなく、香水が非常に大きな問題になっている。香水もやはり有害物質だ)、吸入抗原、
食物(添加物、着色料、保存料)がある。
多くの人々は、これらの化学物質に寛容性(耐性)を持っている。それと同時に、多く
の人々が、寛容性を失っている。
2.主流医学の見解
主流医学のMCS患者に対する見解として「彼らは化学物質や汚染をこわがっているの
だ」というものがある。「その通り、MCSという病気自体は存在する。しかしあなたは
罹患してはいない。あなたの症状は気のせいです」と医師は言う。
3.機能性医学モデル
ウィリアム・オスラー卿(Sir William Osler)は「大事なことは、患者が持っている病
気を知ることではなく、病気を持っている患者について知ることだ」と言っている。つま
り、患者の健康、人生を理解しようとすることであり、この病気を発症する前にどういう
生活をしていたか、どういう健康状態だったかを知るべきというのだ。
機能性医学モデルとは、病気に焦点を当てる医療から、患者に焦点を当てる医療へ移行
しようとすることを意味する。
「氷山の一角」という言葉がある。たとえば「頭痛」という症状が出たとき、頭の中に
腫瘍があるかもしれないし、ホルモンの問題かもしれない。医師は鎮痛剤やホルモン剤を
処方したり、あるいはホメオパシー治療を導入することもある。しかし、それらは氷山の
一角を見て治療しているだけだ。これに対して、機能性医学は氷山の全体、栄養や環境の
要素にも対処しようというものだ。
私が患者に対して行っている診断のための検査のプログラムは、以下の通りだ。
①血球数測定:ルーティーンでやるだけではなく、ホモシステイン、高感度CRP、イ
ンターロイキン6(炎症のマーカー)、ビタミンD3も測定する。
②有害物質(毛髪、血液、尿)
③有機酸:オーガニクス総合分析。新しい検査法であり、後で詳述する。
④ポルフィリン・テスト:重金属毒の深刻度を測定。
⑤フタル酸塩:内分泌かく乱物質で、これらも尿から検出されることがある。信じられ
ないかもしれないが、ドイツで測定された小児の実に100%から尿中から内分泌かく乱
物質が検出されたと8月に発表された。
⑥アレルギー:特に食物アレルギーの検査も行う。MCSの人たちは化学物質に過度に
1曝露されていることによって典型的なアレルギー症状も発症する。日々の食べ物に対して
も、そうだ。
⑦検便:遺伝子解析。
⑧MRT:核磁気共鳴画像。
4.特異的順応症候群
内分泌学者ハンス・セリエは、ラットなどの動物実験の結果、ストレスへの反応には①
警告期②順応期③疲労期の3段階があることを発見した。様々なストレッサーに対してい
つも同じストレスの反応パターン(視床下部下垂体中枢(HPA)の活性化、糖質コルチ
コイドの分泌)が存在し、セリエはこうした反応パターンを「汎適応症候群(GAS)」
と呼んだ。患者は、化学物質や食物、身体的ストレスなどに一見順応しているように見え
る段階の後、疲労期に入る。疲労期とは、身体における生物化学的システムが破綻してい
る状態を意味する。
セリエの汎適応症候群との比較で、環境医学者セロン・ランドルフ教授(内科医、精神
科医)は「特異的適応症候群(SAS)」という概念を構築した。ランドルフ教授は、C
S患者個人個人について、化学物質に曝露しつつも症状が現れない長期のはっきりとした
(真のものではない)順応期があることを発見した。
ステージ1の警告期は、ストレス因子となるアレルゲン等を摂取した時に、一時的に気
分が落ち込むが、それは短期間で終わる。
ストレス因子を継続的に摂取していくと、ステージ2の順応期に入る。この期間のほと
んどは、気分は高揚していて、自覚症状はない。この期間は数カ月から数年にわたる。
その後もさらにストレス因子の摂取が続くと、移行期を経てステージ3の疲労期に入
る。疲労期において、患者はMCSのような重篤な急性あるいは慢性反応を引き起こすよ
うになる。ここで初めて病気になったという自覚症状が出てくる。
5.MCSの原因
MCSの原因として、①突発的先行事件、②トリガー(発症のきっかけ)、③メディ
2
エータ(憎悪因子、仲介因子)の三つがある。
(1)突発的先行事件
たとえば、何らかの寄生虫などで腸管に感染が起こり、そのために反応性関節炎が起こ
るのは、突発的先行事件の一例である。疾患はここから始まる。
様々な化学物質への曝露(多くの人は大丈夫であっても)が突発的先行事件になる場合
もある。たとえば、部屋に新しい塗料を塗った時や、新しい抗生物質を処方された場合、
または殺虫剤、重金属などである。
(2)トリガー
発症のトリガー(引き金)としては、寄生虫、バクテリア、酵母、カビ、食物抗原、毒
物の摂取など様々なものがある。これらが大腸炎、消化機能障害、関節炎などの慢性疾患
を引き起こす継続的なトリガーになりうる。主流医学においては、専らこれらについて着
目する。これらの引き金は、診断のうえ取り除かなければならない。
MCS患者におけるトリガーは、溶剤、プラスチック、香水、医薬品など、さまざまな
化学物質である。これらの引き金も、診断のうえ取り除かなければならない。
(3)メディエータ
メディエータは、病気の症状発現に寄与する媒介因子や代謝産物である。トリガーと同
様、メディエータもそれ自体が病気の原因となるわけではない。メディエータは多種多様
で、生化学物質(サイトカイン、プロスタノイド等)、イオン(水素イオン等)、社会的
因子(病気のままでいさせる社会的要因など)、心理学的因子(恐怖など)、あるいは、
文
化的因子(病気の本質に関する考えなど)がある。
病気に共通のメディエータとしてはホルモン(副腎機能低下症、メラトニンと黄体ホル
モンバランスの乱れなど)、フリーラジカル、痛みや喪失への恐怖、低い自己評価、今ま
で助けられなかったことから来る無力感、健康に関する適切な情報の欠如などがある。
ここで注目すべきなのは、すべてのメディエータに疾病特異性がないことである。MC
Sの患者は、それぞれ個別の先行誘発イベント、トリガー、メディエータをもった生化学
的な個体であり、脳と体に火をつける慢性的な炎症をかかえている。いったん慢性的な炎
症が活性化されると、脳のグリア細胞、いわゆる血液脳関門(BBB)の免疫活性化がも
たらされることがある。グリア細胞は腸内の免疫細胞と関連しているため、消化器内でお
こった慢性的機能障害が脳においても起こるとみることができる(憂鬱な気分、行動異
常、てんかん、偏頭痛、多動性障害、うつなど)。
(4)腸の障害が原因に
腸と脳はつながっている。
腸の粘膜表面には外界に対するバリア機能がある。しかし、粘膜表面が寄生虫や化学物
質、薬品などによって損傷されたり、アレルギー物質によって侵されると、血管や神経束
によって腸は脳へつながっているので、ストレスがかかって便秘や下痢を引き起こす。重
要なのは、神経束で腸と大脳がつながっているということだ。こうした神経束の90%は
上下に走っており、解剖的に見ても腸と大脳はつながっている。そして、すべての神経伝
達物質は、この腸管の部分で見つけられる。たとえば、睡眠あるいは覚醒状態のコント
ロールに非常に重要で食欲を発生させるセロトニンなども90%は腸管で見つかる。すな
わち、化学的にも腸と脳がつながっていることを示している。実は胃腸科の医師も、腸が
原因でこのような疾患が起きることについて理解していない。
分子が大きなタンパク質や毒素、バクテリアは、通常であれば腸の表面のバリアによっ
て体内へ侵入できずに腸管の中を通過していく。ビタミン、ミネラルなどの栄養素はこの
3
バリアを通過できるので体内へ吸収される。ところが腸壁が損傷されると、バリアの中に
開いたところができ、毒素が体内に取り込まれてしまい、そこから血管の中へ毒物が侵入
する。この場合、逆に小さな粒子は腸壁の表面に留まってうまく吸収されず、栄養失調、
つまりビタミン欠乏症などが起きる恐れがある。この場合も化学物質による突発的先行事
件になり、アレルギーがトリガーされ、発症するということになる。
6.生化学的個人差
喫煙していても100歳を超えて元気で歩き回っている人がいる。一方で、喫煙でがん
になって死ぬ人もいる。なぜ一部の人は長生きして、一部の人はがんなどで亡くなり、あ
るいはMCSにかかるのか。
この場合、遺伝子が大きな問題だと言われる。しかし、遺伝子だけでは病気は発症しな
い。遺伝子のほかに環境が相互作用することによって初めて「あなた」という存在がある
のだ。つまり遺伝子の表現型が問題になるのだ。だから、がんの本当の研究は遺伝子だけ
でなく環境も考えなければならない。3分の1ぐらいは遺伝子、3分の2は環境によって
トリガーがかかっていると考えなければならないと思う。
もちろん皆さんは、両親から遺伝した一種のプログラムを持っている。しかし、環境の
中でそのプログラムが何をするかというのが問題なのだ。アレルゲンである花粉や食物に
対して、また、毎日3万種の新たな物質が入ってくる環境に対して、どう反応するかが問
題だ。だから、同じ遺伝子であっても、人によって発症したりしなかったり、MCSを発
症したりCFS(慢性疲労症候群)を発症したりする。
7.医学的分析
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体内の解毒システムの経路は、主に二つある。まずフェーズ1では、チトクロームP4
50酵素による水酸化反応が起こる。異物がこの段階で攻撃され、それが活性化した中間
生成物になる。ここでは多くの抗酸化物質が必要になる。つまり、家でごみが出ると、ご
みをポリ袋か何かに入れるが、それがすなわちフェーズ1だ。このポリ袋を運ぶのが
フェーズ2だ。フェーズ2では包合反応が起こり、化学物質が水溶性化合物に変換され、
腎臓を通して体外に排出される。
私たちが肝機能の検査を行い、フェーズ2の抱合反応があまり良くない場合、この患者
は化学物質に曝露された時に十分なスピードで解毒できないことが分かる。
私たちが具体的に測定しているのは、以下のような様々な代謝産物、つまり有機酸だ。
①メチルマロン酸=ビタミンB12マーカー
②ホルムイミノグルタミン酸塩=葉酸マーカー
③パラヒドロキシフェニル乳酸塩=酸化促進剤/発がん物質
④高濃度の硫酸塩=解毒作用の昂進、又は酸化ストレス
5
私たちの体内では、ホルモンなどによって物質を変換していく。物質A、たとえばアミ
ノ酸が体内に入り、ビタミンやミネラルなどの栄養素を使って物質Bに変え、さらに栄養
素を使ってCに変え、さらに最終物のDになる。
しかし、たとえば、酵素、ミネラル、またはビタミンの欠乏によって、この経路が途中
で阻害されると、体は必要なD、たとえばタンパクを作ることができず、物質Bが尿中に
出てしまう。このBのような中間代謝産物を私たちは測定する。
6 ある患者の尿検査で、図の通りのものが検出された。「栄養素マーカー」欄に記載され
た全部が中間代謝産物であり、これら全部が検出されないことが望ましいのだ。この患者
の場合はエネルギー産生マーカーなどに問題があり、CoQ10や葉酸が必要だ。
生化学研究において過去数年で最も盛んな分野は、生化学的疾病の媒介因子の特定と個
別化である。図で紹介した、独自に編み出したオーガニクス総合分析(特許出願中)に
よって、患者個人に合わせた、より効果的な治療が可能になる。
MCS患者は、エネルギー生産欠乏(ATP:アデノシン三リン酸)をもたらすミトコ
ンドリア障害の兆候を示すことが多い。体は解毒のためにエネルギーの8割を必要とする
ため、ミトコンドリア障害は解毒機能の低下と直接的に結び付く。グルタチオンやαリポ
酸、CoQ10といった物質は、ミトコンドリアの働きを助けることで解毒能力を高め
る。
ビタミンB12は、神経細胞の増殖、成熟、および新生のために重要な栄養素だ。しか
し、鉛や水銀のような重金属はメチルビタミンB12の生成を阻害する。
元素の中には、細胞に蓄積し毒性効果をもたらすものもある。毒性重金属は健康への深
刻な懸念となっている。鉛やカドミウム、水銀、ヒ素などは、とりわけ子供の脳や神経シ
ステムに深刻なダメージを与える恐れがある。毒物は様々なメカニズムによって多くの悪
影響を引き起こす。そのメカニズムの一つとして、鉛や水銀はグルタチオンを減少させ、
メチルビタミンB12欠乏症を起こす。
8.治療法:DNA概念(ルノー提唱)
私は治療法をまとめ「DNA概念(コンセプト)」と名づけた。DNAとは、
①Dwtoxification 解毒療法
②Nutritional-Therapie 栄養療法
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③Anti-Stress-Management ストレス対処マネジメント
の頭文字をつなげた略語だ。
治療の柱は、以下の通り。
①クリーンな環境と解毒
②正常分子(Orthmolecular)サプリメント(ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ
酸)
③ストレス対処プログラム(サウナを利用した理学療法、マッサージ、スポーツ等)
④個別指導(環境医学・機能医学の基礎を個人指導する)
生化学的に個人的に違うので、個人に合わせて指導しなければならない。しかし、ここ
は非常に時間がかかるところだ。
治療の目標は、以下の通り。
①解毒能力の向上
②炎症の沈静化(体と脳内の火を鎮める)
③身体面及びメンタル面の安定
私はコソボの鉛中毒の子どもたちを治療した。非常に悲劇的なことだが、今、ヨーロッ
パで200人が鉛などの有毒金属が貯蔵されているすぐ隣に住んでいる。多くの子どもた
ちが亡くなっている。私たちは、グルタチオンの静脈注射によって解毒治療を行い、4週
間後には、尿中の中間代謝産物がかなり減った。これを真っ白にすることを目指して、そ
の後も数ヶ月治療した。
また、ストレスはたいへん大きな問題である。こストレスは以下のことから生じる。
①「闘うか逃るか」思考=恐怖、不安、悩みを生む
②うつ感情、敗北感、無力感
③痛み症候群
④感染症、炎症
⑤低血糖症(低血糖状態)
⑥不十分・質の悪い睡眠
⑦光周期が乱される
⑧有害物質への曝露
MCSの患者も継続的にストレスに曝されている。どこへ行っていいかわからない、会
議に参加しても香水でだめになって途中で出るなど、とにかくいつもストレスに曝されて
いる。抗ストレスプログラムも非常に重要だ。
(1)グルタチオンやαリポ酸等を使用した解毒治療
グルタチオンやαリポ酸は、体内で生成される天然キレートである。
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αリポ酸、あるいはグルタチオンを注射などで注入すると、図のように金属を取り込
む。金属そのものがなくなるのではなくて、キレート剤の中に取り込まれるのだ。
丸印の硫黄の部分が活性部位になって、ここで重金属を解毒する。αリポ酸は肝臓で生
成される。
グルタチオンも同様に硫黄の部分を持っている強力な抗酸化物質(トリペプチド)であ
る。システイン、グリシン、グルタミンから作られる。体が十分に栄養を吸収できない
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と、十分にアミノ酸が得られず、グルタミンが十分に作られないので、解毒能力が下がっ
て体調が悪化する。
グルタチオンは過酸化物を還元する。グルタチオンは脳における最も重要な抗酸化物質
の一つで、フリーラジカルのダメージから脳を守る。
私たちは、以下の物質を静脈注射で投与するといった治療を日々行っている。
①他の薬剤が混ざらない還元型グルタチオン600mg(i.v.)週1回を4度
②大量のビタミンC投与(アスコルビン酸ナトリウム7.5g)+マグネシウムアスパルテー
ト/カルシウムEAP/亜鉛/交互に投与
③セレニウム-ナトリウム100μg、ビタミンB群(葉酸を含む)
④αリポ酸300~600mg
⑤Lカルニチン1000mg
コンパクト解毒プログラムという1週間の解毒プログラムもある。また、経口剤を6~
10週間服用して結果を見ることもある。
経口薬投与の場合は、以下について1日1回投与する。服用量は検査結果に応じて変更
する。
①αリポ酸100~300mg
②スルフォラファン15~30mg<ブロッコリー抽出物>
③セレン<セレノメチオニン>、亜鉛、モリブデンを含むマルチミネラル
④マルチビタミン(メチルコバラミンとP-5-Pを含む複合ビタミン)
⑤ビタミンC1g(吸収がゆっくりなタイプ)
⑥ビタミンE(ガンマ-トコフェロール300mg含む)
⑦アミノ酸(グリシン、アルギニンなど含む)
(2)心肺運動連続肺活量測定
解毒治療が奏功しているかについての評価法として、尿検査だけではなく、心肺運動を
させて肺活量を測定する。
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心拍数は、運動をすると上がっていく(上のライン)。体内酸素濃度も測る。血中に毒
素があると酸素の有効利用がブロックされ、酸素有効利用率が上がらない(下のライ
ン)。
治療後4週間で、グラフのような正常値になった。4週間で酸素の使用量が30%も増
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加したのは非常に劇的だ。通常では、スポーツマンなどでもこのくらい改善するのに1年
くらいかかる。
結論としては、グルタチオン、ビタミンB12(メチルB12)、ビタミンD3αリポ
酸は、皆さんにとって重要なので、定期的に摂っていただく。また、メラトニンは大脳に
とっても非常に良い。
9.環境建築物
MCSの患者は、安全な環境で治療を受けさせることが必要だ。通常の病院だと、消毒
などのために、ありとあらゆる化学物質が噴霧されている。
(1)バードエムスタール
1989年、私は、ドイツ中部の小さな温泉村であるバードエムスタール(Bad E
mstal)に、ドイツで初めての環境施設を建設した。壁土として使用した石灰モルタ
ルや多孔質の鉱物塗料は、有毒物質をろ過、結合、中和することができる。断熱性だけで
なく、湿気が少なく、短期間で乾くことも、こうした建設素材を選ぶ際には重要な要素と
なってくる。私たちは建設資材会社や建設会社に運ばれてくる建材が放射能や有害気化物
質や芳香成分を含まないもの(低揮発製品)であることの証明書を提示するよう依頼し
た。木材部品の手入れについては、テルペンを含まない天然ラッカ―や敏感な患者のため
に特別に開発されたワックスを使用した。
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これは、患者が使う台所。添加物のない食品を使う。
部屋の構造も特殊なものになっている。.瓦を使った天井だ。現在造るとお金がかか
る、伝統的なやり方の建築である。できるだけ地球の磁場を妨害しないように、鋼鉄をで
きるだけ避けている。
回路スイッチ(ブレーカー)を入れるスイッチングボックス。金属を挟むことで電磁場
を減衰させられる。すべての電気回路には回路スイッチを装備し、回路スイッチを切るこ
とで、個別の電化製品の電磁場だけでなく、部屋中の電気配線からの電磁場も遮断できる
13ようにした。
電気配線には電磁場を減衰させるために金属メッシュで被覆したケーブルを用いた。
部屋の中の金属管は外部からの電磁波の影響を受けやすい。その影響を減らすために放
射状(星形)に配管している。
(2)ヴォルフハーゲン
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現在、私たちは、ヴォルフハーゲン市と協力して新たな環境企画であるエコホテルヴォ
ルフハーゲン城を構想中である。ヴォルフハーゲンは歴史ある街で、グリム兄弟の一人
ルードヴィッヒ・エミール・グリムは、かつてヴォルフハーゲンに住んでいた。エーデル
渓谷や歴史的建造物が豊かなかつてのヘッセン選帝侯領土の首都、カッセルの西に程近
く、中部ドイツ高原地方でもっとも美しい場所の一つである。
このお城をホテルに改装しようとしているのだ。
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10.最後に
MCS患者は、社会の中である種の指標になっていると思う。ただ、子どもたちのこと
も忘れないでほしい。グローバル化した世界の中で環境汚染が深刻化し、子どもの症例も
出てきている。子どもの場合、免疫系及び神経系システムが非常にナイーブなので、子ど
もたちには注意を払わなければならない。つまり、皆さんの将来のために投資をしていく
ことが大事だと思う。先進国も、コソボのような発展途上国についても、考慮が必要だ。
機能性医学と環境医学こそ、21世紀の医学である。
(質疑応答より)
参加者 グルタチオンの投与について、経口と静脈注射とで効果はどの程度違うか。
ルノー 経口では腸管の中でかなり破壊され、20~30%が腸管から吸収されて血管
に入る。しかも、解毒が必要な人の場合はしばしば腸壁が損傷しており、その場合、吸収
率はさらに下がる。静脈注射だと、注入された全量が血管に入る。
参加者 ストレス対処プログラムと個別指導について、もう少し教えてほしい。
ルノー ストレス対処プログラムは、赤外線サウナやマッサージなどの理学療法や、森
の中へ行って自然に戻ること。あまり哲学的な話はしたくないが、環境因子に体がどう反
応するか、自分の体を自分で聞く、体の反応を聞くということだ。ミラー先生が後ほど説
明してくださるが、マスキング効果というものがあって、その影響を解かなければならな
い。
個別指導は、皆さんそれぞれが生化学的な個体なので、たとえば、あなたが必要なビタ
ミンCは300gなのか400gなのか、検査結果などに基づいて患者さんと議論し、アドバイス
をすることなどだ。
参加者 ルノー先生が治療をしている子どもたちの中で、いわゆる自閉症だが化学物質
が関与していると思われる人がどのくらいいて、どのくらいの治療効果が得られているの
か。
ルノー ちょっと難しいご質問だ。確かにADHDや自閉症の子もいるし、自閉症の子
どもの90%は腸に問題があると言って良いと思う。特に金属などが解毒できないという
ケースが多い。フェーズ2の解毒まで行くのに十分なグルタチオンがないことなどによ
り、体内にある様々な金属をうまく代謝できない。自閉症の子どもでも1~3年で正常に
なることもある。自閉症は確かに遺伝子的な要素もあるが、遺伝子というのは非常にダイ
ナミックで、サプリメントやミネラル食品、良い空気でもってサポートしてあげれば、遺
伝子の良い形質が発現する場合もあると思う。
参加者 自閉症について化学物質や金属の問題が大きいと考えて治療に当たっている医
師がドイツには多いのか。
ルノー いいえ。これに関しては世界共通だ。世界の主流医学は、そういうことは認め
ない。
参加者 ドイツは特にバウビオロギー(建築生態学)が進んでいると思うが、バウビオ
ロギーの考え方にあるように、患者にとっても健常者にとっても、その土地の周辺で調達
できる建築資材を使って家を建てることは重要なのか。
ルノー まったくその通りだと思う。その地域でとれる材料を使うことは非常に良い。
世界中どこでも天然の良い資材はあると思う。単に患者さんだけではなく次世代の子ども
たちのためにも、どうやって家を建ててどんな材質を使うのかはよく考えるべき。確かに
現代のテクノロジーにも素晴らしいものはあり、私もよく使うが、やはり人工的な建材に
は懸念もある。私の推奨する企業は、製造工程の終わりの段階で除染をする。除染室が設
けられ、そこで家具などを化学物質を使わずに洗浄する。CSの方は本に触れられないこ
16とがあるので、本も木炭などで浄化している。このような企業だったらおすすめできる。
このような洗浄の段階を製造工場に設けることはお金がかかるが、考える価値はある。
参加者 MCS患者はドイツでも多いか。
ルノー ドイツにも非常にたくさんいる。先日大きなテレビ局でMCSに関する番組が
放映され、私も招待された。番組を通して、より多くの人たちがMCSを認識するように
なった。
参加者 化学物質曝露で腸内などの臓器が損傷された場合、解毒により再生できるの
か。
ルノー 臓器はもちろん再生する。少し時間はかかるかもしれないが、必ずうまくいく
ので、絶望する必要はない。
【パネルディスカッションから】
コーディネーター ルノー先生の診療所等に、公的支援はあるか?
ルノー いいえ、すべて私的な支援でまかなってきた。ただ、時代は変わりつつある。
私が治療施設をヴォルフハーゲンへ移転した時に、市長がサポートをしてくれて「1ユー
ロ」をいただいた。
17
結果辿りついた答えに最も適合している医師の治療プログラムを紹介します。
※もちろん発症メカニズムについてお伝えしたこのブログのすべての記事に目を通したうえでお読みください。
本ブログは一般医学から病態を理解するための情報提供ブログです。
ルノー博士の治療法を私は次の様にとらえています。
この発症原因自体が「乗り合いバス」的な病の性質に加え、患者の身体機能の強弱から生活環境や生活習慣による症状の違い、家系的病因リスクすべてを分析した上で患者個々に寄りそうカスタムメイドの治療法…患者一人一人、オンリーワンの治療
なお、心理的マネジメントの重要性も軽視できませんが、ホメオパシーや気功治療はあくまで「心理的」治療に分類してください。
薬理作用や病気全体がまかなえる治療法ではありません。
患者の中には中毒やアレルギーやカンジダ腸症の者がいるので誤解は危険です。
もちろん、その他に心理的アプローチが欠けていてもうまくいかないケースもあるので、分析は慎重にどうぞ。
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講演3「天然キレート剤(グルタチオン)、ミネラル、ビタミンによる解毒」
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏 (PDFファイル)
http://www.umweltmedizin.org/profil-ifu/ifu-international/japanese/
【機能性医学モデルによる検査プログラム紹介】
(病気に焦点を当てる医療から、患者に焦点を当てる医療へ移行しようとすること)
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏
①血球数測定:ルーティーンでやるだけではなく、ホモシステイン、高感度CRP、イ
ンターロイキン6(炎症のマーカー)、ビタミンD3も測定する。
②有害物質(毛髪、血液、尿)
③有機酸:オーガニクス総合分析。新しい検査法であり、後で詳述する。
④ポルフィリン・テスト:重金属毒の深刻度を測定。
⑤フタル酸塩:内分泌かく乱物質で、これらも尿から検出されることがある。
信じられないかもしれないが、ドイツで測定された小児の実に100%から尿中から内分泌かく乱物質が検出されたと8月に発表された。
⑥アレルギー:特に食物アレルギーの検査も行う。MCSの人たちは化学物質に過度に
1曝露されていることによって典型的なアレルギー症状も発症する。日々の食べ物に対しても、そうだ。
⑦検便:遺伝子解析。
⑧MRT:核磁気共鳴画像。
【「特異的適応症候群(SAS)」】
セリエの汎適応症候群との比較で、環境医学者セロン・ランドルフ教授(内科医、精神
科医)は「特異的適応症候群(SAS)」という概念を構築した。
ステージ1警告期 ストレス因子となるアレルゲン等を摂取時、一時的に鬱様症状が。 ステージ2順応期 暴露を続けるこの期間に自覚症状はない。数カ月から数年にわたる。
テージ3疲労期 移行期を経て疲労期に。
MCSの様な重篤な急性あるいは慢性の反応を引き起こすようになる。
(ここで初めて病気になったという自覚症状が出てくる!)
【 MCSの原因 】
①突発的先行事件、細菌感染を含め、新改築他の化学物質的ストレッサーとの遭遇
②トリガー(発症のきっかけ)、上記への慢性的暴露原因。
③メディ2エータ(憎悪因子、仲介因子)の三つがある。
④原因となる腸の障害
解剖学的にも、神経束の90%が腸と大脳の間で繋がっている。
神経伝達物質は、この腸管の部分で見つけられる。
栄養障害の症状群、腸管壁侵漏症候群、過敏性腸炎、発症因子の慢性的暴露、セロトニンの障害等々、数々の問題を生じさせている。
【 生化学的個人差 】
両親からの遺伝子に「環境要因」などトータルストレッサーが、「どんなプログラムを発動するか?」が問題。
癌化か?慢性疲労症候群か?ES・CS・MCSか?パーキンソン病か?他の難病か?
【 医学的分析 】
具体的に測定している代謝産物(有機酸)
①メチルマロン酸=ビタミンB12マーカー
②ホルムイミノグルタミン酸塩=葉酸マーカー
③パラヒドロキシフェニル乳酸塩=酸化促進剤/発がん物質
④高濃度の硫酸塩=解毒作用の昂進、又は酸化ストレス
MCS患者は、エネルギー生産欠乏(ATP:アデノシン三リン酸)をもたらすミトコ
ンドリア障害の兆候を示すことが多い。
体は解毒のためにエネルギーの8割を必要とする
ため、ミトコンドリア障害は解毒機能の低下と直接的に結び付く。グルタチオンやαリポ
酸、CoQ10といった物質は、ミトコンドリアの働きを助けることで解毒能力を高める
【 治療法:DNA概念(ルノー提唱) 】
治療法をまとめ「DNA概念(コンセプト)」と命名(各頭文字からの略称)
①Dwtoxification 解毒療法
…クリーンな環境と解毒
②Nutritional-Therapie 栄養療法
…②正常分子(Orthmolecular)サプリメント
(ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸)
③Anti-Stress-Management ストレス対処マネジメント
…③ストレス対処プログラム(サウナを利用した理学療法、マッサージ、スポーツ等)
プラス、④個別指導(環境医学・機能医学の基礎を個人指導する)
生化学的に個人的に違うので、個人に合わせて指導しなければならない。しかし、ここ
は非常に時間がかかるところだ。
【 自閉症と化学物質過敏症 】
参加者 ルノー先生が治療をしている子どもたちの中で、いわゆる自閉症だが化学物質
が関与していると思われる人がどのくらいいて、どのくらいの治療効果が得られているの
か。
ルノー ちょっと難しいご質問だ。確かにADHDや自閉症の子もいるし、自閉症の子
どもの90%は腸に問題があると言って良いと思う。特に金属などが解毒できないという
ケースが多い。フェーズ2の解毒まで行くのに十分なグルタチオンがないことなどによ
り、体内にある様々な金属をうまく代謝できない。自閉症の子どもでも1~3年で正常に
なることもある。自閉症は確かに遺伝子的な要素もあるが、遺伝子というのは非常にダイ
ナミックで、サプリメントやミネラル食品、良い空気でもってサポートしてあげれば、遺
伝子の良い形質が発現する場合もあると思う。
<原文>
講演3「天然キレート剤(グルタチオン)、ミネラル、ビタミンによる解毒」
ドイツ・環境病研究所医師 クラウス デートリッヒ ルノー氏
本日は、私がMCS(多種化学物質過敏症)患者を治療し始めてから学んだ様々なこ
と、特に実践的な考え方についてお話しさせていただきたい。
1.MCSとは何か
今日は、いろいろな毒性化学物質について話がされているが、いったいいくつの化学物
質が登録されているのだろう。化学物質とは必ずしも限らないが、新しい物質が先月以
降、5000万も登録された。日々、3万もの新しい物質が登録されている。MCS患者
について原因化学物質を特定するのは非常にお金がかかるし(特定の目的がある場合以外
は)それをやることに意味はない。
MCS患者は、一般に広く使用される多種類の化学物質に、極微量でも反応する。
一般に使用されている化学物質とは、たとえば、化粧品、洗濯洗剤、建物内の化学物
質、車内の(霧状になる)化学物質、プラスチックからの揮発ガス、溶剤、香水(これも
非常に大きな問題だ。ドイツでは「化学物質過敏症ネットワーク」( w w w . c s n -
deutschland.de)という患者団体から、香水に関する論文が出されている。たばこだけで
はなく、香水が非常に大きな問題になっている。香水もやはり有害物質だ)、吸入抗原、
食物(添加物、着色料、保存料)がある。
多くの人々は、これらの化学物質に寛容性(耐性)を持っている。それと同時に、多く
の人々が、寛容性を失っている。
2.主流医学の見解
主流医学のMCS患者に対する見解として「彼らは化学物質や汚染をこわがっているの
だ」というものがある。「その通り、MCSという病気自体は存在する。しかしあなたは
罹患してはいない。あなたの症状は気のせいです」と医師は言う。
3.機能性医学モデル
ウィリアム・オスラー卿(Sir William Osler)は「大事なことは、患者が持っている病
気を知ることではなく、病気を持っている患者について知ることだ」と言っている。つま
り、患者の健康、人生を理解しようとすることであり、この病気を発症する前にどういう
生活をしていたか、どういう健康状態だったかを知るべきというのだ。
機能性医学モデルとは、病気に焦点を当てる医療から、患者に焦点を当てる医療へ移行
しようとすることを意味する。
「氷山の一角」という言葉がある。たとえば「頭痛」という症状が出たとき、頭の中に
腫瘍があるかもしれないし、ホルモンの問題かもしれない。医師は鎮痛剤やホルモン剤を
処方したり、あるいはホメオパシー治療を導入することもある。しかし、それらは氷山の
一角を見て治療しているだけだ。これに対して、機能性医学は氷山の全体、栄養や環境の
要素にも対処しようというものだ。
私が患者に対して行っている診断のための検査のプログラムは、以下の通りだ。
①血球数測定:ルーティーンでやるだけではなく、ホモシステイン、高感度CRP、イ
ンターロイキン6(炎症のマーカー)、ビタミンD3も測定する。
②有害物質(毛髪、血液、尿)
③有機酸:オーガニクス総合分析。新しい検査法であり、後で詳述する。
④ポルフィリン・テスト:重金属毒の深刻度を測定。
⑤フタル酸塩:内分泌かく乱物質で、これらも尿から検出されることがある。信じられ
ないかもしれないが、ドイツで測定された小児の実に100%から尿中から内分泌かく乱
物質が検出されたと8月に発表された。
⑥アレルギー:特に食物アレルギーの検査も行う。MCSの人たちは化学物質に過度に
1曝露されていることによって典型的なアレルギー症状も発症する。日々の食べ物に対して
も、そうだ。
⑦検便:遺伝子解析。
⑧MRT:核磁気共鳴画像。
4.特異的順応症候群
内分泌学者ハンス・セリエは、ラットなどの動物実験の結果、ストレスへの反応には①
警告期②順応期③疲労期の3段階があることを発見した。様々なストレッサーに対してい
つも同じストレスの反応パターン(視床下部下垂体中枢(HPA)の活性化、糖質コルチ
コイドの分泌)が存在し、セリエはこうした反応パターンを「汎適応症候群(GAS)」
と呼んだ。患者は、化学物質や食物、身体的ストレスなどに一見順応しているように見え
る段階の後、疲労期に入る。疲労期とは、身体における生物化学的システムが破綻してい
る状態を意味する。
セリエの汎適応症候群との比較で、環境医学者セロン・ランドルフ教授(内科医、精神
科医)は「特異的適応症候群(SAS)」という概念を構築した。ランドルフ教授は、C
S患者個人個人について、化学物質に曝露しつつも症状が現れない長期のはっきりとした
(真のものではない)順応期があることを発見した。
ステージ1の警告期は、ストレス因子となるアレルゲン等を摂取した時に、一時的に気
分が落ち込むが、それは短期間で終わる。
ストレス因子を継続的に摂取していくと、ステージ2の順応期に入る。この期間のほと
んどは、気分は高揚していて、自覚症状はない。この期間は数カ月から数年にわたる。
その後もさらにストレス因子の摂取が続くと、移行期を経てステージ3の疲労期に入
る。疲労期において、患者はMCSのような重篤な急性あるいは慢性反応を引き起こすよ
うになる。ここで初めて病気になったという自覚症状が出てくる。
5.MCSの原因
MCSの原因として、①突発的先行事件、②トリガー(発症のきっかけ)、③メディ
2
エータ(憎悪因子、仲介因子)の三つがある。
(1)突発的先行事件
たとえば、何らかの寄生虫などで腸管に感染が起こり、そのために反応性関節炎が起こ
るのは、突発的先行事件の一例である。疾患はここから始まる。
様々な化学物質への曝露(多くの人は大丈夫であっても)が突発的先行事件になる場合
もある。たとえば、部屋に新しい塗料を塗った時や、新しい抗生物質を処方された場合、
または殺虫剤、重金属などである。
(2)トリガー
発症のトリガー(引き金)としては、寄生虫、バクテリア、酵母、カビ、食物抗原、毒
物の摂取など様々なものがある。これらが大腸炎、消化機能障害、関節炎などの慢性疾患
を引き起こす継続的なトリガーになりうる。主流医学においては、専らこれらについて着
目する。これらの引き金は、診断のうえ取り除かなければならない。
MCS患者におけるトリガーは、溶剤、プラスチック、香水、医薬品など、さまざまな
化学物質である。これらの引き金も、診断のうえ取り除かなければならない。
(3)メディエータ
メディエータは、病気の症状発現に寄与する媒介因子や代謝産物である。トリガーと同
様、メディエータもそれ自体が病気の原因となるわけではない。メディエータは多種多様
で、生化学物質(サイトカイン、プロスタノイド等)、イオン(水素イオン等)、社会的
因子(病気のままでいさせる社会的要因など)、心理学的因子(恐怖など)、あるいは、
文
化的因子(病気の本質に関する考えなど)がある。
病気に共通のメディエータとしてはホルモン(副腎機能低下症、メラトニンと黄体ホル
モンバランスの乱れなど)、フリーラジカル、痛みや喪失への恐怖、低い自己評価、今ま
で助けられなかったことから来る無力感、健康に関する適切な情報の欠如などがある。
ここで注目すべきなのは、すべてのメディエータに疾病特異性がないことである。MC
Sの患者は、それぞれ個別の先行誘発イベント、トリガー、メディエータをもった生化学
的な個体であり、脳と体に火をつける慢性的な炎症をかかえている。いったん慢性的な炎
症が活性化されると、脳のグリア細胞、いわゆる血液脳関門(BBB)の免疫活性化がも
たらされることがある。グリア細胞は腸内の免疫細胞と関連しているため、消化器内でお
こった慢性的機能障害が脳においても起こるとみることができる(憂鬱な気分、行動異
常、てんかん、偏頭痛、多動性障害、うつなど)。
(4)腸の障害が原因に
腸と脳はつながっている。
腸の粘膜表面には外界に対するバリア機能がある。しかし、粘膜表面が寄生虫や化学物
質、薬品などによって損傷されたり、アレルギー物質によって侵されると、血管や神経束
によって腸は脳へつながっているので、ストレスがかかって便秘や下痢を引き起こす。重
要なのは、神経束で腸と大脳がつながっているということだ。こうした神経束の90%は
上下に走っており、解剖的に見ても腸と大脳はつながっている。そして、すべての神経伝
達物質は、この腸管の部分で見つけられる。たとえば、睡眠あるいは覚醒状態のコント
ロールに非常に重要で食欲を発生させるセロトニンなども90%は腸管で見つかる。すな
わち、化学的にも腸と脳がつながっていることを示している。実は胃腸科の医師も、腸が
原因でこのような疾患が起きることについて理解していない。
分子が大きなタンパク質や毒素、バクテリアは、通常であれば腸の表面のバリアによっ
て体内へ侵入できずに腸管の中を通過していく。ビタミン、ミネラルなどの栄養素はこの
3
バリアを通過できるので体内へ吸収される。ところが腸壁が損傷されると、バリアの中に
開いたところができ、毒素が体内に取り込まれてしまい、そこから血管の中へ毒物が侵入
する。この場合、逆に小さな粒子は腸壁の表面に留まってうまく吸収されず、栄養失調、
つまりビタミン欠乏症などが起きる恐れがある。この場合も化学物質による突発的先行事
件になり、アレルギーがトリガーされ、発症するということになる。
6.生化学的個人差
喫煙していても100歳を超えて元気で歩き回っている人がいる。一方で、喫煙でがん
になって死ぬ人もいる。なぜ一部の人は長生きして、一部の人はがんなどで亡くなり、あ
るいはMCSにかかるのか。
この場合、遺伝子が大きな問題だと言われる。しかし、遺伝子だけでは病気は発症しな
い。遺伝子のほかに環境が相互作用することによって初めて「あなた」という存在がある
のだ。つまり遺伝子の表現型が問題になるのだ。だから、がんの本当の研究は遺伝子だけ
でなく環境も考えなければならない。3分の1ぐらいは遺伝子、3分の2は環境によって
トリガーがかかっていると考えなければならないと思う。
もちろん皆さんは、両親から遺伝した一種のプログラムを持っている。しかし、環境の
中でそのプログラムが何をするかというのが問題なのだ。アレルゲンである花粉や食物に
対して、また、毎日3万種の新たな物質が入ってくる環境に対して、どう反応するかが問
題だ。だから、同じ遺伝子であっても、人によって発症したりしなかったり、MCSを発
症したりCFS(慢性疲労症候群)を発症したりする。
7.医学的分析
4
体内の解毒システムの経路は、主に二つある。まずフェーズ1では、チトクロームP4
50酵素による水酸化反応が起こる。異物がこの段階で攻撃され、それが活性化した中間
生成物になる。ここでは多くの抗酸化物質が必要になる。つまり、家でごみが出ると、ご
みをポリ袋か何かに入れるが、それがすなわちフェーズ1だ。このポリ袋を運ぶのが
フェーズ2だ。フェーズ2では包合反応が起こり、化学物質が水溶性化合物に変換され、
腎臓を通して体外に排出される。
私たちが肝機能の検査を行い、フェーズ2の抱合反応があまり良くない場合、この患者
は化学物質に曝露された時に十分なスピードで解毒できないことが分かる。
私たちが具体的に測定しているのは、以下のような様々な代謝産物、つまり有機酸だ。
①メチルマロン酸=ビタミンB12マーカー
②ホルムイミノグルタミン酸塩=葉酸マーカー
③パラヒドロキシフェニル乳酸塩=酸化促進剤/発がん物質
④高濃度の硫酸塩=解毒作用の昂進、又は酸化ストレス
5
私たちの体内では、ホルモンなどによって物質を変換していく。物質A、たとえばアミ
ノ酸が体内に入り、ビタミンやミネラルなどの栄養素を使って物質Bに変え、さらに栄養
素を使ってCに変え、さらに最終物のDになる。
しかし、たとえば、酵素、ミネラル、またはビタミンの欠乏によって、この経路が途中
で阻害されると、体は必要なD、たとえばタンパクを作ることができず、物質Bが尿中に
出てしまう。このBのような中間代謝産物を私たちは測定する。
6 ある患者の尿検査で、図の通りのものが検出された。「栄養素マーカー」欄に記載され
た全部が中間代謝産物であり、これら全部が検出されないことが望ましいのだ。この患者
の場合はエネルギー産生マーカーなどに問題があり、CoQ10や葉酸が必要だ。
生化学研究において過去数年で最も盛んな分野は、生化学的疾病の媒介因子の特定と個
別化である。図で紹介した、独自に編み出したオーガニクス総合分析(特許出願中)に
よって、患者個人に合わせた、より効果的な治療が可能になる。
MCS患者は、エネルギー生産欠乏(ATP:アデノシン三リン酸)をもたらすミトコ
ンドリア障害の兆候を示すことが多い。体は解毒のためにエネルギーの8割を必要とする
ため、ミトコンドリア障害は解毒機能の低下と直接的に結び付く。グルタチオンやαリポ
酸、CoQ10といった物質は、ミトコンドリアの働きを助けることで解毒能力を高め
る。
ビタミンB12は、神経細胞の増殖、成熟、および新生のために重要な栄養素だ。しか
し、鉛や水銀のような重金属はメチルビタミンB12の生成を阻害する。
元素の中には、細胞に蓄積し毒性効果をもたらすものもある。毒性重金属は健康への深
刻な懸念となっている。鉛やカドミウム、水銀、ヒ素などは、とりわけ子供の脳や神経シ
ステムに深刻なダメージを与える恐れがある。毒物は様々なメカニズムによって多くの悪
影響を引き起こす。そのメカニズムの一つとして、鉛や水銀はグルタチオンを減少させ、
メチルビタミンB12欠乏症を起こす。
8.治療法:DNA概念(ルノー提唱)
私は治療法をまとめ「DNA概念(コンセプト)」と名づけた。DNAとは、
①Dwtoxification 解毒療法
②Nutritional-Therapie 栄養療法
7
③Anti-Stress-Management ストレス対処マネジメント
の頭文字をつなげた略語だ。
治療の柱は、以下の通り。
①クリーンな環境と解毒
②正常分子(Orthmolecular)サプリメント(ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ
酸)
③ストレス対処プログラム(サウナを利用した理学療法、マッサージ、スポーツ等)
④個別指導(環境医学・機能医学の基礎を個人指導する)
生化学的に個人的に違うので、個人に合わせて指導しなければならない。しかし、ここ
は非常に時間がかかるところだ。
治療の目標は、以下の通り。
①解毒能力の向上
②炎症の沈静化(体と脳内の火を鎮める)
③身体面及びメンタル面の安定
私はコソボの鉛中毒の子どもたちを治療した。非常に悲劇的なことだが、今、ヨーロッ
パで200人が鉛などの有毒金属が貯蔵されているすぐ隣に住んでいる。多くの子どもた
ちが亡くなっている。私たちは、グルタチオンの静脈注射によって解毒治療を行い、4週
間後には、尿中の中間代謝産物がかなり減った。これを真っ白にすることを目指して、そ
の後も数ヶ月治療した。
また、ストレスはたいへん大きな問題である。こストレスは以下のことから生じる。
①「闘うか逃るか」思考=恐怖、不安、悩みを生む
②うつ感情、敗北感、無力感
③痛み症候群
④感染症、炎症
⑤低血糖症(低血糖状態)
⑥不十分・質の悪い睡眠
⑦光周期が乱される
⑧有害物質への曝露
MCSの患者も継続的にストレスに曝されている。どこへ行っていいかわからない、会
議に参加しても香水でだめになって途中で出るなど、とにかくいつもストレスに曝されて
いる。抗ストレスプログラムも非常に重要だ。
(1)グルタチオンやαリポ酸等を使用した解毒治療
グルタチオンやαリポ酸は、体内で生成される天然キレートである。
8
αリポ酸、あるいはグルタチオンを注射などで注入すると、図のように金属を取り込
む。金属そのものがなくなるのではなくて、キレート剤の中に取り込まれるのだ。
丸印の硫黄の部分が活性部位になって、ここで重金属を解毒する。αリポ酸は肝臓で生
成される。
グルタチオンも同様に硫黄の部分を持っている強力な抗酸化物質(トリペプチド)であ
る。システイン、グリシン、グルタミンから作られる。体が十分に栄養を吸収できない
9
と、十分にアミノ酸が得られず、グルタミンが十分に作られないので、解毒能力が下がっ
て体調が悪化する。
グルタチオンは過酸化物を還元する。グルタチオンは脳における最も重要な抗酸化物質
の一つで、フリーラジカルのダメージから脳を守る。
私たちは、以下の物質を静脈注射で投与するといった治療を日々行っている。
①他の薬剤が混ざらない還元型グルタチオン600mg(i.v.)週1回を4度
②大量のビタミンC投与(アスコルビン酸ナトリウム7.5g)+マグネシウムアスパルテー
ト/カルシウムEAP/亜鉛/交互に投与
③セレニウム-ナトリウム100μg、ビタミンB群(葉酸を含む)
④αリポ酸300~600mg
⑤Lカルニチン1000mg
コンパクト解毒プログラムという1週間の解毒プログラムもある。また、経口剤を6~
10週間服用して結果を見ることもある。
経口薬投与の場合は、以下について1日1回投与する。服用量は検査結果に応じて変更
する。
①αリポ酸100~300mg
②スルフォラファン15~30mg<ブロッコリー抽出物>
③セレン<セレノメチオニン>、亜鉛、モリブデンを含むマルチミネラル
④マルチビタミン(メチルコバラミンとP-5-Pを含む複合ビタミン)
⑤ビタミンC1g(吸収がゆっくりなタイプ)
⑥ビタミンE(ガンマ-トコフェロール300mg含む)
⑦アミノ酸(グリシン、アルギニンなど含む)
(2)心肺運動連続肺活量測定
解毒治療が奏功しているかについての評価法として、尿検査だけではなく、心肺運動を
させて肺活量を測定する。
10
心拍数は、運動をすると上がっていく(上のライン)。体内酸素濃度も測る。血中に毒
素があると酸素の有効利用がブロックされ、酸素有効利用率が上がらない(下のライ
ン)。
治療後4週間で、グラフのような正常値になった。4週間で酸素の使用量が30%も増
11
加したのは非常に劇的だ。通常では、スポーツマンなどでもこのくらい改善するのに1年
くらいかかる。
結論としては、グルタチオン、ビタミンB12(メチルB12)、ビタミンD3αリポ
酸は、皆さんにとって重要なので、定期的に摂っていただく。また、メラトニンは大脳に
とっても非常に良い。
9.環境建築物
MCSの患者は、安全な環境で治療を受けさせることが必要だ。通常の病院だと、消毒
などのために、ありとあらゆる化学物質が噴霧されている。
(1)バードエムスタール
1989年、私は、ドイツ中部の小さな温泉村であるバードエムスタール(Bad E
mstal)に、ドイツで初めての環境施設を建設した。壁土として使用した石灰モルタ
ルや多孔質の鉱物塗料は、有毒物質をろ過、結合、中和することができる。断熱性だけで
なく、湿気が少なく、短期間で乾くことも、こうした建設素材を選ぶ際には重要な要素と
なってくる。私たちは建設資材会社や建設会社に運ばれてくる建材が放射能や有害気化物
質や芳香成分を含まないもの(低揮発製品)であることの証明書を提示するよう依頼し
た。木材部品の手入れについては、テルペンを含まない天然ラッカ―や敏感な患者のため
に特別に開発されたワックスを使用した。
12
これは、患者が使う台所。添加物のない食品を使う。
部屋の構造も特殊なものになっている。.瓦を使った天井だ。現在造るとお金がかか
る、伝統的なやり方の建築である。できるだけ地球の磁場を妨害しないように、鋼鉄をで
きるだけ避けている。
回路スイッチ(ブレーカー)を入れるスイッチングボックス。金属を挟むことで電磁場
を減衰させられる。すべての電気回路には回路スイッチを装備し、回路スイッチを切るこ
とで、個別の電化製品の電磁場だけでなく、部屋中の電気配線からの電磁場も遮断できる
13ようにした。
電気配線には電磁場を減衰させるために金属メッシュで被覆したケーブルを用いた。
部屋の中の金属管は外部からの電磁波の影響を受けやすい。その影響を減らすために放
射状(星形)に配管している。
(2)ヴォルフハーゲン
14
現在、私たちは、ヴォルフハーゲン市と協力して新たな環境企画であるエコホテルヴォ
ルフハーゲン城を構想中である。ヴォルフハーゲンは歴史ある街で、グリム兄弟の一人
ルードヴィッヒ・エミール・グリムは、かつてヴォルフハーゲンに住んでいた。エーデル
渓谷や歴史的建造物が豊かなかつてのヘッセン選帝侯領土の首都、カッセルの西に程近
く、中部ドイツ高原地方でもっとも美しい場所の一つである。
このお城をホテルに改装しようとしているのだ。
15
10.最後に
MCS患者は、社会の中である種の指標になっていると思う。ただ、子どもたちのこと
も忘れないでほしい。グローバル化した世界の中で環境汚染が深刻化し、子どもの症例も
出てきている。子どもの場合、免疫系及び神経系システムが非常にナイーブなので、子ど
もたちには注意を払わなければならない。つまり、皆さんの将来のために投資をしていく
ことが大事だと思う。先進国も、コソボのような発展途上国についても、考慮が必要だ。
機能性医学と環境医学こそ、21世紀の医学である。
(質疑応答より)
参加者 グルタチオンの投与について、経口と静脈注射とで効果はどの程度違うか。
ルノー 経口では腸管の中でかなり破壊され、20~30%が腸管から吸収されて血管
に入る。しかも、解毒が必要な人の場合はしばしば腸壁が損傷しており、その場合、吸収
率はさらに下がる。静脈注射だと、注入された全量が血管に入る。
参加者 ストレス対処プログラムと個別指導について、もう少し教えてほしい。
ルノー ストレス対処プログラムは、赤外線サウナやマッサージなどの理学療法や、森
の中へ行って自然に戻ること。あまり哲学的な話はしたくないが、環境因子に体がどう反
応するか、自分の体を自分で聞く、体の反応を聞くということだ。ミラー先生が後ほど説
明してくださるが、マスキング効果というものがあって、その影響を解かなければならな
い。
個別指導は、皆さんそれぞれが生化学的な個体なので、たとえば、あなたが必要なビタ
ミンCは300gなのか400gなのか、検査結果などに基づいて患者さんと議論し、アドバイス
をすることなどだ。
参加者 ルノー先生が治療をしている子どもたちの中で、いわゆる自閉症だが化学物質
が関与していると思われる人がどのくらいいて、どのくらいの治療効果が得られているの
か。
ルノー ちょっと難しいご質問だ。確かにADHDや自閉症の子もいるし、自閉症の子
どもの90%は腸に問題があると言って良いと思う。特に金属などが解毒できないという
ケースが多い。フェーズ2の解毒まで行くのに十分なグルタチオンがないことなどによ
り、体内にある様々な金属をうまく代謝できない。自閉症の子どもでも1~3年で正常に
なることもある。自閉症は確かに遺伝子的な要素もあるが、遺伝子というのは非常にダイ
ナミックで、サプリメントやミネラル食品、良い空気でもってサポートしてあげれば、遺
伝子の良い形質が発現する場合もあると思う。
参加者 自閉症について化学物質や金属の問題が大きいと考えて治療に当たっている医
師がドイツには多いのか。
ルノー いいえ。これに関しては世界共通だ。世界の主流医学は、そういうことは認め
ない。
参加者 ドイツは特にバウビオロギー(建築生態学)が進んでいると思うが、バウビオ
ロギーの考え方にあるように、患者にとっても健常者にとっても、その土地の周辺で調達
できる建築資材を使って家を建てることは重要なのか。
ルノー まったくその通りだと思う。その地域でとれる材料を使うことは非常に良い。
世界中どこでも天然の良い資材はあると思う。単に患者さんだけではなく次世代の子ども
たちのためにも、どうやって家を建ててどんな材質を使うのかはよく考えるべき。確かに
現代のテクノロジーにも素晴らしいものはあり、私もよく使うが、やはり人工的な建材に
は懸念もある。私の推奨する企業は、製造工程の終わりの段階で除染をする。除染室が設
けられ、そこで家具などを化学物質を使わずに洗浄する。CSの方は本に触れられないこ
16とがあるので、本も木炭などで浄化している。このような企業だったらおすすめできる。
このような洗浄の段階を製造工場に設けることはお金がかかるが、考える価値はある。
参加者 MCS患者はドイツでも多いか。
ルノー ドイツにも非常にたくさんいる。先日大きなテレビ局でMCSに関する番組が
放映され、私も招待された。番組を通して、より多くの人たちがMCSを認識するように
なった。
参加者 化学物質曝露で腸内などの臓器が損傷された場合、解毒により再生できるの
か。
ルノー 臓器はもちろん再生する。少し時間はかかるかもしれないが、必ずうまくいく
ので、絶望する必要はない。
【パネルディスカッションから】
コーディネーター ルノー先生の診療所等に、公的支援はあるか?
ルノー いいえ、すべて私的な支援でまかなってきた。ただ、時代は変わりつつある。
私が治療施設をヴォルフハーゲンへ移転した時に、市長がサポートをしてくれて「1ユー
ロ」をいただいた。
17
2014年02月26日
理解・グルタチオン ミトコンドリア
化学物質過敏症に関して患者の立場から情報をお伝えしてきました。
ただし、何を申し上げるにしても以下をご理解いただかなければ何の可能性もご理解いただけません。
素人の私より、より的確な表現を下記よりお読みください。
願わくば、科学の真実に忠実な研究者のお目にとまる事を心から願っています。
しゃべるモルモットこと 患者ニコ
●資質と血栓の医学
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm
グルタチオン(glutathione)は、アセチルシステイン(N-acetylcysteine:NAC)から合成される。N-acetylcysteineを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞が、活性酸素の障害作用から、防御される。N-acetylcysteineは、それ自身、抗酸化作用(antioxidant properties)がある。
●Dr.西澤の栄養療法コラム
サプリメント小話
http://nishizawa-orthomolecular.blogspot.jp/2012/05/blog-post_8233.html
-グルタチオン-
活性酸素を消去する頼もしい味方があります。グルタチオンペルオキシダーゼです。グルタチオンペルオキシダーゼは活性酸素の消去反応の途中で出来る過酸化水素(H2O2)や過酸化した脂質を無害な物質に変える働きを持っています。グルタチオンペルオキシダーゼの反応に必要な物質がセレンとグルタチオンです。
グルタチオンは下図のような比較的単純な構造をしており体内で合成出来ます。
材料はグルタミン酸、システイン、グリシンというアミノ酸です。
グルタチオンは
①活性酸素の消去
②グルタチオン縫合による薬物排泄
③酵素活性の調節
④代謝の酵素
などの役割を持っており、ビタミンCと協調して放射線防護にも効果があります。
グルタチオンが不足している状況はγGTPという数値で推定できます。
たくさんお酒を飲む方は血液検査でγGTPが高いことが多いですね。飲酒は全くしない方でもお薬をたくさん飲んでいるとγGTPは高めになります。このγGTPはグルタチオンを代謝するための酵素で必要に応じて合成量が増えます。γGTPが高い時はグルタチオンの需要が増えていると考えてサプリメントで補いましょう。また比較的年齢の高い方でγGTPが極端に低い場合も要注意です。グルタチオン合成量が不足している場合があります。グルタチオンを摂取することで不足しがちなシステインを補給することもできます。
反応で使用されたグルタチオン(酸化型)を元(還元型)に戻すのはグルタチオン還元酵素という酵素です。この酵素はビタミンB2を補酵素としているのでビタミンB2が不足するとグルタチオンの働きが弱くなり脂質の過酸化が起こります。
グルタチオンは年齢とともに合成量が減ります。グルタチオン、セレン、ビタミンB2の摂取を工夫して活性酸素が増えないようにしましょう。
ただし、何を申し上げるにしても以下をご理解いただかなければ何の可能性もご理解いただけません。
素人の私より、より的確な表現を下記よりお読みください。
願わくば、科学の真実に忠実な研究者のお目にとまる事を心から願っています。
しゃべるモルモットこと 患者ニコ
●資質と血栓の医学
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm
グルタチオン(glutathione)は、アセチルシステイン(N-acetylcysteine:NAC)から合成される。N-acetylcysteineを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞が、活性酸素の障害作用から、防御される。N-acetylcysteineは、それ自身、抗酸化作用(antioxidant properties)がある。
●Dr.西澤の栄養療法コラム
サプリメント小話
http://nishizawa-orthomolecular.blogspot.jp/2012/05/blog-post_8233.html
-グルタチオン-
活性酸素を消去する頼もしい味方があります。グルタチオンペルオキシダーゼです。グルタチオンペルオキシダーゼは活性酸素の消去反応の途中で出来る過酸化水素(H2O2)や過酸化した脂質を無害な物質に変える働きを持っています。グルタチオンペルオキシダーゼの反応に必要な物質がセレンとグルタチオンです。
グルタチオンは下図のような比較的単純な構造をしており体内で合成出来ます。
材料はグルタミン酸、システイン、グリシンというアミノ酸です。
グルタチオンは
①活性酸素の消去
②グルタチオン縫合による薬物排泄
③酵素活性の調節
④代謝の酵素
などの役割を持っており、ビタミンCと協調して放射線防護にも効果があります。
グルタチオンが不足している状況はγGTPという数値で推定できます。
たくさんお酒を飲む方は血液検査でγGTPが高いことが多いですね。飲酒は全くしない方でもお薬をたくさん飲んでいるとγGTPは高めになります。このγGTPはグルタチオンを代謝するための酵素で必要に応じて合成量が増えます。γGTPが高い時はグルタチオンの需要が増えていると考えてサプリメントで補いましょう。また比較的年齢の高い方でγGTPが極端に低い場合も要注意です。グルタチオン合成量が不足している場合があります。グルタチオンを摂取することで不足しがちなシステインを補給することもできます。
反応で使用されたグルタチオン(酸化型)を元(還元型)に戻すのはグルタチオン還元酵素という酵素です。この酵素はビタミンB2を補酵素としているのでビタミンB2が不足するとグルタチオンの働きが弱くなり脂質の過酸化が起こります。
グルタチオンは年齢とともに合成量が減ります。グルタチオン、セレン、ビタミンB2の摂取を工夫して活性酸素が増えないようにしましょう。
2014年02月25日
アレルギーと中毒と薬剤受容体の変化
※この記事は煙草のバッシング記事ではありません。
個人的にですが、分煙や住み分けなど、互いを尊重できる成熟した社会が必要だと考えています。
<本文>
薬剤受容体の変化については本ブログ「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム」で離脱症候群を例にあげました。
私を例に解説すると洗濯用合成洗剤使用後に気絶症状が出ていた時期にはまだ嗅覚の過敏性がありませんでした。
当時は嗅覚の鋭敏さが出ていませんでした。
(グルタチオン治療で鈍磨し普通に近いレベルになりましたが。)
それが出現したのが慌てて合成洗剤を試しに使用停止したあとあとからです。
その他の物質についても生活改善をしたので一気に来ましたが、当時すでに薬剤過敏他が出ていたので、とくに医原病ではありません。
漢方薬の薬効成分や服薬やうま味調味料でも気絶に近い過度の眠気と動悸が出ていました。
ただ無いのは「鋭い嗅覚とそれによる頭痛・脱力・発熱・意識混濁」だけです。
誤解が無いように付け加えますが、私の負荷は他に増改築・無謀な農薬散布による軽度の中毒・無知な添加物食・奨励されていた殺虫剤使用・誤診による抗ヒスタミン過剰投与ほかがあります。
これについては薬剤受容体の変化を疑う方が適切だと思われます。
実際に、グルタチオンを用いた解毒代謝補助を加えることや反応物質との接触を避ける事数年で症状が落ち着きます。
なお、私は学生当時の化学のテストが5点です。
化学物質が悪いと思いこむための化学知識がないので、洗濯用合成洗剤を素手で掃除に使用していましたが、これが洗濯合成洗剤で気絶症状が出た理由かもしれません。)
…では、患者は薬剤受容体の変化があるだけの患者なのか?
しかしニコが不思議でならなかった現象があります。
「線香のアレルギー」「煙草アレルギー」諸々です。(ユリにキクにスイセン…)
昨日テレビ東京「主治医が見つかる診療所」で感涙したのですが、あるんだそうですね;
頭痛が落涙が脱力が…ニコなど後記の煙草の健康障害に関する参考資料に照らすとほとんど急性中毒レベルになるのですが、こちらも本ブログ記事「カンジダ腸壁網粗にして難病」で紹介した筑波大学報告による腸内環境影響を加味して考えると、ミトコンドリア負荷による代謝障害状態が形成されると仮定する事がそう無茶な論理ではないと思えますがいかがでしょうか?
あくまでイチしゃべるモルモットの感想です。
論理の整合性はきちんと科学研究が可能な有能な研究者の方に託したいと思います。
ここでしゃべるモルモットの私がさらに煙草アレルギーと化学物質過敏症との関係について書きます。
何しろこの問題はややこしいです。
患者の中には喫煙も投薬治療もできる患者がいます。
ニコは喫煙は無理です。頭痛がします。
服薬には注意が必要です。薬剤過敏も確認された対象もあります。
こう書くと「喫煙のCS患者はニセ患者」と誤解する方が出てきます。
しかし以下の内容から、それと離脱症候群とは一旦分けて考えるべきではないかと思います。
私は煙草をたしなめない部類ですが、これはアレルギーのようです。
加えてお伝えすると、近所の有害ゴミ焼却で私は中毒症状が出ます。
一方、CSの煙草依存症の患者では代謝にビタミンを消耗しても、離脱症状が起こらないし、アレルギーでなければ頭痛が起こらないようです。
離脱症候群の条件を満たさない限りはそのようです。
これについては、後記参考資料の「依存と中毒 薬剤受容体の変化 資料」をお読みいただき可能性を考慮していただければと思います。
さて、以上お伝えしたことから、私が体験した「いわゆるMCS」(多種化学物質過敏症)と呼ばれる病態はそれらの症状をあまさず束ねたものであると現時点では解釈していただければ妥当ではないかと考えています。
MCSと現在表現されているものは病の総合商社ならぬ「症状の乗り合いバス」です。
点在するあちらこちらの不調ですが、よく調べると点と点を繋ぐ線がたぐれる事を徐々に各分野の研究報告が示し始めています。
その乗り合いバスは、MCS症状の要因となる物質を各バス停留所で乗せますが、行き先や経由地(どの病になりどの難病になるか?)はその乗客次第でもありそのバス会社(患者個々の個体差他条件)次第です。同じ乗客でもバス会社が違うと、違うターミナルや停留所に連れて行かれます。
しかもこのバスは独自企画のミステリーツアーなのです。
私は無学なので先生方に上手におつたしきれないかもしれませんが。
私ニコの場合は当初慢性疲労症候群が出ていましたが、化学物質への過敏性が顕著になりました。私の病態には有機溶剤負荷がたくさん乗っていたようですね。
しかし昨年夏、また慢性疲労症候群症状が露骨に確認できました。
他にもふたつほど難病路線を経由するのかしないのか、現在微妙です。
他の患者も似たり寄ったりです。
MCSと現在呼ばれている疾患の根底に介在する、負荷物質除去に消耗される体内栄養素が関与するミトコンドリアの代謝障害が基本的に理解できる方、つまり栄養代謝の医学知識がない方には一連の報告への理解が不可能ですが、無い知識は仕入れてほしいと思います。
本ブログ「進撃のミトコンドリア研究」中に書いたかもしれませんが…
あ、最良の記事を見つけたので別途記事としてUPします。
余談ですが、勉強し過ぎで→疲れ→冷え→風邪→ビタミン治療の日々です。
ホントに寒波のたびに風邪引くのは大変です。
<以下、参考資料>…これはニコが読んだ解りやすそうな一部を紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーー
耐性と依存 薬剤受容体の変化 資料
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
●ノバルティスファーマ株式会社
http://phnet.novartis.co.jp/ricetta/syakaihoken/15-01/
・中枢神経系の働きを抑制するもの
あへん類、バルビツール類、アルコール、ベンゾジアゼピン類、有機溶剤、大麻など
・中枢神経系を興奮させる薬物
コカイン、アンフェタミン類、LSD、ニコチンなどがあります。
●耐性と依存のメカニズム
http://kusuri-jouhou.com/chemistry/taiseizon.html
依存性と禁断症状
薬物の使用によって受容体数が増えた状態で、いきなり薬を止めてしまったら大変なことが起こる。受容体数の増加によって刺激を受け取りやすくなっているため、細胞が過剰に反応してしまうのである。これによって禁断症状が発生してしまう。
この禁断症状は受容体数が元通りの「適切な受容体の数」に戻るまで続いてしまう。そして、同時に「薬物を使用していた頃での通常の反応」に戻ろうとする誘惑に駆りたてられてしまう。これによって依存性が発生するのである。
●痛みと沈痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-dependence.html
[ベンゾジアゼピン系長期服用後にみられた離脱症状(退薬症状)] ←→離脱症状
非特異的症状:睡眠障害、不安、不快、筋肉痛、筋攣縮、振戦、頭痛、悪心:食欲不振・体重減少
知覚変化(量的):感覚過敏(音、光、臭い、触覚)、感覚鈍麻(味、臭い)
知覚変化(質的):動揺感、運動知覚障害
視覚(対象動揺、平面のうねり等)
味覚(金属製味覚、奇妙な味覚)
聴覚(反響そして共鳴減少)
嗅覚(奇妙な臭い)
その他:離人症(現実感消失)
主な不随現象:精神病、てんかん様発作
●薬物依存症 (Substance- related disorders)
九州大学健康科学センター 山本和彦
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~hoken/Shiori/02Drugs.html
禁断症状(離脱症状)
禁断症状はアルコール、覚醒剤、コカイン、ニコチン、オピオイド、抗不安・鎮静薬による依存症患者にでますが、カンナビスや幻覚剤(LSD)、有機溶媒による依存症患者ではあまりでません(DSM-IV 1994: 175-194)。
●喫煙の生体防御機構への薬理作用
http://www.srf.or.jp/histoly/papers/19.html
喫煙とビタミンC
一方、疫学調査より、喫煙者は非喫煙者にくらべて血液中アスコルビン酸濃度が低く、体内のアスコルビン酸代謝速度もかなり速いことがいわれている。倉田ら60)は、受動喫煙下のラットにおいて、アスコルビン酸の尿中排泄量、血漿中および臓器中濃度を調べ、アスコルビン酸の上昇を認めたことから、喫煙によるアスコルビン酸合成能の促進を示唆している。ヒトでは、肝臓における薬物代謝酵素の活性上昇のことも考えると、喫煙時には生体のアスコルビン酸要求量が増加していると推測されている。
●煙草の三大有害物質
http://www.e-kinen.jp/harm/poison.html
ニコチン依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用し、少量では興奮作用、大量では鎮静作用を示します。喫煙により、肺から速やかに吸収され全身に広がり、間接的には血管収縮作用ももたらします。また、代謝物は発ガン性が認められています。
ーーーーーーーーー
■煙草健康被害資料
※ニコメモ※
ーーーーーーーーーー
●煙草の害について
初心者の喫煙時、あるいは非常習喫煙者が短時間に過量の喫煙をした場合には、いわゆる急性たばこ中毒あるいは急性ニコチン中毒に陥ることがある。脱力感、発汗、呼吸困難、悪心、嘔吐のほか頭痛、不安感、顔面蒼白、視力減退、散瞳と縮瞳の交替などが認められる。
●たばこの害(日本医師会)
-それでもあなたはたばこを止めませんか-
http://www.yamaguchi.med.or.jp/Q&A/tabacco.htm
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
・心筋変性
・大動脈瘤
・動脈硬化(下肢の動脈の慢性閉塞症等)
・脳血栓
・その他の脳血管障害
●肩コリ頭痛に効くオススメ解消法!
http://katakorizutsuu.com/120tabakohayameyou.html
喫煙が及ぼす主な健康被害は次の通り。
アドレナリンを分泌させ、血管が収縮し血流を妨げ、血圧を上昇させる
赤血球の酸素運搬能力を低下させる
白血球の数が増加し血液の粘性が増す
活性酸素を大量につくり出し、発がんの原因となる
善玉コレステロールを減らす
ーーーーーーーー
アレルギー反応が観察される対象
東テレ 主治医が見つかる診療所HPより
ーーーーーーーーー
◆姫野医師
エアコンのフィルターを掃除しないと、カビが生えてくる。
そのカビが原因で過敏性の肺炎、アレルギー性の肺炎を起こす可能性がある。
◆丁医師
調理の時の煙や、焦げの匂いも、肺にいろんな影響を与える。
調理中は換気に気を付ける事。
また、シックハウス、新車、芳香剤のにおい、人によっては線香に過敏な方もいる。
自分自身で、どういう時にアレルギー反応が出るか知っておく事が大切。
◆アレルギー性肺炎
●発症の要因
アレルギーを起こす可能性のある物は、すべてこの病気の要因となる。
タバコ、ホコリ、カビ、ダニ、粉じん、花粉などが引き金となる事も。
ST医師解説
個人的にですが、分煙や住み分けなど、互いを尊重できる成熟した社会が必要だと考えています。
<本文>
薬剤受容体の変化については本ブログ「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム」で離脱症候群を例にあげました。
私を例に解説すると洗濯用合成洗剤使用後に気絶症状が出ていた時期にはまだ嗅覚の過敏性がありませんでした。
当時は嗅覚の鋭敏さが出ていませんでした。
(グルタチオン治療で鈍磨し普通に近いレベルになりましたが。)
それが出現したのが慌てて合成洗剤を試しに使用停止したあとあとからです。
その他の物質についても生活改善をしたので一気に来ましたが、当時すでに薬剤過敏他が出ていたので、とくに医原病ではありません。
漢方薬の薬効成分や服薬やうま味調味料でも気絶に近い過度の眠気と動悸が出ていました。
ただ無いのは「鋭い嗅覚とそれによる頭痛・脱力・発熱・意識混濁」だけです。
誤解が無いように付け加えますが、私の負荷は他に増改築・無謀な農薬散布による軽度の中毒・無知な添加物食・奨励されていた殺虫剤使用・誤診による抗ヒスタミン過剰投与ほかがあります。
これについては薬剤受容体の変化を疑う方が適切だと思われます。
実際に、グルタチオンを用いた解毒代謝補助を加えることや反応物質との接触を避ける事数年で症状が落ち着きます。
なお、私は学生当時の化学のテストが5点です。
化学物質が悪いと思いこむための化学知識がないので、洗濯用合成洗剤を素手で掃除に使用していましたが、これが洗濯合成洗剤で気絶症状が出た理由かもしれません。)
…では、患者は薬剤受容体の変化があるだけの患者なのか?
しかしニコが不思議でならなかった現象があります。
「線香のアレルギー」「煙草アレルギー」諸々です。(ユリにキクにスイセン…)
昨日テレビ東京「主治医が見つかる診療所」で感涙したのですが、あるんだそうですね;
頭痛が落涙が脱力が…ニコなど後記の煙草の健康障害に関する参考資料に照らすとほとんど急性中毒レベルになるのですが、こちらも本ブログ記事「カンジダ腸壁網粗にして難病」で紹介した筑波大学報告による腸内環境影響を加味して考えると、ミトコンドリア負荷による代謝障害状態が形成されると仮定する事がそう無茶な論理ではないと思えますがいかがでしょうか?
あくまでイチしゃべるモルモットの感想です。
論理の整合性はきちんと科学研究が可能な有能な研究者の方に託したいと思います。
ここでしゃべるモルモットの私がさらに煙草アレルギーと化学物質過敏症との関係について書きます。
何しろこの問題はややこしいです。
患者の中には喫煙も投薬治療もできる患者がいます。
ニコは喫煙は無理です。頭痛がします。
服薬には注意が必要です。薬剤過敏も確認された対象もあります。
こう書くと「喫煙のCS患者はニセ患者」と誤解する方が出てきます。
しかし以下の内容から、それと離脱症候群とは一旦分けて考えるべきではないかと思います。
私は煙草をたしなめない部類ですが、これはアレルギーのようです。
加えてお伝えすると、近所の有害ゴミ焼却で私は中毒症状が出ます。
一方、CSの煙草依存症の患者では代謝にビタミンを消耗しても、離脱症状が起こらないし、アレルギーでなければ頭痛が起こらないようです。
離脱症候群の条件を満たさない限りはそのようです。
これについては、後記参考資料の「依存と中毒 薬剤受容体の変化 資料」をお読みいただき可能性を考慮していただければと思います。
さて、以上お伝えしたことから、私が体験した「いわゆるMCS」(多種化学物質過敏症)と呼ばれる病態はそれらの症状をあまさず束ねたものであると現時点では解釈していただければ妥当ではないかと考えています。
MCSと現在表現されているものは病の総合商社ならぬ「症状の乗り合いバス」です。
点在するあちらこちらの不調ですが、よく調べると点と点を繋ぐ線がたぐれる事を徐々に各分野の研究報告が示し始めています。
その乗り合いバスは、MCS症状の要因となる物質を各バス停留所で乗せますが、行き先や経由地(どの病になりどの難病になるか?)はその乗客次第でもありそのバス会社(患者個々の個体差他条件)次第です。同じ乗客でもバス会社が違うと、違うターミナルや停留所に連れて行かれます。
しかもこのバスは独自企画のミステリーツアーなのです。
私は無学なので先生方に上手におつたしきれないかもしれませんが。
私ニコの場合は当初慢性疲労症候群が出ていましたが、化学物質への過敏性が顕著になりました。私の病態には有機溶剤負荷がたくさん乗っていたようですね。
しかし昨年夏、また慢性疲労症候群症状が露骨に確認できました。
他にもふたつほど難病路線を経由するのかしないのか、現在微妙です。
他の患者も似たり寄ったりです。
MCSと現在呼ばれている疾患の根底に介在する、負荷物質除去に消耗される体内栄養素が関与するミトコンドリアの代謝障害が基本的に理解できる方、つまり栄養代謝の医学知識がない方には一連の報告への理解が不可能ですが、無い知識は仕入れてほしいと思います。
本ブログ「進撃のミトコンドリア研究」中に書いたかもしれませんが…
あ、最良の記事を見つけたので別途記事としてUPします。
余談ですが、勉強し過ぎで→疲れ→冷え→風邪→ビタミン治療の日々です。
ホントに寒波のたびに風邪引くのは大変です。
<以下、参考資料>…これはニコが読んだ解りやすそうな一部を紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーー
耐性と依存 薬剤受容体の変化 資料
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
●ノバルティスファーマ株式会社
http://phnet.novartis.co.jp/ricetta/syakaihoken/15-01/
・中枢神経系の働きを抑制するもの
あへん類、バルビツール類、アルコール、ベンゾジアゼピン類、有機溶剤、大麻など
・中枢神経系を興奮させる薬物
コカイン、アンフェタミン類、LSD、ニコチンなどがあります。
●耐性と依存のメカニズム
http://kusuri-jouhou.com/chemistry/taiseizon.html
依存性と禁断症状
薬物の使用によって受容体数が増えた状態で、いきなり薬を止めてしまったら大変なことが起こる。受容体数の増加によって刺激を受け取りやすくなっているため、細胞が過剰に反応してしまうのである。これによって禁断症状が発生してしまう。
この禁断症状は受容体数が元通りの「適切な受容体の数」に戻るまで続いてしまう。そして、同時に「薬物を使用していた頃での通常の反応」に戻ろうとする誘惑に駆りたてられてしまう。これによって依存性が発生するのである。
●痛みと沈痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-dependence.html
[ベンゾジアゼピン系長期服用後にみられた離脱症状(退薬症状)] ←→離脱症状
非特異的症状:睡眠障害、不安、不快、筋肉痛、筋攣縮、振戦、頭痛、悪心:食欲不振・体重減少
知覚変化(量的):感覚過敏(音、光、臭い、触覚)、感覚鈍麻(味、臭い)
知覚変化(質的):動揺感、運動知覚障害
視覚(対象動揺、平面のうねり等)
味覚(金属製味覚、奇妙な味覚)
聴覚(反響そして共鳴減少)
嗅覚(奇妙な臭い)
その他:離人症(現実感消失)
主な不随現象:精神病、てんかん様発作
●薬物依存症 (Substance- related disorders)
九州大学健康科学センター 山本和彦
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~hoken/Shiori/02Drugs.html
禁断症状(離脱症状)
禁断症状はアルコール、覚醒剤、コカイン、ニコチン、オピオイド、抗不安・鎮静薬による依存症患者にでますが、カンナビスや幻覚剤(LSD)、有機溶媒による依存症患者ではあまりでません(DSM-IV 1994: 175-194)。
●喫煙の生体防御機構への薬理作用
http://www.srf.or.jp/histoly/papers/19.html
喫煙とビタミンC
一方、疫学調査より、喫煙者は非喫煙者にくらべて血液中アスコルビン酸濃度が低く、体内のアスコルビン酸代謝速度もかなり速いことがいわれている。倉田ら60)は、受動喫煙下のラットにおいて、アスコルビン酸の尿中排泄量、血漿中および臓器中濃度を調べ、アスコルビン酸の上昇を認めたことから、喫煙によるアスコルビン酸合成能の促進を示唆している。ヒトでは、肝臓における薬物代謝酵素の活性上昇のことも考えると、喫煙時には生体のアスコルビン酸要求量が増加していると推測されている。
●煙草の三大有害物質
http://www.e-kinen.jp/harm/poison.html
ニコチン依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用し、少量では興奮作用、大量では鎮静作用を示します。喫煙により、肺から速やかに吸収され全身に広がり、間接的には血管収縮作用ももたらします。また、代謝物は発ガン性が認められています。
ーーーーーーーーー
■煙草健康被害資料
※ニコメモ※
ーーーーーーーーーー
●煙草の害について
初心者の喫煙時、あるいは非常習喫煙者が短時間に過量の喫煙をした場合には、いわゆる急性たばこ中毒あるいは急性ニコチン中毒に陥ることがある。脱力感、発汗、呼吸困難、悪心、嘔吐のほか頭痛、不安感、顔面蒼白、視力減退、散瞳と縮瞳の交替などが認められる。
●たばこの害(日本医師会)
-それでもあなたはたばこを止めませんか-
http://www.yamaguchi.med.or.jp/Q&A/tabacco.htm
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
・心筋変性
・大動脈瘤
・動脈硬化(下肢の動脈の慢性閉塞症等)
・脳血栓
・その他の脳血管障害
●肩コリ頭痛に効くオススメ解消法!
http://katakorizutsuu.com/120tabakohayameyou.html
喫煙が及ぼす主な健康被害は次の通り。
アドレナリンを分泌させ、血管が収縮し血流を妨げ、血圧を上昇させる
赤血球の酸素運搬能力を低下させる
白血球の数が増加し血液の粘性が増す
活性酸素を大量につくり出し、発がんの原因となる
善玉コレステロールを減らす
ーーーーーーーー
アレルギー反応が観察される対象
東テレ 主治医が見つかる診療所HPより
ーーーーーーーーー
◆姫野医師
エアコンのフィルターを掃除しないと、カビが生えてくる。
そのカビが原因で過敏性の肺炎、アレルギー性の肺炎を起こす可能性がある。
◆丁医師
調理の時の煙や、焦げの匂いも、肺にいろんな影響を与える。
調理中は換気に気を付ける事。
また、シックハウス、新車、芳香剤のにおい、人によっては線香に過敏な方もいる。
自分自身で、どういう時にアレルギー反応が出るか知っておく事が大切。
◆アレルギー性肺炎
●発症の要因
アレルギーを起こす可能性のある物は、すべてこの病気の要因となる。
タバコ、ホコリ、カビ、ダニ、粉じん、花粉などが引き金となる事も。
ST医師解説
2014年02月10日
IgGその他アレルギーによる慢性炎症に注目
※編集中(というかまだ学習途中。ひっかかることがあります。)
【 ニコのまとめ(言いたい事)】
IgGアレルギーも化学物質過敏症(以下CS)の発症の下地を作ります。
食物アレルギーがCS発症後悪化する患者では治療の要になるとも思います。
化学物質過敏症の発症原因は単独ではありません。
前回記事中で(まだメモですが)慢性疲労症候群の発症原因が多岐に分類されたものを紹介しました。それと同じです。
IgGアレルギーが疲労原因のひとつとしてそうであるように、その疲労を作り出すメカニズムはCS発症の下地を身体に作りだす事が可能だと思われます。
化学物質過敏の特長的症状である嗅覚過敏だけに囚われ、それが「幻覚」だと早とちりしている方をよく見かけますが、CSは他の多くの疾患同様に患者の中に精神疾患症状を呈する患者が混じっていたとしても、その病態自体が幻覚による病とすることの早計さがこのIgGアレルギーという要素ひとつ取り上げても理解できると思います。
この病を理解するカギは、その乗り合いタクシー」的な病要素の構成に目を向けることだと思います。
言いかえると「トータルストレッサー」がそのタクシーの乗客リストであり、目的地や経由地はその構成要素次第になります。
私も老齢の親のサポートをしつつされつつの身なので、疲れては風邪を引きの生活で詳しく調査できがたいのですが、手掛かりさえあれば理解できる研究者の方向けに書きたいと思います。
CS発症において、これはあくまで中枢感作症候群と呼ばれる脳の状態を常に作りやすくする可能性のひとつというだけです。
脳の機能低下を招く負荷物質をもたらす腸管壁侵漏症候群に関与し、脳内栄養素を消費・消耗する原因となりうるのでしょう。
ただ可能性として、CS悪化と食物アレルギーの悪化の双方で身体に耐えがたい痛みが起こる事も十分考えられます。
繊維筋痛症の原因のうちのひとつかもしれません。
プロスタグランジンの働きを読んでいると、この方面からのCSの接近で思い起こされることは…故・山内政治さん(「週刊現代」2月13日号『栄冠は君に輝かなかったけど・・・ ある高校野球監督の死)の奥さまがそうではなかったのかということです。
(なお、故・山内政治さんが生前あたかも心因の病を強調され奥さまの死後もひとり無理解に苦しまれていることがネット上に記録されています。
科学は今日より明日へご夫妻の苦しみを解くため動いています。
ここに心からご冥福をお祈りします。)
【 情報研究 過程 】
以下、後日編集
筑波大学の渋谷 彰 教授方が解明された腸と炎症のメカニズムについては、過去記事「カンジダ腸壁網粗にして難病…」でメモしましたが、天の網は粗くても悪を漏らしませんが、腸の壁があらいと悪い物質がもれます。
プロスタグランジンE2血液を介してマクロファージ⇒サイトカインの構図らしいです。
分子栄養学の知識では常識なんですが、ここでおさらいしましょう。
詳しくは下記
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●Leaky Gut Syndrome(LGS) 腸管壁浸漏症候群
http://nutweb.sakura.ne.jp/iframe/03_ippan/03lgs/lgs.html
医学的な言葉で定義すると、腸粘膜からの高分子化学化合物質、食物アレルゲン、また、萎縮性粘膜に関連する毒素のの物質透過性が増加する症状となります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、化学物質過敏症患者ではこの症状を持ってる人が多いです。
繊維筋痛症患者でも慢性疲労症候群患者でも同様です。
ニコなどパン酵母食べて気絶していました。(カンジダとパン酵母は構造が似ているのでお腹で悪玉菌優勢だとパン酵母が発酵してアルコールと炭酸を作ります。ニコは有機溶剤中毒経験してるので気絶症状が出たようです。ちなみにアルコール不耐性でアルコールはドクターストップです。現在乳酸菌治療で改善。)
これに関連する知識が「IgG抗体」の反応です。
化学物質過敏症患者の嗅覚過敏には心因による反応の激化も確かにありますが、それ以前にこの知識をおさえておかないと適切な治療が行えません。
世に化学物質過敏症をテーマにした記事は多いですが、これに言及しない記事の扱いは今後通常の医学常識の外に置かれることになるでしょう。
<参考資料>
IgG検査 アレルギーチェック
http://www.tsurumiclinic.com/flow/igg.html
特定の食物が免疫反応を引き起こし、、健康な身体にさえも負担をかけることがあります。さらに、時間の経過とともに衰弱性疾患に移行する可能性もあるのです。アレルギーチェックで、今の自分の身体がどんな状態にあるのか調べることができます。
IgG検査
所要時間 : 約15分
項目
価格
内容
アジアンフード
34,860円
食物から起こるアレルギー対象
たけのこ、苦瓜、昆布など、アジアならではの食材や、バニラ、烏龍茶、黒コショウなど、日本でもおなじみの食材・お茶・スパイス類を加えた96種類
ミニ吸入抗原
18,417円
呼吸から起こるアレルギー対象
呼吸からも様々なものが体内に取り込まれることがあります。草の花粉、ペットの上皮、ダニ、ハウスダストなど、16種類の吸入抗原
アジアンフード・
ミニ吸入抗原セット
47,460円
上記2つのアレルギー対象
食品も、吸入抗原も両方チェックできるお得なセットです。
検査結果は、約3週間でお渡しいたします(郵送)。
アレルギーって?(IgeとIgGの違い)
食物によるアレルギーは特に様々です。いくつかの反応は摂取後数時間以内に起こります。
IgE アレルギー反応
喘息、目と鼻のかゆみ、湿疹、脹れ、胃腸障害等がその一般的な症状であり、このタイプのアレルギーは、即発型、「IgE免疫介在型アレルギー反応」と呼ばれます。
この反応は通常激しく突然に起きるため、原因となる食物とその症状との関係は明確です。
※主な症状 アレルギー性喘息/花粉症/アトピー など
IgG アレルギー反応
一方で、免疫複合体が介在して引き起こされる、免疫活性化と炎症のための代替メカニズムとなるのが「IgG アレルギー反応」です。
IgG免疫機能による遅発性の反応は、発祥に数時間から数日間もかかり、かつ、長期間続いて遅発性の症状がでるため、原因を認識するのが容易ではありません。
このため、その存在にまったく気づかず、それが健康を蝕んでいることにも気づかない可能性があります。症状の多くは軽度で慢性的であり、全身疲労、イライラ、頭痛、痩せにくさ、制御不能な食欲、食物中毒、注意散漫、あるいは逃れたい嫌な気分等が挙げられます。
原因食物に何度も接触することにより、IgG抗体値は上昇を続け、免疫複合体が構成されます。これらの複合体が長期間にわたって、免疫に負担をかけ続けた結果、健康に影響を及ぼします。
アレルギーになる要因
偏った食生活
ストレス
トラウマ
感染
化学物質
麻薬
環境有害物質
遺伝性要因 など
食物および吸入抗原アレルギーと関連し得る病気
1.発熱
2.赤み
3.腫れ
4.痛み
5.機能の損失および障害
炎症は、身体のどの組織、臓器にでも起こるかのうせいがあります。血液が流れるところならどこにでも、炎症は発生し、知覚可能な症状が現れる可能性があります。症状の程度および発症個所によっては人によって異なります。
食物および吸入抗原アレルギーと関連し得る病気
皮膚
アトピー性皮膚炎/疱疹状皮膚炎/じんましん/血管性浮腫/接触性皮膚炎
消化器系
口腔アレルギー症候群/小児脂肪便症/過敏性腸症候群/腸疾患/結腸炎/好酸急性胃腸炎/消化病
呼吸器系
鼻炎/季節的なアレルギー性鼻炎/喘息/ハイナー症候群
尿路
遺尿
認知・心理
注意欠陥/活発性過度/偏頭痛/自閉症/統合失調症/慢性疲労症候群/てんかん
頭・首
メニエール症候群/慢性化膿性中耳炎/アフタ性口内炎
筋肉・関節
線維筋痛/リウマチ関節痛
【 ニコのまとめ(言いたい事)】
IgGアレルギーも化学物質過敏症(以下CS)の発症の下地を作ります。
食物アレルギーがCS発症後悪化する患者では治療の要になるとも思います。
化学物質過敏症の発症原因は単独ではありません。
前回記事中で(まだメモですが)慢性疲労症候群の発症原因が多岐に分類されたものを紹介しました。それと同じです。
IgGアレルギーが疲労原因のひとつとしてそうであるように、その疲労を作り出すメカニズムはCS発症の下地を身体に作りだす事が可能だと思われます。
化学物質過敏の特長的症状である嗅覚過敏だけに囚われ、それが「幻覚」だと早とちりしている方をよく見かけますが、CSは他の多くの疾患同様に患者の中に精神疾患症状を呈する患者が混じっていたとしても、その病態自体が幻覚による病とすることの早計さがこのIgGアレルギーという要素ひとつ取り上げても理解できると思います。
この病を理解するカギは、その乗り合いタクシー」的な病要素の構成に目を向けることだと思います。
言いかえると「トータルストレッサー」がそのタクシーの乗客リストであり、目的地や経由地はその構成要素次第になります。
私も老齢の親のサポートをしつつされつつの身なので、疲れては風邪を引きの生活で詳しく調査できがたいのですが、手掛かりさえあれば理解できる研究者の方向けに書きたいと思います。
CS発症において、これはあくまで中枢感作症候群と呼ばれる脳の状態を常に作りやすくする可能性のひとつというだけです。
脳の機能低下を招く負荷物質をもたらす腸管壁侵漏症候群に関与し、脳内栄養素を消費・消耗する原因となりうるのでしょう。
ただ可能性として、CS悪化と食物アレルギーの悪化の双方で身体に耐えがたい痛みが起こる事も十分考えられます。
繊維筋痛症の原因のうちのひとつかもしれません。
プロスタグランジンの働きを読んでいると、この方面からのCSの接近で思い起こされることは…故・山内政治さん(「週刊現代」2月13日号『栄冠は君に輝かなかったけど・・・ ある高校野球監督の死)の奥さまがそうではなかったのかということです。
(なお、故・山内政治さんが生前あたかも心因の病を強調され奥さまの死後もひとり無理解に苦しまれていることがネット上に記録されています。
科学は今日より明日へご夫妻の苦しみを解くため動いています。
ここに心からご冥福をお祈りします。)
【 情報研究 過程 】
以下、後日編集
筑波大学の渋谷 彰 教授方が解明された腸と炎症のメカニズムについては、過去記事「カンジダ腸壁網粗にして難病…」でメモしましたが、天の網は粗くても悪を漏らしませんが、腸の壁があらいと悪い物質がもれます。
プロスタグランジンE2血液を介してマクロファージ⇒サイトカインの構図らしいです。
分子栄養学の知識では常識なんですが、ここでおさらいしましょう。
詳しくは下記
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●Leaky Gut Syndrome(LGS) 腸管壁浸漏症候群
http://nutweb.sakura.ne.jp/iframe/03_ippan/03lgs/lgs.html
医学的な言葉で定義すると、腸粘膜からの高分子化学化合物質、食物アレルゲン、また、萎縮性粘膜に関連する毒素のの物質透過性が増加する症状となります。
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さて、化学物質過敏症患者ではこの症状を持ってる人が多いです。
繊維筋痛症患者でも慢性疲労症候群患者でも同様です。
ニコなどパン酵母食べて気絶していました。(カンジダとパン酵母は構造が似ているのでお腹で悪玉菌優勢だとパン酵母が発酵してアルコールと炭酸を作ります。ニコは有機溶剤中毒経験してるので気絶症状が出たようです。ちなみにアルコール不耐性でアルコールはドクターストップです。現在乳酸菌治療で改善。)
これに関連する知識が「IgG抗体」の反応です。
化学物質過敏症患者の嗅覚過敏には心因による反応の激化も確かにありますが、それ以前にこの知識をおさえておかないと適切な治療が行えません。
世に化学物質過敏症をテーマにした記事は多いですが、これに言及しない記事の扱いは今後通常の医学常識の外に置かれることになるでしょう。
<参考資料>
IgG検査 アレルギーチェック
http://www.tsurumiclinic.com/flow/igg.html
特定の食物が免疫反応を引き起こし、、健康な身体にさえも負担をかけることがあります。さらに、時間の経過とともに衰弱性疾患に移行する可能性もあるのです。アレルギーチェックで、今の自分の身体がどんな状態にあるのか調べることができます。
IgG検査
所要時間 : 約15分
項目
価格
内容
アジアンフード
34,860円
食物から起こるアレルギー対象
たけのこ、苦瓜、昆布など、アジアならではの食材や、バニラ、烏龍茶、黒コショウなど、日本でもおなじみの食材・お茶・スパイス類を加えた96種類
ミニ吸入抗原
18,417円
呼吸から起こるアレルギー対象
呼吸からも様々なものが体内に取り込まれることがあります。草の花粉、ペットの上皮、ダニ、ハウスダストなど、16種類の吸入抗原
アジアンフード・
ミニ吸入抗原セット
47,460円
上記2つのアレルギー対象
食品も、吸入抗原も両方チェックできるお得なセットです。
検査結果は、約3週間でお渡しいたします(郵送)。
アレルギーって?(IgeとIgGの違い)
食物によるアレルギーは特に様々です。いくつかの反応は摂取後数時間以内に起こります。
IgE アレルギー反応
喘息、目と鼻のかゆみ、湿疹、脹れ、胃腸障害等がその一般的な症状であり、このタイプのアレルギーは、即発型、「IgE免疫介在型アレルギー反応」と呼ばれます。
この反応は通常激しく突然に起きるため、原因となる食物とその症状との関係は明確です。
※主な症状 アレルギー性喘息/花粉症/アトピー など
IgG アレルギー反応
一方で、免疫複合体が介在して引き起こされる、免疫活性化と炎症のための代替メカニズムとなるのが「IgG アレルギー反応」です。
IgG免疫機能による遅発性の反応は、発祥に数時間から数日間もかかり、かつ、長期間続いて遅発性の症状がでるため、原因を認識するのが容易ではありません。
このため、その存在にまったく気づかず、それが健康を蝕んでいることにも気づかない可能性があります。症状の多くは軽度で慢性的であり、全身疲労、イライラ、頭痛、痩せにくさ、制御不能な食欲、食物中毒、注意散漫、あるいは逃れたい嫌な気分等が挙げられます。
原因食物に何度も接触することにより、IgG抗体値は上昇を続け、免疫複合体が構成されます。これらの複合体が長期間にわたって、免疫に負担をかけ続けた結果、健康に影響を及ぼします。
アレルギーになる要因
偏った食生活
ストレス
トラウマ
感染
化学物質
麻薬
環境有害物質
遺伝性要因 など
食物および吸入抗原アレルギーと関連し得る病気
1.発熱
2.赤み
3.腫れ
4.痛み
5.機能の損失および障害
炎症は、身体のどの組織、臓器にでも起こるかのうせいがあります。血液が流れるところならどこにでも、炎症は発生し、知覚可能な症状が現れる可能性があります。症状の程度および発症個所によっては人によって異なります。
食物および吸入抗原アレルギーと関連し得る病気
皮膚
アトピー性皮膚炎/疱疹状皮膚炎/じんましん/血管性浮腫/接触性皮膚炎
消化器系
口腔アレルギー症候群/小児脂肪便症/過敏性腸症候群/腸疾患/結腸炎/好酸急性胃腸炎/消化病
呼吸器系
鼻炎/季節的なアレルギー性鼻炎/喘息/ハイナー症候群
尿路
遺尿
認知・心理
注意欠陥/活発性過度/偏頭痛/自閉症/統合失調症/慢性疲労症候群/てんかん
頭・首
メニエール症候群/慢性化膿性中耳炎/アフタ性口内炎
筋肉・関節
線維筋痛/リウマチ関節痛
2014年02月01日
慢性疲労患者が見たミトコンドリア情報とその比較
※とりあえずメモがわりの更新です。
ミトコンドリア研究カテゴリー情報からの慢性疲労症状と化学物質への過敏性にミトコンドリアが関係している情報は既に紹介済みですね?
今日は「慢性疲労症候群」という病方向から見たミトコンドリアとの関係を、私の実際の症状も交え化学物質過敏症との比較として紹介します。
ニコと真逆で高学歴の知識ゆえにそれが邪魔をして壁がある大人の完成された頭脳には、こちらからの接近がたやすいと思います。
有能な先生がきちんと読み解いてくださることを願って「しゃべるモルモット」のニコが情報提供します。
先にまとめを書きます。
解毒代謝に関わるミトコンドリアの不調のメカニズムが慢性疲労症候群と化学物質過敏症で共通していることは明らかである。
それらを起因とする栄養障害や活性酸素ダメージがともに慢性疲労症候群と化学物質過敏症患者の症状の多様性を醸している。
脳科学から見た場合、脳内栄養素の欠乏やホルモン分泌のトラブルが原因となり欝や全身炎症が起こることは今や定説になってますが、これらに照らし、このふたつの病においても、中枢感作を起す原因が種々の負荷による脳細胞の不活性が考えられ、それによる中枢感作原因が複数確認できることから、このふたつの病において「同じ病名の患者でも、病態を形成する要因がいくとおりあるという可能性への理解として用いる栄養学知識の紹介。
<編集中断>
<参考資料メモ>
ーーーーーーーーーー
ニコ
まず確かめよう!栄養素とミトコンドリアの関係
私もビタミンB強化の治療をしています。
やらないと筋力低下で身体障害が増えます。
そして化学物質過敏症発症以前に慢性的疲労持ちでした。
ーーーーーーーーーーー
●新宿溝口クリニック様
http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=387
2007.02.11 Sunday
author : 新宿溝口クリニック院長 溝口徹
慢性疲労とミトコンドリアの機能について
慢性疲労症候群についてこのブログで取り上げ始めたときに、ビタミンB群の機能について触れました。
ビタミンB群は、エネルギーの基質となる糖質、脂質、タンパク質からATPといわれる私達の活動のためのエネルギーを産生するために必要不可欠な栄養素です。
このビタミンB群が多く消費されATPを産生する場所がミトコンドリアという細胞にある器官です。多くのエネルギー(ATP)を産生しなくてはならない組織、たとえば肝臓とか筋肉とかの細胞は、ミトコンドリアが多く含まれています。
これらの肝臓や筋肉などの組織は、他の組織に比較して赤いのは、ミトコンドリアが多く細胞に含まれるためです。
そしてこのミトコンドリアに多く含まれる酵素にチトクローム酵素があります。このチトクローム酵素は、鉄を含む酵素の代表的なものです。
くどくなりましたが、要するにATPを大量に産生しなくてはならない組織が赤いのは、鉄を含むチトクローム酵素を大量に含むからなのです。
もうお分かりのことと思いますが、疲労に打ち勝ち活動的であるために必要なエネルギーの産生場所であるミトコンドリアは、代謝のいたるところでビタミンB群を消費し、鉄を含む酵素の活性によって機能するということなのです。
新宿や八重洲のクリニックに、すでに慢性疲労症候群といわれたことがある患者さまや、いろいろな情報によって慢性疲労症候群と自ら疑い受診される患者さまの多くが、女性であることが、鉄欠乏と強い疲労(慢性疲労)に深い関係があることを示唆するものと思います。
ブログでもたびたび取り上げた精神疾患の診断マニュアルであるDSM-Ⅳでも、普通の精神科医が読まない後半部分には鉄欠乏製貧血と精神症状について記載があります。
しかし、現状ではヘモグロビンや赤血球数などで貧血(鉄欠乏)を診断することになっているので、実際の鉄欠乏を見落としてしまうのです
●慢性疲労と闘うライフハック様ブログより
・【保存版】慢性疲労症候群(CFS)のタイプ分け―20種類以上の原因
http://susumu-akashi.com/2013/10/20%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0/#p
●VEC
http://www.vec.or.jp/2011/08/26/column_063
第63回「内部被曝① 放射線のミトコンドリア攻撃が原因か 慢性疲労症候群」
2011年08月26日
原発事故から数年後のチェルノブイリ近郊のある町での話だ。
「朝起きても気分が勝れず、1日中体がだるく重い。仕事中でも強い眠気が襲ってくる」
「このところキミは休みが多くなっていたね」
「肩や首が凝っていて、腰も痛い。すっかり根気がなくなった。眼精疲労もあり、仕事で小さなミスが多くなって会社を辞めざるを得なくなった」
「最近、目や口の周りがピクピクしているぜ」
「そればかりか、最近は動悸やめまいもある」
「医者に診てもらった方がいいんじゃないか?」
「むろん受診したのだが、別段異常は見当たらないと云うんだ」
「最近キミは怒りっぽくなったねぇ」
「ちょっとした音や匂いも気になってねぇ。冷静な判断力も落ちたのか、つい感情的になっちゃう。」
この2人との会話をお聞きになって、自分でも思い当たる節があると思われる方がいるのではないだろうか。多くの点で合槌が打てるようだったら、「慢性疲労症候群」(CFS)というれっきとした病気の予備軍だ。
「慢性疲労」と「慢性疲労症候群(CFS)」とは根本的に異なる。前者は強度の疲れにすぎないが、後者は病気である点だ。
慢性疲労は日頃の疲れが積み重なったもので、休養すれば回復する。ところが慢性疲労症候群はちょっとした休息程度では治らない。このような人は単なるわがまま、うつ病、などと誤診されていたが、最近になってCFSとしての診断が確立された。
実は、広島・長崎の原爆事件、あるいはチェルノブイリ原発事故のあと、強烈・異常な疲れを訴える人が急増した。4、5分立っているだけでも横になりたくなるほどの疲労感があり、仕事も十分できず社会生活を阻害する。怠け者と誤解され巷間では“原爆ブラブラ病”と呼んだ。仕事ができず1日中ブラブラしているようにみえるからだ。これらの症状をもつ人々は、原爆後の内部被曝の影響を調査研究している過程で気付かれ、かなり多くの人々が正常な社会生活を送れていないことが判明した。
参考までに、厚労省の慢性疲労症候群に対する現在の診断基準によると、1か月に少なくとも数日間、会社や学校を休まざるを得ないように疲れが数ヶ月間続き、医師の診察で特に病気の見つからない人で、次の11項目中8項目以上の症状が該当する人。
①微熱または悪寒、②のどの痛み、③首かわきの下のリンパ節の腫れ、④脱力感、⑤筋肉の痛み、⑥軽く動いただけで24時間以上続く全身倦怠感、⑦頭痛、⑧関節の痛み、⑨物忘れ、思考や集中力の低下、まぶしい、⑩不眠または過眠、⑪これらの症状の急激な発現。
要するに、長期の激しい疲労困憊と全身倦怠感、それに思考力の低下という精神神経症状も加わり、社会生活に支障をきたしている状況である。脱力そのものだが、実は最近になって、まさに体、それぞれの細胞に活力を与えるエネルギー生成装置の異常が疑われるようになった。
それは、細胞の細胞質内に存在するミトコンドリア。
本欄第55回で「シドロキシラジカル」を紹介したが、実はこの話は、細胞の周囲に陣取る放射線物質による内部被曝を念頭に置いたものだ。
細胞という袋は、細胞核とそれをとりまく細胞質で成り立っている。エネルギーは生産装置であるミトコンドリアや、製造したタンパク質などの品質管理を行う小胞体などといった微小の器官は、細胞質という海の中に浮いている。
一方体内に取り込まれた放射性物質は、ここではガンマ線ばかりでなく、アルファ線やベータ線が強力な影響力を発揮する。ただそれらの飛距離は短く、細胞中ではアルファ線はわずか40ミクロン(ミクロン=1000分の1ミリ)、ベータ線でも1cmだ。
しかし、1か所に長く留まるために、継続的な局所集中被曝が発生する。
細胞核では攻撃により遺伝子の損傷という問題が発生するが、細胞質内では、第55回で述べたヒドロキシラジカルなどによって、ミトコンドリアなどが損傷を受ける。
エネルギー生成装置がやられれば、力が出なくなるのは当然の帰結だ。
(多摩大学名誉教授 那野比古)
ミトコンドリア研究カテゴリー情報からの慢性疲労症状と化学物質への過敏性にミトコンドリアが関係している情報は既に紹介済みですね?
今日は「慢性疲労症候群」という病方向から見たミトコンドリアとの関係を、私の実際の症状も交え化学物質過敏症との比較として紹介します。
ニコと真逆で高学歴の知識ゆえにそれが邪魔をして壁がある大人の完成された頭脳には、こちらからの接近がたやすいと思います。
有能な先生がきちんと読み解いてくださることを願って「しゃべるモルモット」のニコが情報提供します。
先にまとめを書きます。
解毒代謝に関わるミトコンドリアの不調のメカニズムが慢性疲労症候群と化学物質過敏症で共通していることは明らかである。
それらを起因とする栄養障害や活性酸素ダメージがともに慢性疲労症候群と化学物質過敏症患者の症状の多様性を醸している。
脳科学から見た場合、脳内栄養素の欠乏やホルモン分泌のトラブルが原因となり欝や全身炎症が起こることは今や定説になってますが、これらに照らし、このふたつの病においても、中枢感作を起す原因が種々の負荷による脳細胞の不活性が考えられ、それによる中枢感作原因が複数確認できることから、このふたつの病において「同じ病名の患者でも、病態を形成する要因がいくとおりあるという可能性への理解として用いる栄養学知識の紹介。
<編集中断>
<参考資料メモ>
ーーーーーーーーーー
ニコ
まず確かめよう!栄養素とミトコンドリアの関係
私もビタミンB強化の治療をしています。
やらないと筋力低下で身体障害が増えます。
そして化学物質過敏症発症以前に慢性的疲労持ちでした。
ーーーーーーーーーーー
●新宿溝口クリニック様
http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=387
2007.02.11 Sunday
author : 新宿溝口クリニック院長 溝口徹
慢性疲労とミトコンドリアの機能について
慢性疲労症候群についてこのブログで取り上げ始めたときに、ビタミンB群の機能について触れました。
ビタミンB群は、エネルギーの基質となる糖質、脂質、タンパク質からATPといわれる私達の活動のためのエネルギーを産生するために必要不可欠な栄養素です。
このビタミンB群が多く消費されATPを産生する場所がミトコンドリアという細胞にある器官です。多くのエネルギー(ATP)を産生しなくてはならない組織、たとえば肝臓とか筋肉とかの細胞は、ミトコンドリアが多く含まれています。
これらの肝臓や筋肉などの組織は、他の組織に比較して赤いのは、ミトコンドリアが多く細胞に含まれるためです。
そしてこのミトコンドリアに多く含まれる酵素にチトクローム酵素があります。このチトクローム酵素は、鉄を含む酵素の代表的なものです。
くどくなりましたが、要するにATPを大量に産生しなくてはならない組織が赤いのは、鉄を含むチトクローム酵素を大量に含むからなのです。
もうお分かりのことと思いますが、疲労に打ち勝ち活動的であるために必要なエネルギーの産生場所であるミトコンドリアは、代謝のいたるところでビタミンB群を消費し、鉄を含む酵素の活性によって機能するということなのです。
新宿や八重洲のクリニックに、すでに慢性疲労症候群といわれたことがある患者さまや、いろいろな情報によって慢性疲労症候群と自ら疑い受診される患者さまの多くが、女性であることが、鉄欠乏と強い疲労(慢性疲労)に深い関係があることを示唆するものと思います。
ブログでもたびたび取り上げた精神疾患の診断マニュアルであるDSM-Ⅳでも、普通の精神科医が読まない後半部分には鉄欠乏製貧血と精神症状について記載があります。
しかし、現状ではヘモグロビンや赤血球数などで貧血(鉄欠乏)を診断することになっているので、実際の鉄欠乏を見落としてしまうのです
●慢性疲労と闘うライフハック様ブログより
・【保存版】慢性疲労症候群(CFS)のタイプ分け―20種類以上の原因
http://susumu-akashi.com/2013/10/20%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0/#p
●VEC
http://www.vec.or.jp/2011/08/26/column_063
第63回「内部被曝① 放射線のミトコンドリア攻撃が原因か 慢性疲労症候群」
2011年08月26日
原発事故から数年後のチェルノブイリ近郊のある町での話だ。
「朝起きても気分が勝れず、1日中体がだるく重い。仕事中でも強い眠気が襲ってくる」
「このところキミは休みが多くなっていたね」
「肩や首が凝っていて、腰も痛い。すっかり根気がなくなった。眼精疲労もあり、仕事で小さなミスが多くなって会社を辞めざるを得なくなった」
「最近、目や口の周りがピクピクしているぜ」
「そればかりか、最近は動悸やめまいもある」
「医者に診てもらった方がいいんじゃないか?」
「むろん受診したのだが、別段異常は見当たらないと云うんだ」
「最近キミは怒りっぽくなったねぇ」
「ちょっとした音や匂いも気になってねぇ。冷静な判断力も落ちたのか、つい感情的になっちゃう。」
この2人との会話をお聞きになって、自分でも思い当たる節があると思われる方がいるのではないだろうか。多くの点で合槌が打てるようだったら、「慢性疲労症候群」(CFS)というれっきとした病気の予備軍だ。
「慢性疲労」と「慢性疲労症候群(CFS)」とは根本的に異なる。前者は強度の疲れにすぎないが、後者は病気である点だ。
慢性疲労は日頃の疲れが積み重なったもので、休養すれば回復する。ところが慢性疲労症候群はちょっとした休息程度では治らない。このような人は単なるわがまま、うつ病、などと誤診されていたが、最近になってCFSとしての診断が確立された。
実は、広島・長崎の原爆事件、あるいはチェルノブイリ原発事故のあと、強烈・異常な疲れを訴える人が急増した。4、5分立っているだけでも横になりたくなるほどの疲労感があり、仕事も十分できず社会生活を阻害する。怠け者と誤解され巷間では“原爆ブラブラ病”と呼んだ。仕事ができず1日中ブラブラしているようにみえるからだ。これらの症状をもつ人々は、原爆後の内部被曝の影響を調査研究している過程で気付かれ、かなり多くの人々が正常な社会生活を送れていないことが判明した。
参考までに、厚労省の慢性疲労症候群に対する現在の診断基準によると、1か月に少なくとも数日間、会社や学校を休まざるを得ないように疲れが数ヶ月間続き、医師の診察で特に病気の見つからない人で、次の11項目中8項目以上の症状が該当する人。
①微熱または悪寒、②のどの痛み、③首かわきの下のリンパ節の腫れ、④脱力感、⑤筋肉の痛み、⑥軽く動いただけで24時間以上続く全身倦怠感、⑦頭痛、⑧関節の痛み、⑨物忘れ、思考や集中力の低下、まぶしい、⑩不眠または過眠、⑪これらの症状の急激な発現。
要するに、長期の激しい疲労困憊と全身倦怠感、それに思考力の低下という精神神経症状も加わり、社会生活に支障をきたしている状況である。脱力そのものだが、実は最近になって、まさに体、それぞれの細胞に活力を与えるエネルギー生成装置の異常が疑われるようになった。
それは、細胞の細胞質内に存在するミトコンドリア。
本欄第55回で「シドロキシラジカル」を紹介したが、実はこの話は、細胞の周囲に陣取る放射線物質による内部被曝を念頭に置いたものだ。
細胞という袋は、細胞核とそれをとりまく細胞質で成り立っている。エネルギーは生産装置であるミトコンドリアや、製造したタンパク質などの品質管理を行う小胞体などといった微小の器官は、細胞質という海の中に浮いている。
一方体内に取り込まれた放射性物質は、ここではガンマ線ばかりでなく、アルファ線やベータ線が強力な影響力を発揮する。ただそれらの飛距離は短く、細胞中ではアルファ線はわずか40ミクロン(ミクロン=1000分の1ミリ)、ベータ線でも1cmだ。
しかし、1か所に長く留まるために、継続的な局所集中被曝が発生する。
細胞核では攻撃により遺伝子の損傷という問題が発生するが、細胞質内では、第55回で述べたヒドロキシラジカルなどによって、ミトコンドリアなどが損傷を受ける。
エネルギー生成装置がやられれば、力が出なくなるのは当然の帰結だ。
(多摩大学名誉教授 那野比古)
2014年01月16日
カンジダ腸壁網粗にして難病…
『ニコまとめ』
「プロスタウランジン」の関与が脳細胞の機能低下を招くのではないかと考えています。
具体的には「中枢感作」の下地を作っていると考えているということです。
後に紹介する筑波大学の研究報告を読んで調べてみて、そう思いました。
刺激があっても反応する脳と反応しない脳の違いではないかと思います。
天の網は粗くても悪を漏らさないと言いますが、腸管壁が粗いと有害物質が漏れて体内をめぐります。
めぐった有害物質が引き起こす「炎症」を鎮めるために体内栄養素が消耗され脳機能の低下や種々患者個々の身体症状が出現します。
●具体例1:若年性認知症に近い状態の改善…料理の手順が理解できなくなりかけたが栄養治療後改善。
●具体例2:私も皮膚を引っ掻くと跡が延々残って不思議な症状が出ていました。ビタミン不足です。なおそれらは栄養治療により完治しました。
●具体例3:気管支粘膜の強化で感想刺激に強くなり言葉が出せ、歌が歌えるようになった。(歌えない時期、心が折れそうだった。)
<以下説明>
慢性疲労症候群患者に限らず、化学物質過敏症患者の大半は腸に問題を抱えています。
腸の慢性カンジダ過敏症です。
カンジダ過敏症については以下をご覧ください。
ーーーーーーーーーー
【腸内のカビ・病原性細菌の話】
http://www.hajime-net.jp/Dr-Kakuta/allergy_seikatu/04/04-17.html
ーーーーーーーーーー
ニコ
慢性疲労症候群患者の精神障害併発率の高さはこれによる栄養障害が考えられます。
化学物質過敏症患者でも同様だと思われます。
既に鬱と栄養素の関係は国立精神神経センター研究で明らかであり一般的解釈であることは記事「脳科学情報最前線から見る過敏応答」で紹介しました。
ーーーーーーーーーーーーー
http://cscfsfmsescss.osakazine.net/e518129.html
功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 部長)、今泉博文さん(国立精神・神経医療研究センター病院 栄養管理室長)
ーーーーーーーーーーーーー
ニコ
このブログカテゴリーで先にご紹介した内容が「ひとつながり」になったことをご理解いただけたでしょうか!?
この後はもちろん、腸から体内にバラ撒かれる有害物質からのミトコンドリア影響へとこの話はつながっていきます。
影響が積もれば呼気からの有害物質影響からも過敏性腸炎が起きるなど、脳の過敏化も出現します。アレルギーも悪化します。体細胞が弱まりアザ・気管支粘膜の不調もろもろの症状が続々出てくるようになります。
うまく影響を吸収できずにどんどん脳機能の栄養失調もひどくなります。
このあとの説明は、このブログカテゴリーを巡りご確認いただきたちと思います。
そして、この記事の最下段の資料までご覧いただければ、腸から吸収する栄養素がミトコンドリアを防禦する構図まできちんと見えます。
(※疲れたのでこの文章が粗い場合は後日書きなおします)
なお今回の記事作成に当たり情報入手先は、正直で丁寧で勉強熱心な慢性疲労症候群患者さんのブログからです。
この筑波大学研究報告情報はニコの情報分析の方向性の正しさを示すものだと思います。
では以上、しゃべるモルモットの経験に照らしお伝えしました。
(2014・2・22)
ーーーーーーーーーーーー
情報元:疲労と闘うライフハック様
●腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明
?新しい発想のアレルギー治療へ? 筑波大学
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140116/
腸内細菌のバランスの乱れがアトピー、喘息、糖尿病などの全身疾患の発症に影響を及ぼすことが大きな注目を浴びているが、そのメカニズムは解明されていなかった。
抗生物質の服用によって生じた腸内細菌のバランスの乱れが喘息を悪化させるメカニズムを世界で初めて解明。
抗菌剤でマウスの喘息を軽快させることに成功。新しい発想のアレルギーの治療へ。
●ニコ関連メモ
痛みと沈痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-inflamm.html
NACを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞がスーパーオキサイドの障害作用から防御される。
「プロスタウランジン」の関与が脳細胞の機能低下を招くのではないかと考えています。
具体的には「中枢感作」の下地を作っていると考えているということです。
後に紹介する筑波大学の研究報告を読んで調べてみて、そう思いました。
刺激があっても反応する脳と反応しない脳の違いではないかと思います。
天の網は粗くても悪を漏らさないと言いますが、腸管壁が粗いと有害物質が漏れて体内をめぐります。
めぐった有害物質が引き起こす「炎症」を鎮めるために体内栄養素が消耗され脳機能の低下や種々患者個々の身体症状が出現します。
●具体例1:若年性認知症に近い状態の改善…料理の手順が理解できなくなりかけたが栄養治療後改善。
●具体例2:私も皮膚を引っ掻くと跡が延々残って不思議な症状が出ていました。ビタミン不足です。なおそれらは栄養治療により完治しました。
●具体例3:気管支粘膜の強化で感想刺激に強くなり言葉が出せ、歌が歌えるようになった。(歌えない時期、心が折れそうだった。)
<以下説明>
慢性疲労症候群患者に限らず、化学物質過敏症患者の大半は腸に問題を抱えています。
腸の慢性カンジダ過敏症です。
カンジダ過敏症については以下をご覧ください。
ーーーーーーーーーー
【腸内のカビ・病原性細菌の話】
http://www.hajime-net.jp/Dr-Kakuta/allergy_seikatu/04/04-17.html
ーーーーーーーーーー
ニコ
慢性疲労症候群患者の精神障害併発率の高さはこれによる栄養障害が考えられます。
化学物質過敏症患者でも同様だと思われます。
既に鬱と栄養素の関係は国立精神神経センター研究で明らかであり一般的解釈であることは記事「脳科学情報最前線から見る過敏応答」で紹介しました。
ーーーーーーーーーーーーー
http://cscfsfmsescss.osakazine.net/e518129.html
功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 部長)、今泉博文さん(国立精神・神経医療研究センター病院 栄養管理室長)
ーーーーーーーーーーーーー
ニコ
このブログカテゴリーで先にご紹介した内容が「ひとつながり」になったことをご理解いただけたでしょうか!?
この後はもちろん、腸から体内にバラ撒かれる有害物質からのミトコンドリア影響へとこの話はつながっていきます。
影響が積もれば呼気からの有害物質影響からも過敏性腸炎が起きるなど、脳の過敏化も出現します。アレルギーも悪化します。体細胞が弱まりアザ・気管支粘膜の不調もろもろの症状が続々出てくるようになります。
うまく影響を吸収できずにどんどん脳機能の栄養失調もひどくなります。
このあとの説明は、このブログカテゴリーを巡りご確認いただきたちと思います。
そして、この記事の最下段の資料までご覧いただければ、腸から吸収する栄養素がミトコンドリアを防禦する構図まできちんと見えます。
(※疲れたのでこの文章が粗い場合は後日書きなおします)
なお今回の記事作成に当たり情報入手先は、正直で丁寧で勉強熱心な慢性疲労症候群患者さんのブログからです。
この筑波大学研究報告情報はニコの情報分析の方向性の正しさを示すものだと思います。
では以上、しゃべるモルモットの経験に照らしお伝えしました。
(2014・2・22)
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情報元:疲労と闘うライフハック様
●腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明
?新しい発想のアレルギー治療へ? 筑波大学
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140116/
腸内細菌のバランスの乱れがアトピー、喘息、糖尿病などの全身疾患の発症に影響を及ぼすことが大きな注目を浴びているが、そのメカニズムは解明されていなかった。
抗生物質の服用によって生じた腸内細菌のバランスの乱れが喘息を悪化させるメカニズムを世界で初めて解明。
抗菌剤でマウスの喘息を軽快させることに成功。新しい発想のアレルギーの治療へ。
●ニコ関連メモ
痛みと沈痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-inflamm.html
NACを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞がスーパーオキサイドの障害作用から防御される。
2013年12月18日
進撃のミトコンドリア研究 TRP・G蛋白質・ラジカル誘導性疾患
学習のための資料の入手が困難です。この編集中ページの情報の検証についてはしばらく時間をいただきます。
なお、今回一般の方向けに注意を書きます。
読売新聞さんの特集で脚光をあびているようで、自称化学物質過敏症さんが増えていますが、広義で捉え自然派生活を営むことはご本人が大変聡明な証ですばらしいことですが、名乗るのは診断を受けてからにしましょう。
いろいろ混同すると危険です。
あと、大明気功院さんですが、総合的治療を施した上で用いた気功が功を奏したシックビルディング患者がいたからといって、気功で化学物質過敏症が治るとするのは誇大広告にあたります。
気功やホメオパシーで治る方は早期治療でミトコンドリア影響を脱した方の可能性があるとともに、高学歴による知識からの精神症状ストレッサーが大きい方だった可能性があります。
同様に、慢性疲労症候群でも各ストレッサー治療が行われていますし厚生労働研究が詳しいですが、同じくドイツのルノー博士も同じ概念の治療をされています。
トータルストレッサー管理の概念を持たない研究家や治療者はマユツバだと覚えておいてください。
化学物質過敏症でも慢性疲労症候群でもミトコンドリアレベルでこじらせている患者がいると思われるので、断言する人には気をつけましょう。
大変不誠実極まりなく迷惑です。他者へ不利益を与えかねない危険な行為です。
※編集中
TRPチャネルの関与については本ブログの2013年11月18日記事「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム最前線」で触れたとおりですが、さらに詳しい資料が入手できました。
情報元より資料1にまとめます。
さらに、ここに化学物質過敏症における嗅覚過敏の発現に関係するのではないかと思われる資料2を加えます。
Gタンパク質の存在です。
ミトコンドリア関連疾患という視点から化学物質過敏症を捉えなおす材料として不足とは思えません。
中枢過敏応答としての嗅覚過敏や、実際に微量ながら代謝が間に合わない状況下における中毒症状の発現がこれお介して解明されると考えます。
(※基本姿勢:嗅覚過敏について心因の関与の全否定、また心因説単独による病態という歪んだ理解双方を否定します。詳しくは過去記事http://cscfsfmsescss.osakazine.net/e517787.html)
●活性酸素種が介するミトコンドリアから核へのシグナル伝達:加齢とラジカル誘導性疾患の鍵
Reactive Oxygen Species-Mediated Mitochondria-to-Nucleus Signaling: A Key to Aging and Radical-Caused Diseases
http://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/re_20060425.asp
資料 1
=======================
「ブログ・自閉症とのつきあいから」より必要な部分のみ転載
●温度感受性チャンネルTRPM2:TRPチャネルスーパーファミリー
http://blog.livedoor.jp/kuni3344/archives/50251541.html
http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/physiol/inoue/inoue.htm
福岡大学医学部生理学教室 井上隆司先生
研究分野:
● 電位依存性及び受容体活性化Ca流入の分子機構
● TRP蛋白質の病態分子生理学
TRP蛋白質(チャネル)とは?
最近、ショウジョウバエの光情報伝達変異遺伝子のスクリーニングの過程から、イノシトールリン脂質(PIP2)代謝亢進に関連して活性化されるCa2+透過型陽イオンチャネル、TRP蛋白質(transient receptor potential protein)が同定されました。その後、TRP蛋白質の哺乳動物ホモログの探索が精力的に行われにつれ、電位変化以外の種々の物理化学刺激(受容体刺激、化学物質、温度変化、機械刺激、脂質メディエーター等)によって活性化される、広範なCa2+流入チャネル群(TRPチャネルスーパーファミリー)の存在が明らかになってきました。これらのTRP蛋白質は、中枢・末梢神経系、循環器系、呼吸器・消化器系、腎泌尿器・生殖器系、免疫系等、ほぼ全ての組織に広く発現しており、温痛圧覚・味覚伝導、体液調節、血圧・消化管運動・呼吸調節、免疫・炎症反応から受精・フェロモン応答などの生殖行動に至るまで、生体の重要な機能の調節やその破綻による疾病にも密接に関わっていることが明らかになってきています。また、個体発生・成長・老化の基礎過程をなす、細胞の生存・増殖・死といった現象においても枢要な役割を果たしていることが明らかにされ、悪性腫瘍・動脈硬化などの増殖性異常や、幾つかの変性性疾患との関連も示唆されています。このように、TRP蛋白質ファミリーは、生命の基本現象に関わる普遍的メディエーターであるCaイオンの細胞への主要な供給路であり、未だ有効な治療法のない様々な疾患に対する薬物治療の有望な分子標的となる可能性を秘めています。実際、TRP蛋白質が関連する可能性のある病態には、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病や悪性腫瘍性疾患、気管支喘息、過敏性腸症候群、骨粗鬆症などのQuality of Life (QOL)と関わるもの、あるいは筋ジストロフィー、パーキンソン病、アルツハイマー病などの変性性疾患など、生命予後や健康の増進等に直結し臨床医学的重要性が極めて高いものが数多くあります。
----------------------------------------------------
http://www.nips.ac.jp/kenkyukai/2005/pdf/01.pdf
免疫応答細胞における酸化的ストレス感受性 Ca2+ チャネル TRPM2 の活性化機構および生理的役割
○山本 伸一郎、原 雄二、森 泰生
(京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻分子生物化学分野)
TRPM2 は単球、好中球、およびリンパ球などの免疫応答細胞で高い発現が認められている。しかしこれらの免疫細胞における TRPM2 の生理的役割は明らかにされていない。そこで本研究では酸化的ストレスによる TRPM2 の活性化機構の詳細および生理的役割を明らかにすることを目的とし検討を行った。TRPM2 活性化機構解明にあたり様々なストレス応答シグナルに着目したところ、我々はextracellular signal-regulated kinase (ERK) がTRPM2 活性化に重要な役割を果たしていることをつきとめた。
そこで、TRPM2 KOマウスを用いて免疫応答細胞における TRPM2の生理的役割についても現在検討を行っているので報告する。
----------------------------------------------------
http://www.nips.ac.jp/cellsensor/index.html
【特定領域研究を始めるにあたって】
細胞は、細胞外環境情報を受容して他のシグナルに変換し、細胞の中や周囲の他の細胞に伝達することによって環境変化にダイナミックに対応して生きています。そのような細胞感覚分子群をセルセンサーと呼び、セルセンサーが環境の空間的変化、時間的変化(短時間のもの、発達・成熟といった長時間のもの)、また、種の間でどのようにその受容やシグナル変換のメカニズムを変化(モーダルシフト)させていくかを明らかにすることによって、センシングメカニズムの本質に迫りたいと考えています。
領域代表者
岡崎統合バイオサイエンスセンター・教授・富永 真琴
----
http://www.nips.ac.jp/cellsensor/NL_04.html
セルセンサーとしてのTRPチャンネル
近年のセルセンサー研究の牽引車であり、領域代表が研究するTRPチャネルについて紹介したい。TRPチャネルは1989年に初めてショウジョウバエの分子が報告されてから現在までに30を越える分子が明らかになっており、種々の化学物質刺激に加えて、温度刺激、侵害刺激、機械刺激、浸透圧刺激などをセンスすることが判明している。その中で、温度をセンスする温度センサーTRPチャネルは、哺乳類では冷刺激から高熱刺激までをセンスする9つのセンサーが知られており、2つは熱刺激を、2つは冷刺激を、5つが温かい刺激をセンスする。代表者が最近、その温度感受性を報告したTRPM2は、脳神経細胞に発現し、活性酸素種等の刺激で活性化されて細胞死をもたらすことが知られているが、膵臓細胞では体温とリガンドによって活性化されてインスリン放出に関わることが明らかになった。つまり、TRPM2は、発現場所・細胞外環境に応じて、その活性化が細胞死とインスリン放出という全く異なる細胞応答を惹起する(モーダルシフトを起こす)。
====================
資料 2
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http://www.jst.go.jp/pr/announce/20080411/
平成20年4月11日
名古屋大学
Tel:052-789-2016(広報室)
科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)
温度を感じる嗅覚ニューロンを発見
(温度感知の仕組みの解明に大きな前進)
名古屋大学 大学院理学研究科・生命理学専攻 森 郁恵 教授、久原 篤 助教、奥村 将年(同専攻 元大学院生)らの研究チームは、線虫の研究から「温度を感じる嗅覚ニューロン」を世界で初めて発見し、「温度感知に関わる新たな分子」を明らかにしました。2008年4月10日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Science(サイエンス)」のオンライン速報版「Science Express」で発表されます。
「温度」は、化学反応に変化をもたらす最も重要な因子で、地球上に生息する全ての生物にとって、最も重要な環境情報のひとつです。人間であれば、炎天や寒冷による、わずか数℃の体温の変化が、体調に劇的な変化を引き起こします。さらに、室内外の急激な温度差が引き起こす温度差過敏症などは、現代社会を象徴する環境・健康問題となっています。このようなことから、温度感知の仕組みの解明は、人類の存続に関わる重要課題として取り上げられています。しかし、温度がどのような分子によって感知されるかは約10年前まで明らかになっていませんでした。1997年、カリフォルニア大学のジュリウス教授の研究グループは、温度を感知する分子として、TRPと呼ばれる分子を発見しました。この発見を発端に、温度感知に関わる主要分子がTRPファミリーであることが次々に発見され、温度を感じる分子の研究は終焉に向かっていると思われていました。
本研究チームは、新しい分子の発見に有用な実験動物である線虫C. エレガンス注1)を使い、人間の匂いや光、味の感知に重要な「Gタンパク質」注2)と呼ばれる分子が、温度感知にも関わっていることを発見しました。まず、温度への応答行動に異常をもつ線虫が、Gタンパクを制御する分子に異常をもつことを見つけました。そして、この線虫の温度への応答行動の異常は、従来、匂いを感じるニューロンとして知られていた嗅覚ニューロンに、Gタンパク制御分子を導入することによって回復することを突き止めました。さらに、ニューロンの活動を蛍光色の変化として観察できる最先端の光技術を用いた実験の結果、嗅覚ニューロンが、温度変化に対して、ニューロン内のカルシウム濃度を劇的に変化させることも分かりました。
本研究により、匂いを感じる「嗅覚ニューロン」として知られていた感覚ニューロンが、匂いだけではなく「温度」を感知し、環境の温度を「記憶」していることが、初めて明らかになりました。感覚情報の処理に関わる分子の多くは人間と線虫で類似していることから、人間の温度感知にもGタンパクが関わっている可能性が考えられ、本研究成果は人間の温度感知の仕組みの解明や病気の治療に大きく役立つと期待されます。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「生命システムの動作原理と基盤技術」(研究総括:中西 重忠)の研究テーマ「行動を規定する神経回路システム動態の研究」(研究代表者:森 郁恵)などのもとに行なわれました。
<研究の背景と経緯>
私たちが普段感じている環境情報のうち、「温度」は生存に直結する情報です。人間であれば、わずか1~2℃の体温の変化が、劇的な体調の変化を引き起こします。また、室内外の急激な温度差が引き起こす温度差過敏症なども、社会問題となっています。そのため、温度を感知し制御する仕組みの解明は、大きな問題として取り上げられています。
温度情報は、動物において主に神経系で感知され制御されています。例えば、哺乳類は環境の温度を末梢神経系で感知し、体温を主に脳内の視床下部に存在する温度感知ニューロンで感知し、制御しています。このような温度感知に関わる神経組織と温度を感知するニューロンの存在は、30年以上前から多くの動物で報告されていました。しかし、温度の感知と制御に関わる分子に関しては、長年明らかにされていませんでした。
1997年にカリフォルニア大学のジュリウス教授の研究チームメンバーであったカテリーナ博士らは、温度を感知する分子としてTRPと呼ばれる分子ファミリーに属するTRPV1という分子を発見しました。カテリーナ博士らの発見以降、世界中でTRPの研究が行われ、TRPが「温度を感知する分子」であることは周知の事実となりました。しかし、「果たして温度感知に関わる分子経路は、他にはないのか?」という疑問から、本研究チームは新しい分子の発見に有用な実験動物である線虫C. エレガンスを使い(図1上)、温度感知に関わる新たな分子の発見を目指してきました(図1下)。
<研究の内容>
本研究では、温度への応答行動に異常をもつ線虫が、人間の嗅覚や視覚に重要な「Gタンパク」と呼ばれる分子経路に異常をもつことを発見しました(図2中央)。この線虫の温度への応答行動の異常は、嗅覚ニューロンにGタンパク関連遺伝子を入れることで正常に戻りました(図2右)。さらに、ニューロンの活動が細胞内カルシウム濃度と関連していることに着目し、カルシウム濃度変化を蛍光色の変化として観察できる最先端の光技術を積極的に導入することにより、嗅覚ニューロンが温度を感知し、ニューロン内のカルシウム濃度を劇的に変化させることを明らかにしました(図3)。
本研究で得られた結果を以下に示します。
1. 温度に対する応答行動に異常を示す線虫を単離し、その行動異常がどのような分子の異常によるのかを調べたところ、人間の嗅覚や視覚において、匂いや光の情報伝達に関わるGタンパクの制御分子に異常を発見しました(図2中央、図4)。さらに、Gタンパクに異常をもつ線虫が、温度に対する応答行動に異常を示すことも明らかにしました。これらのことから、「Gタンパク」が、温度の感知に関与していることを世界で初めて発見しました。
2. Gタンパク制御分子の変異体が示す温度応答行動の異常は、嗅覚ニューロンとして知られているニューロンにGタンパク制御分子を発現させることで回復しました(図2右)。さらに、最先端の光技術を駆使し、温度刺激を加えたときの嗅覚ニューロン内のカルシウム濃度を計測したところ、温度刺激により嗅覚ニューロン内のカルシウム濃度が顕著に変化することが分かりました(図3)。これらのことから、嗅覚ニューロンとして知られているニューロンが、「匂い」だけでなく「温度」も感知していることを突き止めました。さらに、1つのニューロン内で「温度」と「匂い」という質的に異なる2つの感覚情報が、共通の「Gタンパク」を介した分子経路によって伝えられていることも判明しました(図4)。
3. 温度を感知するニューロンで受容した温度情報は、介在ニューロンからなる「神経回路」で処理されることにより、行動の変化を引き起こします。本研究では、最新の光技術を使った研究から、温度情報に関わる「神経回路」を明らかにしました。
<今後の展開>
嗅覚や接触刺激などの感覚情報の処理に関わる分子の多くが、人間と線虫で類似していることから、人間の温度の感知にもGタンパクが関わっている可能性が考えられます。本研究で得られたことは今後、人間の温度感知の仕組みの解明や、温度感知が関わる難病の治療に役立つものと期待されます。
<参考図>
図1 線虫C. エレガンスは、一定の温度下で飼育された後に、温度勾配上に置かれると、飼育されていた温度に移動する行動をとる。
図2 Gタンパクの制御分子(RGS)の変異体は温度応答行動に異常をもつ。この行動の異常は、嗅覚ニューロンにRGSの遺伝子入れることで回復した。
図3 嗅覚ニューロンAWCは、温度刺激を与えると活発化した。
図4 「温度」と「匂い」の情報は共通のGタンパク経路で伝達される。
<用語解説>
注1:C.エレガンス
土壌に生息する非寄生性の線虫で、正式名称はセノハブダイティス・エレガンス。古くから分子遺伝学的解析に使われており、細胞死の発見やRNA干渉の発見により2002年と2006年のノーベル医学生理学賞の対象となる研究などが行われた。1998年には多細胞生物で初めて全ゲノム配列の解読が終了した。ヒトの遺伝子数に匹敵する約2万個の遺伝子を持ち、それらの中にはヒトの遺伝子と類似のものが多く含まれる。生命現象の分子メカニズムを解析する上で有用なモデル生物である。
注2:Gタンパク質
正式名称はグアニンヌクレオチド結合タンパク質。ここでは、膜受容体と結合するヘテロ三量体Gタンパクを指す。ヒトの目の光受容体や、鼻の嗅覚受容体などの細胞膜に存在する様々な受容体タンパクと結合し、受容体タンパクで受け取った環境情報を、生化学的反応に切り替える「スイッチ」として機能する分子。
<掲載論文名>
" Temperature sensing by an olfactory neuron in a circuit controlling behavior of C. elegans"
(邦訳:線虫C. エレガンスの行動を制御する神経回路における嗅覚ニューロンによる温度の感知)
資料 3
===============
●慢性疲労症候群とナトリウムチャンネル
セクション: ムダ?知識, 消化器の病気
疲労とナトリウムには特に注目しています。
注目する同機となったのが、シガテラ毒(Ciguatoxin)による中毒を外来で診断(実際には疑診であり確定ではない)したことです。
参考:Wikipediaによる、「シガトキシン」
シガテラ毒では、ドライアイス・センセーションという特異的な症状があって、それが診断を容易にします。
水に手をつけるとまるでドライアイスのように冷たく(痛く)感じてしまう。結果としては痛くて水に手をつけることが出来ない。水で手を洗うことすら出来ないという症状です。
むろん最初は下痢・嘔吐・体のしびれなどを訴えますので他の中毒と鑑別はし辛いのですが。
大きな有機化合物である、このシガトキシンを生合成することは不可能とされていたそうです。この生合成に成功し奇跡の仕事を成し遂げたのは日本人で、平間正博先生をはじめとするグループです。(プレスリリース)
シガトキシンに関してはその研究に日本人が深く関わっており、小説が二つも三つも書けそうなほど感動的なストーリーなのですが、それはきっとみなさんの目に誰かから発表されて触れることがあるでしょうから今回はそれは避け、むしろ私が気になった、シガテラ毒による中毒の症状の話をします。
それが、「だるさ」です。
実は伏線になったもうひとつの食中毒があります。
それは山菜による食中毒でしたが、非常に神経症状が当初強く、そしてだるさが何ヶ月も続いた・・・。
残念ながら専門医により「アレルギーでしょう」とお墨付きをいただいてそれ以上の検査が出来なかった事が残念ですが、今でも私はそれは神経毒であったと信じています。
そしてその症状と良く似た症例を外来で見たときに、神経毒じゃないかと思い検索、シガテラ毒に行きあたったのですから、私はGoogleに頭が上がりません。
そしてシガテラ毒による中毒も、どうしようもない「だるさ」が何ヶ月、時には一年以上も続きます。
その症状が慢性疲労症候群にそっくりだったわけです。
シガテラ毒は、前述のように非常に大きな分子です。これが神経のナトリウムチャンネルに結合して神経の過敏症状を来します。恐らく当初の過敏症状がおきたあと、チャンネルにシガテラ毒が結合しっぱなしになるので、興奮に何らかの変化が起きるに違いありません。こうした大きな分子は一度体に入れば分解は困難。あとは化学的にナトリウムチャンネルから遊離するのを待つしかないのです。この期間が数カ月から一年というわけです。
シガテラ毒には治療がありません。唯一の治療は、食べたらすぐにマンニトールという薬で強制的に利尿する、というものです。これは大分子がナトリウムチャンネルに結合する前になるべく多く排出してしまおうというアイディアだろうと考えます。ハワイでの民間療法では、強制的に浣腸するというシガテラ毒の治療法があります。これもアイディアとしては同じです。どちらにせよ、一度ナトリウムチャンネルに結合したシガテラ毒を引き離す術はないのです。
慢性疲労症候群には、いろいろな病因が考えられていますが、私はナトリウムチャンネルの機能不全だと思っています。例えば何かがきっかけでちょうどナトリウムチャンネルのリガンドになるような抗体が産生されてしまう、などです。
シガテラ毒が、慢性疲労症候群患者では高率に陽性になるという事です。これは取りも直さずナトリウムチャンネルに結合する何か(シガテラ毒とは限らない)が、慢性疲労症候群の原因であろう事を示す傍証のように感じています。しかしながら、シガテラ毒の研究には予算がつかないらしく、あまり成果が出ておりません。むしろ、シガテラ毒が色々なサイトカインのmRNA産生を促すんだよ、みたいな違う方向に行ってます。あんなデカイ毒が細胞内に影響を及ぼすには何かのチャンネル経由でしょう。そこを飛ばしてmRNAを議論しても結論は何も出ないんじゃないかと思います。
BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)でちょうど、
XMRVというウイルスが慢性疲労症候群の病因とは言えないらしい
という論文が出たので、上の話を思い出しました。(そもそもScienceで出た「とうとうXMRVが病因じゃないか?」という論文に対する反論)
難しすぎて、わけがわかりません。
魚を食べて痺れた、などという場合にはとりあえずマンニトールで利尿、という選択肢も考えておいた方が良いのではと思います。非常にポピュラーな中毒です。
2013年11月30日
補足資料・進撃のミトコンドリア研究 活性酸素
「進撃のミトコンドリア研究 化学物質過敏症との関係とは?」の補足資料として活性酸素について詳しい記事をふたつ紹介します。
化学物質過敏症患者は多因子からなる患者個々の代謝の障害に起因する病の症候群ですが、ミトコンドリア関連疾患として解釈を加えていくことがその治療や医療人権において必要だと思います。
それを主張する上で「活性酸素」とミトコンドリアの関係をあらためて確認いただきたいと思います。
患者が呼気から取込み脳や臓器へ血液に乗り送られる物質的負荷ですが、これへ中毒性を示すことと脳の中枢感作が病態の基本のメカニズムになります。
慢性疲労症候群でもこの活性酸素刺激を減らす生活習慣からの対処療法が行われています。
化学物質過敏症患者はおおむね新築増改築からの活性酸素刺激が多面的に心身に負荷を及ぼし、後天的ミトコンドリア関連疾患に至った者がそれだと思われます。
詳しくはカテゴリー「最新科学情報からの研究」を通読ください。
2013・1130
ニコ
以下を参考資料として紹介します。
●老化と病気の原因
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/2188/nagaiki.html
●脂質と血栓の医学より「活性酸素」
(詳しい図解は↓WEBページをご覧ください。)
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm#活性酸素による障害
<ニコ学習用メモ>
以下を参考資料として紹介します。
●老化と病気の原因
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/2188/nagaiki.html
★老化と病気の原因-活性酸素について
■活性酸素とは~病気の90%が活性酸素が原因~
■活性酸素が関与する代表的疾患
■活性酸素の対策
■活性酸素の分子病態学ー環境変異原の立場から
--* 活性酸素とは *--
活性酸素
~病気の90%が活性酸素が原因~
酸化と老化
地球が誕生した46億年前、地球上にはほとんど酸素はありませんでした。現在の生物にとってなくてはならない酸素は、海で発生した藻類などが光合成をして少しずつ作り出し、20億年以上もかけて作られました。ほとんどすべての動物はこの酸素を使って体内の栄養分を分解し、エネルギーを作り出しています。
酸化とは
物が酸素と結びつく働きを「酸化」といいます。例えば、鉄が時間とともに錆びていきます。これは鉄が空気中の酸素によって酸化されたためです。りんごを切ってしばらくたつと、切り口が茶色に変化してきます。これも、りんごの成分が空気中の酸素によって酸化された結果です。このように酸素に触れたものは必ず酸化していきます。
人間の体は約60兆個の細胞から作られています。そして一つ一つの細胞が血液から酸素と栄養分を受け取り、酸素で栄養分を燃やして(酸化させて)エネルギーを得ています。
人間はエネルギー発生の過程で酸素を必要としますので、その際に使われる酸素に触れたものが(細胞膜,DNAなど)が酸化します。細胞が酸化してしまうと、その機能を果せなくなりさまざまな病気につながってきます。
老化とは
人間の遺伝子には、最低90歳~115歳まで生きられるようにプログラムされています。それもなんとか生きているというレベルではなく、元気に病気もせず生きていけるということです。そしてある日、遺伝子に組み込まれた時間が過ぎると「輝きつづけた電球がぱっと消えるように」天寿を全うします。
しかし、多くの人は40歳前後から老化が始まり、60歳前後で病気が発病し徐々に弱りながら死を迎えます。これは年をとるにつれ体の細胞が酸化され、錆びてボロボロになってしまうからです。
活性酸素
酸素の中でも特に酸化力が強い酸素を活性酸素といいます。身近なところにある活性酸素は、オキシドールや除草剤のパラコートなどです。
オキシドール(薄い過酸化水素水)は傷口の消毒に使われます。傷口にオキシドールをつけると、ブクブクと泡が出てきます。オキシドールから発生した活性酸素が傷口のばい菌を殺し、その後普通の酸素に戻ったものが、傷口から出てくる泡の正体です。オキシドールはこのようにしてばい菌を殺しますが、同時にその周辺にある正常な細胞をも活性酸素で殺してしまう、両刃の剣のような働きをしています。そのとため最近ではほとんど使われなくなっています。
除草剤のパラコートには、植物の体内に大量の活性酸素を発生させる物質が含まれています。あまりにも大量の活性酸素が発生するため、パラコートを撒いた翌日にはほとんどの植物が枯れてしまいます。これを人間が誤って吸い込んでしまった場合は、ほぼ100%死亡してしまいます。
活性酸素とは
人間は1分間に数十回呼吸をし、酸素を体内に取り込んでいます。通常の酸素は図のように原子の周りに8個の電子をもっています。それぞれの電子は2つで1つのペアを作り三重項酸素という安定した形で存在します。
しかし、何らかの原因で電子のペアが崩れると、酸素は活性酸素化します。通常の呼吸で体内に取り込まれた酸素の約3%が活性酸素になります。
活性酸素は、ペアになっていない電子を持っているため、非常に不安定な状態になります。この状態の酸素は、自らを安定させるため手近にあるところから電子を奪い安定(酸化)しようとします。そして、活性酸素によって電子を奪われた物質は、また自分の手近にある物質から電子を奪います。
これは例えるなら「駅前に止めていた自転車を盗まれた人が、ほかの人の自転車を盗む。その盗まれた人がさらに他の人の自転車を盗むというようにして、町全体が自転車泥棒だらけになっていく」というようなことです。
活性酸素には4種類あります。
1.スーパーオキサイドアニオンラジカル
最も一般的な活性酸素で、安定した酸素分子の一方の原子にある電子が1つかけた状態です。酸化力が非常に強く、寿命は10万分の1秒です。
2.一重項酸素
通常の酸素(三重項酸素)から電子が2つ欠けた状態です。反応性が強いために次々と他の活性酸素に姿を変えていきます。皮膚が紫外線にあたると皮下組織内でよく発生します。
3.過酸化水素
酸素原子と2つと水素原子2つが結合してできた活性酸素の仲間で、殺菌剤としてよく知られています。反応性が強く、細胞膜の内外を行ったり来たりすることができます。銅イオンや鉄イオン,スーパーオキサイドアニオンラジカル+水素イオンと出会うと、ハイドロキシラジカル+一重項酸素に変わります。寿命が長いのも特徴です。
4.ハイドロキシラジカル
過酸化水素を半分にしたような構造を持ち、酸化力が最も強い活性酸素です。反応が早く、寿命は50万分の1秒です。過酸化水素と反応すると、スーパーオキサイドアニオンラジカル+水+水素になります。
活性酸素が体内で発生すると、細胞膜にある脂肪酸の電子を奪い取ろうとします。そして電子を奪われた脂肪酸はとなりの脂肪酸の電子を奪いとるという連鎖反応がものすごいスピードで起こります。
体内には、活性酸素の攻撃から細胞を守る物質(抗酸化物質)がありますが、繰り返し活性酸素の攻撃を受けると、抗酸化物質の量も少なくなり、細胞がどんどん酸化していきます。酸化が進んだ細胞は次のいずれかの状態になります。
1.活性酸素により細胞内のDNAの制ガン遺伝子が破壊され、細胞がガン化する。
2.細胞膜の脂肪酸が酸化され、過酸化脂質になる。この過酸化脂質の増加が血管系の病気の原因となります。
ガン発生の仕組み
人間の遺伝子(DNA)には、細胞がガン化するのを食い止めるための制ガン遺伝子という遺伝子があります。活性酸素によってDNA内の制ガン遺伝子が破壊されると、細胞のガン化が起こります。ガン細胞は普通の細胞とは違い寿命がなく、多くの栄養分を消費する化け物細胞です。これは長期間活性酸素による攻撃を受けると発生する確率が高くなります。
厚生省研究班(1995年10月12日発表)によると、2000年に新たにガンと診断される人の数は1990年の約1.5倍の59万2千5百人にもなりそうだとのことです。これは1991年の20%増であり、しかも、肝臓ガン,肺ガンなどの治りにくいガンの割合が増えるもようということです。
過酸化脂質
新鮮なバターはうすい黄色をしていまが、古くなってくるときつい黄色になりボロボロの状態になります。過酸化脂質とは、「変質したバターのような脂肪」と考えられます。本来は、「普通の脂肪」であったバターが、酸素によって酸化され過酸化脂質という「危険な脂肪」に変化したのです。
体内にはコレステロールや中性脂肪という脂があります。これらは、人体の機能を維持していく上で必要不可欠のものです。そしてこれらは、酸化されていない状態では血管をふさぐなどの害を及ぼすことはまったくありません。しかし、これらの脂が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質に変化します。この過酸化脂質が、血管壁につき、しだいに壁の中に入り込み、徐々に血管をもろくしたり、血管をふさいだりします。
活性酸素の発生原因
通常呼吸で取り込まれた酸素のうちの3%ほどは、活性酸素化します。例えば、ネズミの細胞1個で、毎日平均1兆個の酸素が消費され、そのうちの3%(約300億個)が活性酸素になります。
通常活性酸素の発生率が3%くらいであれば体内にある、活性酸素を消去する物質(抗酸化剤)によって中和されるのですが、さまざまな原因により体内で活性酸素が大量発生することがあります。活性酸素の発生原因は、
1.自分自身の問題 •ストレスを感じたとき(最大の活性酸素の発生原因)
•タバコを吸ったとき
•アルコールを飲んだとき
•スポーツや激しい運動などで、酸素の消費量が増えたとき
2.環境の問題 •電磁波を浴びたとき(携帯電話,電子レンジ・・・・)
•紫外線を浴びたとき
•医薬品,食品添加物,制がん剤などの化学物質が入ったとき
•病原菌が入ったとき
•レントゲンなどで放射線を浴びたとき
•工場の有毒ガスや車の排気ガスを吸ったとき
などです。「自分自身の問題」で発生する活性酸素については、できるだけそういった状態を避けることで発生量を減らすことができますが、「環境の問題」で発生する活性酸素については、自分自身でコントロールすることは不可能です。ですから、活性酸素が大量に発生しても、それをすぐに消去できる体を作ることが大切になります。
--* 活性酸素が関与する代表的疾患 *--
活性酸素が原因の病気
ガン,心疾患,糖尿病などの生活習慣病は、以前は遺伝や家系などといわれていましたが、現在では生活習慣病の90%が活性酸素が原因だということがわかってきました。
1994年5月22日朝日新聞
「活性酸素の発ガン関与、人体でも確認
国立ガンセンターと産業医科大学は、活性酸素がガン抑制遺伝子などに突然変異を起こし、発ガンの引き金になっている可能性の高いことを、人体組織の研究で突き止めた」
と報道しました。
病気の原因の残り10%はウィルスなどによって引き起こされる病気です。ですからほとんどの病気の原因が活性酸素が関係しているということができます。
活性酸素が関与している病気
老化,ガン,白内障,リウマチ,糖尿病,膠原病,農薬中毒,心筋梗塞,脳卒中,動脈硬化,歯周病,てんかん,放射線障害,アトピー性皮膚炎,胃・十二指腸潰瘍,パーキンソン病,脂肪肝,小児喘息,腎臓炎,子宮筋腫,生理不順,花粉症,川崎病,インポテンス,アルツハイマー痴呆症など
◎活性酸素の主な発生原因
・ストレス
・タバコ
・細菌、ウイルス
・アルコール
・紫外線、放射線
・大気汚染
・残留農薬
・抗がん剤などの薬剤
・はげしい運動
活性酸素が引き起こす病気の代表例
障害組織
代表的疾患
循環器
心筋梗塞、不整脈、動脈硬化、血管痙攣、虚血再循環傷害、Se欠乏症
呼吸器
肺炎>、感染症、肺繊維症(制癌剤副作用)、ARDS、パラコート中毒、喫煙障害、肺気腫、インフルエンザ
脳神経系
>脳浮腫、脳梗塞、脳出血、脳血管萎縮、パーキンソン病、自律神経障害(Reilly現象)、遅発生神経障害、脊髄損傷、神経現性肺浮腫
消化器
急性胃粘膜障害、胃潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、肝炎、肝硬変、薬物性肝障害、肝移植病態、各種の黄疸病態
血液系
[白血球系異常]慢性肉芽腫症、白血病、AIDS、敗血症
[赤血球系異常]ヘモグロビン症、ヘモクロマトーシス、プリマキン過敏症、夜間発作性血色素尿症、アカタラセミア、他の血液成分:α1-酸性蛋白の障害、高脂血症、DIC、血小板異常症、出血性ショック
内分泌
糖尿病、副腎代謝障害ストレス反応
皮膚
火傷、日光皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚潰瘍
支持組織系
間接リュウマチ、自己免疫疾患、膠原病
眼科
未熟児網膜症、網膜変性白内障、角膜潰瘍
環境汚染性疾患
重金属障害、水俣病、シリコーシス、喘息、排気ガス性肺障害、水汚染による各種中毒
泌尿器
糸球体腎炎、溶血性腎障害、薬物性腎障害、制癌剤の副作用
フリーラジカル 近藤元治著(メジカルビュー牡)より
活性酸素が引き起こす病気の代表例
アトピー性皮膚炎
脳血栓
十二指腸潰瘍
パーキンソン病
ベ-チェット病
肝硬変
肝 炎
薬物性肝障害
腎 炎
紫外線障害
放射線障害
膠原病
川崎病
凍 傷
クロ-ン病
胃潰瘍
慢性胃炎
糖尿病
多臓器不全
高脂血症
高血圧症
動脈硬化
白血病
花粉症
喘 息
貧 血
感染症
歯周病
てんかん
白内障
ガ ン
狭心症
心筋梗塞
脳卒中
脳梗塞
アルツハイマー病
肺気腫
痛 風
便 秘
未熟児網膜症
リューマチ
シ ミ
ソバカス
熱 傷
浮 腫
有益情報リンク
SODと活性酸素
身近な脅威 ~活性酸素~
体内抗酸化物質がなぜ消耗するのか
--*活性酸素の対策 *--
活性酸素から身を守るスカベンジャー
活性酸素の定義「酸素の反応性が主役になるような化学物質」。
狭い意味での活性酸素は
1.スーパーオキサイド
2.過酸化水素
3.ヒドロキシルラジカル
4.一重項酸素
の4種類です。
健康管理上、問題になるのは、余剰の活性酸素です。
除去システムとして、ペルオキシゾームにはカタラーゼ、ミトコンドリアにはSODが用意されています。 前者では過酸化水素が、後者ではスーパーオキサイドが発生します。余剰が害を及ぼさないように、スカベンジャー(除去物質)が、用意されていることになります。
中年を過ぎるとスカベンジャーの生産が減っていくといわれています。
活性酸素過剰の最大の原因は、ストレスだということを忘れてはいけない。
私たちがもっているスカベンジャーの筆頭は「SOD」です。スーパーオキサイドを専門に除去する酵素です。
活性酸素から身を守るスカベンジャー
スカベンジャーとは活性酸素の攻撃から身を守るはたらきをする物質のこと。抗酸化物質とも言われている。体内で作られる酵素と、身体の外から取り入れる物質の2種類がある。
体内で作られる「酵素」
食物が吸収されやすい物質に消化(分解)されるのも、生きていくエネルギーを作るのも、生命の営みのほとんどが、分子レベルの化学反応の組み合わせ。各器官では、必要な化学反応を起こすための酵素が作られている。体内で作られるスカベンジャーも酵素の一種だ。活性酸素と結びついて、害の少ない物質に変化させる。代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンなどがある。
体外から取り入れる物質
スカベンジャーの役割をしてくれる物質は、食物にも含まれている。例えば、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、ビタミンB群など。このほか赤ワインやココアなどにも活性酸素による酸化をおさえる物質が含まれている。
スカベンジャーがはたらくメカニズム
スカベンジャーは何種類も存在するが、それぞれが独自に活性酸素を無害化しているわけではない。お互いの不足部分を補いつつ、図のような順で活性酸素を変えていくのである。活性酸素から身を守るためには、体内で作られる酵素だけに頼るのではなく、スカベンジャーを含む食物をバランスよくとる必要があるのだ。
有益情報リンク
SODと活性酸素
身近な脅威 ~活性酸素~
体内抗酸化物質がなぜ消耗するのか
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以下の項目は「US HEALTH NEWS」より転載
★体は健康を望んでいます。免疫システムは、戦闘態勢に入るため防衛戦隊一団を装備し、感染による菌の侵入を感じるとすぐに力を結集、抵抗を開始するのです。
小っちゃなトゲが親指に刺さった時のことを考えてみてください。夜寝る頃、その傷は赤く腫れ上がっています。そして、朝になって白血球が戦闘を開始すると、その防戦の表れとして傷が熱くひりひりしてくるのです。もう一度夜を迎える頃には、小さなトゲが、その免疫システムの兵士たちの力によって、指の表面に持ちあがって来ています。こうして外部からの攻撃者はさっさと追放されるのです。
免疫システムは、感染や風邪、インフルエンザ、がんなどから体を守る役目を背負った全くもって複雑なメカニズム。このメカニズムは、輸送機関や伝達者が作り上げたこみいった安全装置や記憶ユニットで強化されたネットワークと同じ様なもので、変化する特異な難局に対応しつづけているのです。
自然療法医のマイケル・T・ムーレー(Michael T Murray)博士とジョセフ・E・ピゾルノ(Joseph E. Pizzorno)氏は『Encyclopediaof Natural Medicine(Prima)』の中で「免疫システムのサポートは健康に重要なこと。反対によい健康状態が免疫システムを維持するために欠かせない」と述べています。免疫システム維持には総括的なプログラムが肝心ですが、それには食生活全般、強い回復力、このエネルギー組織の明白で特異な要求にぴったりはまる活動や栄養素を促進するフィットネスなどが含まれます。
免疫維持に必要なスターたちには - 高い効率性を誇るミネラル配合総合ビタミン剤、ビタミンC、ビタミンA、バイオフラボノイド、イソフラボン、亜鉛、セレニウム、ActiVin(ブドウ種エキス)やピクノジェノール(フランス海洋松の樹皮)のような抗酸化剤、さらにハーブのエキナセア、レンゲソウ - があります。しかし、免疫システムとの一致協力による効果はその働きを十分に理解することで得られるのです。
★ビタミンAを地道に摂取することができた人には、最高得点のA評価をあげましょう。この複雑で効能のあるビタミンAという化合物は、様々な形や機能をもち、常に論争の的にもなっています。ビタミンAというのは、実際はレチノイドと呼ばれる天然分子群、あるいはプレフォームド・ビタミンA(ビタミンAの前段階で生産されるもの)の総称なのです。カロチノイドはビタミンAの前駆物質であり、体内でビタミンAに変化します。その最も有名なのが、強力な抗酸化物質であるベータカロチンです。
1913年、科学者達はビタミンAが発育促進に大きな役割を果たしているに違いないということを確認しました。さらに1930年までには、このビタミンAという栄養物が、健康と幸福をもたらすのではないかと考えるようになりました。
『抗伝染性ビタミン』とも呼ばれたこのビタミンAは、免疫システムと抗癌力の強化-さらにはもしかすると癌の後退促進に至るまで-に重要な役割を担っているのではないかということで、昨今再び科学者達の 関心を集めています。(『Clin Inf Dis』19, 1994:489-99による。)
ビタミンAは、夜盲症や他の眼病の予防に効き、骨の発育や健康な皮膚の維持を促進し、風邪や多くの呼吸器系の病気に対する予防効果もあります。医師達は、特に心臓血管の病気治療における効果を評価しています。
★有害なフリーラジカルは、細胞を破壊する反作用性のある分子であり、血圧を引き上げます。しかし、ビタミンCや自然のビタミンEには、その上昇した血圧を下げる効果があるようです。自然のビタミンEがたっぷり含まれた食事をよく食べたりビタミンC配合の水を飲んでいると、自然の抗酸化物質グルタチオン値が低い場合でも、血圧が下がることが判明しました。
★偉大なるZ - つまり亜鉛(Zinc)。それは、栄養について記事を書く人々がいまだに使う不滅の古臭いしゃれ「Aから(Zならぬ)Zincまで。」に登場するミネラルです。また、(海やプールの)ライフガードの人たちが鼻の頭やレイバンのサングラスの下にキザっぽく(いやはやこれは嫌みですが)、たっぷりと塗るミネラル軟膏のことです。このミネラルは貴方の健康にとって、きわめて重要な、そして非常に多くの役割を果たしており、以下においては必須のものなのです。
1. 蛋白質の合成やコラーゲンの形成
2. 丈夫な免疫システムと傷の治癒のメカニズム
3. 前立腺の働きや生殖器の成育
4. 味覚や臭覚
5. 骨の形成
6. 化学物質によるダメージを受けない強健な肝臓機能
7. ビタミンEやAの吸収作用やインシュリンの有効性
8. 遊離基(フリーラジカル)に抵抗したり、重要な酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)に含まれる成分として、組織を酸化する物質と戦う際、亜鉛は、言うなれば勤勉な都会人といったところです。そして臨床試験の見事な系譜がその評判を高めています。亜鉛は、咽喉の炎症の緩和と治癒の力をもつ点で恐らく最も知られており、風邪やヘルペス、単体ウィルスに対して(甘味入りの)錠剤の形で効くということが科学的研究によって証明されています。(Annuals Intern Med 125, 1996:81-8より)
最近の最も注目すべき研究では、年配の人々にとって、亜鉛は特に重要なものであるということが明らかになりました。年配の人々の免疫反応や呼吸器感染からの回復は、亜鉛やセレニウムを少量補給することによって目立って改善されたのです。
★セレニウムは有名な抗酸化剤であり、また抗癌性のミネラル(無機物)です。そして更に、細胞膜を破壊し蛋白質の突然変異を起こすフリーラジカル(遊離基)による破壊を受けやすい細胞を守ってくれます。セレニウムの出所は一般にはあまり知られていません。実は、動物や穀物を育む大地がまさにそのセレニウムの源泉なのです。大地に含まれたセレニウムが枯渇すると-アメリカの農地がしばしばそうであるように-体内に蓄積されたセレニウムの量は減少します。
次に挙げる二つの主要な機能を促進するには、セレニウムの供給量の適切な維持が極めて重大な意味をもちます。
1.白血病はもとより、各種の癌性腫瘍が組織されることを防ぐ。
2.心臓や肝臓の健康をサポートする。
セレニウムは、フリーラジカルと戦う力強い物質である補酵素のグルタチオンペルオキシダーゼの活性化を促進します。セレニウムとビタミンEは(場合によってはビタミンAも)体内に抗体を生成しようと相互に作用しあうのです。身体の全ての組織はセレニウムを含んでいます。とりわけ豊富に含んでいるのが腎臓、肝臓、脾臓、膵臓、そして精巣です。研究者達は、実験動物において癌の発生率と成長速度を抑えるセレニウムの効能に関する広範囲にわたる大量の資料を集めました。そして重大な研究結果として、セレニウムの多い地域、セレニウムの多く含まれた食品、そして体内におけるセレニウムの蓄積が多い人々、これらと癌の危険性が低いこととは互いに関係があるということがわかったのです。(『Seminars in Oncology 10(腫瘍学研究10)』1983年9月号:305-310による。)
疫学者達 ― 多くの集団を研究する科学者達 ― は、セレニウムの欠乏は不治の癌の発生率を高めるということを決定的に証明したのです。
--* 活性酸素の分子病態学 *--
活性酸素の分子病態学ー環境変異原の立場から
東京薬科大学薬学部
菊川 清見
酸素は生体にとって必須な因子であるとともに傷害因子としてはたらく。酸素は、細胞内でエネルギー産生のため使われるが、ミトコンドリア(NADH脱水素酵素)では一部の酸素が一電子還元を受けててO2-を発生し、これから金属イオンの作用によってH2O2やより活性の強いOHラジカルが生じる。これらは化学反応性が強いため活性酸素 (reactive oxygen species、ROS)と呼ばれる。薬物代謝時のミクロソーム(NADPHシトクロム還元酵素)、殺菌時の好中球(NADPH酸化酵素、ミエロペルオキシダーゼ)、虚血再潅流時の細胞(キサンチン酸化酵素)においても ROS が発生する。また、EDRFのNOは酸素やO2-と反応して、化学反応性の強い NO2 、N2O3、ONOO-などの活性窒素(reactive nitrogen oxide species、RNS)を生じる。これらROS、RNSは無差別的に体に傷害を与え、老化、動脈硬化、心疾患、炎症、がんなどの発症に関与していると考えられている。
ROS、RNSによる傷害はDNA、タンパク質、リン 脂質に起る。DNAの傷害は細胞のがん化につながると考えられ、自由食による酸素消費量が多いラットは食餌制限による酸素消費量が少ないラットに比べて、核やミトコンドリアのDNAの傷 8-oxoguanineが多いことが分かっている。タンパク質の傷害は変性をきたしてその機能が失われる。リン脂質の傷害は、動脈硬化の発症に関わる説があるが、むしろ リン脂質が傷害を受けることによって、DNAやタンパク質の傷害を守っているとも考えられる。
ROS の消去システムとしてSOD、catalase、GPx、活性化阻止システムとして ferritinがある。また、二次的な防御システムとして、傷害DNA、傷害タンパク質、傷害リン脂質の修復酵素系がある。リン脂質は、その傷害をくい止める抗酸化剤(vitamin E、vitamin C、catechin、flavonoid)と生じたヒドロペルオキシドを分解する酵素群 (PLA2、GPx、GR、G-6-PDH)がある。これらのシステムが複雑に機能して、ROS、RNSによる傷害から守るはたらきをしていると考えられる。
生体では、酸素消費量の昂進あるいは薬物の代謝によって防御系の処理能力を超えるROSが増産された場合、または防御系が欠落している場合に、ROSによる病態が現れることになる。環境変異原として、見過ごすことができないものに抗酸化剤がある。これらの一部は酸素を一電子還元して O2-を発生し、酸化剤としてはたらくことである。抗酸化剤としてはたらくか、酸化剤としてはたらくかは、その環境によって異なるようである。また、環境変異原の研究においても、大気の酸素分圧 (160 mmHg) 下で行う試験管内の反応結果を生体の細胞内 (1 mmHgの酸素分圧) の反応として解釈するのは十分な注意が必要である。
活性酸素による突然変異誘発機構
東北大学大学院生命科学研究科 分子生命科学専攻
布柴達男
活性酸素によるDNA損傷や突然変異は、
Fe(III) + O2- → Fe(II) + O2
Fe(II) + H2O2 → ・OH + OH- + Fe(III)
といういわゆるHarber-Weiss/Fenton反応により生じる・OHのDNAやヌクレオチドの酸化によると考えられている。このことはin vitroのモデル実験では、証明されているものの、細胞レベルの突然変異誘発機構については明らかではなく、細胞内でも同様のHarber-Weiss/Fenton反応により鉄依存的に・OHが生成するかを実際に測定した例はこれまでにない。また、もし細胞内でもこの反応により生じる・OHが自然突然変異の原因となるとすれば、活性酸素の細胞内レベル同様、鉄含有量も自然突然変異頻度に影響を及ぼす重要なfactorとなると思われる。しかしながら、鉄の取り込み調節機構がDNA損傷や突然変異の抑制の立場で重要であるかどうかについてはほとんど知られていない。
我々は「細胞内で生じる活性酸素と細胞内に取り込まれた鉄がin vitroのモデル実験のようにFenton反応の原因となり自然突然変異の原因となるか」あるいは「自然突然変異の抑制に鉄の取込み調節機構がいかに関わるか」を、大腸菌を用い、微生物遺伝学的にまた生化学的に解析を行った。その結果、大腸菌のSOD欠損と鉄の過剰取り込み変異の二重変異株が高い自然突然変異率を示し、代表的な活性酸素による塩基損傷である8-oxoGや8-oxodGTP、2-oxodATPに起因すると思われるGC→TAとAT→CGが極めて高頻度に生じることを見いだした。また、EPR法を応用し、この変異細胞内で確かにより高濃度の・OHが生成されていること、さらに、GC/MS法により、そのgenomic DNA中の典型的なDNA酸化損傷含有量が野生株やsodAB 株に比べ増加している一方で、活性酸素とは無縁といわれている塩基損傷のキサンチン量には差がないことなどを確認した。これらの結果はいずれも、通常の条件で培養された細胞内でも、SOD欠損と鉄の過剰取り込み変異により細胞内O2-量と鉄イオン量が増加すると、Harber-Weiss/Fenton反応を通して・OHが生じ、それに由来してDNAの酸化損傷が生じたことを強く示唆しており、前述の自然突然変異の著しい上昇の原因として注目できる。また逆に、SODやFurによる細胞内のO2-レベルや鉄含有量の調整は、自然突然変異の抑制に極めて重要に働いていると結論出来る。
また講演では、SOD欠損と鉄の過剰取り込み変異により生じた・OHのターゲットはDNAかそれともヌクレオチドか?についても考察したい。
ヌクレオチド除去修復で修復されるDNA酸化損傷とその生物学的意義
大阪大学細胞生体工学センター
倉岡 功
生体内で生じた活性酸素は種々多様な経路によってその生命の遺伝情報を担うDNAに損傷を与える。これらの損傷は細胞死や突然変異を誘発し、多くの疾病、遺伝病、発癌、老化そして最終的には生物個体の死をもたらす可能性をもつが、生物はこれらの損傷を除去し、遺伝情報を安定に維持するDNA修復系をもっている。塩基除去修復(base excision repair: BER)機構は特に活性酸素等により生じたDNA損傷を効率良く修復できる重要なDNA修復機構の一つとされている。
一方、活性酸素により生じたDNA損傷の中に、RおよびS形の光学異性体をもつサイクロプリンというものが存在する。この基本的な化学構造はアデニンもしくはグアニンのC-8とデオキシリボースの5’とが同じ分子内で共有結合クロスリンクされ、環状構造を構成している。この損傷はバクテリアおよびヒトのポリメラーゼのDNA伸長反応を阻害することから細胞内で致死に働くことが示唆されている。
我々はこのサイクロプリン損傷がどのように生体内で除去されるかを調べるために、化学合成によりRおよびS形のサイクロプリンアデニンを含んだオリゴヌクレオチドを作成した。このオリゴヌクレオチド基質をヒト細胞抽出液と反応させて、塩基除去修復における塩基切断過程(グリコシダーゼ活性)よって修復する可能性および未知の特異的な酵素によって損傷を可逆反応によって修復する可能性を検討したが、どちらも有為な除去切断反応は見られなかった。
そこで次にヌクレオチドレベルで修復することができるヌクレオチド除去修復 (NER)機構よって、サイクロプリン損傷が除去される可能性を検討した。NERによるDNA合成反応を調べるため、RおよびS形のサイクロプリンアデニンをプラスミドDNAの特異的位置に挿入し、ヒト細胞抽出液と反応させた。その結果、RおよびS形ともに効率が非常に低いが修復反応が観察された。さらにNERの蛋白質のひとつXPAに依存して、サイクロプリン損傷を含むヌクレオチドが両鎖切断反応によって除去されていることがわかった。
NER機構に異常をもつヒトの常染色体劣性遺伝疾患として、色素性乾皮症(XP)が知られている。この患者は精神神経症状を呈し、紫外線に対し高感受性で、皮膚癌を多発するとされている。この化学的に安定に存在するサイクロプリン損傷が、XP患者の生体内の複製しないDNA上に何年ものゆっくりとした割合であっても蓄積してゆくことが可能性として考えられる。この活性酸素により生じるサイクロプリン損傷の蓄積はXP患者の精神神経症状を説明する一つの要因かもしれない。
酸化塩基損傷の除去修復酵素の基質特異性と作用機序
広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻
井出 博
好気的代謝や放射線により生成する活性酸素はDNAに損傷を誘発し,これが適切に修復されないと,突然変異や細胞死が起こる.活性酸素により塩基部位に生じる酸化損傷は構造的に極めて多様性に富むことが明らかにされているが,これらは主にN-glycosylase/AP lyase活性を持つ塩基除去修復酵素によりDNAから除去される.大腸菌では,酸化塩基損傷の修復に関わる修復酵素として,ピリミジン損傷を認識するEndonuclease (Endo) IIIとEndo VIII,プリン酸化損傷を認識するFormamidopyrimidine glycosylase (Fpg)が同定され,詳細な生化学的ならびに遺伝学的解析に基づき遺伝情報維持における役割が明らかにされている.近年,Endo IIIおよびFpgの哺乳類ホモログとして,それぞれNTH1およびOGG1がクローニングされた.さらに,NTH1 (Kobayashi et al., 1999)およびOGG1 (Klungland et al., 1999; Minowa et al., 2000)の機能解析を目的にノックアウトマウスが作製されたが,現在報告されている限りでは発癌率の上昇等の明瞭な表現型は現れていない.したがって,NTH1やOGG1の遺伝情報維持における役割についてはさらに検討が必要である.本研究では,NTH1・OGG1の遺伝情報維持における役割を生化学的な視点から検討するために,両酵素の基質特異性と作用機序を調べ,その結果を大腸菌ホモログ(Endo III, Fpg)と比較した.
NTH1は,ピリミジン損傷(thymine glycol (TG), dihydrothymine (DHT), urea, 5-hydroxyuracil)を同程度の効率で認識した.Endo IIIもこれらの損傷を認識したが,DHTに対する活性(Vmax/Km)は他の損傷に比べ約300倍低かった.したがって,両酵素が認識する損傷は類似しているものの,そのスペクトルは完全には一致しないと考えられる.次に,NTH1のプリン損傷修復への関与を検討する目的で,グアニン由来の主要酸化損傷7,8-dihydro-8-oxoguanine (OG)およびformamidopyrimidine (FAPY)に対する活性を調べた.NTH1はOGをまったく認識しなかったが,FAPYに対しては本来の基質であるTGと同程度の活性を示した.一方,Endo IIIのFAPYに対する活性は極めて低く,TGの約1/20であった.したがって,大腸菌では従来からから考えられているようにFpgがFAPY修復を行うが,哺乳類ではFpgホモログであるOGG1のほかにNTH1が関与している可能性が高い.
OGG1はFpgと同様に,OGおよびFAPYを認識したが,鎖切断のモードは両酵素で異なっていた.Fpgの鎖切断モードはd-脱離であるのに対し,OGG1はb-脱離でありNTH1やEndo IIIと同じだった.また,OGおよびFAPY修復活性に対する対合塩基の影響を検討したところ,OGでは明確な対合塩基依存性が認められたが,FAPYでは認められなかった.OGの場合,DNA複製エラーにより生じたOG:Aペアの誤った修復を防ぐために対合塩基の識別が必要があることが明らかにされているが,FAPYではなぜこの識別機構が働かないのか,さらにその生物学的意味について現在検討している.
ラット鉄発癌の分子機構と標的遺伝子
京都大学大学院医学研究科 基礎病態学講座病態生物医学専攻
豊國 伸哉
細胞内環境において、「フリーラジカル・活性酸素による負荷から、抗酸化酵素・抗酸化分子などによる防御・消去・修復作用をさしひいたもの」は酸化ストレスとして定義される。私たちは、鉄ニトリロ三酢酸 (Fe-NTA) によるラット腎発がんを酸化ストレスによる発がんモデルとして位置づけ研究を重ねてきた。このモデルの特徴は、腫瘍が上皮性、転移・浸潤が高率、鉄を介した酸化ストレスが種々の方法で実証されているという3点である。このモデルにおいて標的遺伝子は存在するのかという命題に対し遺伝学的なアプローチを行った。F1動物で Fe-NTA 投与により腎癌を作製し、ほぼすべての染色体領域について適当なマイクロサテライトマーカーを選択しゲノムスキャンすると、ラット染色体5番と8番に限り、数個の連続したマイクロサテライト領域に渡り loss of heterozygosity を見いだした。この結果とゲノムデータベースの比較から、私たちはFe-NTAの主な標的遺伝子のひとつがp15/p16癌抑制遺伝子であることを見いだした。更に、この標的遺伝子に起こる変異のほとんどは点突然変異ではなく欠損であり、5'プロモーター領域のメチル化も高率に起こっていた。p15/p16 遺伝子の欠損はヒトで多種類の悪性腫瘍で認められるものの、培養細胞ではない動物の腫瘍における報告例としてはこれが初めてのものであった。フリーラジカルの反応は免疫反応と性質を異にし、特異性がなく近傍のどんな分子とも反応するのが特徴である。したがって、活性酸素による発がんの際には種々の遺伝子が均等に傷害を受けるだろうとの予測がなされていたが、私たちのデータは思いがけずこの仮説に反するものとなった。この現象が p15/p16 遺伝子の染色体位置や核内構造に依存したものなのか、あるいは細胞の選択が発がん過程で生じたのかは現時点ではまだ明らかでなく、今後追究していきたいと考えている。また、この腫瘍における遺伝子の発現変化の追究と酸化ストレスの病理標本上における可視化に関しても言及する。
参考文献:1. Toyokuni, S. Free Radic. Biol.Med. 20, 553-566 (1996). 2. Toyokuni, S. Pathol.Int. 49, 91-102 (1999). 3. Tanaka, T. et al. Oncogene 18, 3793-3797 (1999). 4. Tanaka T. et al. Am. J. Pathol. 156, 2149-2157 (2000).
連絡先:toyokuni@path1.med.kyoto-u.c.jp
核酸の酸化障害とその防御機構:発がんと神経変性への関わり
九州大学生体防御医学研究所 脳機能制御学分野
中別府雄作
生物にとって、その遺伝情報を担うゲノムDNAを細胞から細胞へ、親から子へと正確に伝え維持することは最も基本的な生物学的機能であるが、ゲノムDNAやその前駆体であるヌクレオチドは、酸素呼吸の過程で必然的に発生する活性酸素や生体防御のために生体が能動的に産生する活性酸素によって酸化される危険に常に曝されている。活性酸素に曝されたDNAやヌクレオチドプール中には種々の塩基あるいはヌクレオチドの酸化体が生じるが、このような酸化的DNA損傷は修復されないと突然変異を引き起こすことで細胞のがん化の原因となり、あるいは細胞死を引き起こすことで脳・神経変性疾患など多くの変性疾患の原因になると考えられる。このような考えに基づき、我々はヒト細胞から酸化DNA損傷の修復に関わる4つの遺伝子、・ 酸化プリンヌクレオシド三リン酸分解酵素をコードするMTH1遺伝子、・ 2-ヒドロキシアデニン/アデニンDNAグリコシラーゼをコードするMYH遺伝子、・ 8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼをコードするOGG1遺伝子、・ 第二のAPエンドヌクレアーゼをコードするAPE2遺伝子を同定し、その機能や発現の調節機構の解析を進めている(下表)。
本公開シンポジウムでは、これら4つの遺伝子産物の機能と細胞内局在の調節、ノックアウトマウスにおける自然発ガンの上昇、さらにヒト腫瘍や脳変性疾患での発現の変動などの最近のデータについて紹介し、発がんや神経変性疾患の発症に核酸の酸化障害関わる可能性を議論したい。
ミトコンドリア遺伝子変異の蓄積と老化
岐阜県国際バイオ研究所
田中雅嗣
我が国は世界でも稀にみる超高齢化社会に突入している。長寿を達成する実際的な方策は、動脈硬化、糖尿病、高血圧などの成人発症性疾患をいかに予防するかという点に集約される。成人発症性疾患は生活習慣病と呼ばれ、個人が生活習慣をいかに整え、疾患を予防するかという点が強調されているが、生活習慣病の発症と進展は、環境要因ばかりでなく、遺伝的素因の複合によっても規定されている。長い人類の歴史を通じてヒトの平均寿命は50歳以下であった。子供を産み終わり遺伝子を伝達した後にどのような疾患が現れようとも、種としての存続に何ら影響はない。生活習慣病はヒトの生物としての保証期間が切れた後に生じると言える。従って、多様な遺伝子多型が生活習慣病の背後に隠れている可能性がある。
エネルギー代謝の盛んな心筋ではミトコンドリアが細胞の体積の1/3を占める。ミトコンドリアDNA(mtDNA)は酸素代謝の場に置かれているため、活性酸素種によって損傷を受け、遺伝子変異が蓄積しやすい。ヒトのミトコンドリアゲノムは16569塩基対からなるが、イントロンがなく、全ての遺伝子が高発現している。細胞に2000コピーのミトコンドリアゲノムが存在すると仮定すると、3×107塩基対が機能している。核DNAは6×109塩基対であるが、エクソン部分は9×107塩基対である。mtDNAの進化速度は核DNAの約5~10倍であるので、mtDNAの多様性は核ゲノム全体の多様性に匹敵する。
MtDNAの塩基置換を43個体(0.7 Mb)において解析した結果、L鎖とH鎖の間で非対称的に変異が発生していることが明らかになった。ラギング鎖であるL鎖においてG→AおよびT→Cの頻度が高かった(Genomics 22: 327-335, 1994)。新規に合成されたリーディング鎖である娘H鎖によって押し退けられ一本鎖状態となった母H鎖上で、脱アミノによりC→UおよびA→Hx(ヒポキサンチン)が生じたために、母H鎖上でC→TおよびA→G変異が誘発されたと解釈できる。
遺伝子型が寿命に影響を与えている可能性を検証するために、百寿者のmtDNAの全塩基配列を決定し、百寿者において頻度の高い遺伝子多型Mt5178Aと、成人発症性疾患において頻度が高いMt5178C型を見いだした(Lancet 351: 185-186, 1998)。ミトコンドリア病の病因変異の発生に対する遺伝子型の影響を調べた。ミトコンドリア病患者群においてはMt5178A:C = 42:103であり、対照群におけるA:C = 277:356と比較して、有意にMt5178C型の頻度が高かった(p=0.0006)。Mt8993T→G変異(ATP6, Leu156Arg)およびMt8993T→C変異(Leu156Pro)は Leigh脳症の病因である。Mt8993T→G変異に基づく患者18例およびMt8993T→Cを有する患者3例の全例がMt5178C型であった。ヒドロキシラジカルはDNA合成の前駆体であるdGTPあるいはdATPを攻撃し8-OH-dGTPあるいは2-OH-dATPを生じさせる。T→G transversionはアデニンと8-OH-dGTPとの対合によって生じうる(A:T→A:8-OH-G→C:G)。2-OH-dATPはG:C→A:T transitionを誘発するのでMt8993T→C変異も説明しうる。Mt5178C型においてミトコンドリア内のヒドロキシラジカル産生が高い可能性が示唆された。一方、Mt5178A型はmtDNA変異発生抑制効果を有することが示された。
環境因子による酸化的DNA損傷とアポトーシス、がん、老化
三重大学医学部衛生学
川西 正祐
1. はじめに 我々は、常に環境中の化学物質や太陽紫外線などに曝露されている。これらの環境因子の中には、酸化ストレスとして各種疾病に関与しているものも多数存在する。特に、環境中や食品中には多数の発がん物質が存在することが明らかになっているが、発がん機構がいまだ明らかになっていないものが多い。また、酸化的ストレスによりDNAや蛋白質が損傷され、老化が進行するという仮説が提唱されている。我々は、環境因子による活性酸素の生成に注目し、発がんおよび老化機構の解明を行ってきた。本シンポジウムにおいて酸化的DNA損傷の発がんや老化における意義をアポトーシス誘導機構も含めて概説する。
2. 実験方法の原理 実験にはヒトがん原遺伝子 c-Ha-ras-1 およびがん抑制遺伝子 p53 やp16のホットスポットを含む約 100~400 bp の DNA 断片をサブクローニングにより多量に得た。その DNA 断片の5'末端を32Pで標識し、制限酵素で切断して一端のみが標識された単離 DNA 断片を調製した。Maxam-Gilbert法 を応用し、オートラジオグラムから DNA 損傷性とその塩基特異性を決定した。また、培養細胞を用いた実験においては、ヒト白血病細胞 HL-60 とそのカタラーゼ過発現株の HP100 を用い、アポトーシスや細胞内DNA損傷における活性酸素の関与を検討した。細胞内過酸化物量やミトコンドリア膜電位の変化は、それぞれに特異的な蛍光色素を用い、フローサイトメトリーにより検討した。
3. 酸化的DNA損傷と発がん 環境化学物質による発がん過程は、DNA付加体形成とDNA酸化損傷に大別される。職業がんの原因化学物質としてよく知られる芳香族アミノ化合物は、ベンゼン環が多くなるに従いDNA付加体を形成し、発がんの第1段階(イニシエーション)に関与する。しかし、我々は、ベンゼン環が一つのアミノ化合物であるオルトトルイジンはその代謝物が生体内物質存在下で酸化還元サイクルを形成し、酸化的にDNAを損傷することを明らかにした。また、食品加熱生成物ヘテロサイクリックアミンやアゾ染料等の多環式アミノ化合物は主としてDNA付加体を形成するが、そのN-ヒドロキシ代謝物は酸化的にDNAを損傷することを明らかにし、活性酸素を介して発がん過程の第2段階(プロモーション)にも関与する可能性を示唆した。
一方、ベンゼンは、Ames 試験では変異原性を検出できない発がん性環境化学物質である。我々は、ベンゼンの代謝物であるカテコール、ハイドロキノンおよび1, 2, 4-ベンゼントリオ-ルが生体内物質存在下において、酸化的に DNA を損傷する事を証明した。特に、生体内還元物質 NADH 共存下において、カテコールは、非常に強く DNAを 損傷した。この損傷機構として、カテコールの酸化生成物である1, 2-ベンゾキノンが NADH により速やかにカテコールまで2電子還元されるため(酸化還元サイクルの形成)、活性酸素が持続的に、多量に生成されることを明らかにした。また、HL-60 とHP100 細胞を用いた結果から、カテコールはH2O2の生成を介して細胞内 DNA を損傷することが認められた。これらのベンゼン代謝物、とくにカテコールは活性酸素生成を介して DNA 損傷を引き起こし、ベンゼンの発がん性に深く関与している可能性が明らかになった。その他のAmes試験陰性の発がん物質が同様に活性酸素生成を介してDNA損傷を起こすことも明かにしている。以上のように、Ames試験陰性の発がん物質は多くの場合、活性酸素生成を介してDNA損傷を起こすと考えられる。
発がん物質のトルエンやニトロベンゼンなどは生殖毒性をもたらすことが、最近明らかになっている。我々は、それらの代謝物であるメチルヒドロキノンやニトロソベンゼンが銅の存在下で活性酸素を生成し酸化的にDNA を損傷することを解明した。以上の結果から、発がん性を示す環境化学物質は、酸化的DNA傷害を介して生殖毒性も示す可能性があることが明らかになった。
4. DNA損傷とアポトーシス 細胞死のひとつであるアポトーシスは、発生、分化および発がんや神経変性疾患など様々な疾患の病態において重要な役割を果たしている。我々はこれまで環境因子や制がん剤によるアポトーシス誘導機構について研究を行ってきた。我々はベンゼン代謝物やスレオニンおよびグリシンの代謝物、マンノサミンなどのアミノ糖、食品添加物のジブチルヒドロキシトルエン、太陽紫外線(UVA)がヒト培養細胞において活性酸素生成や電子移動を介してDNA損傷およびアポトーシスを起こすことを認めた。一方、DNAアルキル化剤を用いてDNAを損傷した場合にもアポトーシスが誘導された。我々は、いずれのDNA損傷を介したアポトーシスの誘導過程においても、細胞内に活性酸素が生成され、ミトコンドリアの膜電位が低下して、カスパーゼ3が活性化されることを明らかにした。すなわち、DNA損傷を介するアポトーシスの誘導過程に活性酸素が重要な役割を果たしていると推察される。
5. 酸化的DNA損傷と老化 最近、染色体の末端部に存在するテロメア繰り返し配列 (5'-TTAGGG-3')nの短縮が老化のプログラムに関与するとの報告がなされている。我々は、生体内光増感物質存在下UVA照射により、テロメア繰り返し配列中の 5'-GGG-3' の中央の G に特異的に8-oxodGが生成することを見い出した。また、8-oxodG生成量を電気化学検出器付 HPLC で定量した結果、テロメア繰り返し配列を含む合成 DNA において 8-oxodG の増加を認めた。さらに、UVA 照射量に依存して、ヒト培養細胞中に有意に8-oxodG が増加すると同時に、テロメア繰り返し配列の短縮促進が認められた。また、酸化ストレス(H2O2やNO)により5'-GGG-3'配列中の5'側Gに8-oxodGが生成されテロメア繰り返し配列の切断が起こりやすくなることを解明した。UVAや酸化ストレスによるテロメア繰り返し配列の短縮促進が皮膚の老化促進に関与すると考えられる。
文献
酸化的DNA損傷と発がん
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酸化的DNA損傷と老化
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S. Oikawa, S. Tada-Oikawa and S. Kawanishi, Biochemistry, in press
参考文書★医療費を削減させるために予防法の充実を
●脂質と血栓の医学より「活性酸素」
(詳しい図解は↓WEBページをご覧ください。)
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm#活性酸素による障害
活性酸素
活性酸素は、血管を障害し、老化や癌化を促進する。
摂取カロリーを制限すると、活性酸素の発生量が減少する。
適度に、筋肉を使った運動をすると、生体内の活性酸素の除去能が高まる。
活性酸素は、脂質、特に、細胞膜のリン脂質を酸化(peroxidation)させたり、蛋白やDNAに酸化障害(oxidative damage)を与える。
活性酸素でも、スーパーオキシド(・O2-)は、酸化力は、低い。
ヒドロキシルラジカル(HO・)は、寿命は短いが、酸化力は、強く、特に、脂質を連鎖的に酸化させてしまう(連鎖的脂質過酸化反応)。
1.フリーラジカルとは
2.活性酸素とは
3.活性酸素による障害
4.体内にある活性酸素を分解消去する酵素
5.生物フォトン
1.フリーラジカラルとは
電子は、原子核(注1)の周りの電子軌道に、電子雲として、雲状に存在する(公転に相当するが、電子は、ラザフォード模型のように、核の回りを回っているのではない)。
電子は、「スピン」と呼ばれる角運動量(J)を持っている(自転に相当する)。
鉄、コバルト、ニッケルは、電子のスピン角運動量(J)のため、磁気モーメント(μ)を有しており、磁気が発生する(注2)。
電子の持つスピン角運動量(J)の量子数は、スピン量子数(ms)で表されるが、2種類に限られる:上向きの矢印(↑)で表されるスピン量子数(ms)=1/2のαスピンと、下向きの矢印(↓)で表されるms=-1/2のβスピンの、2種類が存在する。
電子は、2つの状態の内、いずれかの状態しかとることが出来ない(磁場中の粒子は、2つのエネルギー順位に分裂する)。
どんな軌道でも、電子2個までしか、同一軌道上に存在できない。その電子は、互いに逆のスピンを持っていなければならない。(Pauliの原理:パウリの禁止原理)
原子や分子は、ひとつの電子軌道に、互いにスピンの向きが逆の電子2ケ(1/2、-1/2)が、対(ペア)になって、存在していると、互いのスピンを打ち消し合い、スピン量子数(ms)は0となり、安定している。
なお、原子や分子の全ての電子軌道に存在する、全ての電子のスピン角運動量の合計が、0の場合は「一重項状態」、1の場合は「三重項状態」と呼ばれる。
一般に、「三重項状態」の方が、「一重項状態」に比して、より安定なエネルギー準位にある。
ひとつの電子軌道に、ひとつの電子しか存在しない時、その電子は、不対電子と呼ばれる。不対電子は、「・」で示される。
不対電子を有する、原子や分子(=フリーラジカル)は、他の分子から、電子を1ケ奪って、対になろうとする。そして、フリーラジカル、他の分子から、1ケの電子を奪って酸化させたがる。その際、フリーラジカル自体は、還元される。
一酸化窒素(NO)や塩素(Cl)も、フリーラジカル。
2.活性酸素とは
活性酸素(reactive oxygen species:ROS)とは、普通の酸素分子(O2)よりも活性化された状態の酸素分子とその関連物質を指す。
もともと、酸素原子(O)には電子が8ケあるが、最外殻軌道(L殻)に6ケの電子が存在している:酸素原子は、K殻の1S軌道に2ケ、L殻の2s軌道に2ケ、2p軌道に4ケの電子を有している。
L殻の6ケの電子の内、4ケの電子は、結合性の2つの軌道(πχ、πy)に、スピンが対(1/2、-1/2)になって存在している。しかし、2p軌道に存在する、残りの2ケの電子は、同じスピンの向き(1/2)のため、不対電子になって、反結合性の2つの軌道(πχ*、πy*)に入っている。
酸素分子(O2)では、酸素原子2ケに存在した計4ケの不対電子の内、酸素原子の共有結合に際して、2ケの不対電子は対をなすが、残りの2ケは不対電子のままである。
このように、酸素原子は、ビラジカル(・O-O・)だが、活性酸素ほど、反応性は強くない。
そのため、酸素分子の全スピン量子数は、1となる。
活性酸素分子種としては、
イ.ラジカル種
スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、ヒドロペルオキシルラジカル(HOO・)、アルコキシルラジカル(LO・)、アルキルペルオキシルラジカル(LOO・)、一酸化窒素(NO)、
ロ.ノンラジカル種
過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ペルオキシナイトライト(ONOO-)、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)、次亜塩素酸(HOCl)、オゾン(O3)、
などがある。
このうち、スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)は、狭義の活性酸素と呼ばれる( 「酸素および活性酸素の最外殻軌道の電子配置」の項を参照)。
活性酸素は、ミトコンドリアでのエネルギー代謝(電子伝達系)、炎症時の白血球、アラキドン酸代謝、心筋梗塞の虚血-再灌流、紫外線、タバコ、抗癌剤、除草剤、ストレス、などで生成される。
酸化とは、酸素と結合するか、電子を失う化学反応のこと。
活性酸素のうち、スパーオキシドとヒドロキシルラジカルは、1個の不対電子を有しており、フリーラジカルとして、他の分子から電子を奪って、酸化させる。
なお、水素原子(原子核1ケ、電子1ケからなる)も、k殻に不対電子を持っており、水素ラジカルで、H2の形で互いの電子を共有結合し、安定する。
a.スーパーオキシド(・O2-)
細胞内のミトコンドリアでは、内膜を電子が伝達される(電子伝達系)のと共役して、水素イオンが膜間スペース(膜間腔)に汲み出され、エネルギー(ATP)が産生される。
呼吸により取り入れた酸素分子(三重項酸素:3O2)は、ミトコンドリアの内膜の電子伝達系の複合体IVで、伝達された電子により、四電子還元され、水(H2O)が生成される。しかし、この際、数パーセントの酸素分子は、一電子還元され、スーパーオキシド(ス-パーオキシドラジカルアニオン:・O2-)も、生成されてしまう(注3):「・」は、不対電子が1ケあるという意味。なお、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体
スーパーオキシド(superoxide)は、白血球(好中球)内で細菌を殺す際に、生成される。
スーパーオキシドは、キサンチン酸化酵素によっても生成される。アロプリノールは、キサンチン酸化酵素(キサンチンオキシダーゼ)を阻害し、活性酸素の産生を抑制する(ラジカル産生抑制薬)。
赤血球のヘモグロビンの鉄と結合した酸素からも、スーパーオキシドが、生成されるという:
Fe2++O2→Fe3++O2-
フェントン反応で生じる三価の鉄イオン(Fe3+) は、スーパーオキシドにより還元され、Fe2+に戻る。
O2-+Fe3+→O2+Fe2+ (ハーバー・ワイス反応:Harber-Weiss reaction)
また、銅は、スーパーオキシドにより還元されたり、酸素を酸化させる。
O2-+Cu2+⇔O2+Cu1+
酸素分子(O2)は、不対電子を、2ケ有している。
スーパーオキシド(・O2-)は、酸素分子(三重項酸素)に、電子が1ケ入って、不対電子の数は、1ケに減っている。
スーパーオキシド(・O2-)は、多量に発生するが、酸化力は弱い。
スーパーオキシドは、特に、核酸と反応する。
スーパーオキシドは、ラジカルとしての反応性は低く、酸化障害に、重要な寄与は、しないと考えられている。
スーパーオキシドは、体内でスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)により、過酸化水素に代謝される:
2O2-+2H+→O2+H2O2
高脂血症や高血圧は、血管内皮細胞のスーパーオキシドの産生を増加させる。
スーパーオキシドは水溶性だが、連鎖的脂質過酸化反応に関与する。
NADPH酸化酵素(NADPHオキシダーゼ)は、血管内皮細胞の表面に存在し、種々の刺激で、容易に活性化され、スーパーオキシドを産生する。
ディーゼルエンジンの排気ガス粒子(DEP:Diesel-Exhaust-Particles)を吸入すると、肺の中で、スーパーオキシド(O2-)→過酸化水素(H2O2)-(フェントン反応)→ヒドロキシルラジカル(HO・)と反応が進み、肺が障害され、浮腫などが出来ることが、生体計測ESRで確認された。
b.過酸化水素(H2O2)
過酸化水素(hydrogen peroxide)は、酸化力は弱いが、安定していて、寿命が長い。
過酸化水素は、細胞中の鉄イオン(Fe2+)や銅イオン(Cu1+)などの触媒作用(金属イオンは、電子を供給する)で、ヒドロキシルラジカル(HO・)に変化する:
Fe2++H2O2 →Fe3++HO-+HO・ (フェントン反応)
Cu1++H2O2 →Cu2++HO-+HO・
過酸化水素は、鉄イオン媒介ハイパー・ワイス反応によっても、ヒドロキシルラジカル(HO・)に変化する。
O2-+H2O2→HO・+HO-+O2
過酸化水素は、ミエロペルオキシダーゼの作用で、さらに毒性の強い次亜塩素酸(HOCl)にもなる。過酸化水素と次亜塩素酸は、好中球で殺菌作用をする。
過酸化水素の標準酸化還元電位は、1.35と高く、電子を引き抜く作用があるが、酸化力は、酸化チタンよりは、弱い。
表1 活性酸素の酸化還元電位 名称 英語 記号 酸化還元電位(ORP)
ヒドロキシルラジカル Hydroxyl Radical ・OH 2.05
酸素原子 Atomic Oxygen O1 1.78
オゾン Ozone O3 1.52
過酸化水素 Hydrogen Peroxide H2O2 1.30
次亜塩素酸 Hypochlorous Acid HOCl 1.10
酸素分子 Oxygen O2 0.94
過酸化水素は、細胞膜を容易に通過する。
赤血球では、血漿中で生成された過酸化水素が、細胞膜を通過し、赤血球内の3価鉄の存在下、フェントン反応などにより、ヒドキシルラジカルに変化する。ヒドキシルラジカルは、細胞膜内側から膜障害を来たし、赤血球を溶血させると言う。
ウイルソン病では、血清銅は減少するが、遷移金属として作用する銅(アルブミンと結合している)は、増加している。2価銅は、生体膜蛋白のSH基により1価銅に還元される。1価銅は、安定な2価銅に戻る際に、酸素に電子を与えるので、スーパーオキシドが生成させる。スーパーオキシドは、(血漿中で)不均化反応により、過酸化水素になり、さらに、過酸化水素は、1価銅により、ヒドロキシルラジカルになる。
c.ヒドロキシルラジカル(HO・)
ヒドロキシルラジカル(hydroxyl radical)は、存在するのは100万分の1秒間(注4)と寿命が短いが、酸化力は強く、酵素蛋白質や細胞骨格蛋白質、脂質、糖質、核酸(DNA、RNA)、などと反応する。
ヒドキシルラジカルは、特に、脂質を連鎖的に酸化させてしまう。この連鎖的脂質過酸化反応を停止出来るのは、抗酸化物質の、ビタミンE。
ヒドロキシルラジカルは、過酸化水素がスーパーオキシドや金属イオンと反応して、生成される:
Fe2++H2O2→Fe3++HO-+HO・ (フェントン反応)
2分子のヒドロキシルラジカルは、過酸化水素に戻る:
・OH+・OH→H2O2
ヒドロキシルラジカルは、スーパーオキシドと反応する:
・OH+O2-→-OH+O2
ヒドキシルラジカルは、過酸化水素と反応する:
・OH+H2O2→H2O+HOO・
ヒドロキシルラジカルは、グルタチオンと反応して消去される:
・OH+GSH→H2O+GS・
グルタチオン(glutathione)は、アセチルシステイン(N-acetylcysteine:NAC)から合成される。N-acetylcysteineを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞が、活性酸素の障害作用から、防御される。N-acetylcysteineは、それ自身、抗酸化作用(antioxidant properties)がある。
また、機序は不明だが、パントテン酸(pantothenic acid)を投与して、細胞内のCoA量を増加させると、グルタチオン濃度が高まる。
ヒドキシルラジカルは、細胞膜を構成する脂質と反応し、過酸化脂質が蓄積する(連鎖的脂質過酸化反応)。
過酸化脂質自体にもラジカル作用があり、他の物質を酸化させる。
d.一重項酸素(1O2)
一重項酸素の生成には、まず、基底状態の酸素分子(三重項酸素、3O2)が、光などのエネルギーを吸収し、励起状態になり(電子遷移)、反結合性の軌道(πy*)の不対電子1ケ(1/2のスピン)が、スピンの向きを変える(-1/2のスピンになる:スピン反転)と、3Σg+の一重項酸素になる。
さらに、3Σg+の一重項酸素では、速やかに、反結合性の軌道(πy*)の不対電子(-1/2のスピン)が、別の軌道(πχ*)に入る。そして、別の軌道(πχ*)に存在した、異なるスピン(1/2のスピン)の不対電子と、対になって、互いのスピンを打ち消すようになったのが、1⊿gの一重項酸素。通常の反応に関与するのは、1⊿gの一重項酸素で、三重項酸素(基底状態の酸素分子)より、94.1KJ/mol、エネルギー準位が、高い。
スーパーオキシドが、電子を受け取って生じるのに対して、一重項酸素は、エネルギーを吸収して、生じる。
一重項酸素は、不対電子を持たないが、「空の軌道」(πy*)が、2ケの電子を強く求めるため、強力な酸化力を発揮する。
一重項酸素は、不飽和脂肪酸と反応して、過酸化脂質を生じる。
一重項酸素は、皮膚で紫外線が当たる際に発生し、コラーゲンやエラスチンなど皮膚の若さを保つ蛋白を破壊する(注5)。
一重項酸素は、電子を奪って、スーパーオキシドになる:
A+1O2→A++O2-
一重項酸素は、再び、基底状態の酸素(三重項酸素)になる時に、近赤外領域の波長(1.27μm)で発光する。
一重項酸素は、抗酸化物質でも、カロテノイドが消去する。
カロテノイドには、細胞膜で作用するカロテノイド(リコピン、α-カロテン、β-カロテン)と、細胞内で作用するカロテノイド(ルテイン)が、存在する。
食事から摂取したカロテノイドは、細胞(細胞膜や細胞内)に移行し、1~2日間、活性酸素(一重項酸素)の消去に有効と言われる。
β-カロテンは、紫外線により発生する一重項酸素を消去し、皮膚のシミなどを改善・予防する。ニンジンは、茹でると、β-カロテンの腸からの吸収が高まる。茹でたニンジンを摂取した場合、生のニンジンを摂取した場合に比して、血中のβ-カロテン濃度は、高い:摂取6時間後で平均1.4倍、摂取8時間後で平均1.6倍、血中のβ-カロテン濃度が、高い。ニンジンを茹でたジュース(果汁)を飲むと、皮膚のシミが、改善する。
一重項酸素の消去には、ビタミンCやビタミンEは、有効でない。
3.活性酸素による障害
a.過酸化脂質
脂質は、細胞膜の主成分であり、また、血液中ではLDLなどのリポ蛋白として運搬される。
脂質は、活性酸素(特に、ヒドロキシルラジカル)により酸化変性され、過酸化脂質が生じる。
過酸化脂質により、細胞膜機能が変化したり、細胞が障害される。また、他の蛋白が酸化される。
過酸化脂質が増加した酸化LDLは、血管内皮細胞を障害し、動脈硬化を来たしたり、血栓を作りやすい体質にする。
年をとったマウスの脳や肝臓には、若いマウスの数倍の過酸化脂質が蓄積されている。
b.酵素活性の低下
ヒドロキシルラジカルにより、酵素蛋白が酸化変性される。
酵素蛋白が酸化変性すると、酵素活性が低下し、熱に対して不安定になり、細胞の機能が低下する。
活性酸素によりアミノ酸が酸化されて生じるカルボニル化合物の量は、老化とともに増えることが、マウスの脳や腎臓や肝臓、ヒトの脳や眼の水晶体で、観察されている。
c.動脈硬化や、心筋梗塞あるいは脳梗塞の発症
ヒドロキシルラジカルや一重項酸素により、不飽和脂肪酸が酸化変性される。
酸化された不飽和脂肪酸を含む酸化LDLは、血管内皮細胞を障害し、動脈硬化を来たしたり、血栓を作りやすい体質にする。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞が発症する。
(ただし、酸化LDLに含まれる過酸化脂質は、生体内で活性酸素が原因で生成されるものよりも、食事由来のものもあると思われます。)
d.発癌
すべての活性酸素は、核酸を障害する。
細胞は、DNAが酸化され、障害を受けると、癌化したり、細胞死に陥る。
抗酸化物質は、発癌を抑制する。
なお、ニトロサミン(ニトロソアミン)などの発癌物質は、直接的ないし間接的にフリーラジカルを生成する。
e.老化の促進
DNAの塩基G(グアニン)が酸化されると、OHGと言う物質が生じる。
OHGの細胞内の量は、核よりミトコンドリアに多い。
脳や肝臓や心臓に含まれるOHG量は、年をとったマウスの方が、若いマウスより、多い。加齢により、活性酸素によるDNA障害が蓄積するものと考えられる。
f.寿命の短縮
活性酸素は、一回の細胞分裂当りのテロメア短縮を大きくし、細胞の分裂回数を減らすので、寿命が短くなる(注6)。
カロテノイドを多く含む緑黄色野菜の摂取量が少ないと、活性酸素により、テロメアが早期に短く切断され、老化が早まると言う。
g.白内障
ブドウ糖(グルコース)は、眼の水晶体の中で、sorbitol pathwayで代謝される。糖尿病で水晶体内のブドウ糖濃度が高いと、アルドース還元酵素(aldose reductase:AR)により還元されて生成されるソルビトールが増加して蓄積し、糖尿病性白内障になる。もう一つは、糖尿病で過酸化脂質が沢山生成されるのが原因でなる白内障で、ビタミンEが、ある程度、効果がある。
糖尿病などで、高血糖状態が続くと、ミトコンドリアの電子伝達系を介して、活性酸素(ROS)が、多く産生される。
老人性白内障も、過酸化脂質の増加が原因である。過酸化脂質の増加には、活性酸素が影響している。
h.皮膚のシミ(褐色顆粒)
細胞内のリソソーム(lysosome:注7)の膜の不飽和脂肪酸が、活性酸素で酸化されて生じる過酸化脂質(と蛋白質の複合体)が、リポフスチンとして蓄積すると、シミになる。
i.アルツハイマー病
活性酸素によりアミノ酸が酸化されて生じるカルボニル化合物の量が、アルツハイマー病の患者では多いという。
なお、神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、Aβ(アミロイドβ蛋白)が、脳内で重合(凝集)し易くなり、脳内に蓄積し、アルツハイマー病(痴呆症、認知症)を来たすと考えられる。
j.レッドクス制御
細胞質内では、NFkB(nuclear factor kappa B:免疫グロブリンk鎖遺伝子発現のエンハンサーのB断片、NFkB(NF kappa B)は、IkB(inhibitor kB)と結合している。
活性酸素は、PKC(キナーゼC)、PTK(protein tyrosine kinase:細胞質型チロシンキナーゼ)、セリンキナーゼを活性化させ、NFkBとIkBの結合を解離させ、遊離したNFkBは、核内に移行し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-2など)、NO(iNOS)、T細胞受容体、MHCなどの遺伝子を活性化させる。
IL-1βは、NFkBの発現を介して、COX-2と、EP3受容体のmRNAの発現を、増加させる。COX-2により産生されたPGE2は、EP3受容体に結合し、cAMPを低下させ、ブドウ糖によるインスリン分泌を、抑制する。
k.腎障害
腎臓では、活性酸素(スーパーオキシド)は、NADPHオキシダーゼ、あるいは、ミトコンドリアで、産生される。
腎臓では、NOが、L-アルギニンから、eNOSにより、生成される。NOは、血管を拡張させ、血管を保護するが、NOが、スーパーオキシドと反応すると、ペルオキシナイトライト(ONOO-)と言う、より強力な酸化因子が、生成され、細胞障害が起こる。
4.体内にある活性酸素を分解消去する酵素
活性酸素(reactive oxygen species:ROS)を解毒する酵素系には、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、カタラーーゼ(catalase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH peroxidase)、グルタチオン還元酵素(GSH reductase)、Glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)が存在する。
a.スーパーオキシドディスムターゼ(SOD:superoxide dismutase)
SODは、スーパーオキシドを、過酸化水素と酸素に分解する:
2O2-+2H+→O2+H2O2
細胞質やミトコンドリア内に存在していて、銅(Cu)や亜鉛(Zn)やマンガン(Mn)が補助因子となる。
SODは、運動など、必要に応じて、たくさん誘導されて作られるようになるが、老齢になると誘導能力が低下するという。筋肉を使った運動は、SODの活性を高め、活性酸素の除去能を高める。
ヒトは、体重当りのカロリー消費量に対してSODの活性が他の動物より高いため、寿命が長いと、考えられる。
血清中のSOD活性は、成人より小児の方が高い:年齢が若い小児の方が、高い。
細胞内には、SODのように、活性酸素を消去(除去)する働きのある酵素が存在するが、細胞外にはあまり存在しないので、細胞は、外からの活性酸素には、弱いと言われる。
b.カタラーゼ
過酸化水素を、酸素と水に分解する酵素。
H2O2→H2O+1/2O2
カタラーゼは、SODと共同して、生命の寿命の延長に関与している。
血管内皮細胞では、カタラーゼ活性が低い。
過酸化水素(H2O2)は、細胞膜(生体膜)を自由に通過可能なので、ペルオキシゾーム(peroxisome)内のカタラーゼ以外に、細胞質ゾル(cytosol)のグルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase)、チオレドキシンペルオキシダーゼ(thioredoxin peroxidase)、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(ascorbate peroxidase)によっても、水に分解される。
c.グルタチオンペルオキシダーゼ
グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px:glutathione peroxidase)は、セレン(Se)を活性中心に持つ。
グルタチオンペルオキシダーゼは、過酸化水素を、グルタチオンの存在下で、水に代謝させ、酸化型グルタチオンを生成する:
H2O2+2GSH→2H2O+GSSG
また、グルタチオンペルオキシダーゼは、過酸化脂質を還元する:
LOOH+2GSH→LOH+GSSG+H2O
なお、グルタチオンペルオキシダーゼは、ヒドロキシルラジカルを消去させるが、ビタミンB2(リボフラビン)を補酵素とするので、ビタミンB2の欠乏は、過酸化脂質の増量を来たす。
細胞内のグルタチオン(GSH)の濃度は、5~10mMと、高い。
細胞内の酸素分圧が上昇すると、ミトコンドリアの電子伝達系の電子の流れが活性化させ、cytochrome c oxidaseが、酸化状態にシフトする。その結果、[NAD]/{NADH]比([NADP]/{NADPH]比)や、GSSG/GSH比が、上昇する(NADH/NAD+比は、低下する)。
Glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)と、6-phosphogluconate dehydrogenase(6-PGD)により生成される12分子のNADPHを用いて、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)と、グルタチオン還元酵素(GSH reductase)により、12分子の過酸化水素(H2O2)が消去され、6分子の二酸化炭素(CO2)が、肺から排出される。
5.生物フォトン
体内に、活性酸素や、酸化ストレス増加すると、生物フォトンによる発光が、増加する(注8)。
生物フォトン(バイオフォトン)による発光は、細胞内で、活性酸素により、ラジカル連鎖反応が起こる為と考えられている(リポキシゲナーゼ等の酸化酵素が、発光に関与する)。
6.食品加熱と活性酸素
食品(肉や魚)を高温で加熱調理すると、蛋白質が熱変性を起こし、ヘテロサイクリックアミンが生成される。
ヘテロサイクリックアミンは、生体内で、N-水酸化体となり、エステル化されて、遺伝子DNA鎖を切断し、変異原性を現す。ヘテロサイクリックアミンが、遺伝子DNA鎖を切断する際には、活性酸素(スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル等)が、関与する。
ブドウ糖とアミノ酸が共存する食品を、加熱調理すると、メイラード反応により、ヒドキシフラノン誘導体(芳香成分)が生成される。ヒドキシフラノン誘導体は、活性酸素を発生させ、DNA鎖を切断したり、組織障害を起こす。
電子レンジは、電磁波(2450MHzのマイクロ波)により、水分子を共鳴振動させ、水分子(双極子)を回転運動させ、電磁波のエネルギーが、熱運動エネルギー(摩擦熱)に変換され、食品の温度が上昇する。電子レンジ調理では、水は、100℃までしか温度が上昇しない(油は、電磁波の吸収効率が、水より低いが、温度は100℃以上に上昇する)。
ビタミンC残存率は、電子レンジで調理した方が、従来調理(煮沸など)より、多い(水さらし液や、煮汁へ溶出率が少ない)。
ほうれん草の場合、ビタミンC残存率は、電子レンジ調理が82%なのに対して、従来調理は69%。
ビタミンB1残存率も、電子レンジ調理の方が、5~15%多い。
電子レンジで調理した方が、従来調理(煮沸など)より、残存率が高いのは、水さらしがない為に、溶出率が低い為。
従来調理(茹でる調理)では、「あく」(Ca、Mg、Kなどの無機塩類、タンニン、アルカロイド、サポニン、配糖体、有機酸等を含む、辛味や渋味の不味成分)が、水に溶出する。特に、野菜は、「あく」の有機酸が、加熱により壊れた組織から、溶出するので、クロロフィルの色が悪化させない為に、水さらしする必要がある。「あく」は、電子レンジ調理では、食品中に、多く残る(タンニン等は、抗酸化物質としての作用も、期待出来る)。ワラビ(蕨)は、「あく」(灰汁)として、タンニン(ポリフェノールの1種)や、ビタミンB1破壊酵素を含んでいるので、動物(鹿等)は、ワラビ(蕨)を食べない。
電子レンジにより、水分子は、マイクロ波による電界の変化に追従して動く。しかし、蛋白質や澱粉のような巨大分子は、電界の変化に追従出来ず、末端基が振動する程度に過ぎない。
電子レンジ調理(マイクロ波加熱)は、蒸した場合より、細胞の変形は大きいが、細胞壁の損傷は、少ない。
電子レンジ調理では、蒸した場合に比して、食物繊維のペクチンが、水溶化しにくいので、柔らかくなり難い(シャキシャキした歯応えになる)。
電子レンジ調理では、脂質の酸化の度合いは、従来調理(オーブン等)と同等と言われる。電子レンジ調理では、中性脂肪の劣化は、オーブンより少なく、リン脂質の劣化は、オーブンより多いと言う。
一般に、加熱調理により、抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノール等)は、酸化酵素の活性が失われるので、残存しやすくなる。そして、特に、電子レンジ調理では、煮たりした場合に比し、抗酸化物質が、茹で汁中に流出しないので、残存率が高くなる。
電子レンジ調理では、水の温度は100℃までしか上昇しない(焦げ目が付かない)ので、発癌性のある焦げ物質(ジメチルニトロソアミン)、トリプトファン加熱分解産物の発生量が、ガス火加熱より少ない:魚肉中のジメチルニトロソアミン量は、生肉中0.1~1.0μg/kg、ガス火加熱0.2~2.0μg/kg、電子レンジ調理0.1~0.60μg/kg。
精製した油脂(oil)は、電子レンジによる加熱調理(microwave healing)により、酸化変性(oxidativedeterioration)する。精製した油脂の電子レンジによる酸化変性は、セサモール(sesamol:リグナン)や、ビタミンE(tocophenol)を添加すると、著明に、抑制される。
大豆を、いろいろな水分濃度(moistures)で、電子レンジにより焼いた(roast)実験結果では、大豆を、予め水に浸して(soaking)から、電子レンジで焼くと、ビタミンEの減少や、大豆油脂の酸化変性が、抑制された。水に浸した大豆は、電子レンジで20分間焼いても、ビタミンEは、80%以上が残存し、大豆油脂は、ほとんど化学的に変化しなかった(電子レンジで調理しても、ビタミンEが含まれていれば、油脂は、あまり、酸化変性しない)。
ビタミンEは、大豆では、軸(Axis)に一番多く、次いで、子葉(cotyledons)、殻(coat)に多く含まれる。大豆を(水に浸さないで)電子レンジで加熱すると、殻に含まれるビタミンEの40%が喪失するが、軸や子葉に含まれるビタミンEの80%以上は、保持される。なお、電子レンジで加熱すると、特に、殻の部位で、トリグリセリド(triacylglycerol)やリン脂質や多価不飽和脂肪酸が減少する。大豆の軸や子葉に含まれるビタミンEは、電子レンジの調理しても、多くが保持される。
7.慢性肉芽腫症
慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease:CGD)は、食細胞(好中球、単球)に存在するNADPHオキシダーゼの構成蛋白が、遺伝的に欠損し、食細胞の活性酸素産生能が欠如している。
慢性肉芽腫症(CGD)では、食細胞(好中球、単球)が、カタラーゼ陽性で過酸化水素(H2O2)非産生性の細菌(黄色ブドウ球菌、グラム陰性菌、結核菌)や、真菌を、殺菌する能力が低下している為、乳幼児期から、重症感染を反復し、肉芽腫が形成される。
慢性肉芽腫症(CGD)の遺伝形式には、伴性劣性(X-CGD)と、常染色体劣性(A-CGD)との2型がある。
おまけ:
1.右ネジの法則
電流が流れる(電子は、反対方向に移動する)と、右ネジを回す方向に、磁界が生じる(N極からS極の方向に、磁力線が生じる)。
電場が変化すると、磁場が変化する。電磁波などで、磁場が変化すると、電場が変化する。
2.フレミングの左手の法則
人さし指の方向に磁界がある場で、中指の方向に電流が流れる(電子は、反対方向に移動する)と、親指の方向に、力が働く。
磁界の中を電流が流れると、力が働く。
3.電子の基本的性質
質量(m)=9.109×10-31kg
電荷(e)=-1.602×10-19クーロン
電子は、粒子の性質を持つ波動と理解される。
電子は、光子(電磁波)のエネルギーを共鳴吸収して、そのエネルギーを光子として放出したり、電子自身が、物質から飛び出す(光電効果)。
普通の物質(バリオン物質)は、原子に電子を有する。しかし、暗黒物質は、電子を有しないので、光子を吸収・放出しないので、眼に見えない。普通の物質(バリオン物質+光)は、宇宙(のエネルギー)の4%を占めるに過ぎず、暗黒物質(質量を有するので、重力が作用する)が23%、暗黒エネルギー(斥力が作用する)が73%を占めているという。なお、光子(のエネルギー)は、普通の物質(バリオン物質)の10万分の1程度しか存在しない。
4.キノコの色
エノキダケは、天然株(野生で自生した株)は、栽培株と異なり、メラニンなどのポリフェノールの酸化物により、茶色に着色している。
白い天然株のエノキダケは、SODの活性が高く、メラニンが形成されにくいので、光(紫外線)を浴びても、色が白いままでいる。
5.水分子
水分子(H2O)では、酸素原子と、水素原子とが、電子により、共有結合している。
水分子の酸素原子核は、水素原子と共有する電子に、強い引力を及ぼす為、水分子では、酸素原子が負の電荷を帯び、水素原子は正の電荷を帯び、極性を有する。
水分子の負に荷電した酸素原子は、他の水分子の正に荷電した水素原子と引き合い、弱い水素結合を形成する。
水素結合は、半減期10-10秒で、酸素原子と水素原子とが、結合したり、離れたりを繰り返している。
水は、凍らせると、体積が増加するが、エタノールや食用油は、凍らせると体積が、減少する(エタノールの方が、食用油より、体積の減少率が多い)。
水を凍らせて出来る氷は、水に浮かぶが、エタノールや食用油を凍らせて出来る氷は、それぞれ、エタノールや食用油に、沈む。
6.分子運動とエネルギー
紫外線のエネルギーでは、電子遷移が起こる。
赤外線のエネルギーでは、分子の振動(分子間の結合が伸縮する)が起こる。
マイクロ波のエネルギーでは、分子の回転が起こる。
ラジオ波のエネルギーでは、分子や電子のスピン運動が起こる。
注1:原子核は、陽子や中性子から構成されている。陽子や、中性子は、それぞれ、3ケのクォークから構成されている。クォーク間の結合は、エネルギーが低くなると、無限に強くなる。
注2:電子のスピンに起因して、磁性が生じる。
磁気モーメントとは、言わば、1つの電子がスピン(回転)することで生じる、小さな磁石。
水素の原子核(1H)=プロトンも、スピン(核スピン)しており、電子より弱い(約658分の1)が、核磁気を有している。
核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)と言って、磁場中の粒子の核スピンは、磁場の方向と逆の方向の2種類に分かれる。この状態で、電磁波(ラジオ波)を当てると、電磁波のエネルギー(hν)が、ゼーマンエネルギーに、一致すると、共鳴して、エネルギーの吸収が起こる(外部からの電磁波のエネルギーを吸収して、励起する基底状態の原子数は、たかだか10万分の1程度しかない)。例えば、1.0T(テスラ)の磁場中で、水素の原子核(1H)=プロトンは、42.58MHz(メガヘルツ)の周波数の電波に共鳴して、信号(電磁波)を放出する:信号(電磁波)で、周期的に磁場が変動すると、受信コイルに電流が流れる。1H-NMRは、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴診断法)として、画像診断に利用されている:MRIでは、水(H2O)と脂肪に含まれる、水素の原子核(1H)からの信号(電磁波)を検出する。13Cも核磁気を有しているが、13Cは、炭素中に1.7%しか存在せず、13C-NMRは、1H-NMRの5700分の1程度しか、感度がない。
ESR(Electron Spin Resonance:電子スピン共鳴法)は、核スピンより強い、電子スピンを検出する。生体計測ESR法では、スピンプローブを用いて、生体で発生する活性酸素を測定出来るという。
注3:ミトコンドリア内膜で、複合体IVに渡された電子により、酸素分子(O2)が還元される際に、一部の酸素分子は、一電子還元され、スーパーオキシド(O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(HO・)など活性酸素(ROS)が、発生(generate)してしまう。
活性酸素は、ミトコンドリア内膜の複合体IIIでも、電子(プロトン)が、CoQ(ubiquinone)、シトクロムb、シトクロムc1の間を、行き来する間に発生する。複合体IVで発生する活性酸素の量よりも、複合体IIIで発生する活性酸素の量の方が、多いと言う。
活性酸素は、ミトコンドリア内膜の複合体Iや、ミトコンドリア外膜のmonoamine oxidaseでも、発生する。
注4:ヒドロキシルラジカル(HO・)の存続時間は、1億分の1秒間(10-8秒)と記する本もある。ヒドロキシルラジカル(HO・)は、このような超短時間内に、他の分子と反応する。
スーパーオキシド(・O2-)は、比較的安定なラジカルなので、存続時間は、数秒間と言われる。
注5:紫外線は、皮膚の(コラーゲン線維や弾性線維の)炭素結合(C-C)を切断し、シワの原因になる。
注6:長寿の為には、腹八分の食事が良いと言われて来たが、食事で摂取するカロリー制限(Caloric Restriction)をすると、活性酸素の発生量が低下して、寿命が延びるという。
カロリー制限をすると、コレステロール、中性脂肪や、血圧は、低下する。
カロリー制限は、脳内において、神経細胞の壊死を減らし、神経を保護する神経栄養性のファクターを増加させ、脳の可塑能力を高めるという。逆に、高カロリー食、高脂肪食は、アルツハイマー病などの、神経変性性疾患のリスクを、高めるようだ。
しかし、カロリーを制限し過ぎると、骨密度の低下、免疫力の低下などの弊害も、起こり得る。また、ビタミンなどが、欠乏しない食餌を摂取することが大切。
基礎代謝量により、適切な摂取すべきカロリー量は、異なる。20代の時の体重を維持するように、食餌を摂取すると良いという。
10代は、成長期なので、カロリー制限は、20歳前は、行ってはいけない。カロリー制限を行うのは、30歳代、あるいは、40歳代から行うのが良い。
注7:リソソーム(Lysosome、ライソゾーム、リソゾーム)は、細胞内外の不要物質を加水分解・消化する細胞内の顆粒。リソソームの内腔のpHは、5以下と酸性。pH5で良く働く酸性加水分解酵素が存在している。
リソソーム(lysosome)は、lysis(溶かす)と、some(顆粒)とから命名されている。
リソソームは、細胞内の「消化器官」であり、細胞内外の不要物質を、加水分解したり、消化する。
リソソームは、ミトコンドリアより小型で、電子顕微鏡で観察すると、膜は一層で、内腔は電子密度が高い。
注8:電子は、エネルギーを吸収し、励起状態となり、それが基底状態に戻る時、フォトン(近赤外~可視領域の電磁波)を出す。このフォトンは、微弱なため、肉眼では、知覚出来ないが、光電子増倍機能を持つ高感度の機械を用いて、測定出来るようになった。
生物でも、細胞分裂など、生命活動に供ない、フォトンが発せられ、生物フォトン(バイオフォトン:biophoton)と呼ばれている。
気功師が、気を発する時に、(手の)経穴(ツボ)から発せられる、生物フォトンの発光量が、増加する。また、気功を受けた患者の患部からは、かなり多量の生物フォトンが、発光されるのことが、測定された。気功では、「気」と言う、未知のエネルギーが発せられ、人体の細胞を構成する物質に吸収され、物質の電子のエネルギー状態を励起させ、生物フォトンの発光を増加させるものと、推測される。このように、「気」のエネルギーは、物質(バリオン物質)を構成する電子に吸収され、電子のエネルギー準位を高めると、推測される。
電子は、言わば、音叉です。打撃された音叉(エネルギーを受けた音叉)は、音を発し(音波を発し)、離れた、他の音叉を、共鳴で振動させる。そのように、電磁波のエネルギーを吸収し励起した電子は、基底状態に戻る際に、電磁波を放出し、その電磁波は、他の原子や分子に存在する電子を共鳴させ、吸収される。
電子は、「気」のエネルギーを吸収し、励起した電子が、基底状態に戻る際に、光(電磁波)を発する。その光が、生物フォトンとして、測定されるようだ。
生体内には、電子が移動したりして、微弱な電流が流れ、磁気(磁場)が生じている。
良い、「気」のエネルギー(パワー)は、生体(人体)の細胞の機能を高めたり、霊魂(精神)を癒すことが、期待される。
しかし、「気」のエネルギーは、物理的なエネルギーとしては、弱いので、「気」のエネルギーのみで、物体を移動させることは、困難。
気功で「気」のエネルギーによって水の電気抵抗が減少するのは、電子のスピンの向きが揃うからだと考える説もある。
参考文献
・日医雑誌 第124巻・第11号(2000年).
・活性酸素(日本化学会、高柳輝夫編、1999年、丸善).
・図解雑学 老化のしくみと寿命(藤本大三郎著、2001年、ナツメ社).
・田川邦夫:からだの働きからみる代謝の栄養学 タカラバイオ株式会社(2003年).
・大西鐘壽、他:酸素代謝の適応生理 小児科 Vol.41 No.13、2265-2289、2000年.
・美濃真:フリーラジカル-活性酸素による組織障害 小児科 Vol.35 No.10、1265-1272、1994年.
・岡野創造、吉岡博:虚血性脳障害におけるフリーラジカル 小児科 Vol.38 No.5、449-455、1997年.
・伊藤進、他:新生児と酸素代謝-酸素毒性との関係において- 小児科 Vol.40 No.12、1581-1588、1999年.
・吉岡俊正:フリーラジカルと糸球体疾患 小児科 Vol.38 No.9、1065-1073、1997年.
・板倉弘重:食生活がもたらす酸化ストレス 日本医師会雑誌 第124巻・第11号、1554-1558、2000年.
・肥後温子:新版 電子レンジ「こつ」の科学 柴田書店(2005年).
・光でとらえる植物の病害抵抗性誘導、現代農業、310-315、2005年6月号、農山漁村文化協会.
・薮原明彦:慢性肉芽腫症におけるIFNγの治療応用、信州医誌、40(6): 675~676、1992年.
・Hiromi Yoshida, et al: Antioxidative effects of sesamol and tocopherols at various concentrations in oils during microwave heating. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 79, Issue 2, 220-226, 1999.
・Hiromi Yoshida, et al: Vitamin E and Oxidative Stability of Soya Bean Oil Prepared with Beans at Various Moisture Contents Roasted in a Microwave Oven. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 72, Issue 1, 111-119, 1996.
・Sachiko Takagi, et al: Microwave roasting effects on the composition of tocopherols and acyl lipids within each structural part and section of a soya bean. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 79, Issue 9, 1155-1162, 1999.
化学物質過敏症患者は多因子からなる患者個々の代謝の障害に起因する病の症候群ですが、ミトコンドリア関連疾患として解釈を加えていくことがその治療や医療人権において必要だと思います。
それを主張する上で「活性酸素」とミトコンドリアの関係をあらためて確認いただきたいと思います。
患者が呼気から取込み脳や臓器へ血液に乗り送られる物質的負荷ですが、これへ中毒性を示すことと脳の中枢感作が病態の基本のメカニズムになります。
慢性疲労症候群でもこの活性酸素刺激を減らす生活習慣からの対処療法が行われています。
化学物質過敏症患者はおおむね新築増改築からの活性酸素刺激が多面的に心身に負荷を及ぼし、後天的ミトコンドリア関連疾患に至った者がそれだと思われます。
詳しくはカテゴリー「最新科学情報からの研究」を通読ください。
2013・1130
ニコ
以下を参考資料として紹介します。
●老化と病気の原因
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/2188/nagaiki.html
●脂質と血栓の医学より「活性酸素」
(詳しい図解は↓WEBページをご覧ください。)
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm#活性酸素による障害
<ニコ学習用メモ>
以下を参考資料として紹介します。
●老化と病気の原因
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/2188/nagaiki.html
★老化と病気の原因-活性酸素について
■活性酸素とは~病気の90%が活性酸素が原因~
■活性酸素が関与する代表的疾患
■活性酸素の対策
■活性酸素の分子病態学ー環境変異原の立場から
--* 活性酸素とは *--
活性酸素
~病気の90%が活性酸素が原因~
酸化と老化
地球が誕生した46億年前、地球上にはほとんど酸素はありませんでした。現在の生物にとってなくてはならない酸素は、海で発生した藻類などが光合成をして少しずつ作り出し、20億年以上もかけて作られました。ほとんどすべての動物はこの酸素を使って体内の栄養分を分解し、エネルギーを作り出しています。
酸化とは
物が酸素と結びつく働きを「酸化」といいます。例えば、鉄が時間とともに錆びていきます。これは鉄が空気中の酸素によって酸化されたためです。りんごを切ってしばらくたつと、切り口が茶色に変化してきます。これも、りんごの成分が空気中の酸素によって酸化された結果です。このように酸素に触れたものは必ず酸化していきます。
人間の体は約60兆個の細胞から作られています。そして一つ一つの細胞が血液から酸素と栄養分を受け取り、酸素で栄養分を燃やして(酸化させて)エネルギーを得ています。
人間はエネルギー発生の過程で酸素を必要としますので、その際に使われる酸素に触れたものが(細胞膜,DNAなど)が酸化します。細胞が酸化してしまうと、その機能を果せなくなりさまざまな病気につながってきます。
老化とは
人間の遺伝子には、最低90歳~115歳まで生きられるようにプログラムされています。それもなんとか生きているというレベルではなく、元気に病気もせず生きていけるということです。そしてある日、遺伝子に組み込まれた時間が過ぎると「輝きつづけた電球がぱっと消えるように」天寿を全うします。
しかし、多くの人は40歳前後から老化が始まり、60歳前後で病気が発病し徐々に弱りながら死を迎えます。これは年をとるにつれ体の細胞が酸化され、錆びてボロボロになってしまうからです。
活性酸素
酸素の中でも特に酸化力が強い酸素を活性酸素といいます。身近なところにある活性酸素は、オキシドールや除草剤のパラコートなどです。
オキシドール(薄い過酸化水素水)は傷口の消毒に使われます。傷口にオキシドールをつけると、ブクブクと泡が出てきます。オキシドールから発生した活性酸素が傷口のばい菌を殺し、その後普通の酸素に戻ったものが、傷口から出てくる泡の正体です。オキシドールはこのようにしてばい菌を殺しますが、同時にその周辺にある正常な細胞をも活性酸素で殺してしまう、両刃の剣のような働きをしています。そのとため最近ではほとんど使われなくなっています。
除草剤のパラコートには、植物の体内に大量の活性酸素を発生させる物質が含まれています。あまりにも大量の活性酸素が発生するため、パラコートを撒いた翌日にはほとんどの植物が枯れてしまいます。これを人間が誤って吸い込んでしまった場合は、ほぼ100%死亡してしまいます。
活性酸素とは
人間は1分間に数十回呼吸をし、酸素を体内に取り込んでいます。通常の酸素は図のように原子の周りに8個の電子をもっています。それぞれの電子は2つで1つのペアを作り三重項酸素という安定した形で存在します。
しかし、何らかの原因で電子のペアが崩れると、酸素は活性酸素化します。通常の呼吸で体内に取り込まれた酸素の約3%が活性酸素になります。
活性酸素は、ペアになっていない電子を持っているため、非常に不安定な状態になります。この状態の酸素は、自らを安定させるため手近にあるところから電子を奪い安定(酸化)しようとします。そして、活性酸素によって電子を奪われた物質は、また自分の手近にある物質から電子を奪います。
これは例えるなら「駅前に止めていた自転車を盗まれた人が、ほかの人の自転車を盗む。その盗まれた人がさらに他の人の自転車を盗むというようにして、町全体が自転車泥棒だらけになっていく」というようなことです。
活性酸素には4種類あります。
1.スーパーオキサイドアニオンラジカル
最も一般的な活性酸素で、安定した酸素分子の一方の原子にある電子が1つかけた状態です。酸化力が非常に強く、寿命は10万分の1秒です。
2.一重項酸素
通常の酸素(三重項酸素)から電子が2つ欠けた状態です。反応性が強いために次々と他の活性酸素に姿を変えていきます。皮膚が紫外線にあたると皮下組織内でよく発生します。
3.過酸化水素
酸素原子と2つと水素原子2つが結合してできた活性酸素の仲間で、殺菌剤としてよく知られています。反応性が強く、細胞膜の内外を行ったり来たりすることができます。銅イオンや鉄イオン,スーパーオキサイドアニオンラジカル+水素イオンと出会うと、ハイドロキシラジカル+一重項酸素に変わります。寿命が長いのも特徴です。
4.ハイドロキシラジカル
過酸化水素を半分にしたような構造を持ち、酸化力が最も強い活性酸素です。反応が早く、寿命は50万分の1秒です。過酸化水素と反応すると、スーパーオキサイドアニオンラジカル+水+水素になります。
活性酸素が体内で発生すると、細胞膜にある脂肪酸の電子を奪い取ろうとします。そして電子を奪われた脂肪酸はとなりの脂肪酸の電子を奪いとるという連鎖反応がものすごいスピードで起こります。
体内には、活性酸素の攻撃から細胞を守る物質(抗酸化物質)がありますが、繰り返し活性酸素の攻撃を受けると、抗酸化物質の量も少なくなり、細胞がどんどん酸化していきます。酸化が進んだ細胞は次のいずれかの状態になります。
1.活性酸素により細胞内のDNAの制ガン遺伝子が破壊され、細胞がガン化する。
2.細胞膜の脂肪酸が酸化され、過酸化脂質になる。この過酸化脂質の増加が血管系の病気の原因となります。
ガン発生の仕組み
人間の遺伝子(DNA)には、細胞がガン化するのを食い止めるための制ガン遺伝子という遺伝子があります。活性酸素によってDNA内の制ガン遺伝子が破壊されると、細胞のガン化が起こります。ガン細胞は普通の細胞とは違い寿命がなく、多くの栄養分を消費する化け物細胞です。これは長期間活性酸素による攻撃を受けると発生する確率が高くなります。
厚生省研究班(1995年10月12日発表)によると、2000年に新たにガンと診断される人の数は1990年の約1.5倍の59万2千5百人にもなりそうだとのことです。これは1991年の20%増であり、しかも、肝臓ガン,肺ガンなどの治りにくいガンの割合が増えるもようということです。
過酸化脂質
新鮮なバターはうすい黄色をしていまが、古くなってくるときつい黄色になりボロボロの状態になります。過酸化脂質とは、「変質したバターのような脂肪」と考えられます。本来は、「普通の脂肪」であったバターが、酸素によって酸化され過酸化脂質という「危険な脂肪」に変化したのです。
体内にはコレステロールや中性脂肪という脂があります。これらは、人体の機能を維持していく上で必要不可欠のものです。そしてこれらは、酸化されていない状態では血管をふさぐなどの害を及ぼすことはまったくありません。しかし、これらの脂が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質に変化します。この過酸化脂質が、血管壁につき、しだいに壁の中に入り込み、徐々に血管をもろくしたり、血管をふさいだりします。
活性酸素の発生原因
通常呼吸で取り込まれた酸素のうちの3%ほどは、活性酸素化します。例えば、ネズミの細胞1個で、毎日平均1兆個の酸素が消費され、そのうちの3%(約300億個)が活性酸素になります。
通常活性酸素の発生率が3%くらいであれば体内にある、活性酸素を消去する物質(抗酸化剤)によって中和されるのですが、さまざまな原因により体内で活性酸素が大量発生することがあります。活性酸素の発生原因は、
1.自分自身の問題 •ストレスを感じたとき(最大の活性酸素の発生原因)
•タバコを吸ったとき
•アルコールを飲んだとき
•スポーツや激しい運動などで、酸素の消費量が増えたとき
2.環境の問題 •電磁波を浴びたとき(携帯電話,電子レンジ・・・・)
•紫外線を浴びたとき
•医薬品,食品添加物,制がん剤などの化学物質が入ったとき
•病原菌が入ったとき
•レントゲンなどで放射線を浴びたとき
•工場の有毒ガスや車の排気ガスを吸ったとき
などです。「自分自身の問題」で発生する活性酸素については、できるだけそういった状態を避けることで発生量を減らすことができますが、「環境の問題」で発生する活性酸素については、自分自身でコントロールすることは不可能です。ですから、活性酸素が大量に発生しても、それをすぐに消去できる体を作ることが大切になります。
--* 活性酸素が関与する代表的疾患 *--
活性酸素が原因の病気
ガン,心疾患,糖尿病などの生活習慣病は、以前は遺伝や家系などといわれていましたが、現在では生活習慣病の90%が活性酸素が原因だということがわかってきました。
1994年5月22日朝日新聞
「活性酸素の発ガン関与、人体でも確認
国立ガンセンターと産業医科大学は、活性酸素がガン抑制遺伝子などに突然変異を起こし、発ガンの引き金になっている可能性の高いことを、人体組織の研究で突き止めた」
と報道しました。
病気の原因の残り10%はウィルスなどによって引き起こされる病気です。ですからほとんどの病気の原因が活性酸素が関係しているということができます。
活性酸素が関与している病気
老化,ガン,白内障,リウマチ,糖尿病,膠原病,農薬中毒,心筋梗塞,脳卒中,動脈硬化,歯周病,てんかん,放射線障害,アトピー性皮膚炎,胃・十二指腸潰瘍,パーキンソン病,脂肪肝,小児喘息,腎臓炎,子宮筋腫,生理不順,花粉症,川崎病,インポテンス,アルツハイマー痴呆症など
◎活性酸素の主な発生原因
・ストレス
・タバコ
・細菌、ウイルス
・アルコール
・紫外線、放射線
・大気汚染
・残留農薬
・抗がん剤などの薬剤
・はげしい運動
活性酸素が引き起こす病気の代表例
障害組織
代表的疾患
循環器
心筋梗塞、不整脈、動脈硬化、血管痙攣、虚血再循環傷害、Se欠乏症
呼吸器
肺炎>、感染症、肺繊維症(制癌剤副作用)、ARDS、パラコート中毒、喫煙障害、肺気腫、インフルエンザ
脳神経系
>脳浮腫、脳梗塞、脳出血、脳血管萎縮、パーキンソン病、自律神経障害(Reilly現象)、遅発生神経障害、脊髄損傷、神経現性肺浮腫
消化器
急性胃粘膜障害、胃潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、肝炎、肝硬変、薬物性肝障害、肝移植病態、各種の黄疸病態
血液系
[白血球系異常]慢性肉芽腫症、白血病、AIDS、敗血症
[赤血球系異常]ヘモグロビン症、ヘモクロマトーシス、プリマキン過敏症、夜間発作性血色素尿症、アカタラセミア、他の血液成分:α1-酸性蛋白の障害、高脂血症、DIC、血小板異常症、出血性ショック
内分泌
糖尿病、副腎代謝障害ストレス反応
皮膚
火傷、日光皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚潰瘍
支持組織系
間接リュウマチ、自己免疫疾患、膠原病
眼科
未熟児網膜症、網膜変性白内障、角膜潰瘍
環境汚染性疾患
重金属障害、水俣病、シリコーシス、喘息、排気ガス性肺障害、水汚染による各種中毒
泌尿器
糸球体腎炎、溶血性腎障害、薬物性腎障害、制癌剤の副作用
フリーラジカル 近藤元治著(メジカルビュー牡)より
活性酸素が引き起こす病気の代表例
アトピー性皮膚炎
脳血栓
十二指腸潰瘍
パーキンソン病
ベ-チェット病
肝硬変
肝 炎
薬物性肝障害
腎 炎
紫外線障害
放射線障害
膠原病
川崎病
凍 傷
クロ-ン病
胃潰瘍
慢性胃炎
糖尿病
多臓器不全
高脂血症
高血圧症
動脈硬化
白血病
花粉症
喘 息
貧 血
感染症
歯周病
てんかん
白内障
ガ ン
狭心症
心筋梗塞
脳卒中
脳梗塞
アルツハイマー病
肺気腫
痛 風
便 秘
未熟児網膜症
リューマチ
シ ミ
ソバカス
熱 傷
浮 腫
有益情報リンク
SODと活性酸素
身近な脅威 ~活性酸素~
体内抗酸化物質がなぜ消耗するのか
--*活性酸素の対策 *--
活性酸素から身を守るスカベンジャー
活性酸素の定義「酸素の反応性が主役になるような化学物質」。
狭い意味での活性酸素は
1.スーパーオキサイド
2.過酸化水素
3.ヒドロキシルラジカル
4.一重項酸素
の4種類です。
健康管理上、問題になるのは、余剰の活性酸素です。
除去システムとして、ペルオキシゾームにはカタラーゼ、ミトコンドリアにはSODが用意されています。 前者では過酸化水素が、後者ではスーパーオキサイドが発生します。余剰が害を及ぼさないように、スカベンジャー(除去物質)が、用意されていることになります。
中年を過ぎるとスカベンジャーの生産が減っていくといわれています。
活性酸素過剰の最大の原因は、ストレスだということを忘れてはいけない。
私たちがもっているスカベンジャーの筆頭は「SOD」です。スーパーオキサイドを専門に除去する酵素です。
活性酸素から身を守るスカベンジャー
スカベンジャーとは活性酸素の攻撃から身を守るはたらきをする物質のこと。抗酸化物質とも言われている。体内で作られる酵素と、身体の外から取り入れる物質の2種類がある。
体内で作られる「酵素」
食物が吸収されやすい物質に消化(分解)されるのも、生きていくエネルギーを作るのも、生命の営みのほとんどが、分子レベルの化学反応の組み合わせ。各器官では、必要な化学反応を起こすための酵素が作られている。体内で作られるスカベンジャーも酵素の一種だ。活性酸素と結びついて、害の少ない物質に変化させる。代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンなどがある。
体外から取り入れる物質
スカベンジャーの役割をしてくれる物質は、食物にも含まれている。例えば、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、ビタミンB群など。このほか赤ワインやココアなどにも活性酸素による酸化をおさえる物質が含まれている。
スカベンジャーがはたらくメカニズム
スカベンジャーは何種類も存在するが、それぞれが独自に活性酸素を無害化しているわけではない。お互いの不足部分を補いつつ、図のような順で活性酸素を変えていくのである。活性酸素から身を守るためには、体内で作られる酵素だけに頼るのではなく、スカベンジャーを含む食物をバランスよくとる必要があるのだ。
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SODと活性酸素
身近な脅威 ~活性酸素~
体内抗酸化物質がなぜ消耗するのか
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以下の項目は「US HEALTH NEWS」より転載
★体は健康を望んでいます。免疫システムは、戦闘態勢に入るため防衛戦隊一団を装備し、感染による菌の侵入を感じるとすぐに力を結集、抵抗を開始するのです。
小っちゃなトゲが親指に刺さった時のことを考えてみてください。夜寝る頃、その傷は赤く腫れ上がっています。そして、朝になって白血球が戦闘を開始すると、その防戦の表れとして傷が熱くひりひりしてくるのです。もう一度夜を迎える頃には、小さなトゲが、その免疫システムの兵士たちの力によって、指の表面に持ちあがって来ています。こうして外部からの攻撃者はさっさと追放されるのです。
免疫システムは、感染や風邪、インフルエンザ、がんなどから体を守る役目を背負った全くもって複雑なメカニズム。このメカニズムは、輸送機関や伝達者が作り上げたこみいった安全装置や記憶ユニットで強化されたネットワークと同じ様なもので、変化する特異な難局に対応しつづけているのです。
自然療法医のマイケル・T・ムーレー(Michael T Murray)博士とジョセフ・E・ピゾルノ(Joseph E. Pizzorno)氏は『Encyclopediaof Natural Medicine(Prima)』の中で「免疫システムのサポートは健康に重要なこと。反対によい健康状態が免疫システムを維持するために欠かせない」と述べています。免疫システム維持には総括的なプログラムが肝心ですが、それには食生活全般、強い回復力、このエネルギー組織の明白で特異な要求にぴったりはまる活動や栄養素を促進するフィットネスなどが含まれます。
免疫維持に必要なスターたちには - 高い効率性を誇るミネラル配合総合ビタミン剤、ビタミンC、ビタミンA、バイオフラボノイド、イソフラボン、亜鉛、セレニウム、ActiVin(ブドウ種エキス)やピクノジェノール(フランス海洋松の樹皮)のような抗酸化剤、さらにハーブのエキナセア、レンゲソウ - があります。しかし、免疫システムとの一致協力による効果はその働きを十分に理解することで得られるのです。
★ビタミンAを地道に摂取することができた人には、最高得点のA評価をあげましょう。この複雑で効能のあるビタミンAという化合物は、様々な形や機能をもち、常に論争の的にもなっています。ビタミンAというのは、実際はレチノイドと呼ばれる天然分子群、あるいはプレフォームド・ビタミンA(ビタミンAの前段階で生産されるもの)の総称なのです。カロチノイドはビタミンAの前駆物質であり、体内でビタミンAに変化します。その最も有名なのが、強力な抗酸化物質であるベータカロチンです。
1913年、科学者達はビタミンAが発育促進に大きな役割を果たしているに違いないということを確認しました。さらに1930年までには、このビタミンAという栄養物が、健康と幸福をもたらすのではないかと考えるようになりました。
『抗伝染性ビタミン』とも呼ばれたこのビタミンAは、免疫システムと抗癌力の強化-さらにはもしかすると癌の後退促進に至るまで-に重要な役割を担っているのではないかということで、昨今再び科学者達の 関心を集めています。(『Clin Inf Dis』19, 1994:489-99による。)
ビタミンAは、夜盲症や他の眼病の予防に効き、骨の発育や健康な皮膚の維持を促進し、風邪や多くの呼吸器系の病気に対する予防効果もあります。医師達は、特に心臓血管の病気治療における効果を評価しています。
★有害なフリーラジカルは、細胞を破壊する反作用性のある分子であり、血圧を引き上げます。しかし、ビタミンCや自然のビタミンEには、その上昇した血圧を下げる効果があるようです。自然のビタミンEがたっぷり含まれた食事をよく食べたりビタミンC配合の水を飲んでいると、自然の抗酸化物質グルタチオン値が低い場合でも、血圧が下がることが判明しました。
★偉大なるZ - つまり亜鉛(Zinc)。それは、栄養について記事を書く人々がいまだに使う不滅の古臭いしゃれ「Aから(Zならぬ)Zincまで。」に登場するミネラルです。また、(海やプールの)ライフガードの人たちが鼻の頭やレイバンのサングラスの下にキザっぽく(いやはやこれは嫌みですが)、たっぷりと塗るミネラル軟膏のことです。このミネラルは貴方の健康にとって、きわめて重要な、そして非常に多くの役割を果たしており、以下においては必須のものなのです。
1. 蛋白質の合成やコラーゲンの形成
2. 丈夫な免疫システムと傷の治癒のメカニズム
3. 前立腺の働きや生殖器の成育
4. 味覚や臭覚
5. 骨の形成
6. 化学物質によるダメージを受けない強健な肝臓機能
7. ビタミンEやAの吸収作用やインシュリンの有効性
8. 遊離基(フリーラジカル)に抵抗したり、重要な酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)に含まれる成分として、組織を酸化する物質と戦う際、亜鉛は、言うなれば勤勉な都会人といったところです。そして臨床試験の見事な系譜がその評判を高めています。亜鉛は、咽喉の炎症の緩和と治癒の力をもつ点で恐らく最も知られており、風邪やヘルペス、単体ウィルスに対して(甘味入りの)錠剤の形で効くということが科学的研究によって証明されています。(Annuals Intern Med 125, 1996:81-8より)
最近の最も注目すべき研究では、年配の人々にとって、亜鉛は特に重要なものであるということが明らかになりました。年配の人々の免疫反応や呼吸器感染からの回復は、亜鉛やセレニウムを少量補給することによって目立って改善されたのです。
★セレニウムは有名な抗酸化剤であり、また抗癌性のミネラル(無機物)です。そして更に、細胞膜を破壊し蛋白質の突然変異を起こすフリーラジカル(遊離基)による破壊を受けやすい細胞を守ってくれます。セレニウムの出所は一般にはあまり知られていません。実は、動物や穀物を育む大地がまさにそのセレニウムの源泉なのです。大地に含まれたセレニウムが枯渇すると-アメリカの農地がしばしばそうであるように-体内に蓄積されたセレニウムの量は減少します。
次に挙げる二つの主要な機能を促進するには、セレニウムの供給量の適切な維持が極めて重大な意味をもちます。
1.白血病はもとより、各種の癌性腫瘍が組織されることを防ぐ。
2.心臓や肝臓の健康をサポートする。
セレニウムは、フリーラジカルと戦う力強い物質である補酵素のグルタチオンペルオキシダーゼの活性化を促進します。セレニウムとビタミンEは(場合によってはビタミンAも)体内に抗体を生成しようと相互に作用しあうのです。身体の全ての組織はセレニウムを含んでいます。とりわけ豊富に含んでいるのが腎臓、肝臓、脾臓、膵臓、そして精巣です。研究者達は、実験動物において癌の発生率と成長速度を抑えるセレニウムの効能に関する広範囲にわたる大量の資料を集めました。そして重大な研究結果として、セレニウムの多い地域、セレニウムの多く含まれた食品、そして体内におけるセレニウムの蓄積が多い人々、これらと癌の危険性が低いこととは互いに関係があるということがわかったのです。(『Seminars in Oncology 10(腫瘍学研究10)』1983年9月号:305-310による。)
疫学者達 ― 多くの集団を研究する科学者達 ― は、セレニウムの欠乏は不治の癌の発生率を高めるということを決定的に証明したのです。
--* 活性酸素の分子病態学 *--
活性酸素の分子病態学ー環境変異原の立場から
東京薬科大学薬学部
菊川 清見
酸素は生体にとって必須な因子であるとともに傷害因子としてはたらく。酸素は、細胞内でエネルギー産生のため使われるが、ミトコンドリア(NADH脱水素酵素)では一部の酸素が一電子還元を受けててO2-を発生し、これから金属イオンの作用によってH2O2やより活性の強いOHラジカルが生じる。これらは化学反応性が強いため活性酸素 (reactive oxygen species、ROS)と呼ばれる。薬物代謝時のミクロソーム(NADPHシトクロム還元酵素)、殺菌時の好中球(NADPH酸化酵素、ミエロペルオキシダーゼ)、虚血再潅流時の細胞(キサンチン酸化酵素)においても ROS が発生する。また、EDRFのNOは酸素やO2-と反応して、化学反応性の強い NO2 、N2O3、ONOO-などの活性窒素(reactive nitrogen oxide species、RNS)を生じる。これらROS、RNSは無差別的に体に傷害を与え、老化、動脈硬化、心疾患、炎症、がんなどの発症に関与していると考えられている。
ROS、RNSによる傷害はDNA、タンパク質、リン 脂質に起る。DNAの傷害は細胞のがん化につながると考えられ、自由食による酸素消費量が多いラットは食餌制限による酸素消費量が少ないラットに比べて、核やミトコンドリアのDNAの傷 8-oxoguanineが多いことが分かっている。タンパク質の傷害は変性をきたしてその機能が失われる。リン脂質の傷害は、動脈硬化の発症に関わる説があるが、むしろ リン脂質が傷害を受けることによって、DNAやタンパク質の傷害を守っているとも考えられる。
ROS の消去システムとしてSOD、catalase、GPx、活性化阻止システムとして ferritinがある。また、二次的な防御システムとして、傷害DNA、傷害タンパク質、傷害リン脂質の修復酵素系がある。リン脂質は、その傷害をくい止める抗酸化剤(vitamin E、vitamin C、catechin、flavonoid)と生じたヒドロペルオキシドを分解する酵素群 (PLA2、GPx、GR、G-6-PDH)がある。これらのシステムが複雑に機能して、ROS、RNSによる傷害から守るはたらきをしていると考えられる。
生体では、酸素消費量の昂進あるいは薬物の代謝によって防御系の処理能力を超えるROSが増産された場合、または防御系が欠落している場合に、ROSによる病態が現れることになる。環境変異原として、見過ごすことができないものに抗酸化剤がある。これらの一部は酸素を一電子還元して O2-を発生し、酸化剤としてはたらくことである。抗酸化剤としてはたらくか、酸化剤としてはたらくかは、その環境によって異なるようである。また、環境変異原の研究においても、大気の酸素分圧 (160 mmHg) 下で行う試験管内の反応結果を生体の細胞内 (1 mmHgの酸素分圧) の反応として解釈するのは十分な注意が必要である。
活性酸素による突然変異誘発機構
東北大学大学院生命科学研究科 分子生命科学専攻
布柴達男
活性酸素によるDNA損傷や突然変異は、
Fe(III) + O2- → Fe(II) + O2
Fe(II) + H2O2 → ・OH + OH- + Fe(III)
といういわゆるHarber-Weiss/Fenton反応により生じる・OHのDNAやヌクレオチドの酸化によると考えられている。このことはin vitroのモデル実験では、証明されているものの、細胞レベルの突然変異誘発機構については明らかではなく、細胞内でも同様のHarber-Weiss/Fenton反応により鉄依存的に・OHが生成するかを実際に測定した例はこれまでにない。また、もし細胞内でもこの反応により生じる・OHが自然突然変異の原因となるとすれば、活性酸素の細胞内レベル同様、鉄含有量も自然突然変異頻度に影響を及ぼす重要なfactorとなると思われる。しかしながら、鉄の取り込み調節機構がDNA損傷や突然変異の抑制の立場で重要であるかどうかについてはほとんど知られていない。
我々は「細胞内で生じる活性酸素と細胞内に取り込まれた鉄がin vitroのモデル実験のようにFenton反応の原因となり自然突然変異の原因となるか」あるいは「自然突然変異の抑制に鉄の取込み調節機構がいかに関わるか」を、大腸菌を用い、微生物遺伝学的にまた生化学的に解析を行った。その結果、大腸菌のSOD欠損と鉄の過剰取り込み変異の二重変異株が高い自然突然変異率を示し、代表的な活性酸素による塩基損傷である8-oxoGや8-oxodGTP、2-oxodATPに起因すると思われるGC→TAとAT→CGが極めて高頻度に生じることを見いだした。また、EPR法を応用し、この変異細胞内で確かにより高濃度の・OHが生成されていること、さらに、GC/MS法により、そのgenomic DNA中の典型的なDNA酸化損傷含有量が野生株やsodAB 株に比べ増加している一方で、活性酸素とは無縁といわれている塩基損傷のキサンチン量には差がないことなどを確認した。これらの結果はいずれも、通常の条件で培養された細胞内でも、SOD欠損と鉄の過剰取り込み変異により細胞内O2-量と鉄イオン量が増加すると、Harber-Weiss/Fenton反応を通して・OHが生じ、それに由来してDNAの酸化損傷が生じたことを強く示唆しており、前述の自然突然変異の著しい上昇の原因として注目できる。また逆に、SODやFurによる細胞内のO2-レベルや鉄含有量の調整は、自然突然変異の抑制に極めて重要に働いていると結論出来る。
また講演では、SOD欠損と鉄の過剰取り込み変異により生じた・OHのターゲットはDNAかそれともヌクレオチドか?についても考察したい。
ヌクレオチド除去修復で修復されるDNA酸化損傷とその生物学的意義
大阪大学細胞生体工学センター
倉岡 功
生体内で生じた活性酸素は種々多様な経路によってその生命の遺伝情報を担うDNAに損傷を与える。これらの損傷は細胞死や突然変異を誘発し、多くの疾病、遺伝病、発癌、老化そして最終的には生物個体の死をもたらす可能性をもつが、生物はこれらの損傷を除去し、遺伝情報を安定に維持するDNA修復系をもっている。塩基除去修復(base excision repair: BER)機構は特に活性酸素等により生じたDNA損傷を効率良く修復できる重要なDNA修復機構の一つとされている。
一方、活性酸素により生じたDNA損傷の中に、RおよびS形の光学異性体をもつサイクロプリンというものが存在する。この基本的な化学構造はアデニンもしくはグアニンのC-8とデオキシリボースの5’とが同じ分子内で共有結合クロスリンクされ、環状構造を構成している。この損傷はバクテリアおよびヒトのポリメラーゼのDNA伸長反応を阻害することから細胞内で致死に働くことが示唆されている。
我々はこのサイクロプリン損傷がどのように生体内で除去されるかを調べるために、化学合成によりRおよびS形のサイクロプリンアデニンを含んだオリゴヌクレオチドを作成した。このオリゴヌクレオチド基質をヒト細胞抽出液と反応させて、塩基除去修復における塩基切断過程(グリコシダーゼ活性)よって修復する可能性および未知の特異的な酵素によって損傷を可逆反応によって修復する可能性を検討したが、どちらも有為な除去切断反応は見られなかった。
そこで次にヌクレオチドレベルで修復することができるヌクレオチド除去修復 (NER)機構よって、サイクロプリン損傷が除去される可能性を検討した。NERによるDNA合成反応を調べるため、RおよびS形のサイクロプリンアデニンをプラスミドDNAの特異的位置に挿入し、ヒト細胞抽出液と反応させた。その結果、RおよびS形ともに効率が非常に低いが修復反応が観察された。さらにNERの蛋白質のひとつXPAに依存して、サイクロプリン損傷を含むヌクレオチドが両鎖切断反応によって除去されていることがわかった。
NER機構に異常をもつヒトの常染色体劣性遺伝疾患として、色素性乾皮症(XP)が知られている。この患者は精神神経症状を呈し、紫外線に対し高感受性で、皮膚癌を多発するとされている。この化学的に安定に存在するサイクロプリン損傷が、XP患者の生体内の複製しないDNA上に何年ものゆっくりとした割合であっても蓄積してゆくことが可能性として考えられる。この活性酸素により生じるサイクロプリン損傷の蓄積はXP患者の精神神経症状を説明する一つの要因かもしれない。
酸化塩基損傷の除去修復酵素の基質特異性と作用機序
広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻
井出 博
好気的代謝や放射線により生成する活性酸素はDNAに損傷を誘発し,これが適切に修復されないと,突然変異や細胞死が起こる.活性酸素により塩基部位に生じる酸化損傷は構造的に極めて多様性に富むことが明らかにされているが,これらは主にN-glycosylase/AP lyase活性を持つ塩基除去修復酵素によりDNAから除去される.大腸菌では,酸化塩基損傷の修復に関わる修復酵素として,ピリミジン損傷を認識するEndonuclease (Endo) IIIとEndo VIII,プリン酸化損傷を認識するFormamidopyrimidine glycosylase (Fpg)が同定され,詳細な生化学的ならびに遺伝学的解析に基づき遺伝情報維持における役割が明らかにされている.近年,Endo IIIおよびFpgの哺乳類ホモログとして,それぞれNTH1およびOGG1がクローニングされた.さらに,NTH1 (Kobayashi et al., 1999)およびOGG1 (Klungland et al., 1999; Minowa et al., 2000)の機能解析を目的にノックアウトマウスが作製されたが,現在報告されている限りでは発癌率の上昇等の明瞭な表現型は現れていない.したがって,NTH1やOGG1の遺伝情報維持における役割についてはさらに検討が必要である.本研究では,NTH1・OGG1の遺伝情報維持における役割を生化学的な視点から検討するために,両酵素の基質特異性と作用機序を調べ,その結果を大腸菌ホモログ(Endo III, Fpg)と比較した.
NTH1は,ピリミジン損傷(thymine glycol (TG), dihydrothymine (DHT), urea, 5-hydroxyuracil)を同程度の効率で認識した.Endo IIIもこれらの損傷を認識したが,DHTに対する活性(Vmax/Km)は他の損傷に比べ約300倍低かった.したがって,両酵素が認識する損傷は類似しているものの,そのスペクトルは完全には一致しないと考えられる.次に,NTH1のプリン損傷修復への関与を検討する目的で,グアニン由来の主要酸化損傷7,8-dihydro-8-oxoguanine (OG)およびformamidopyrimidine (FAPY)に対する活性を調べた.NTH1はOGをまったく認識しなかったが,FAPYに対しては本来の基質であるTGと同程度の活性を示した.一方,Endo IIIのFAPYに対する活性は極めて低く,TGの約1/20であった.したがって,大腸菌では従来からから考えられているようにFpgがFAPY修復を行うが,哺乳類ではFpgホモログであるOGG1のほかにNTH1が関与している可能性が高い.
OGG1はFpgと同様に,OGおよびFAPYを認識したが,鎖切断のモードは両酵素で異なっていた.Fpgの鎖切断モードはd-脱離であるのに対し,OGG1はb-脱離でありNTH1やEndo IIIと同じだった.また,OGおよびFAPY修復活性に対する対合塩基の影響を検討したところ,OGでは明確な対合塩基依存性が認められたが,FAPYでは認められなかった.OGの場合,DNA複製エラーにより生じたOG:Aペアの誤った修復を防ぐために対合塩基の識別が必要があることが明らかにされているが,FAPYではなぜこの識別機構が働かないのか,さらにその生物学的意味について現在検討している.
ラット鉄発癌の分子機構と標的遺伝子
京都大学大学院医学研究科 基礎病態学講座病態生物医学専攻
豊國 伸哉
細胞内環境において、「フリーラジカル・活性酸素による負荷から、抗酸化酵素・抗酸化分子などによる防御・消去・修復作用をさしひいたもの」は酸化ストレスとして定義される。私たちは、鉄ニトリロ三酢酸 (Fe-NTA) によるラット腎発がんを酸化ストレスによる発がんモデルとして位置づけ研究を重ねてきた。このモデルの特徴は、腫瘍が上皮性、転移・浸潤が高率、鉄を介した酸化ストレスが種々の方法で実証されているという3点である。このモデルにおいて標的遺伝子は存在するのかという命題に対し遺伝学的なアプローチを行った。F1動物で Fe-NTA 投与により腎癌を作製し、ほぼすべての染色体領域について適当なマイクロサテライトマーカーを選択しゲノムスキャンすると、ラット染色体5番と8番に限り、数個の連続したマイクロサテライト領域に渡り loss of heterozygosity を見いだした。この結果とゲノムデータベースの比較から、私たちはFe-NTAの主な標的遺伝子のひとつがp15/p16癌抑制遺伝子であることを見いだした。更に、この標的遺伝子に起こる変異のほとんどは点突然変異ではなく欠損であり、5'プロモーター領域のメチル化も高率に起こっていた。p15/p16 遺伝子の欠損はヒトで多種類の悪性腫瘍で認められるものの、培養細胞ではない動物の腫瘍における報告例としてはこれが初めてのものであった。フリーラジカルの反応は免疫反応と性質を異にし、特異性がなく近傍のどんな分子とも反応するのが特徴である。したがって、活性酸素による発がんの際には種々の遺伝子が均等に傷害を受けるだろうとの予測がなされていたが、私たちのデータは思いがけずこの仮説に反するものとなった。この現象が p15/p16 遺伝子の染色体位置や核内構造に依存したものなのか、あるいは細胞の選択が発がん過程で生じたのかは現時点ではまだ明らかでなく、今後追究していきたいと考えている。また、この腫瘍における遺伝子の発現変化の追究と酸化ストレスの病理標本上における可視化に関しても言及する。
参考文献:1. Toyokuni, S. Free Radic. Biol.Med. 20, 553-566 (1996). 2. Toyokuni, S. Pathol.Int. 49, 91-102 (1999). 3. Tanaka, T. et al. Oncogene 18, 3793-3797 (1999). 4. Tanaka T. et al. Am. J. Pathol. 156, 2149-2157 (2000).
連絡先:toyokuni@path1.med.kyoto-u.c.jp
核酸の酸化障害とその防御機構:発がんと神経変性への関わり
九州大学生体防御医学研究所 脳機能制御学分野
中別府雄作
生物にとって、その遺伝情報を担うゲノムDNAを細胞から細胞へ、親から子へと正確に伝え維持することは最も基本的な生物学的機能であるが、ゲノムDNAやその前駆体であるヌクレオチドは、酸素呼吸の過程で必然的に発生する活性酸素や生体防御のために生体が能動的に産生する活性酸素によって酸化される危険に常に曝されている。活性酸素に曝されたDNAやヌクレオチドプール中には種々の塩基あるいはヌクレオチドの酸化体が生じるが、このような酸化的DNA損傷は修復されないと突然変異を引き起こすことで細胞のがん化の原因となり、あるいは細胞死を引き起こすことで脳・神経変性疾患など多くの変性疾患の原因になると考えられる。このような考えに基づき、我々はヒト細胞から酸化DNA損傷の修復に関わる4つの遺伝子、・ 酸化プリンヌクレオシド三リン酸分解酵素をコードするMTH1遺伝子、・ 2-ヒドロキシアデニン/アデニンDNAグリコシラーゼをコードするMYH遺伝子、・ 8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼをコードするOGG1遺伝子、・ 第二のAPエンドヌクレアーゼをコードするAPE2遺伝子を同定し、その機能や発現の調節機構の解析を進めている(下表)。
本公開シンポジウムでは、これら4つの遺伝子産物の機能と細胞内局在の調節、ノックアウトマウスにおける自然発ガンの上昇、さらにヒト腫瘍や脳変性疾患での発現の変動などの最近のデータについて紹介し、発がんや神経変性疾患の発症に核酸の酸化障害関わる可能性を議論したい。
ミトコンドリア遺伝子変異の蓄積と老化
岐阜県国際バイオ研究所
田中雅嗣
我が国は世界でも稀にみる超高齢化社会に突入している。長寿を達成する実際的な方策は、動脈硬化、糖尿病、高血圧などの成人発症性疾患をいかに予防するかという点に集約される。成人発症性疾患は生活習慣病と呼ばれ、個人が生活習慣をいかに整え、疾患を予防するかという点が強調されているが、生活習慣病の発症と進展は、環境要因ばかりでなく、遺伝的素因の複合によっても規定されている。長い人類の歴史を通じてヒトの平均寿命は50歳以下であった。子供を産み終わり遺伝子を伝達した後にどのような疾患が現れようとも、種としての存続に何ら影響はない。生活習慣病はヒトの生物としての保証期間が切れた後に生じると言える。従って、多様な遺伝子多型が生活習慣病の背後に隠れている可能性がある。
エネルギー代謝の盛んな心筋ではミトコンドリアが細胞の体積の1/3を占める。ミトコンドリアDNA(mtDNA)は酸素代謝の場に置かれているため、活性酸素種によって損傷を受け、遺伝子変異が蓄積しやすい。ヒトのミトコンドリアゲノムは16569塩基対からなるが、イントロンがなく、全ての遺伝子が高発現している。細胞に2000コピーのミトコンドリアゲノムが存在すると仮定すると、3×107塩基対が機能している。核DNAは6×109塩基対であるが、エクソン部分は9×107塩基対である。mtDNAの進化速度は核DNAの約5~10倍であるので、mtDNAの多様性は核ゲノム全体の多様性に匹敵する。
MtDNAの塩基置換を43個体(0.7 Mb)において解析した結果、L鎖とH鎖の間で非対称的に変異が発生していることが明らかになった。ラギング鎖であるL鎖においてG→AおよびT→Cの頻度が高かった(Genomics 22: 327-335, 1994)。新規に合成されたリーディング鎖である娘H鎖によって押し退けられ一本鎖状態となった母H鎖上で、脱アミノによりC→UおよびA→Hx(ヒポキサンチン)が生じたために、母H鎖上でC→TおよびA→G変異が誘発されたと解釈できる。
遺伝子型が寿命に影響を与えている可能性を検証するために、百寿者のmtDNAの全塩基配列を決定し、百寿者において頻度の高い遺伝子多型Mt5178Aと、成人発症性疾患において頻度が高いMt5178C型を見いだした(Lancet 351: 185-186, 1998)。ミトコンドリア病の病因変異の発生に対する遺伝子型の影響を調べた。ミトコンドリア病患者群においてはMt5178A:C = 42:103であり、対照群におけるA:C = 277:356と比較して、有意にMt5178C型の頻度が高かった(p=0.0006)。Mt8993T→G変異(ATP6, Leu156Arg)およびMt8993T→C変異(Leu156Pro)は Leigh脳症の病因である。Mt8993T→G変異に基づく患者18例およびMt8993T→Cを有する患者3例の全例がMt5178C型であった。ヒドロキシラジカルはDNA合成の前駆体であるdGTPあるいはdATPを攻撃し8-OH-dGTPあるいは2-OH-dATPを生じさせる。T→G transversionはアデニンと8-OH-dGTPとの対合によって生じうる(A:T→A:8-OH-G→C:G)。2-OH-dATPはG:C→A:T transitionを誘発するのでMt8993T→C変異も説明しうる。Mt5178C型においてミトコンドリア内のヒドロキシラジカル産生が高い可能性が示唆された。一方、Mt5178A型はmtDNA変異発生抑制効果を有することが示された。
環境因子による酸化的DNA損傷とアポトーシス、がん、老化
三重大学医学部衛生学
川西 正祐
1. はじめに 我々は、常に環境中の化学物質や太陽紫外線などに曝露されている。これらの環境因子の中には、酸化ストレスとして各種疾病に関与しているものも多数存在する。特に、環境中や食品中には多数の発がん物質が存在することが明らかになっているが、発がん機構がいまだ明らかになっていないものが多い。また、酸化的ストレスによりDNAや蛋白質が損傷され、老化が進行するという仮説が提唱されている。我々は、環境因子による活性酸素の生成に注目し、発がんおよび老化機構の解明を行ってきた。本シンポジウムにおいて酸化的DNA損傷の発がんや老化における意義をアポトーシス誘導機構も含めて概説する。
2. 実験方法の原理 実験にはヒトがん原遺伝子 c-Ha-ras-1 およびがん抑制遺伝子 p53 やp16のホットスポットを含む約 100~400 bp の DNA 断片をサブクローニングにより多量に得た。その DNA 断片の5'末端を32Pで標識し、制限酵素で切断して一端のみが標識された単離 DNA 断片を調製した。Maxam-Gilbert法 を応用し、オートラジオグラムから DNA 損傷性とその塩基特異性を決定した。また、培養細胞を用いた実験においては、ヒト白血病細胞 HL-60 とそのカタラーゼ過発現株の HP100 を用い、アポトーシスや細胞内DNA損傷における活性酸素の関与を検討した。細胞内過酸化物量やミトコンドリア膜電位の変化は、それぞれに特異的な蛍光色素を用い、フローサイトメトリーにより検討した。
3. 酸化的DNA損傷と発がん 環境化学物質による発がん過程は、DNA付加体形成とDNA酸化損傷に大別される。職業がんの原因化学物質としてよく知られる芳香族アミノ化合物は、ベンゼン環が多くなるに従いDNA付加体を形成し、発がんの第1段階(イニシエーション)に関与する。しかし、我々は、ベンゼン環が一つのアミノ化合物であるオルトトルイジンはその代謝物が生体内物質存在下で酸化還元サイクルを形成し、酸化的にDNAを損傷することを明らかにした。また、食品加熱生成物ヘテロサイクリックアミンやアゾ染料等の多環式アミノ化合物は主としてDNA付加体を形成するが、そのN-ヒドロキシ代謝物は酸化的にDNAを損傷することを明らかにし、活性酸素を介して発がん過程の第2段階(プロモーション)にも関与する可能性を示唆した。
一方、ベンゼンは、Ames 試験では変異原性を検出できない発がん性環境化学物質である。我々は、ベンゼンの代謝物であるカテコール、ハイドロキノンおよび1, 2, 4-ベンゼントリオ-ルが生体内物質存在下において、酸化的に DNA を損傷する事を証明した。特に、生体内還元物質 NADH 共存下において、カテコールは、非常に強く DNAを 損傷した。この損傷機構として、カテコールの酸化生成物である1, 2-ベンゾキノンが NADH により速やかにカテコールまで2電子還元されるため(酸化還元サイクルの形成)、活性酸素が持続的に、多量に生成されることを明らかにした。また、HL-60 とHP100 細胞を用いた結果から、カテコールはH2O2の生成を介して細胞内 DNA を損傷することが認められた。これらのベンゼン代謝物、とくにカテコールは活性酸素生成を介して DNA 損傷を引き起こし、ベンゼンの発がん性に深く関与している可能性が明らかになった。その他のAmes試験陰性の発がん物質が同様に活性酸素生成を介してDNA損傷を起こすことも明かにしている。以上のように、Ames試験陰性の発がん物質は多くの場合、活性酸素生成を介してDNA損傷を起こすと考えられる。
発がん物質のトルエンやニトロベンゼンなどは生殖毒性をもたらすことが、最近明らかになっている。我々は、それらの代謝物であるメチルヒドロキノンやニトロソベンゼンが銅の存在下で活性酸素を生成し酸化的にDNA を損傷することを解明した。以上の結果から、発がん性を示す環境化学物質は、酸化的DNA傷害を介して生殖毒性も示す可能性があることが明らかになった。
4. DNA損傷とアポトーシス 細胞死のひとつであるアポトーシスは、発生、分化および発がんや神経変性疾患など様々な疾患の病態において重要な役割を果たしている。我々はこれまで環境因子や制がん剤によるアポトーシス誘導機構について研究を行ってきた。我々はベンゼン代謝物やスレオニンおよびグリシンの代謝物、マンノサミンなどのアミノ糖、食品添加物のジブチルヒドロキシトルエン、太陽紫外線(UVA)がヒト培養細胞において活性酸素生成や電子移動を介してDNA損傷およびアポトーシスを起こすことを認めた。一方、DNAアルキル化剤を用いてDNAを損傷した場合にもアポトーシスが誘導された。我々は、いずれのDNA損傷を介したアポトーシスの誘導過程においても、細胞内に活性酸素が生成され、ミトコンドリアの膜電位が低下して、カスパーゼ3が活性化されることを明らかにした。すなわち、DNA損傷を介するアポトーシスの誘導過程に活性酸素が重要な役割を果たしていると推察される。
5. 酸化的DNA損傷と老化 最近、染色体の末端部に存在するテロメア繰り返し配列 (5'-TTAGGG-3')nの短縮が老化のプログラムに関与するとの報告がなされている。我々は、生体内光増感物質存在下UVA照射により、テロメア繰り返し配列中の 5'-GGG-3' の中央の G に特異的に8-oxodGが生成することを見い出した。また、8-oxodG生成量を電気化学検出器付 HPLC で定量した結果、テロメア繰り返し配列を含む合成 DNA において 8-oxodG の増加を認めた。さらに、UVA 照射量に依存して、ヒト培養細胞中に有意に8-oxodG が増加すると同時に、テロメア繰り返し配列の短縮促進が認められた。また、酸化ストレス(H2O2やNO)により5'-GGG-3'配列中の5'側Gに8-oxodGが生成されテロメア繰り返し配列の切断が起こりやすくなることを解明した。UVAや酸化ストレスによるテロメア繰り返し配列の短縮促進が皮膚の老化促進に関与すると考えられる。
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酸化的DNA損傷と老化
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参考文書★医療費を削減させるために予防法の充実を
●脂質と血栓の医学より「活性酸素」
(詳しい図解は↓WEBページをご覧ください。)
http://hobab.fc2web.com/sub2-kasseisanso.htm#活性酸素による障害
活性酸素
活性酸素は、血管を障害し、老化や癌化を促進する。
摂取カロリーを制限すると、活性酸素の発生量が減少する。
適度に、筋肉を使った運動をすると、生体内の活性酸素の除去能が高まる。
活性酸素は、脂質、特に、細胞膜のリン脂質を酸化(peroxidation)させたり、蛋白やDNAに酸化障害(oxidative damage)を与える。
活性酸素でも、スーパーオキシド(・O2-)は、酸化力は、低い。
ヒドロキシルラジカル(HO・)は、寿命は短いが、酸化力は、強く、特に、脂質を連鎖的に酸化させてしまう(連鎖的脂質過酸化反応)。
1.フリーラジカルとは
2.活性酸素とは
3.活性酸素による障害
4.体内にある活性酸素を分解消去する酵素
5.生物フォトン
1.フリーラジカラルとは
電子は、原子核(注1)の周りの電子軌道に、電子雲として、雲状に存在する(公転に相当するが、電子は、ラザフォード模型のように、核の回りを回っているのではない)。
電子は、「スピン」と呼ばれる角運動量(J)を持っている(自転に相当する)。
鉄、コバルト、ニッケルは、電子のスピン角運動量(J)のため、磁気モーメント(μ)を有しており、磁気が発生する(注2)。
電子の持つスピン角運動量(J)の量子数は、スピン量子数(ms)で表されるが、2種類に限られる:上向きの矢印(↑)で表されるスピン量子数(ms)=1/2のαスピンと、下向きの矢印(↓)で表されるms=-1/2のβスピンの、2種類が存在する。
電子は、2つの状態の内、いずれかの状態しかとることが出来ない(磁場中の粒子は、2つのエネルギー順位に分裂する)。
どんな軌道でも、電子2個までしか、同一軌道上に存在できない。その電子は、互いに逆のスピンを持っていなければならない。(Pauliの原理:パウリの禁止原理)
原子や分子は、ひとつの電子軌道に、互いにスピンの向きが逆の電子2ケ(1/2、-1/2)が、対(ペア)になって、存在していると、互いのスピンを打ち消し合い、スピン量子数(ms)は0となり、安定している。
なお、原子や分子の全ての電子軌道に存在する、全ての電子のスピン角運動量の合計が、0の場合は「一重項状態」、1の場合は「三重項状態」と呼ばれる。
一般に、「三重項状態」の方が、「一重項状態」に比して、より安定なエネルギー準位にある。
ひとつの電子軌道に、ひとつの電子しか存在しない時、その電子は、不対電子と呼ばれる。不対電子は、「・」で示される。
不対電子を有する、原子や分子(=フリーラジカル)は、他の分子から、電子を1ケ奪って、対になろうとする。そして、フリーラジカル、他の分子から、1ケの電子を奪って酸化させたがる。その際、フリーラジカル自体は、還元される。
一酸化窒素(NO)や塩素(Cl)も、フリーラジカル。
2.活性酸素とは
活性酸素(reactive oxygen species:ROS)とは、普通の酸素分子(O2)よりも活性化された状態の酸素分子とその関連物質を指す。
もともと、酸素原子(O)には電子が8ケあるが、最外殻軌道(L殻)に6ケの電子が存在している:酸素原子は、K殻の1S軌道に2ケ、L殻の2s軌道に2ケ、2p軌道に4ケの電子を有している。
L殻の6ケの電子の内、4ケの電子は、結合性の2つの軌道(πχ、πy)に、スピンが対(1/2、-1/2)になって存在している。しかし、2p軌道に存在する、残りの2ケの電子は、同じスピンの向き(1/2)のため、不対電子になって、反結合性の2つの軌道(πχ*、πy*)に入っている。
酸素分子(O2)では、酸素原子2ケに存在した計4ケの不対電子の内、酸素原子の共有結合に際して、2ケの不対電子は対をなすが、残りの2ケは不対電子のままである。
このように、酸素原子は、ビラジカル(・O-O・)だが、活性酸素ほど、反応性は強くない。
そのため、酸素分子の全スピン量子数は、1となる。
活性酸素分子種としては、
イ.ラジカル種
スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、ヒドロペルオキシルラジカル(HOO・)、アルコキシルラジカル(LO・)、アルキルペルオキシルラジカル(LOO・)、一酸化窒素(NO)、
ロ.ノンラジカル種
過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ペルオキシナイトライト(ONOO-)、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)、次亜塩素酸(HOCl)、オゾン(O3)、
などがある。
このうち、スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)は、狭義の活性酸素と呼ばれる( 「酸素および活性酸素の最外殻軌道の電子配置」の項を参照)。
活性酸素は、ミトコンドリアでのエネルギー代謝(電子伝達系)、炎症時の白血球、アラキドン酸代謝、心筋梗塞の虚血-再灌流、紫外線、タバコ、抗癌剤、除草剤、ストレス、などで生成される。
酸化とは、酸素と結合するか、電子を失う化学反応のこと。
活性酸素のうち、スパーオキシドとヒドロキシルラジカルは、1個の不対電子を有しており、フリーラジカルとして、他の分子から電子を奪って、酸化させる。
なお、水素原子(原子核1ケ、電子1ケからなる)も、k殻に不対電子を持っており、水素ラジカルで、H2の形で互いの電子を共有結合し、安定する。
a.スーパーオキシド(・O2-)
細胞内のミトコンドリアでは、内膜を電子が伝達される(電子伝達系)のと共役して、水素イオンが膜間スペース(膜間腔)に汲み出され、エネルギー(ATP)が産生される。
呼吸により取り入れた酸素分子(三重項酸素:3O2)は、ミトコンドリアの内膜の電子伝達系の複合体IVで、伝達された電子により、四電子還元され、水(H2O)が生成される。しかし、この際、数パーセントの酸素分子は、一電子還元され、スーパーオキシド(ス-パーオキシドラジカルアニオン:・O2-)も、生成されてしまう(注3):「・」は、不対電子が1ケあるという意味。なお、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体
スーパーオキシド(superoxide)は、白血球(好中球)内で細菌を殺す際に、生成される。
スーパーオキシドは、キサンチン酸化酵素によっても生成される。アロプリノールは、キサンチン酸化酵素(キサンチンオキシダーゼ)を阻害し、活性酸素の産生を抑制する(ラジカル産生抑制薬)。
赤血球のヘモグロビンの鉄と結合した酸素からも、スーパーオキシドが、生成されるという:
Fe2++O2→Fe3++O2-
フェントン反応で生じる三価の鉄イオン(Fe3+) は、スーパーオキシドにより還元され、Fe2+に戻る。
O2-+Fe3+→O2+Fe2+ (ハーバー・ワイス反応:Harber-Weiss reaction)
また、銅は、スーパーオキシドにより還元されたり、酸素を酸化させる。
O2-+Cu2+⇔O2+Cu1+
酸素分子(O2)は、不対電子を、2ケ有している。
スーパーオキシド(・O2-)は、酸素分子(三重項酸素)に、電子が1ケ入って、不対電子の数は、1ケに減っている。
スーパーオキシド(・O2-)は、多量に発生するが、酸化力は弱い。
スーパーオキシドは、特に、核酸と反応する。
スーパーオキシドは、ラジカルとしての反応性は低く、酸化障害に、重要な寄与は、しないと考えられている。
スーパーオキシドは、体内でスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)により、過酸化水素に代謝される:
2O2-+2H+→O2+H2O2
高脂血症や高血圧は、血管内皮細胞のスーパーオキシドの産生を増加させる。
スーパーオキシドは水溶性だが、連鎖的脂質過酸化反応に関与する。
NADPH酸化酵素(NADPHオキシダーゼ)は、血管内皮細胞の表面に存在し、種々の刺激で、容易に活性化され、スーパーオキシドを産生する。
ディーゼルエンジンの排気ガス粒子(DEP:Diesel-Exhaust-Particles)を吸入すると、肺の中で、スーパーオキシド(O2-)→過酸化水素(H2O2)-(フェントン反応)→ヒドロキシルラジカル(HO・)と反応が進み、肺が障害され、浮腫などが出来ることが、生体計測ESRで確認された。
b.過酸化水素(H2O2)
過酸化水素(hydrogen peroxide)は、酸化力は弱いが、安定していて、寿命が長い。
過酸化水素は、細胞中の鉄イオン(Fe2+)や銅イオン(Cu1+)などの触媒作用(金属イオンは、電子を供給する)で、ヒドロキシルラジカル(HO・)に変化する:
Fe2++H2O2 →Fe3++HO-+HO・ (フェントン反応)
Cu1++H2O2 →Cu2++HO-+HO・
過酸化水素は、鉄イオン媒介ハイパー・ワイス反応によっても、ヒドロキシルラジカル(HO・)に変化する。
O2-+H2O2→HO・+HO-+O2
過酸化水素は、ミエロペルオキシダーゼの作用で、さらに毒性の強い次亜塩素酸(HOCl)にもなる。過酸化水素と次亜塩素酸は、好中球で殺菌作用をする。
過酸化水素の標準酸化還元電位は、1.35と高く、電子を引き抜く作用があるが、酸化力は、酸化チタンよりは、弱い。
表1 活性酸素の酸化還元電位 名称 英語 記号 酸化還元電位(ORP)
ヒドロキシルラジカル Hydroxyl Radical ・OH 2.05
酸素原子 Atomic Oxygen O1 1.78
オゾン Ozone O3 1.52
過酸化水素 Hydrogen Peroxide H2O2 1.30
次亜塩素酸 Hypochlorous Acid HOCl 1.10
酸素分子 Oxygen O2 0.94
過酸化水素は、細胞膜を容易に通過する。
赤血球では、血漿中で生成された過酸化水素が、細胞膜を通過し、赤血球内の3価鉄の存在下、フェントン反応などにより、ヒドキシルラジカルに変化する。ヒドキシルラジカルは、細胞膜内側から膜障害を来たし、赤血球を溶血させると言う。
ウイルソン病では、血清銅は減少するが、遷移金属として作用する銅(アルブミンと結合している)は、増加している。2価銅は、生体膜蛋白のSH基により1価銅に還元される。1価銅は、安定な2価銅に戻る際に、酸素に電子を与えるので、スーパーオキシドが生成させる。スーパーオキシドは、(血漿中で)不均化反応により、過酸化水素になり、さらに、過酸化水素は、1価銅により、ヒドロキシルラジカルになる。
c.ヒドロキシルラジカル(HO・)
ヒドロキシルラジカル(hydroxyl radical)は、存在するのは100万分の1秒間(注4)と寿命が短いが、酸化力は強く、酵素蛋白質や細胞骨格蛋白質、脂質、糖質、核酸(DNA、RNA)、などと反応する。
ヒドキシルラジカルは、特に、脂質を連鎖的に酸化させてしまう。この連鎖的脂質過酸化反応を停止出来るのは、抗酸化物質の、ビタミンE。
ヒドロキシルラジカルは、過酸化水素がスーパーオキシドや金属イオンと反応して、生成される:
Fe2++H2O2→Fe3++HO-+HO・ (フェントン反応)
2分子のヒドロキシルラジカルは、過酸化水素に戻る:
・OH+・OH→H2O2
ヒドロキシルラジカルは、スーパーオキシドと反応する:
・OH+O2-→-OH+O2
ヒドキシルラジカルは、過酸化水素と反応する:
・OH+H2O2→H2O+HOO・
ヒドロキシルラジカルは、グルタチオンと反応して消去される:
・OH+GSH→H2O+GS・
グルタチオン(glutathione)は、アセチルシステイン(N-acetylcysteine:NAC)から合成される。N-acetylcysteineを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞が、活性酸素の障害作用から、防御される。N-acetylcysteineは、それ自身、抗酸化作用(antioxidant properties)がある。
また、機序は不明だが、パントテン酸(pantothenic acid)を投与して、細胞内のCoA量を増加させると、グルタチオン濃度が高まる。
ヒドキシルラジカルは、細胞膜を構成する脂質と反応し、過酸化脂質が蓄積する(連鎖的脂質過酸化反応)。
過酸化脂質自体にもラジカル作用があり、他の物質を酸化させる。
d.一重項酸素(1O2)
一重項酸素の生成には、まず、基底状態の酸素分子(三重項酸素、3O2)が、光などのエネルギーを吸収し、励起状態になり(電子遷移)、反結合性の軌道(πy*)の不対電子1ケ(1/2のスピン)が、スピンの向きを変える(-1/2のスピンになる:スピン反転)と、3Σg+の一重項酸素になる。
さらに、3Σg+の一重項酸素では、速やかに、反結合性の軌道(πy*)の不対電子(-1/2のスピン)が、別の軌道(πχ*)に入る。そして、別の軌道(πχ*)に存在した、異なるスピン(1/2のスピン)の不対電子と、対になって、互いのスピンを打ち消すようになったのが、1⊿gの一重項酸素。通常の反応に関与するのは、1⊿gの一重項酸素で、三重項酸素(基底状態の酸素分子)より、94.1KJ/mol、エネルギー準位が、高い。
スーパーオキシドが、電子を受け取って生じるのに対して、一重項酸素は、エネルギーを吸収して、生じる。
一重項酸素は、不対電子を持たないが、「空の軌道」(πy*)が、2ケの電子を強く求めるため、強力な酸化力を発揮する。
一重項酸素は、不飽和脂肪酸と反応して、過酸化脂質を生じる。
一重項酸素は、皮膚で紫外線が当たる際に発生し、コラーゲンやエラスチンなど皮膚の若さを保つ蛋白を破壊する(注5)。
一重項酸素は、電子を奪って、スーパーオキシドになる:
A+1O2→A++O2-
一重項酸素は、再び、基底状態の酸素(三重項酸素)になる時に、近赤外領域の波長(1.27μm)で発光する。
一重項酸素は、抗酸化物質でも、カロテノイドが消去する。
カロテノイドには、細胞膜で作用するカロテノイド(リコピン、α-カロテン、β-カロテン)と、細胞内で作用するカロテノイド(ルテイン)が、存在する。
食事から摂取したカロテノイドは、細胞(細胞膜や細胞内)に移行し、1~2日間、活性酸素(一重項酸素)の消去に有効と言われる。
β-カロテンは、紫外線により発生する一重項酸素を消去し、皮膚のシミなどを改善・予防する。ニンジンは、茹でると、β-カロテンの腸からの吸収が高まる。茹でたニンジンを摂取した場合、生のニンジンを摂取した場合に比して、血中のβ-カロテン濃度は、高い:摂取6時間後で平均1.4倍、摂取8時間後で平均1.6倍、血中のβ-カロテン濃度が、高い。ニンジンを茹でたジュース(果汁)を飲むと、皮膚のシミが、改善する。
一重項酸素の消去には、ビタミンCやビタミンEは、有効でない。
3.活性酸素による障害
a.過酸化脂質
脂質は、細胞膜の主成分であり、また、血液中ではLDLなどのリポ蛋白として運搬される。
脂質は、活性酸素(特に、ヒドロキシルラジカル)により酸化変性され、過酸化脂質が生じる。
過酸化脂質により、細胞膜機能が変化したり、細胞が障害される。また、他の蛋白が酸化される。
過酸化脂質が増加した酸化LDLは、血管内皮細胞を障害し、動脈硬化を来たしたり、血栓を作りやすい体質にする。
年をとったマウスの脳や肝臓には、若いマウスの数倍の過酸化脂質が蓄積されている。
b.酵素活性の低下
ヒドロキシルラジカルにより、酵素蛋白が酸化変性される。
酵素蛋白が酸化変性すると、酵素活性が低下し、熱に対して不安定になり、細胞の機能が低下する。
活性酸素によりアミノ酸が酸化されて生じるカルボニル化合物の量は、老化とともに増えることが、マウスの脳や腎臓や肝臓、ヒトの脳や眼の水晶体で、観察されている。
c.動脈硬化や、心筋梗塞あるいは脳梗塞の発症
ヒドロキシルラジカルや一重項酸素により、不飽和脂肪酸が酸化変性される。
酸化された不飽和脂肪酸を含む酸化LDLは、血管内皮細胞を障害し、動脈硬化を来たしたり、血栓を作りやすい体質にする。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞が発症する。
(ただし、酸化LDLに含まれる過酸化脂質は、生体内で活性酸素が原因で生成されるものよりも、食事由来のものもあると思われます。)
d.発癌
すべての活性酸素は、核酸を障害する。
細胞は、DNAが酸化され、障害を受けると、癌化したり、細胞死に陥る。
抗酸化物質は、発癌を抑制する。
なお、ニトロサミン(ニトロソアミン)などの発癌物質は、直接的ないし間接的にフリーラジカルを生成する。
e.老化の促進
DNAの塩基G(グアニン)が酸化されると、OHGと言う物質が生じる。
OHGの細胞内の量は、核よりミトコンドリアに多い。
脳や肝臓や心臓に含まれるOHG量は、年をとったマウスの方が、若いマウスより、多い。加齢により、活性酸素によるDNA障害が蓄積するものと考えられる。
f.寿命の短縮
活性酸素は、一回の細胞分裂当りのテロメア短縮を大きくし、細胞の分裂回数を減らすので、寿命が短くなる(注6)。
カロテノイドを多く含む緑黄色野菜の摂取量が少ないと、活性酸素により、テロメアが早期に短く切断され、老化が早まると言う。
g.白内障
ブドウ糖(グルコース)は、眼の水晶体の中で、sorbitol pathwayで代謝される。糖尿病で水晶体内のブドウ糖濃度が高いと、アルドース還元酵素(aldose reductase:AR)により還元されて生成されるソルビトールが増加して蓄積し、糖尿病性白内障になる。もう一つは、糖尿病で過酸化脂質が沢山生成されるのが原因でなる白内障で、ビタミンEが、ある程度、効果がある。
糖尿病などで、高血糖状態が続くと、ミトコンドリアの電子伝達系を介して、活性酸素(ROS)が、多く産生される。
老人性白内障も、過酸化脂質の増加が原因である。過酸化脂質の増加には、活性酸素が影響している。
h.皮膚のシミ(褐色顆粒)
細胞内のリソソーム(lysosome:注7)の膜の不飽和脂肪酸が、活性酸素で酸化されて生じる過酸化脂質(と蛋白質の複合体)が、リポフスチンとして蓄積すると、シミになる。
i.アルツハイマー病
活性酸素によりアミノ酸が酸化されて生じるカルボニル化合物の量が、アルツハイマー病の患者では多いという。
なお、神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、Aβ(アミロイドβ蛋白)が、脳内で重合(凝集)し易くなり、脳内に蓄積し、アルツハイマー病(痴呆症、認知症)を来たすと考えられる。
j.レッドクス制御
細胞質内では、NFkB(nuclear factor kappa B:免疫グロブリンk鎖遺伝子発現のエンハンサーのB断片、NFkB(NF kappa B)は、IkB(inhibitor kB)と結合している。
活性酸素は、PKC(キナーゼC)、PTK(protein tyrosine kinase:細胞質型チロシンキナーゼ)、セリンキナーゼを活性化させ、NFkBとIkBの結合を解離させ、遊離したNFkBは、核内に移行し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-2など)、NO(iNOS)、T細胞受容体、MHCなどの遺伝子を活性化させる。
IL-1βは、NFkBの発現を介して、COX-2と、EP3受容体のmRNAの発現を、増加させる。COX-2により産生されたPGE2は、EP3受容体に結合し、cAMPを低下させ、ブドウ糖によるインスリン分泌を、抑制する。
k.腎障害
腎臓では、活性酸素(スーパーオキシド)は、NADPHオキシダーゼ、あるいは、ミトコンドリアで、産生される。
腎臓では、NOが、L-アルギニンから、eNOSにより、生成される。NOは、血管を拡張させ、血管を保護するが、NOが、スーパーオキシドと反応すると、ペルオキシナイトライト(ONOO-)と言う、より強力な酸化因子が、生成され、細胞障害が起こる。
4.体内にある活性酸素を分解消去する酵素
活性酸素(reactive oxygen species:ROS)を解毒する酵素系には、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、カタラーーゼ(catalase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH peroxidase)、グルタチオン還元酵素(GSH reductase)、Glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)が存在する。
a.スーパーオキシドディスムターゼ(SOD:superoxide dismutase)
SODは、スーパーオキシドを、過酸化水素と酸素に分解する:
2O2-+2H+→O2+H2O2
細胞質やミトコンドリア内に存在していて、銅(Cu)や亜鉛(Zn)やマンガン(Mn)が補助因子となる。
SODは、運動など、必要に応じて、たくさん誘導されて作られるようになるが、老齢になると誘導能力が低下するという。筋肉を使った運動は、SODの活性を高め、活性酸素の除去能を高める。
ヒトは、体重当りのカロリー消費量に対してSODの活性が他の動物より高いため、寿命が長いと、考えられる。
血清中のSOD活性は、成人より小児の方が高い:年齢が若い小児の方が、高い。
細胞内には、SODのように、活性酸素を消去(除去)する働きのある酵素が存在するが、細胞外にはあまり存在しないので、細胞は、外からの活性酸素には、弱いと言われる。
b.カタラーゼ
過酸化水素を、酸素と水に分解する酵素。
H2O2→H2O+1/2O2
カタラーゼは、SODと共同して、生命の寿命の延長に関与している。
血管内皮細胞では、カタラーゼ活性が低い。
過酸化水素(H2O2)は、細胞膜(生体膜)を自由に通過可能なので、ペルオキシゾーム(peroxisome)内のカタラーゼ以外に、細胞質ゾル(cytosol)のグルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase)、チオレドキシンペルオキシダーゼ(thioredoxin peroxidase)、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(ascorbate peroxidase)によっても、水に分解される。
c.グルタチオンペルオキシダーゼ
グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px:glutathione peroxidase)は、セレン(Se)を活性中心に持つ。
グルタチオンペルオキシダーゼは、過酸化水素を、グルタチオンの存在下で、水に代謝させ、酸化型グルタチオンを生成する:
H2O2+2GSH→2H2O+GSSG
また、グルタチオンペルオキシダーゼは、過酸化脂質を還元する:
LOOH+2GSH→LOH+GSSG+H2O
なお、グルタチオンペルオキシダーゼは、ヒドロキシルラジカルを消去させるが、ビタミンB2(リボフラビン)を補酵素とするので、ビタミンB2の欠乏は、過酸化脂質の増量を来たす。
細胞内のグルタチオン(GSH)の濃度は、5~10mMと、高い。
細胞内の酸素分圧が上昇すると、ミトコンドリアの電子伝達系の電子の流れが活性化させ、cytochrome c oxidaseが、酸化状態にシフトする。その結果、[NAD]/{NADH]比([NADP]/{NADPH]比)や、GSSG/GSH比が、上昇する(NADH/NAD+比は、低下する)。
Glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)と、6-phosphogluconate dehydrogenase(6-PGD)により生成される12分子のNADPHを用いて、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)と、グルタチオン還元酵素(GSH reductase)により、12分子の過酸化水素(H2O2)が消去され、6分子の二酸化炭素(CO2)が、肺から排出される。
5.生物フォトン
体内に、活性酸素や、酸化ストレス増加すると、生物フォトンによる発光が、増加する(注8)。
生物フォトン(バイオフォトン)による発光は、細胞内で、活性酸素により、ラジカル連鎖反応が起こる為と考えられている(リポキシゲナーゼ等の酸化酵素が、発光に関与する)。
6.食品加熱と活性酸素
食品(肉や魚)を高温で加熱調理すると、蛋白質が熱変性を起こし、ヘテロサイクリックアミンが生成される。
ヘテロサイクリックアミンは、生体内で、N-水酸化体となり、エステル化されて、遺伝子DNA鎖を切断し、変異原性を現す。ヘテロサイクリックアミンが、遺伝子DNA鎖を切断する際には、活性酸素(スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル等)が、関与する。
ブドウ糖とアミノ酸が共存する食品を、加熱調理すると、メイラード反応により、ヒドキシフラノン誘導体(芳香成分)が生成される。ヒドキシフラノン誘導体は、活性酸素を発生させ、DNA鎖を切断したり、組織障害を起こす。
電子レンジは、電磁波(2450MHzのマイクロ波)により、水分子を共鳴振動させ、水分子(双極子)を回転運動させ、電磁波のエネルギーが、熱運動エネルギー(摩擦熱)に変換され、食品の温度が上昇する。電子レンジ調理では、水は、100℃までしか温度が上昇しない(油は、電磁波の吸収効率が、水より低いが、温度は100℃以上に上昇する)。
ビタミンC残存率は、電子レンジで調理した方が、従来調理(煮沸など)より、多い(水さらし液や、煮汁へ溶出率が少ない)。
ほうれん草の場合、ビタミンC残存率は、電子レンジ調理が82%なのに対して、従来調理は69%。
ビタミンB1残存率も、電子レンジ調理の方が、5~15%多い。
電子レンジで調理した方が、従来調理(煮沸など)より、残存率が高いのは、水さらしがない為に、溶出率が低い為。
従来調理(茹でる調理)では、「あく」(Ca、Mg、Kなどの無機塩類、タンニン、アルカロイド、サポニン、配糖体、有機酸等を含む、辛味や渋味の不味成分)が、水に溶出する。特に、野菜は、「あく」の有機酸が、加熱により壊れた組織から、溶出するので、クロロフィルの色が悪化させない為に、水さらしする必要がある。「あく」は、電子レンジ調理では、食品中に、多く残る(タンニン等は、抗酸化物質としての作用も、期待出来る)。ワラビ(蕨)は、「あく」(灰汁)として、タンニン(ポリフェノールの1種)や、ビタミンB1破壊酵素を含んでいるので、動物(鹿等)は、ワラビ(蕨)を食べない。
電子レンジにより、水分子は、マイクロ波による電界の変化に追従して動く。しかし、蛋白質や澱粉のような巨大分子は、電界の変化に追従出来ず、末端基が振動する程度に過ぎない。
電子レンジ調理(マイクロ波加熱)は、蒸した場合より、細胞の変形は大きいが、細胞壁の損傷は、少ない。
電子レンジ調理では、蒸した場合に比して、食物繊維のペクチンが、水溶化しにくいので、柔らかくなり難い(シャキシャキした歯応えになる)。
電子レンジ調理では、脂質の酸化の度合いは、従来調理(オーブン等)と同等と言われる。電子レンジ調理では、中性脂肪の劣化は、オーブンより少なく、リン脂質の劣化は、オーブンより多いと言う。
一般に、加熱調理により、抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノール等)は、酸化酵素の活性が失われるので、残存しやすくなる。そして、特に、電子レンジ調理では、煮たりした場合に比し、抗酸化物質が、茹で汁中に流出しないので、残存率が高くなる。
電子レンジ調理では、水の温度は100℃までしか上昇しない(焦げ目が付かない)ので、発癌性のある焦げ物質(ジメチルニトロソアミン)、トリプトファン加熱分解産物の発生量が、ガス火加熱より少ない:魚肉中のジメチルニトロソアミン量は、生肉中0.1~1.0μg/kg、ガス火加熱0.2~2.0μg/kg、電子レンジ調理0.1~0.60μg/kg。
精製した油脂(oil)は、電子レンジによる加熱調理(microwave healing)により、酸化変性(oxidativedeterioration)する。精製した油脂の電子レンジによる酸化変性は、セサモール(sesamol:リグナン)や、ビタミンE(tocophenol)を添加すると、著明に、抑制される。
大豆を、いろいろな水分濃度(moistures)で、電子レンジにより焼いた(roast)実験結果では、大豆を、予め水に浸して(soaking)から、電子レンジで焼くと、ビタミンEの減少や、大豆油脂の酸化変性が、抑制された。水に浸した大豆は、電子レンジで20分間焼いても、ビタミンEは、80%以上が残存し、大豆油脂は、ほとんど化学的に変化しなかった(電子レンジで調理しても、ビタミンEが含まれていれば、油脂は、あまり、酸化変性しない)。
ビタミンEは、大豆では、軸(Axis)に一番多く、次いで、子葉(cotyledons)、殻(coat)に多く含まれる。大豆を(水に浸さないで)電子レンジで加熱すると、殻に含まれるビタミンEの40%が喪失するが、軸や子葉に含まれるビタミンEの80%以上は、保持される。なお、電子レンジで加熱すると、特に、殻の部位で、トリグリセリド(triacylglycerol)やリン脂質や多価不飽和脂肪酸が減少する。大豆の軸や子葉に含まれるビタミンEは、電子レンジの調理しても、多くが保持される。
7.慢性肉芽腫症
慢性肉芽腫症(chronic granulomatous disease:CGD)は、食細胞(好中球、単球)に存在するNADPHオキシダーゼの構成蛋白が、遺伝的に欠損し、食細胞の活性酸素産生能が欠如している。
慢性肉芽腫症(CGD)では、食細胞(好中球、単球)が、カタラーゼ陽性で過酸化水素(H2O2)非産生性の細菌(黄色ブドウ球菌、グラム陰性菌、結核菌)や、真菌を、殺菌する能力が低下している為、乳幼児期から、重症感染を反復し、肉芽腫が形成される。
慢性肉芽腫症(CGD)の遺伝形式には、伴性劣性(X-CGD)と、常染色体劣性(A-CGD)との2型がある。
おまけ:
1.右ネジの法則
電流が流れる(電子は、反対方向に移動する)と、右ネジを回す方向に、磁界が生じる(N極からS極の方向に、磁力線が生じる)。
電場が変化すると、磁場が変化する。電磁波などで、磁場が変化すると、電場が変化する。
2.フレミングの左手の法則
人さし指の方向に磁界がある場で、中指の方向に電流が流れる(電子は、反対方向に移動する)と、親指の方向に、力が働く。
磁界の中を電流が流れると、力が働く。
3.電子の基本的性質
質量(m)=9.109×10-31kg
電荷(e)=-1.602×10-19クーロン
電子は、粒子の性質を持つ波動と理解される。
電子は、光子(電磁波)のエネルギーを共鳴吸収して、そのエネルギーを光子として放出したり、電子自身が、物質から飛び出す(光電効果)。
普通の物質(バリオン物質)は、原子に電子を有する。しかし、暗黒物質は、電子を有しないので、光子を吸収・放出しないので、眼に見えない。普通の物質(バリオン物質+光)は、宇宙(のエネルギー)の4%を占めるに過ぎず、暗黒物質(質量を有するので、重力が作用する)が23%、暗黒エネルギー(斥力が作用する)が73%を占めているという。なお、光子(のエネルギー)は、普通の物質(バリオン物質)の10万分の1程度しか存在しない。
4.キノコの色
エノキダケは、天然株(野生で自生した株)は、栽培株と異なり、メラニンなどのポリフェノールの酸化物により、茶色に着色している。
白い天然株のエノキダケは、SODの活性が高く、メラニンが形成されにくいので、光(紫外線)を浴びても、色が白いままでいる。
5.水分子
水分子(H2O)では、酸素原子と、水素原子とが、電子により、共有結合している。
水分子の酸素原子核は、水素原子と共有する電子に、強い引力を及ぼす為、水分子では、酸素原子が負の電荷を帯び、水素原子は正の電荷を帯び、極性を有する。
水分子の負に荷電した酸素原子は、他の水分子の正に荷電した水素原子と引き合い、弱い水素結合を形成する。
水素結合は、半減期10-10秒で、酸素原子と水素原子とが、結合したり、離れたりを繰り返している。
水は、凍らせると、体積が増加するが、エタノールや食用油は、凍らせると体積が、減少する(エタノールの方が、食用油より、体積の減少率が多い)。
水を凍らせて出来る氷は、水に浮かぶが、エタノールや食用油を凍らせて出来る氷は、それぞれ、エタノールや食用油に、沈む。
6.分子運動とエネルギー
紫外線のエネルギーでは、電子遷移が起こる。
赤外線のエネルギーでは、分子の振動(分子間の結合が伸縮する)が起こる。
マイクロ波のエネルギーでは、分子の回転が起こる。
ラジオ波のエネルギーでは、分子や電子のスピン運動が起こる。
注1:原子核は、陽子や中性子から構成されている。陽子や、中性子は、それぞれ、3ケのクォークから構成されている。クォーク間の結合は、エネルギーが低くなると、無限に強くなる。
注2:電子のスピンに起因して、磁性が生じる。
磁気モーメントとは、言わば、1つの電子がスピン(回転)することで生じる、小さな磁石。
水素の原子核(1H)=プロトンも、スピン(核スピン)しており、電子より弱い(約658分の1)が、核磁気を有している。
核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)と言って、磁場中の粒子の核スピンは、磁場の方向と逆の方向の2種類に分かれる。この状態で、電磁波(ラジオ波)を当てると、電磁波のエネルギー(hν)が、ゼーマンエネルギーに、一致すると、共鳴して、エネルギーの吸収が起こる(外部からの電磁波のエネルギーを吸収して、励起する基底状態の原子数は、たかだか10万分の1程度しかない)。例えば、1.0T(テスラ)の磁場中で、水素の原子核(1H)=プロトンは、42.58MHz(メガヘルツ)の周波数の電波に共鳴して、信号(電磁波)を放出する:信号(電磁波)で、周期的に磁場が変動すると、受信コイルに電流が流れる。1H-NMRは、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴診断法)として、画像診断に利用されている:MRIでは、水(H2O)と脂肪に含まれる、水素の原子核(1H)からの信号(電磁波)を検出する。13Cも核磁気を有しているが、13Cは、炭素中に1.7%しか存在せず、13C-NMRは、1H-NMRの5700分の1程度しか、感度がない。
ESR(Electron Spin Resonance:電子スピン共鳴法)は、核スピンより強い、電子スピンを検出する。生体計測ESR法では、スピンプローブを用いて、生体で発生する活性酸素を測定出来るという。
注3:ミトコンドリア内膜で、複合体IVに渡された電子により、酸素分子(O2)が還元される際に、一部の酸素分子は、一電子還元され、スーパーオキシド(O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(HO・)など活性酸素(ROS)が、発生(generate)してしまう。
活性酸素は、ミトコンドリア内膜の複合体IIIでも、電子(プロトン)が、CoQ(ubiquinone)、シトクロムb、シトクロムc1の間を、行き来する間に発生する。複合体IVで発生する活性酸素の量よりも、複合体IIIで発生する活性酸素の量の方が、多いと言う。
活性酸素は、ミトコンドリア内膜の複合体Iや、ミトコンドリア外膜のmonoamine oxidaseでも、発生する。
注4:ヒドロキシルラジカル(HO・)の存続時間は、1億分の1秒間(10-8秒)と記する本もある。ヒドロキシルラジカル(HO・)は、このような超短時間内に、他の分子と反応する。
スーパーオキシド(・O2-)は、比較的安定なラジカルなので、存続時間は、数秒間と言われる。
注5:紫外線は、皮膚の(コラーゲン線維や弾性線維の)炭素結合(C-C)を切断し、シワの原因になる。
注6:長寿の為には、腹八分の食事が良いと言われて来たが、食事で摂取するカロリー制限(Caloric Restriction)をすると、活性酸素の発生量が低下して、寿命が延びるという。
カロリー制限をすると、コレステロール、中性脂肪や、血圧は、低下する。
カロリー制限は、脳内において、神経細胞の壊死を減らし、神経を保護する神経栄養性のファクターを増加させ、脳の可塑能力を高めるという。逆に、高カロリー食、高脂肪食は、アルツハイマー病などの、神経変性性疾患のリスクを、高めるようだ。
しかし、カロリーを制限し過ぎると、骨密度の低下、免疫力の低下などの弊害も、起こり得る。また、ビタミンなどが、欠乏しない食餌を摂取することが大切。
基礎代謝量により、適切な摂取すべきカロリー量は、異なる。20代の時の体重を維持するように、食餌を摂取すると良いという。
10代は、成長期なので、カロリー制限は、20歳前は、行ってはいけない。カロリー制限を行うのは、30歳代、あるいは、40歳代から行うのが良い。
注7:リソソーム(Lysosome、ライソゾーム、リソゾーム)は、細胞内外の不要物質を加水分解・消化する細胞内の顆粒。リソソームの内腔のpHは、5以下と酸性。pH5で良く働く酸性加水分解酵素が存在している。
リソソーム(lysosome)は、lysis(溶かす)と、some(顆粒)とから命名されている。
リソソームは、細胞内の「消化器官」であり、細胞内外の不要物質を、加水分解したり、消化する。
リソソームは、ミトコンドリアより小型で、電子顕微鏡で観察すると、膜は一層で、内腔は電子密度が高い。
注8:電子は、エネルギーを吸収し、励起状態となり、それが基底状態に戻る時、フォトン(近赤外~可視領域の電磁波)を出す。このフォトンは、微弱なため、肉眼では、知覚出来ないが、光電子増倍機能を持つ高感度の機械を用いて、測定出来るようになった。
生物でも、細胞分裂など、生命活動に供ない、フォトンが発せられ、生物フォトン(バイオフォトン:biophoton)と呼ばれている。
気功師が、気を発する時に、(手の)経穴(ツボ)から発せられる、生物フォトンの発光量が、増加する。また、気功を受けた患者の患部からは、かなり多量の生物フォトンが、発光されるのことが、測定された。気功では、「気」と言う、未知のエネルギーが発せられ、人体の細胞を構成する物質に吸収され、物質の電子のエネルギー状態を励起させ、生物フォトンの発光を増加させるものと、推測される。このように、「気」のエネルギーは、物質(バリオン物質)を構成する電子に吸収され、電子のエネルギー準位を高めると、推測される。
電子は、言わば、音叉です。打撃された音叉(エネルギーを受けた音叉)は、音を発し(音波を発し)、離れた、他の音叉を、共鳴で振動させる。そのように、電磁波のエネルギーを吸収し励起した電子は、基底状態に戻る際に、電磁波を放出し、その電磁波は、他の原子や分子に存在する電子を共鳴させ、吸収される。
電子は、「気」のエネルギーを吸収し、励起した電子が、基底状態に戻る際に、光(電磁波)を発する。その光が、生物フォトンとして、測定されるようだ。
生体内には、電子が移動したりして、微弱な電流が流れ、磁気(磁場)が生じている。
良い、「気」のエネルギー(パワー)は、生体(人体)の細胞の機能を高めたり、霊魂(精神)を癒すことが、期待される。
しかし、「気」のエネルギーは、物理的なエネルギーとしては、弱いので、「気」のエネルギーのみで、物体を移動させることは、困難。
気功で「気」のエネルギーによって水の電気抵抗が減少するのは、電子のスピンの向きが揃うからだと考える説もある。
参考文献
・日医雑誌 第124巻・第11号(2000年).
・活性酸素(日本化学会、高柳輝夫編、1999年、丸善).
・図解雑学 老化のしくみと寿命(藤本大三郎著、2001年、ナツメ社).
・田川邦夫:からだの働きからみる代謝の栄養学 タカラバイオ株式会社(2003年).
・大西鐘壽、他:酸素代謝の適応生理 小児科 Vol.41 No.13、2265-2289、2000年.
・美濃真:フリーラジカル-活性酸素による組織障害 小児科 Vol.35 No.10、1265-1272、1994年.
・岡野創造、吉岡博:虚血性脳障害におけるフリーラジカル 小児科 Vol.38 No.5、449-455、1997年.
・伊藤進、他:新生児と酸素代謝-酸素毒性との関係において- 小児科 Vol.40 No.12、1581-1588、1999年.
・吉岡俊正:フリーラジカルと糸球体疾患 小児科 Vol.38 No.9、1065-1073、1997年.
・板倉弘重:食生活がもたらす酸化ストレス 日本医師会雑誌 第124巻・第11号、1554-1558、2000年.
・肥後温子:新版 電子レンジ「こつ」の科学 柴田書店(2005年).
・光でとらえる植物の病害抵抗性誘導、現代農業、310-315、2005年6月号、農山漁村文化協会.
・薮原明彦:慢性肉芽腫症におけるIFNγの治療応用、信州医誌、40(6): 675~676、1992年.
・Hiromi Yoshida, et al: Antioxidative effects of sesamol and tocopherols at various concentrations in oils during microwave heating. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 79, Issue 2, 220-226, 1999.
・Hiromi Yoshida, et al: Vitamin E and Oxidative Stability of Soya Bean Oil Prepared with Beans at Various Moisture Contents Roasted in a Microwave Oven. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 72, Issue 1, 111-119, 1996.
・Sachiko Takagi, et al: Microwave roasting effects on the composition of tocopherols and acyl lipids within each structural part and section of a soya bean. Journal of the Science of Food and Agriculture Volume 79, Issue 9, 1155-1162, 1999.
2013年11月29日
進撃のミトコンドリア研究 化学物質過敏症との関係とは?
内科系の医師から「幽霊のように」存在が確認できないとされる疾患が化学物質過敏症ですが、実在する患者の症状からその病態を逆引きで解明にアプローチする取り組みができないはずはないと私は考えます。
さて、現在までに私はもちろん精神科領域の治療アプローチも取り入れ、この病の治療に取り組んできました。
PTSDにはEMDRを、自律神経の調節にはカラオケ療法による調律鍛錬を、鬱気分や慢性疲労症候群症状には食事とサプリメントによる栄養療法から脳神経細胞の修復を、過敏性腸炎には腸内細菌バランスの改善を。
その他にも筋力低下に対するビタミンB群治療やタンパク質摂取や運動による修復治療を、農薬中毒等改善にはグルタチオンやグロンサンやビタミンCによる解毒治療を。
これらは私に寝たきり寸前で思考力も低下ししゃべる事さえ困難で廃人同然の状況から、休息しながらなら家事も可能で言葉を自由に操ることを再び可能にしました。
よく内科系の医師は化学物質過敏症患者について心療内科の紹介を行いますが、私は逆でそちらへ先にうかがいましたが、当時慢性疲労だけだった私は今でも大阪市立大学による慢性疲労症候群治療情報を入手できなかったことから薬剤過敏までこじらせたことが悔やまれてなりません。
さて、今日取り上げる「ミトコンドリア」と化学物質過敏症の関係は「グルタチオン」の治療を必要とする点です。
ともに活性酸素治療を必要とする慢性疲労症候群でも化学物質過敏症でもグルタチオン治療が行われます。
私の場合、症状として慢性疲労が先で、化学物質への過敏性は後でした。
この両者をつなぐ共通項が今日題材としている「ミトコンドリア」の障害です。
とちらも活性酸素除去治療に重点がおかれる病です。
内科系の医師が化学物質過敏症を非難するWEBページはありますが、日経新聞に載った記事でさえ、何故ミトコンドリアの代謝異常にまで言及することなく、症状が慢性的疲労の段階で患者に方向修正を促せなかったのか非常に残念です。
今夏、様々な治療の上に社会復帰を(心ひそかに(ねらって体力づくりに励んだ私は、不可解で深刻な疲労感にさいなまれました。
しかも、鬱気分は全く無いのです。
意欲的に取り組んで取り組んで、夕飯時にはテーブルを抱えるように上体を支えご飯をかきこまないと体がしんどくて食事もできない様になりました。
私は慢性疲労症候群患者さんのブログで「活動が疲労刺激になりうる」ことをつきとめてから、社会復帰のための鍛錬を減らすことにしましたがその後、深刻で過剰なまでの疲労症状は少なくなりました。
今日取り上げたいことは、私のこの背景から逆引きした情報調査からあぶりだしてきた「難病とミトコンドリア」の関係についての情報紹介です。
私が体験し見た限り、ミトコンドリアの働きに障害が起こっていることが「化学物質」への「過敏性」を発現させていると感じています。
私は視覚・身体・発達障害に問題を抱えるに至りました。
ミトコンドリア病はこれらとの関係を否定できない面があり、まだ研究途上です。
以下にアステラス製薬HPのミトコンドリア病研究に関する情報を紹介します。
ご一読ください。
●明日は変えられる アステラス製薬
マイトカイン社とミトコンドリア関連疾患領域で提携 ― 本提携によりミトコンドリア関連疾患領域の新フロンティアを拓く ―
2013年10月 7日
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-195.html
注1ミトコンドリアについて
ミトコンドリアは人体のほぼ全ての細胞に存在し、人間が活動するためのエネルギー産生を始めとして、活性酸素種の産生および除去、細胞死制御など様々な機能を有する極めて重要な細胞内小器官です。
注2ミトコンドリア関連疾患について
ミトコンドリア機能不全に起因する病気を総称してミトコンドリア病と呼び、遺伝性あるいは自然発生のmtDNA(ミトコンドリア内に存在するミトコンドリアDNA)変異や、ミトコンドリア機能に関連するnDNA(細胞の核に存在する核DNA)変異が原因となります。ミトコンドリア機能不全は、特定の細胞や組織に影響すると考えられていますが、その原因は完全には解明されていません。ミトコンドリア病患者さんは、中枢および末梢神経系障害、骨格筋・心筋障害、視覚・聴覚障害、代謝障害などの症状を抱えています。典型的な発症時期は小児期で、患者さんの健康な生活とQOL(生活の質)に影響を与えています。
次の三大病型がミトコンドリア病の60~70%を占めていると言われています。
1) ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)
2) 慢性進行性外眼筋麻痺症候群/カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群(CPEO/KSS)
3) 赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)
他のミトコンドリア病には、リー症候群(Leigh syndrome)やミトコンドリア神経胃腸脳筋障害(MNGIE)、アルパース病(Alpers’ disease)、レーバー病(LHON)、神経性障害性運動失調網膜色素変性症(NARP)、脂肪酸酸化障害(FAOD)などがあります。
ミトコンドリア異常は、筋機能不全、代謝不全、神経変性、視覚異常、更には、がんや心血管障害、腎不全など、一見、関連性の低いと思われる症状や疾患にも影響を及ぼすと考えられており、これらはミトコンドリア病を含めてミトコンドリア関連疾患と呼ばれます。ミトコンドリア異常に関連すると考えられている疾患例として、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脳梗塞、気分障害、糖尿病、脂肪性肝疾患、骨粗しょう症、がん転移、末梢動脈疾患(PAD)、加齢性難聴(AHL)などが挙げられます。
ミトコンドリア病およびミトコンドリア関連疾患の診断は、その症状が幅広いため、複雑なプロセスを必要とし、正確に診断されていない例も少なくないと言われています。
<紹介おわり>
私はミトコンドリア関連疾患として化学物質過敏症候群を再定義することができないのだろうかと考えています。
MCSなど嗅覚の異常については、副産物的な症状であって、それが患者の思い込みの心理的作用のみによる精神疾患作用でない可能性を先に記事「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム最前線 (11/18)」にまとめました。
http://cscfsfmsescss.osakazine.net/e517787.html
私の場合もですが、それを改善させたのが「グルタチオン治療」であり、解毒治療でした。
妊婦のつわりやベンゾジアゼピン離脱症候群とともに、身体細胞の栄養素分布の状態など、それらの条件が整うことで発現していると仮定しアプローチするほうが研究アプローチとして解明に近いと私は考えました。
もちろん患者はベンゾジアゼピン使用経験があるわけではありませんが、有機溶剤など化学物質的負荷除去治療に取り組んだ途端に私の嗅覚が過敏になりMCSを経験したことから、研究上のアプローチとしてその角度から情報調査したものです。
さて、いずれにしてもこの課題に取り組むとき「解毒代謝」の異常「活性酸素除去治療」がこの病態解明のメインになります。
かつて慢性疲労症候群が内科系の医師に認められなかったように、化学物質過敏症もまた未だ医療差別・医療人権侵害の只中にあります。
しかし、種々の情報を検討するとき、体内で有害物質や活性酸素リスクなど、難病とミトコンドリアの関係は深く、慢性炎症あるところにグルタチオンレベルの低下が考えられます。
さて、私が現在得ている情報はこれだけです。
化学物質過敏症候群を含め、後天的なミトコンドリア障害について専門家のお取り組みを未来に願ってこの記事を書きました。
なお、情報調査過程で再び気になった活性酸素についてまた記事を書くことにします。
「化学物質過敏症の存在は証明できない?幽霊の存在を証明するのは不可能?」
私は科学の力でその原理の解明が不可能だとは思いません。
私は科学オンチですが、かつて心霊現象に分類されていたドッペルゲンガー現象でさえ脳科学がその原理を解明しました。
臆して取り組まない敗者になるかどうかは研究者次第だとつくづく感慨深く世界の不思議とされる事象の解明の面白さに魅了されました。
…ちっとも勉強したことがありませんでしたが、勉強って面白いですね。
2013・11・29
ニコ
(2014・2・22一部文章を修正 等しく→整う)
(参考●健康に老いるにはグルタチオン(GSH) http://www.univite.co.jp/book1/page34.htm)
●頭医者のつぶやき
ミトコンドリアを活性化する九つの習慣
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/08/post_e481.html
関連記事・「薬を飲まない片頭痛改善法を知りたい?」
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/11/post_7d37.html
●JB PRESS カラダStyle
若返るための五か条
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4928?page=4
さて、現在までに私はもちろん精神科領域の治療アプローチも取り入れ、この病の治療に取り組んできました。
PTSDにはEMDRを、自律神経の調節にはカラオケ療法による調律鍛錬を、鬱気分や慢性疲労症候群症状には食事とサプリメントによる栄養療法から脳神経細胞の修復を、過敏性腸炎には腸内細菌バランスの改善を。
その他にも筋力低下に対するビタミンB群治療やタンパク質摂取や運動による修復治療を、農薬中毒等改善にはグルタチオンやグロンサンやビタミンCによる解毒治療を。
これらは私に寝たきり寸前で思考力も低下ししゃべる事さえ困難で廃人同然の状況から、休息しながらなら家事も可能で言葉を自由に操ることを再び可能にしました。
よく内科系の医師は化学物質過敏症患者について心療内科の紹介を行いますが、私は逆でそちらへ先にうかがいましたが、当時慢性疲労だけだった私は今でも大阪市立大学による慢性疲労症候群治療情報を入手できなかったことから薬剤過敏までこじらせたことが悔やまれてなりません。
さて、今日取り上げる「ミトコンドリア」と化学物質過敏症の関係は「グルタチオン」の治療を必要とする点です。
ともに活性酸素治療を必要とする慢性疲労症候群でも化学物質過敏症でもグルタチオン治療が行われます。
私の場合、症状として慢性疲労が先で、化学物質への過敏性は後でした。
この両者をつなぐ共通項が今日題材としている「ミトコンドリア」の障害です。
とちらも活性酸素除去治療に重点がおかれる病です。
内科系の医師が化学物質過敏症を非難するWEBページはありますが、日経新聞に載った記事でさえ、何故ミトコンドリアの代謝異常にまで言及することなく、症状が慢性的疲労の段階で患者に方向修正を促せなかったのか非常に残念です。
今夏、様々な治療の上に社会復帰を(心ひそかに(ねらって体力づくりに励んだ私は、不可解で深刻な疲労感にさいなまれました。
しかも、鬱気分は全く無いのです。
意欲的に取り組んで取り組んで、夕飯時にはテーブルを抱えるように上体を支えご飯をかきこまないと体がしんどくて食事もできない様になりました。
私は慢性疲労症候群患者さんのブログで「活動が疲労刺激になりうる」ことをつきとめてから、社会復帰のための鍛錬を減らすことにしましたがその後、深刻で過剰なまでの疲労症状は少なくなりました。
今日取り上げたいことは、私のこの背景から逆引きした情報調査からあぶりだしてきた「難病とミトコンドリア」の関係についての情報紹介です。
私が体験し見た限り、ミトコンドリアの働きに障害が起こっていることが「化学物質」への「過敏性」を発現させていると感じています。
私は視覚・身体・発達障害に問題を抱えるに至りました。
ミトコンドリア病はこれらとの関係を否定できない面があり、まだ研究途上です。
以下にアステラス製薬HPのミトコンドリア病研究に関する情報を紹介します。
ご一読ください。
●明日は変えられる アステラス製薬
マイトカイン社とミトコンドリア関連疾患領域で提携 ― 本提携によりミトコンドリア関連疾患領域の新フロンティアを拓く ―
2013年10月 7日
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-195.html
注1ミトコンドリアについて
ミトコンドリアは人体のほぼ全ての細胞に存在し、人間が活動するためのエネルギー産生を始めとして、活性酸素種の産生および除去、細胞死制御など様々な機能を有する極めて重要な細胞内小器官です。
注2ミトコンドリア関連疾患について
ミトコンドリア機能不全に起因する病気を総称してミトコンドリア病と呼び、遺伝性あるいは自然発生のmtDNA(ミトコンドリア内に存在するミトコンドリアDNA)変異や、ミトコンドリア機能に関連するnDNA(細胞の核に存在する核DNA)変異が原因となります。ミトコンドリア機能不全は、特定の細胞や組織に影響すると考えられていますが、その原因は完全には解明されていません。ミトコンドリア病患者さんは、中枢および末梢神経系障害、骨格筋・心筋障害、視覚・聴覚障害、代謝障害などの症状を抱えています。典型的な発症時期は小児期で、患者さんの健康な生活とQOL(生活の質)に影響を与えています。
次の三大病型がミトコンドリア病の60~70%を占めていると言われています。
1) ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)
2) 慢性進行性外眼筋麻痺症候群/カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群(CPEO/KSS)
3) 赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)
他のミトコンドリア病には、リー症候群(Leigh syndrome)やミトコンドリア神経胃腸脳筋障害(MNGIE)、アルパース病(Alpers’ disease)、レーバー病(LHON)、神経性障害性運動失調網膜色素変性症(NARP)、脂肪酸酸化障害(FAOD)などがあります。
ミトコンドリア異常は、筋機能不全、代謝不全、神経変性、視覚異常、更には、がんや心血管障害、腎不全など、一見、関連性の低いと思われる症状や疾患にも影響を及ぼすと考えられており、これらはミトコンドリア病を含めてミトコンドリア関連疾患と呼ばれます。ミトコンドリア異常に関連すると考えられている疾患例として、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脳梗塞、気分障害、糖尿病、脂肪性肝疾患、骨粗しょう症、がん転移、末梢動脈疾患(PAD)、加齢性難聴(AHL)などが挙げられます。
ミトコンドリア病およびミトコンドリア関連疾患の診断は、その症状が幅広いため、複雑なプロセスを必要とし、正確に診断されていない例も少なくないと言われています。
<紹介おわり>
私はミトコンドリア関連疾患として化学物質過敏症候群を再定義することができないのだろうかと考えています。
MCSなど嗅覚の異常については、副産物的な症状であって、それが患者の思い込みの心理的作用のみによる精神疾患作用でない可能性を先に記事「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム最前線 (11/18)」にまとめました。
http://cscfsfmsescss.osakazine.net/e517787.html
私の場合もですが、それを改善させたのが「グルタチオン治療」であり、解毒治療でした。
妊婦のつわりやベンゾジアゼピン離脱症候群とともに、身体細胞の栄養素分布の状態など、それらの条件が整うことで発現していると仮定しアプローチするほうが研究アプローチとして解明に近いと私は考えました。
もちろん患者はベンゾジアゼピン使用経験があるわけではありませんが、有機溶剤など化学物質的負荷除去治療に取り組んだ途端に私の嗅覚が過敏になりMCSを経験したことから、研究上のアプローチとしてその角度から情報調査したものです。
さて、いずれにしてもこの課題に取り組むとき「解毒代謝」の異常「活性酸素除去治療」がこの病態解明のメインになります。
かつて慢性疲労症候群が内科系の医師に認められなかったように、化学物質過敏症もまた未だ医療差別・医療人権侵害の只中にあります。
しかし、種々の情報を検討するとき、体内で有害物質や活性酸素リスクなど、難病とミトコンドリアの関係は深く、慢性炎症あるところにグルタチオンレベルの低下が考えられます。
さて、私が現在得ている情報はこれだけです。
化学物質過敏症候群を含め、後天的なミトコンドリア障害について専門家のお取り組みを未来に願ってこの記事を書きました。
なお、情報調査過程で再び気になった活性酸素についてまた記事を書くことにします。
「化学物質過敏症の存在は証明できない?幽霊の存在を証明するのは不可能?」
私は科学の力でその原理の解明が不可能だとは思いません。
私は科学オンチですが、かつて心霊現象に分類されていたドッペルゲンガー現象でさえ脳科学がその原理を解明しました。
臆して取り組まない敗者になるかどうかは研究者次第だとつくづく感慨深く世界の不思議とされる事象の解明の面白さに魅了されました。
…ちっとも勉強したことがありませんでしたが、勉強って面白いですね。
2013・11・29
ニコ
(2014・2・22一部文章を修正 等しく→整う)
(参考●健康に老いるにはグルタチオン(GSH) http://www.univite.co.jp/book1/page34.htm)
●頭医者のつぶやき
ミトコンドリアを活性化する九つの習慣
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/08/post_e481.html
関連記事・「薬を飲まない片頭痛改善法を知りたい?」
http://headache.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/11/post_7d37.html
●JB PRESS カラダStyle
若返るための五か条
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4928?page=4
2013年11月23日
副腎疲労症候群という炎症要因について
副腎疲労症候群という炎症要因について
化学物質過敏症や繊維筋痛症や慢性疲労症候群を考えるとき、その発現メカニズムに加味して考えたい概念が心理的やその他(環境・感染・も含め)ストレスが身体に影響を及ぼすとされる「副腎疲労症候群」についてです。
前記事「脳科学情報最前線から見る過敏応答」では、心理的ストレス(その他痛み刺激)がホルモン分泌に作用し、慢性炎症を脳や全身に及ぼす可能性を紹介しました。
アドレナル・ファティーヴ(副腎疲労症候群)
米国抗加齢医学からの概念だそうで、一旦一般の医学からはそれるかもしれないけれどこれは1990年代に米国の医師ジェームズ・L・ウイルソンによって提唱された概念だそうで注目すべきは、米国で戦地からの帰国兵士のストレスの治療にも応用され始めていることです。
(アドレナル・ファティーヴの原因 http://adrenalfatigue.jp/factor.html)
ここで一般の医学から次のような研究報告を紹介します。
米ジョージタウン大学メディカルセンターから発表された湾岸戦争症候群患者の検査報告によると患者は次の2パターンに分類されるという。
1)血圧や心拍数に作用する脳の一部が萎縮しているグループ
2)痛みを感じる脳の一部が萎縮しているグループ
専門雑誌PLOS ONEに掲載されたという。
(転載元『20年後の発見――湾岸戦争症候群は2種類の脳のダメージが原因だった』http://irorio.jp/jpn_manatee/20130625/65744/)
さて、このような患者におけるストレスケアにおそらくアドレナル・ファティーヴ治療が施されているのではないかと思われます。
患者はアルツハイマー病から疲労感まで多彩な症状を見せるといいます。
そして、有害化学物質影響がささやかれる病態だという。
下記は具体的症状と心理以外のストレス要素も含めた報道記録の紹介です。
ーーーーーーーーーーーー
海外ドキュメンタリー http://teraken.gooside.com/wangansensoushokogun040204.html
湾岸戦争症候群 ~何が兵士たちをむしばんだか~
制作:パウ・テレビ・プロダクション(イギリス 1993年) 45分
<編集して内容紹介>
湾岸戦争帰還兵たちの一連の病状を指すのが「湾岸戦争症候群」である。倦怠感や関節痛、皮膚の痛み、記憶の喪失など症状はさまざまであるが、政府はこれを心理的なものであるとしていた。
試験中の薬を兵士に使用する場合は、インフォームド・コンセント(本人に知らせて同意を得ること)が義務づけられているが、国防総省はその義務の免除をするよう食料医薬品部局に圧力をかけていたことが証言された。アメリカは、自分たちが主導で制定したニュルン・ベルク原則に反した。ニュルン・ベルク原則とは、第二次大戦中に行われた人体実験への反省から、戦後、インフォームド・コンセントなしに実験的な治療を行うことを禁じたもので、国際法に組み込まれている。
油性の火災で吐き出された有毒ガスや、原油にまみれた環境も兵士たちの健康をむしばんだ。風土病にかかった兵士もいる。血液検査によってベンジンのような、そもそも体内にはあるはずのない物質が検出された兵士もいる。どの物質も石油からできたものであった
<紹介おわり>
ーーーーーーーーーーー
ニコ
すごい話がつづきましたが ここで一旦、副腎疲労症候群からアプローチの角度を変えます。
慢性疲労症候群についてですが。
次に挙げる資料の「5.内分泌系の異常」を読むと、副腎疲労症候群と同じ状態を見ることがでいます。
もうひとつ、「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とは?」から検査結果の判定内容を紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
正式名称:厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野)「自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成」研究班
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue07.html
<編集して抜粋>
5.内分泌系の異常
血清コルチゾール減少、血漿ACTH増加、尿中カテコラミンの上昇、抗利尿ホルモン基礎値の減少と全身水分量の増加、ACTH試験における副腎感受性の亢進と最大反応性の低下、インスリン誘発低血糖時においてプロラクチンや成長ホルモンの分泌異常などがあげられる。
<抜粋おわり>
「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とは?
http://medical-checkup.info/article/50239421.html
検査結果の判定
ACTHが高値で、併せて測定したコルチゾールも高値を示す場合は、下垂体性のクッシング症候群が、
逆にコルチゾールが低値を示す場合は、アジソン病(全身倦怠感、吐き気、下痢、低血糖などの症状が現れる)が疑われます。
また、慢性的に副腎が障害されていると、副腎皮質ホルモンの分泌が減少して、それを回復させるためにACTHが高値となることがあります。
一方、ACTHが低値を示し、コルチゾールが高値の場合は、副腎腫瘍によるクッシング症候群が疑われます。また、下垂体の機能低下や、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の大量服用などでも低値となります。
異常な場合に疑われる病気
高値…クッシング症候群、アジソン病、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症、異所性ACTH産生腫瘍、グルココルチコイド不応症など
低値…下垂体機能低下症、副腎性クッシング症候群、ACTH単独欠損症、外因性ステロイド投与など
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
鬱病では高コルチゾール、高ACTHだといいます。
慢性疲労症候群と副腎疲労症候群は似ていると捉えていいでしょうか!?
ここで、化学物質過敏症である私の症例もあえて紹介しておきます。
私は医師からカフェインとアルコールを禁止されています。
九州大学の総合診療科に在籍していらした先生ですが、食いしん坊な私はあえて注意を受けています。
(先日もこっそり梅酒の梅一個食べたけど;)
実は度々食べると右の肋骨の中あたり、乳頭から下方、乳房(にゅうぼう)の下が痛いのです。
化学物質過敏症がある方はだいたいアルコール不耐性とカフェイン不耐性があり、許容度が解毒代謝にともない変化しますが、出ます。
さて、アドレナル・ファティーブ(副腎疲労症候群)でも カフェインやアルコールが禁止されているようです。
詳しくは後記を読んでいただくとして、ひとつこの先入観をお持ちいただきご覧ください。
「化学物質過敏症・慢性疲労症候群・繊維筋痛症患者には、情緒不安定・イライラ・欝・思考力低下もろもろの患者が少なくない。
繊維筋痛症では専門医が「患者はモンスター」とツイートしていますが、痛みストレスが激しいため悲しい副産物があると思いますし、化学物質過敏症患者はイライラ怒りっぽいですが、こちらも理解困難とされ深刻な障害者差別と向き合っている日常なので心理的ストレス過多がありますね。慢性疲労と欝は合併すると聞きます。
(誤解をさけるため欝とCFSについては→http://susumu-akashi.com/2012/06/cfsmdd/…慢性疲労症候群と鬱病の違い…またうつ病では脳下垂体のACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が減少しますが、CFS患者では増加しています。さらにうつ病患者ではMHPG(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル-エチレングリコール)が増加していますが、CFS患者では減少しています。つまり内分泌的には別の疾患です。)
…ニコは困るのですが、病気がストレスを生んだのか?ストレスが病気を生んだのか?はたまた、相互に影響しあいながら症候群を練り上げていくのかと悩ましい限りです。
このニコの疑問について、次の記述もご一読ください。
次の4、ストレスと副腎皮質は、ストレスと鬱について書かれている記述です。ニコもストレスたんまり持っている「開き直りの楽天家」ですが、またややこしいことですが、慢性疲労症候群と鬱気分両方経験した気がします。
3、副腎皮質ホルモンの合成の件はなんだかニコが使用する医薬品にすごく関係しています。
農薬散布や中国からの越境大気汚染で肩こりや頭痛や視神経痛に悩まされるときに飲むのが「グロンサンゴールド錠剤」なのですが、私の感触ではこの副腎皮質ホルモンの合成のサイクルが上手くできていないのが、化学物質過敏症の私の問題点だと思えるのですが。
もちろん、条件があって、越境大気汚染がひどすぎるか、月経中のホルモン状態が関与するかが複雑に絡みます。
またこの3の記述中に出てくる「ミトコンドリア」という単語ですが、これについては次回「ミトコンドリア病」についての記事を別途書きます。
なお、さらに付け加えると副腎皮質ホルモンで私は過労死事故にあいかけたとき、薬害を起して製薬会社から同情されています、
視野狭窄と3時間止まらない動悸で動けず救急車を呼ぶ判断力がなく発達障害の診断を受けています。
背景に、自治会活動で体調不良時に免除申請を拒否され仕事を強要され過労がMAXに達した条件があるので、製薬会社の責任ではないのですが、ひどい日光疹で膨れた皮膚に多量に塗布した副腎皮質ホルモンの薬害が合わさっていたようです。
なお、当時の睡眠時間の平均は2時間半でレストレッグス症候群症状で体がビクンと反り返る感覚で半年まともに眠れていませんでした。
ーーーーーーーーーーーーーー
http://hobab.fc2web.com/sub4-Steroid.htm
3.副腎皮質ホルモンの合成
ステロイドホルモンは、化学構造式で、ステロイド核を有している。
ステロイド核は、コレステロールから合成される。
副腎皮質細胞は、表面のLDL受容体により、LDLを、細胞内に取り込み、脂肪滴として、コレステロールエステルを、貯蔵している。
下垂体ACTHは、コレステロールエステル加水分解酵素(CEH)を活性化し、脂肪滴中のコレステロールエステルを、遊離コレステロールに変換させる。
遊離コレステロールは、ミトコンドリアに輸送され、ミトコンドリア内膜で、プレグネロンに変換される。
プレグネロンは、滑面小胞体に輸送され、17α-ヒドロキシプレグネロンを経て、11-デオキシコルチゾールに変換される。
11-デオキシコルチゾールは、再び、ミトコンドリアに輸送され、コルチゾールに変換される。
コルチゾールは、主に、肝臓で代謝され、グルクロン酸が結合(グルクロン酸抱合)したりした後、大部分は、17-OHCSとして、尿中より、排泄される。
4.ストレスと副腎皮質
コルチゾールの1日分泌量は、約20mgだが、最大のストレス下では、200~300mg分泌される。
ストレスが続くと、生体では、ストレスに抵抗する為に、副腎皮質が肥大し、副腎皮質ホルモンの分泌が、増加する。
しかし、適応困難なストレス(過大なストレスや、長期間のストレス)は、生体を、疲弊させて、副腎皮質ホルモンの分泌を、減少させてしまう。
ーーーーーーーーーーーー
ニコ
掘り出せば様々あります。
そして患者の身の上には、ニコも含めて苦労人が少なくなく混じっています。
さらに詳しくは 宮澤医院 慢性疲労外来http://rootcause.jp/afs/
(画像説明あり)
及び、gdm clinic 森谷 宜朋院長(経歴・出身校:岡山大学医学部 勤務略歴:岡山大学付属病院、岡山赤十字病院、福山第一病院、国立福山病院、井原市立井原市民病院etc.)http://www.utu-manseihirou.com/adrenal/をご覧ください。
概略としてわかりやすい下記も紹介します。
ーーーーーーーーーー
日本じゃ治せない?うつ病に似ている「副腎疲労症候群」の症状4つ
http://woman.mynavi.jp/article/130924-055/
Update : 2013.09.24
■副腎疲労症候群とは?
私たちはストレスにさらされた時、副腎から抗ストレスホルモンが分泌され、ストレスから心身を守ります。しかし、長期的なストレスが続くことで分泌が過剰になり、免疫力が低下してしまいます。
■副腎疲労症候群の主な症状4つ
(1)慢性疲労が続く
(2)脳に霧がかっている
(3)性欲が減退する
(4)アルコール不耐性
■副腎疲労症候群の治療方法とは
(1)カフェインと砂糖をカットする
副腎への負担を軽減させ、ホルモン量を通常に保つために、この2つをカットしましょう。
(2)塩分は摂取し、カリウムは控える
副腎は体液の電解質のバランスを調節している器官です。塩辛いものを食べたい時は摂取しましょう。逆に、塩分を排出させてしまうカリウムを含む食材は避けましょう。
(3)栄養素を摂取する
副腎の回復に必要な栄養素はマグネシウム、ビタミンC、ビタミンB5です。
いまアメリカでは副腎疲労症候群が話題になっています。日本でも当てはまる方は多いのではないでしょうか。気になる症状があった方は、一度生活スタイルを見直してみてくださいね。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
ちょっと今日は疲れで微熱ぽくしんどいです。
いちおう副腎疲労症候群記述は以上にします。
例により、あとで修正点は修正するかもしれませんが。
(14・2・22修正…この記事作成時は疲れすぎてたので文章を揃えました。)
化学物質過敏症や繊維筋痛症や慢性疲労症候群を考えるとき、その発現メカニズムに加味して考えたい概念が心理的やその他(環境・感染・も含め)ストレスが身体に影響を及ぼすとされる「副腎疲労症候群」についてです。
前記事「脳科学情報最前線から見る過敏応答」では、心理的ストレス(その他痛み刺激)がホルモン分泌に作用し、慢性炎症を脳や全身に及ぼす可能性を紹介しました。
アドレナル・ファティーヴ(副腎疲労症候群)
米国抗加齢医学からの概念だそうで、一旦一般の医学からはそれるかもしれないけれどこれは1990年代に米国の医師ジェームズ・L・ウイルソンによって提唱された概念だそうで注目すべきは、米国で戦地からの帰国兵士のストレスの治療にも応用され始めていることです。
(アドレナル・ファティーヴの原因 http://adrenalfatigue.jp/factor.html)
ここで一般の医学から次のような研究報告を紹介します。
米ジョージタウン大学メディカルセンターから発表された湾岸戦争症候群患者の検査報告によると患者は次の2パターンに分類されるという。
1)血圧や心拍数に作用する脳の一部が萎縮しているグループ
2)痛みを感じる脳の一部が萎縮しているグループ
専門雑誌PLOS ONEに掲載されたという。
(転載元『20年後の発見――湾岸戦争症候群は2種類の脳のダメージが原因だった』http://irorio.jp/jpn_manatee/20130625/65744/)
さて、このような患者におけるストレスケアにおそらくアドレナル・ファティーヴ治療が施されているのではないかと思われます。
患者はアルツハイマー病から疲労感まで多彩な症状を見せるといいます。
そして、有害化学物質影響がささやかれる病態だという。
下記は具体的症状と心理以外のストレス要素も含めた報道記録の紹介です。
ーーーーーーーーーーーー
海外ドキュメンタリー http://teraken.gooside.com/wangansensoushokogun040204.html
湾岸戦争症候群 ~何が兵士たちをむしばんだか~
制作:パウ・テレビ・プロダクション(イギリス 1993年) 45分
<編集して内容紹介>
湾岸戦争帰還兵たちの一連の病状を指すのが「湾岸戦争症候群」である。倦怠感や関節痛、皮膚の痛み、記憶の喪失など症状はさまざまであるが、政府はこれを心理的なものであるとしていた。
試験中の薬を兵士に使用する場合は、インフォームド・コンセント(本人に知らせて同意を得ること)が義務づけられているが、国防総省はその義務の免除をするよう食料医薬品部局に圧力をかけていたことが証言された。アメリカは、自分たちが主導で制定したニュルン・ベルク原則に反した。ニュルン・ベルク原則とは、第二次大戦中に行われた人体実験への反省から、戦後、インフォームド・コンセントなしに実験的な治療を行うことを禁じたもので、国際法に組み込まれている。
油性の火災で吐き出された有毒ガスや、原油にまみれた環境も兵士たちの健康をむしばんだ。風土病にかかった兵士もいる。血液検査によってベンジンのような、そもそも体内にはあるはずのない物質が検出された兵士もいる。どの物質も石油からできたものであった
<紹介おわり>
ーーーーーーーーーーー
ニコ
すごい話がつづきましたが ここで一旦、副腎疲労症候群からアプローチの角度を変えます。
慢性疲労症候群についてですが。
次に挙げる資料の「5.内分泌系の異常」を読むと、副腎疲労症候群と同じ状態を見ることがでいます。
もうひとつ、「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とは?」から検査結果の判定内容を紹介します。
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正式名称:厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野)「自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成」研究班
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue07.html
<編集して抜粋>
5.内分泌系の異常
血清コルチゾール減少、血漿ACTH増加、尿中カテコラミンの上昇、抗利尿ホルモン基礎値の減少と全身水分量の増加、ACTH試験における副腎感受性の亢進と最大反応性の低下、インスリン誘発低血糖時においてプロラクチンや成長ホルモンの分泌異常などがあげられる。
<抜粋おわり>
「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とは?
http://medical-checkup.info/article/50239421.html
検査結果の判定
ACTHが高値で、併せて測定したコルチゾールも高値を示す場合は、下垂体性のクッシング症候群が、
逆にコルチゾールが低値を示す場合は、アジソン病(全身倦怠感、吐き気、下痢、低血糖などの症状が現れる)が疑われます。
また、慢性的に副腎が障害されていると、副腎皮質ホルモンの分泌が減少して、それを回復させるためにACTHが高値となることがあります。
一方、ACTHが低値を示し、コルチゾールが高値の場合は、副腎腫瘍によるクッシング症候群が疑われます。また、下垂体の機能低下や、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の大量服用などでも低値となります。
異常な場合に疑われる病気
高値…クッシング症候群、アジソン病、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症、異所性ACTH産生腫瘍、グルココルチコイド不応症など
低値…下垂体機能低下症、副腎性クッシング症候群、ACTH単独欠損症、外因性ステロイド投与など
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ニコ
鬱病では高コルチゾール、高ACTHだといいます。
慢性疲労症候群と副腎疲労症候群は似ていると捉えていいでしょうか!?
ここで、化学物質過敏症である私の症例もあえて紹介しておきます。
私は医師からカフェインとアルコールを禁止されています。
九州大学の総合診療科に在籍していらした先生ですが、食いしん坊な私はあえて注意を受けています。
(先日もこっそり梅酒の梅一個食べたけど;)
実は度々食べると右の肋骨の中あたり、乳頭から下方、乳房(にゅうぼう)の下が痛いのです。
化学物質過敏症がある方はだいたいアルコール不耐性とカフェイン不耐性があり、許容度が解毒代謝にともない変化しますが、出ます。
さて、アドレナル・ファティーブ(副腎疲労症候群)でも カフェインやアルコールが禁止されているようです。
詳しくは後記を読んでいただくとして、ひとつこの先入観をお持ちいただきご覧ください。
「化学物質過敏症・慢性疲労症候群・繊維筋痛症患者には、情緒不安定・イライラ・欝・思考力低下もろもろの患者が少なくない。
繊維筋痛症では専門医が「患者はモンスター」とツイートしていますが、痛みストレスが激しいため悲しい副産物があると思いますし、化学物質過敏症患者はイライラ怒りっぽいですが、こちらも理解困難とされ深刻な障害者差別と向き合っている日常なので心理的ストレス過多がありますね。慢性疲労と欝は合併すると聞きます。
(誤解をさけるため欝とCFSについては→http://susumu-akashi.com/2012/06/cfsmdd/…慢性疲労症候群と鬱病の違い…またうつ病では脳下垂体のACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が減少しますが、CFS患者では増加しています。さらにうつ病患者ではMHPG(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル-エチレングリコール)が増加していますが、CFS患者では減少しています。つまり内分泌的には別の疾患です。)
…ニコは困るのですが、病気がストレスを生んだのか?ストレスが病気を生んだのか?はたまた、相互に影響しあいながら症候群を練り上げていくのかと悩ましい限りです。
このニコの疑問について、次の記述もご一読ください。
次の4、ストレスと副腎皮質は、ストレスと鬱について書かれている記述です。ニコもストレスたんまり持っている「開き直りの楽天家」ですが、またややこしいことですが、慢性疲労症候群と鬱気分両方経験した気がします。
3、副腎皮質ホルモンの合成の件はなんだかニコが使用する医薬品にすごく関係しています。
農薬散布や中国からの越境大気汚染で肩こりや頭痛や視神経痛に悩まされるときに飲むのが「グロンサンゴールド錠剤」なのですが、私の感触ではこの副腎皮質ホルモンの合成のサイクルが上手くできていないのが、化学物質過敏症の私の問題点だと思えるのですが。
もちろん、条件があって、越境大気汚染がひどすぎるか、月経中のホルモン状態が関与するかが複雑に絡みます。
またこの3の記述中に出てくる「ミトコンドリア」という単語ですが、これについては次回「ミトコンドリア病」についての記事を別途書きます。
なお、さらに付け加えると副腎皮質ホルモンで私は過労死事故にあいかけたとき、薬害を起して製薬会社から同情されています、
視野狭窄と3時間止まらない動悸で動けず救急車を呼ぶ判断力がなく発達障害の診断を受けています。
背景に、自治会活動で体調不良時に免除申請を拒否され仕事を強要され過労がMAXに達した条件があるので、製薬会社の責任ではないのですが、ひどい日光疹で膨れた皮膚に多量に塗布した副腎皮質ホルモンの薬害が合わさっていたようです。
なお、当時の睡眠時間の平均は2時間半でレストレッグス症候群症状で体がビクンと反り返る感覚で半年まともに眠れていませんでした。
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http://hobab.fc2web.com/sub4-Steroid.htm
3.副腎皮質ホルモンの合成
ステロイドホルモンは、化学構造式で、ステロイド核を有している。
ステロイド核は、コレステロールから合成される。
副腎皮質細胞は、表面のLDL受容体により、LDLを、細胞内に取り込み、脂肪滴として、コレステロールエステルを、貯蔵している。
下垂体ACTHは、コレステロールエステル加水分解酵素(CEH)を活性化し、脂肪滴中のコレステロールエステルを、遊離コレステロールに変換させる。
遊離コレステロールは、ミトコンドリアに輸送され、ミトコンドリア内膜で、プレグネロンに変換される。
プレグネロンは、滑面小胞体に輸送され、17α-ヒドロキシプレグネロンを経て、11-デオキシコルチゾールに変換される。
11-デオキシコルチゾールは、再び、ミトコンドリアに輸送され、コルチゾールに変換される。
コルチゾールは、主に、肝臓で代謝され、グルクロン酸が結合(グルクロン酸抱合)したりした後、大部分は、17-OHCSとして、尿中より、排泄される。
4.ストレスと副腎皮質
コルチゾールの1日分泌量は、約20mgだが、最大のストレス下では、200~300mg分泌される。
ストレスが続くと、生体では、ストレスに抵抗する為に、副腎皮質が肥大し、副腎皮質ホルモンの分泌が、増加する。
しかし、適応困難なストレス(過大なストレスや、長期間のストレス)は、生体を、疲弊させて、副腎皮質ホルモンの分泌を、減少させてしまう。
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ニコ
掘り出せば様々あります。
そして患者の身の上には、ニコも含めて苦労人が少なくなく混じっています。
さらに詳しくは 宮澤医院 慢性疲労外来http://rootcause.jp/afs/
(画像説明あり)
及び、gdm clinic 森谷 宜朋院長(経歴・出身校:岡山大学医学部 勤務略歴:岡山大学付属病院、岡山赤十字病院、福山第一病院、国立福山病院、井原市立井原市民病院etc.)http://www.utu-manseihirou.com/adrenal/をご覧ください。
概略としてわかりやすい下記も紹介します。
ーーーーーーーーーー
日本じゃ治せない?うつ病に似ている「副腎疲労症候群」の症状4つ
http://woman.mynavi.jp/article/130924-055/
Update : 2013.09.24
■副腎疲労症候群とは?
私たちはストレスにさらされた時、副腎から抗ストレスホルモンが分泌され、ストレスから心身を守ります。しかし、長期的なストレスが続くことで分泌が過剰になり、免疫力が低下してしまいます。
■副腎疲労症候群の主な症状4つ
(1)慢性疲労が続く
(2)脳に霧がかっている
(3)性欲が減退する
(4)アルコール不耐性
■副腎疲労症候群の治療方法とは
(1)カフェインと砂糖をカットする
副腎への負担を軽減させ、ホルモン量を通常に保つために、この2つをカットしましょう。
(2)塩分は摂取し、カリウムは控える
副腎は体液の電解質のバランスを調節している器官です。塩辛いものを食べたい時は摂取しましょう。逆に、塩分を排出させてしまうカリウムを含む食材は避けましょう。
(3)栄養素を摂取する
副腎の回復に必要な栄養素はマグネシウム、ビタミンC、ビタミンB5です。
いまアメリカでは副腎疲労症候群が話題になっています。日本でも当てはまる方は多いのではないでしょうか。気になる症状があった方は、一度生活スタイルを見直してみてくださいね。
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ニコ
ちょっと今日は疲れで微熱ぽくしんどいです。
いちおう副腎疲労症候群記述は以上にします。
例により、あとで修正点は修正するかもしれませんが。
(14・2・22修正…この記事作成時は疲れすぎてたので文章を揃えました。)
2013年11月21日
脳科学情報最前線から見る過敏応答
『ニコまとめ』
脳科学情報を調べると何らかの刺激に対して脳が過敏応答を見せる現象が見受けられ、鎮痛の医学に関する情報では中枢感作症状と記されています。
最近筑波大学の研究報告で、腸内環境の悪化が脳機能やアレルギーの悪化に影響を及ぼすメカニズムが明らかにされました。
これは中枢感作が起こる脳のメカニズムにも関与すると思われます。
腸内から送られる有害物質を代謝するための代謝栄養素の消耗から脳細胞の活動を維持する栄養素が不足し、刺激への応答を過剰に反映しやすい状態をつくるためだと思われます。
これを前回記事「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム」で紹介した嗅覚の前処理機能の可能性と照らし合わせ考えることで、些細な刺激に過剰応答してしまう、脳と嗅覚の過敏応答メカニズムがスッキリ見えてくると思います。
私が言うのはとてもおこがましい話ですが、あの小保方女史が実証するまでそれが非常識だとされることだってありましたね?
(↑どうもコボカタさんの件は実践により問題が浮上しています。正しい実践のみが真理を検証できます。、発達障害の天然ボケ以外の理由による悪質な確信犯的行動ではないことを願うばかりです。日本人として。…ニコも天然ボケ気をつけよう;2014・3・13)
(追記すると、実践した内容の不備もまた中国の大気汚染のように科学の真実として結果が出ます。あれは人間の行いが天の帝の前に誠実でなければならないことを示しています。結果は原因を持つものです。)
鄧小平氏の言葉あるのみです。
「実践こそ真理を検証する唯一の方法」
ひとつ覚えでニコも検証を重ねここにお伝えしています。
私が崩れた腸内環境改善で得たのは嗅覚過敏の鈍磨に易疲労の緩和に思考力の回復にアレルギー症状の改善に気管支の粘膜の強化です。
しゃべるモルモットのお手伝いはここまでです。
以下は私の体験談からの報告を裏付けるための一般医学情報の紹介です。
(これは、ある繊維筋痛症患者さんのHPを参考に学び調べました。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
■ペインクリニックが教える脳の科学■
海外の鎮痛の科学では一般的に知られていることだそうですが、慢性疼痛とともに化学物質過敏症や慢性疲労症候群や繊維筋痛症は、中枢性過敏症候群とされています。
(もしくは中枢感作症候群)
専門医をご紹介しながら話をすすめます。
まず中枢過敏(感作)って何のことでしょう?
以下に詳しく書かれています。
ーーーーーーーーーーー
・福岡 顎関節症クリニックやまだ歯科
http://yamadasika.jp/tmdfms3.html
顎関節症と線維筋痛症のメカニズム1 中枢感作
他のページで顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎に中枢感作という異常が起きていることをお話ししました。そのページでは中枢感作(Central sensitization)の内容までは説明してありませんでしたので、ここで簡単に中枢感作についてご説明しましょう。
1965年に、通常は痛みと感じない程度の刺激を皮膚に連続的に加えると、徐々に痛みを感じるという現象を研究していたMendellとWallは、皮膚の感覚受容器から脊髄に送られる信号は増加しないにもかかわらず、脳に送られる信号は増加していることを見いだしました。
この現象はtemporal summation of second painまたは簡単にwind upと呼ばれ、中枢が疼痛の感度を増大する機能を持っていること示すものです。健康な人でもこのwind upは起きるのですが、顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎では異常な痛み感度の増大が起きることが報告されています。そして、この異常なwind upを中枢感作と呼びます。
これらの疾患では、普通は痛みと感じない程度の体の異常でも、強い痛みと感じられるようになるわけです。痛みの感覚は命を維持する上でとても重要な感覚です。緊急時には生命の維持に不必要な痛みの信号はカットされ、微細でも危険な信号は増強され、不安な精神状態では痛みは増強されます。このような中枢の機能は、下降性疼痛抑制系と呼ばれています。この機能は多くの部位が関係した非常に複雑な系によって制御されていますが、青斑核のノルアドレナリンニューロン、中脳中心灰白質および延髄大縫線核のセロトニンニューロンが主要な働きをしていると言われています。
近年、抑制ばかりでなく興奮性の系もあることが発見されました。興奮性の系は中脳中心灰白質や三叉神経中脳路核などの中脳深部の核にコントロールされて延髄背側網様体がその機能を行っていると言われていますが、まだ、明らかではありません。そして、この中枢の機能は中枢感作に深く関わっているものと考えられています。
ーーーーーーーーー
ニコ
中枢感作の考え方は一般的ですが、 ではさらに中枢過敏(感作)症候群って何でしょう?
戸田克広先生の繊維筋痛症解説から抜粋して紹介します。
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戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」
http://www.carenet.com/conference/qa/autoimmune/mt110927/index.html
企画・制作 ケアネット
1985年新潟大学医学部卒業。現在、廿日市記念病院リハビリテーション科勤務。2001年1月~2004年2月までアメリカ国立衛生研究所に勤務した際、線維筋痛症に出会い、日本の現状を知る。帰国後、線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群などの治療にあたっている。日本線維筋痛症学会評議員。著書に『線維筋痛症がわかる本』(主婦の友社)。
FMの原因は不明だが、中枢神経の過敏状態(中枢性過敏)が原因であるという説が定説である*1。中枢性過敏によって起こった中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome)にはうつ病、不安障害、慢性疲労症候群、むずむず脚症候群などが含まれるが、FMはその代表的疾患である(図2)。
線維筋痛症の症状
全身痛、しびれ、疲労感、感覚異常(過敏や鈍麻)、睡眠障害、記憶力や認知機能の障害などいわゆる不定愁訴を呈する。中枢性過敏症候群に含まれる疾患の合併が多い。痛みや感覚異常の分布は神経分布とは一致せず、痛みやしびれの範囲は移動する。天候が悪化する前や月経前後に症状がしばしば悪化する。症状の程度はCRP<CWP<FMとなる(図1)。
*1 戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.
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ニコ
症候群とは病因が不明だったり単一の原因でない場合に名づけられ、出現する症状が様々であることなどを特徴とするそうですが、中枢性過敏症候群では、脳に送られた繰り返す刺激に対して過剰な応答が出ます。
似た働きで、レストレッグス症候群で明らかにされているA11領域で起こるメカニズムがそうであるように、本来反映されない程度の低い刺激を脳が認識してしまうのです。
レストレッグス症候群については下の記述が詳しいです。
ーーーーーーーーーーーー
井上雄一 先生 神経研究所附属睡眠学センター センター長 / 東京医科大学睡眠学講座 教授
http://www.rls-net.jp/gimon/gimon_vol01.html
人間の体内では、脳が認識する運動刺激や身体感覚の他にも、一定の閾値に達しない「雑音」のような深部知覚が無数に発生している。
通常、これらの深部知覚は、A11から脊髄に伸びる下行性の神経細胞によって抑制され、脳には達しない
何らかの原因によってA11の神経細胞の働きが弱まり(特に夜間)、運動刺激や身体感覚の刺激がなくなると、「雑音」のような深部知覚が上行しやすくなり、脳が感覚情報過多の状態になって、何ともいえないむずむずするような不快感を感じる。
ーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
化学物質過敏症による嗅覚症状を発症する前の数年、ニコも慢性疲労症状だけの頃、体がビクンと跳返る感覚で過度の睡眠障害を抱えていましたが、それがそうというのかもしれません。
さて、本来反応しない域値の刺激に脳が反応するメカニズムが見えてきましたね?
化学物質過敏症では健常者と比べて主に有機溶剤を中心に中枢過敏が起
きます。似ていませんか?
次に、脳へ送られた刺激が人によって何故異様な過敏応答をするのかについて情報提供します。
■栄養素と脳と慢性炎症■
化学物質過敏症と繊維筋痛症と慢性疲労症候群はともに3大合併症です。
私もどうも慢性疲労症候群と化学物質過敏症を合併しています。
そして、前記の戸田克広先生の記述にもありますが、繊維筋痛症では中枢過敏症候群の症状として「欝」など併発するとされていますね?
私はここに着目していただきたいのです。
近年「欝」における脳細胞の栄養状態の変化が知られるようになりました。ストレスホルモンにより脳細胞中の栄養消耗が起こるとされています。
詳しくは下記を
ーーーーーーーーーー
NHK 総合 あさ8時15分 情報番組「あさイチ」
9月12日(水) 最新精神栄養学 うつを食事で改善する!?
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2012/09/12/01.html
専門家ゲスト:功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 部長)、今泉博文さん(国立精神・神経医療研究センター病院 栄養管理室長)
うつに関係の深い栄養素 うつ病になると、不足しがちになると判明した栄養素です。
【うつと関係の深い栄養素】
<ビタミン・ミネラル類>
・ビタミンB1、B2、B6、B12
・葉酸
・鉄
・亜鉛
<脂肪酸類>
・ドコサヘキサエン酸(DHA)
・エイコサペンタエン酸(EPA)
<アミノ酸類>
・トリプトファン
・メチオニン
・フェニルアラニン
・チロシン
ーーーーーーーーーーーー
ニコ
栄養と脳と欝の関係はわかりました。
では、それが中枢性過敏症候群の脳にどんな影響をもたらしているのかについて具体例を「レストレッグス症候群」から紹介します。
ここで一旦私の体験談を手短に紹介します。
化学物質過敏症患者である私は、慢性疲労症候群治療と同等あるいはそれ以上の栄養素治療を行っています。
それは疲労刺激や有害物質刺激から脳機能を守る治療と言えます。
治療にはクエン酸鉄も用います。
さて、前述のレストレッグス症候群においても「鉄欠乏」によるA11領域の機能低下がわかってきています。
ニコは明らかな症状として、鉄欠乏で不安感と激しい関節痛が出ます。
健忘で鉄サプリを切らした経験から知りえたことですが再現性も確かです。
「ニコには明らかな鉄欠乏症状がある」
じつは、妊婦でも鉄欠乏からの「むずむず足症候群」が多いそうですが、妊婦とつわりの嗅覚過敏は前回「嗅覚過敏のメカニズム最前線」で触れましたね。
妊婦の脳では胎児へ奪われる栄養素欠乏症状が考えられます。
興味深いことです。
ここで妊婦の鉄欠乏がレストレッグス症候群の一因である記述を紹介します。
ーーーーーーーーーー
内山真 先生 日本大学医学部 精神医学系 教授
http://www.rls-net.jp/gimon/gimon_vol10.html
妊娠中にレストレスレッグス症候群が発症しやすくなる原因としては、鉄や血液が赤ちゃんの分にも使われるため母親の体内で不足しがちになることが挙げられます。妊娠中は浮腫(むくみ)が起こりやすいことも重なって、下肢の異常感覚が強まると考えられます。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
この記述で、栄養素欠乏が脳に強い影響力を持っていることがおわかりいただけたでしょうか?
レストレッグス症候群では足りないものを補いましたね?
私は次に挙げる二つの資料から皆様にさらに脳と栄養素の関係性について考えていただきたいのですが、まずはご一読お願いします。
慢性疼痛メカニズムをあらためて確認する資料を挙げます。
複雑な要素が絡んで起こっていますね。
心因だけでもなく刺激だけでもなく神経の変化によるものだけでもなく、ここに、各作用から起こる栄養素消耗が見え隠れしています。
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痛みの神経機構 新潟大学医歯学総合病院|歯科麻酔科
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/anesth/study.html
現在考えられている慢性疼痛のメカニズムについて
慢性疼痛は“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されています。
その背景には一般に急性疼痛の原因である侵害受容性疼痛、炎症による痛みが長期的に関与している場合に加えて、神経自体の障害によって引き起こされる神経障害性疼痛の要素、さらに痛みの状態を複雑にしてゆく不安やストレスといった心理/社会的な要因が絡み合っている状態と考えられます。このため痛みの診断/治療には多方面からのアプローチを必要としています。
また慢性疼痛の治療を困難にしている要因の一つに末梢性と中枢性の感覚信号を増強させる“感作”があります。口腔顔面領域の痛みは三叉神経三叉神経によって脳へ伝えられます。末梢で生じた感覚は三叉神経節を通り、延髄に入り三叉神経脊髄路核で次の神経に乗り替わり、視床に伝達され内側、後外側核より情動に関与する帯状回や島、扁桃体などの内側系と体性感覚野を中心とした皮質の外側系へと投射されます。
末梢性の感作には以下のようなメカニズムが考えられています。
1.侵害受容器が炎症性のメディエータにより常に活性化されやすい状態になり、発火の閾値が低下してしまう。
2.末梢神経の損傷で神経や神経節にナトリウムチャネルが異常に増加する、その結果異常な活動電位が発生する異所性発火を生じる。
3.末梢神経の損傷でαアドレナリン受容体が異常に増加して、そこに交感神経が伸びだし、交感神経からのノルアドレナリンの放出でαアドレナリン受容体の活性化により異常な活動電位が発生する。
一方、中枢性の感作では、三叉神経が延髄での2次ニューロンに乗り替わる部位での異常が示唆されています。
1.侵害刺激が低頻度で連続的に加わると痛覚ニューロンが刺激以上に発火するようになり、ついには刺激がなくなっても発火が続くようになってしまう。
2.高頻度で連続的な刺激が加わると、ニューロン間のシナプスの伝達効率が長期的に増強する現象の長期増強(LTP)が生じる。
3.シナプスでの痛みを伝えるイオンチャネルが活性化して、グルタミン酸やサブスタンスPといった神経伝達物質の増加。
4.障害神経から放出される神経栄養因子が神経の異常な発芽を促し、本来痛みの神経と接続しない感覚に痛み情報がつたえられてしまう神経線維の可塑的な変化が生じる。
5.神経周囲に存在するグリア細胞の活性化によって神経の興奮性が増強される。
我々の現在の研究は、特に三叉神経の末梢での異常を検出し、そのモデルの構築や慢性痛にならないための予防や治療方法の創出に力がそそがれています。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
上記を参考にして、栄養素治療の可能性を具体的に上げます。
ちょうど良い資料がありました。こちらを読んでみてください。
そろそろここで総括を入れ終わりにしますが、私がお伝えしたいことは、中枢性過敏症候群の病では、どの病においても栄養素補充療法で脳が炎症対応で消耗した栄養素を補充してやることで、各刺激源除去治療の効果が倍増し、かつ他の中枢性過敏症候群や欝病など合併する症状を封じることが可能だということです。
下記は鬱病の脳で起こる「炎症」について詳しく書かれたものです。
私は中枢性過敏症候群のうちいくつか病を合併する下地が「脳」の細胞の状態にあると、多くの患者の観察から情報を得ています。
(詳しく知りたい方はブログコメントでご連絡ください。)
…ともあれ、下記を読んでいただければ、私が言わんとするところが明らかです。(苦労しての私の下手な説明は要りませんです;)
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崎谷 博征 (さきたにひろゆき)総合医、医学博士 奈良県立医科大学・大学院卒業
*脳神経外科専門医、ガンの研究で医学博士取得。総合医。臨床心理士。
うつ病の脳で何が起こっているのか
http://depression.uh-oh.jp/html/therapy9.html
脳の機能変化では、うつ病では実際に持続的に視床下部─下垂体─副腎皮質(HPA)軸が活性化され、血液中のステロイドホルモン(グルココルチコイド)が高いことが分かっています(1)(2)。HPA軸の活性化はストレス学の創始者であるハンス・セリエが提唱したストレス応答反応なのですが、通常は時間が経つにつれ、活性が低下してきます。これは血液中の高いストレスホルモン濃度を脳が感知し、フィードバック機構が働くためです。うつ病の人では、このフィードバック機構がうまく作動しないために持続的にステロイドホルモンの血液濃度が高いのです(3)。
ステロイドホルモン濃度が持続的に高いことで、海馬などの神経細胞はアポトーシス(細胞の自殺)を起こして死滅していきます(4)(5)。また神経細胞の新生、成長に必要な脳由来神経栄養因子(BDNF)は、ステロイドホルモンによって低下することが分かっています(6)。すでにうつ病と診断されている人は、そうでない人より血液中のBDNF濃度が低いことが報告されています(7)。また、自殺企図を行ったうつ病患者さんを対象にした研究結果では、BDNFが著明に低下していたことも報告されています(8)。
このような生理学的な変化が脳の委縮となって、P.8の1.のような感情の変化や2.のような実行・行動機能の低下を来たしているのです。
それではうつ病に見られる痛みや全身倦怠感などの身体症状はどこから来るのでしょうか?これは風邪を引いたときに抑うつ症状になることや、肝炎の治療で用いるインターフェロンによって約半数以上にうつ病と同じ症状が出ることなどから、なんらかの炎症反応と抑うつ症状との関係があることが想定されていました。インターフェロンは感染などで起こる炎症反応時に、リンパ球から出されるサイトカインという物質です。
精神的ストレス、感染、化学物質などによる慢性炎症によって、リンパ球から炎症反応をオンにするサイトカイン(炎症性サイトカイン)が持続的に放出されることが、抑うつ症状の発症につながっていることが示唆されてきました。そして、実際、うつ病の患者さんの血液中の炎症性サイトカインはうつ病でない人よりも有意に高いことが分かっています(9)。
免疫と神経系との関連が研究され、従来の医学の教科書にも載っていないような大変興味深いことが次々と報告されるようになりました。近年の研究の結果、内臓で分泌されるインシュリン、ガストリン、グルカゴンなどのホルモンが脳の神経細胞でも分泌されていることが分かってきました(10)。これら神経細胞でも分泌されるホルモンと神経細胞が放出するドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質を合わせて「神経ペプチド」と総称します。リンパ球が放出したサイトカインは脳の視床下部に働き、これらの「神経ペプチド」の量を変えて、免疫反応を調整することが分かりました。たとえば、炎症が強く起こり過ぎているときには、視床下部のHPA軸に働いて、免疫を抑えるように調整します。その一方で、脳に働いて発熱させて、さらに炎症を活性化させるように働く場合もあります(11)。
驚くことにリンパ球は、サイトカインという炎症性物質だけでなく、脳(下垂体)が分泌する神経ペプチドと同じものを分泌することが分かっています。成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、エンドルフィンなどの脳内麻薬など広範囲に及びます(12)。リンパ球の放出する神経ペプチド、さらにリンパ球は、それらの神経ペプチドの受容体を持つことも明らかにされました(13)。このように脳以外にも全身に慢性炎症が起こることで、脳やリンパ球から神経ペプチドが放出され、抑うつ症状や全身倦怠感や痛みが出るのです。偏頭痛、過敏性腸炎、慢性疲労症候群、線維性筋痛症、全般性不安障害などに伴う抑うつ症状も、慢性炎症からサイトカインを通じて、脳からのステロイドホルモン、脳やリンパ球からモノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)の変化が起こることで説明がつきます。
したがって、従来の薬物療法の根拠となった「モノアミン仮説」あるいは「モノアミン受容体仮説」というのは、慢性炎症の一連の流れの末端のさらに一部の変化を見ているにすぎません。「モノアミン仮説」あるいは「モノアミン受容体仮説」とは、神経細胞間(シナプス間)のセロトニンやノルアドレナリンといったモノアミン神経伝達物質の枯渇あるいはモノアミン受容体の増減によってうつ病が発症するというものです。
参考文献
American Psychiatric Association, Diagnostic and statistical manual of mental disorders 4th edition, Text Revision, (2000)
Psychoneuroimmnology fourth edtion
(1)Nature, 386(1997), 824-827
(2)J. Neurosci., 12(1992), 3628-3641
(3)European Neuropsychopharmacology, 5(1)(1995), 77-82
(4)J. Psychiatry Neurosci., 29(6)(2004 November), 417?426
(5)Neuroscience, 104(1)(2001), 57-69
(6)The Journal of Neuroscience, 15(3), (1 March 1995), 1768-1777
(7)Journal of Affective Disorders, 101(2007), 1-3
(8)QJM, 104(5)(2011), 455-458
(9)Eur Neuropsychopharmacol., 18(3)(2008 March), 230?233
(10)Diabetes, 49(11)(2000), 1766-1771
(11)Cell Immunol., 132(1)(1991), 84-93
(12)Prog. Allergy, 43(1988), 68-83
(13)Physiolog. Rev., 69(1)(1989), 1-32
続きを読む:うつ病の治療P.10へ
治療P.1P.2P.3P.4P.5P.6P.7P.8P.9P.10P.11P.12P.13
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ニコ
補足しますが。
欝による全身倦怠感や痛みですが、代謝の問題で起こる問題ですが、化学物質による活性酸素影響でも起こります。
上記には副腎との連動も触れられていますが、副腎疲労症候群やミトコンドリア病と化学物質過敏症の関連性がこの脳科学情報に絡んできます。
女性では月経時の肩こり・頭痛など症候群が著しくありますが、それらと基礎を同じくすると考えます。
それはまた別記事にしたいと思います。
記事終了
※オマケ情報※
先日もテレビ朝日のビートたけしの「みんなの家庭の医学」のペインクリニックの名医北原雅人先生の回お拝見していて、加齢による筋筋膜炎治療の効果を最大限に引き上げることに、抗加齢医学・順天堂大学 白澤卓二先生の栄養治療が有効だと感想を持ちました。
刺激源を除去することに加え、この知識を医師が得たとき、まさに「無敵のペインクリニック」治療が誕生すると思いました。
余談ですが。中枢性過敏症候群の私のエピソードも記します。
(ちょっと気になるニュースに関連して余談を入れます。)
あの習近平さんの御国からの越境大気汚染は非常に危険なもので、私も北京オリンピック建設ラッシュ時分から偏西風の加減で激しい頭痛を経験してきました。
そして、現在に至ります。
まさに、あれが中枢性過敏症候群による頭痛だったと思います。
花粉症と診断されて後、抗ヒスタミン剤で余計激しく長期の頭痛を起しました。
しかも、耳鼻科の先生は逃げ、問い詰めたら内科への受診をすすめられましたが、またそこで抗不安剤治療で薬剤過敏になり、オマケのように今では消炎鎮痛剤も使えません。その後ヘルペス発症で咽頭痛と微熱持ちで慢性疲労症候群症状から化学物質過敏症状態まで発展しました。知識が無ければこうなるというお話です。
本日米国大使交代が発表されましたが、中国に住んでる皆さんご自身が少量でもあの大気状況は中枢感作症候群刺激源になりえることを知るべきかと思いました。
日本に住んで、親がひどいアレルギー持ちで公害都市大阪市に生まれ、長年家族の世話をしてきた私に起こったこの症状ですが、かたちは違えど条件さえ揃えば、それが筋筋膜炎なのかいずれなのか、中枢性過敏症候群は静かに大きな口を開けてあなたを呑みこむ機会をうかがっている…かもしれませんよ。(懐かしいテレ朝「ブラックホスピタル」調でこの編集を終わります;)
<紹介しなかった資料…崎谷先生の存在で学習を省略できたので;)
脳構造図
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/karada/jin013.html
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/karada/jin010.html
むずむず関連雑学
~むずむず脚症候群の詳しい原因~
http://www6.ocn.ne.jp/~rls/no11/index.html
A11神経核など
脳科学情報を調べると何らかの刺激に対して脳が過敏応答を見せる現象が見受けられ、鎮痛の医学に関する情報では中枢感作症状と記されています。
最近筑波大学の研究報告で、腸内環境の悪化が脳機能やアレルギーの悪化に影響を及ぼすメカニズムが明らかにされました。
これは中枢感作が起こる脳のメカニズムにも関与すると思われます。
腸内から送られる有害物質を代謝するための代謝栄養素の消耗から脳細胞の活動を維持する栄養素が不足し、刺激への応答を過剰に反映しやすい状態をつくるためだと思われます。
これを前回記事「嗅覚過敏と体調不良のメカニズム」で紹介した嗅覚の前処理機能の可能性と照らし合わせ考えることで、些細な刺激に過剰応答してしまう、脳と嗅覚の過敏応答メカニズムがスッキリ見えてくると思います。
私が言うのはとてもおこがましい話ですが、あの小保方女史が実証するまでそれが非常識だとされることだってありましたね?
(↑どうもコボカタさんの件は実践により問題が浮上しています。正しい実践のみが真理を検証できます。、発達障害の天然ボケ以外の理由による悪質な確信犯的行動ではないことを願うばかりです。日本人として。…ニコも天然ボケ気をつけよう;2014・3・13)
(追記すると、実践した内容の不備もまた中国の大気汚染のように科学の真実として結果が出ます。あれは人間の行いが天の帝の前に誠実でなければならないことを示しています。結果は原因を持つものです。)
鄧小平氏の言葉あるのみです。
「実践こそ真理を検証する唯一の方法」
ひとつ覚えでニコも検証を重ねここにお伝えしています。
私が崩れた腸内環境改善で得たのは嗅覚過敏の鈍磨に易疲労の緩和に思考力の回復にアレルギー症状の改善に気管支の粘膜の強化です。
しゃべるモルモットのお手伝いはここまでです。
以下は私の体験談からの報告を裏付けるための一般医学情報の紹介です。
(これは、ある繊維筋痛症患者さんのHPを参考に学び調べました。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ニコ
■ペインクリニックが教える脳の科学■
海外の鎮痛の科学では一般的に知られていることだそうですが、慢性疼痛とともに化学物質過敏症や慢性疲労症候群や繊維筋痛症は、中枢性過敏症候群とされています。
(もしくは中枢感作症候群)
専門医をご紹介しながら話をすすめます。
まず中枢過敏(感作)って何のことでしょう?
以下に詳しく書かれています。
ーーーーーーーーーーー
・福岡 顎関節症クリニックやまだ歯科
http://yamadasika.jp/tmdfms3.html
顎関節症と線維筋痛症のメカニズム1 中枢感作
他のページで顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎に中枢感作という異常が起きていることをお話ししました。そのページでは中枢感作(Central sensitization)の内容までは説明してありませんでしたので、ここで簡単に中枢感作についてご説明しましょう。
1965年に、通常は痛みと感じない程度の刺激を皮膚に連続的に加えると、徐々に痛みを感じるという現象を研究していたMendellとWallは、皮膚の感覚受容器から脊髄に送られる信号は増加しないにもかかわらず、脳に送られる信号は増加していることを見いだしました。
この現象はtemporal summation of second painまたは簡単にwind upと呼ばれ、中枢が疼痛の感度を増大する機能を持っていること示すものです。健康な人でもこのwind upは起きるのですが、顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎では異常な痛み感度の増大が起きることが報告されています。そして、この異常なwind upを中枢感作と呼びます。
これらの疾患では、普通は痛みと感じない程度の体の異常でも、強い痛みと感じられるようになるわけです。痛みの感覚は命を維持する上でとても重要な感覚です。緊急時には生命の維持に不必要な痛みの信号はカットされ、微細でも危険な信号は増強され、不安な精神状態では痛みは増強されます。このような中枢の機能は、下降性疼痛抑制系と呼ばれています。この機能は多くの部位が関係した非常に複雑な系によって制御されていますが、青斑核のノルアドレナリンニューロン、中脳中心灰白質および延髄大縫線核のセロトニンニューロンが主要な働きをしていると言われています。
近年、抑制ばかりでなく興奮性の系もあることが発見されました。興奮性の系は中脳中心灰白質や三叉神経中脳路核などの中脳深部の核にコントロールされて延髄背側網様体がその機能を行っていると言われていますが、まだ、明らかではありません。そして、この中枢の機能は中枢感作に深く関わっているものと考えられています。
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ニコ
中枢感作の考え方は一般的ですが、 ではさらに中枢過敏(感作)症候群って何でしょう?
戸田克広先生の繊維筋痛症解説から抜粋して紹介します。
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戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」
http://www.carenet.com/conference/qa/autoimmune/mt110927/index.html
企画・制作 ケアネット
1985年新潟大学医学部卒業。現在、廿日市記念病院リハビリテーション科勤務。2001年1月~2004年2月までアメリカ国立衛生研究所に勤務した際、線維筋痛症に出会い、日本の現状を知る。帰国後、線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群などの治療にあたっている。日本線維筋痛症学会評議員。著書に『線維筋痛症がわかる本』(主婦の友社)。
FMの原因は不明だが、中枢神経の過敏状態(中枢性過敏)が原因であるという説が定説である*1。中枢性過敏によって起こった中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome)にはうつ病、不安障害、慢性疲労症候群、むずむず脚症候群などが含まれるが、FMはその代表的疾患である(図2)。
線維筋痛症の症状
全身痛、しびれ、疲労感、感覚異常(過敏や鈍麻)、睡眠障害、記憶力や認知機能の障害などいわゆる不定愁訴を呈する。中枢性過敏症候群に含まれる疾患の合併が多い。痛みや感覚異常の分布は神経分布とは一致せず、痛みやしびれの範囲は移動する。天候が悪化する前や月経前後に症状がしばしば悪化する。症状の程度はCRP<CWP<FMとなる(図1)。
*1 戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.
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ニコ
症候群とは病因が不明だったり単一の原因でない場合に名づけられ、出現する症状が様々であることなどを特徴とするそうですが、中枢性過敏症候群では、脳に送られた繰り返す刺激に対して過剰な応答が出ます。
似た働きで、レストレッグス症候群で明らかにされているA11領域で起こるメカニズムがそうであるように、本来反映されない程度の低い刺激を脳が認識してしまうのです。
レストレッグス症候群については下の記述が詳しいです。
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井上雄一 先生 神経研究所附属睡眠学センター センター長 / 東京医科大学睡眠学講座 教授
http://www.rls-net.jp/gimon/gimon_vol01.html
人間の体内では、脳が認識する運動刺激や身体感覚の他にも、一定の閾値に達しない「雑音」のような深部知覚が無数に発生している。
通常、これらの深部知覚は、A11から脊髄に伸びる下行性の神経細胞によって抑制され、脳には達しない
何らかの原因によってA11の神経細胞の働きが弱まり(特に夜間)、運動刺激や身体感覚の刺激がなくなると、「雑音」のような深部知覚が上行しやすくなり、脳が感覚情報過多の状態になって、何ともいえないむずむずするような不快感を感じる。
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ニコ
化学物質過敏症による嗅覚症状を発症する前の数年、ニコも慢性疲労症状だけの頃、体がビクンと跳返る感覚で過度の睡眠障害を抱えていましたが、それがそうというのかもしれません。
さて、本来反応しない域値の刺激に脳が反応するメカニズムが見えてきましたね?
化学物質過敏症では健常者と比べて主に有機溶剤を中心に中枢過敏が起
きます。似ていませんか?
次に、脳へ送られた刺激が人によって何故異様な過敏応答をするのかについて情報提供します。
■栄養素と脳と慢性炎症■
化学物質過敏症と繊維筋痛症と慢性疲労症候群はともに3大合併症です。
私もどうも慢性疲労症候群と化学物質過敏症を合併しています。
そして、前記の戸田克広先生の記述にもありますが、繊維筋痛症では中枢過敏症候群の症状として「欝」など併発するとされていますね?
私はここに着目していただきたいのです。
近年「欝」における脳細胞の栄養状態の変化が知られるようになりました。ストレスホルモンにより脳細胞中の栄養消耗が起こるとされています。
詳しくは下記を
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NHK 総合 あさ8時15分 情報番組「あさイチ」
9月12日(水) 最新精神栄養学 うつを食事で改善する!?
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2012/09/12/01.html
専門家ゲスト:功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部 部長)、今泉博文さん(国立精神・神経医療研究センター病院 栄養管理室長)
うつに関係の深い栄養素 うつ病になると、不足しがちになると判明した栄養素です。
【うつと関係の深い栄養素】
<ビタミン・ミネラル類>
・ビタミンB1、B2、B6、B12
・葉酸
・鉄
・亜鉛
<脂肪酸類>
・ドコサヘキサエン酸(DHA)
・エイコサペンタエン酸(EPA)
<アミノ酸類>
・トリプトファン
・メチオニン
・フェニルアラニン
・チロシン
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ニコ
栄養と脳と欝の関係はわかりました。
では、それが中枢性過敏症候群の脳にどんな影響をもたらしているのかについて具体例を「レストレッグス症候群」から紹介します。
ここで一旦私の体験談を手短に紹介します。
化学物質過敏症患者である私は、慢性疲労症候群治療と同等あるいはそれ以上の栄養素治療を行っています。
それは疲労刺激や有害物質刺激から脳機能を守る治療と言えます。
治療にはクエン酸鉄も用います。
さて、前述のレストレッグス症候群においても「鉄欠乏」によるA11領域の機能低下がわかってきています。
ニコは明らかな症状として、鉄欠乏で不安感と激しい関節痛が出ます。
健忘で鉄サプリを切らした経験から知りえたことですが再現性も確かです。
「ニコには明らかな鉄欠乏症状がある」
じつは、妊婦でも鉄欠乏からの「むずむず足症候群」が多いそうですが、妊婦とつわりの嗅覚過敏は前回「嗅覚過敏のメカニズム最前線」で触れましたね。
妊婦の脳では胎児へ奪われる栄養素欠乏症状が考えられます。
興味深いことです。
ここで妊婦の鉄欠乏がレストレッグス症候群の一因である記述を紹介します。
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内山真 先生 日本大学医学部 精神医学系 教授
http://www.rls-net.jp/gimon/gimon_vol10.html
妊娠中にレストレスレッグス症候群が発症しやすくなる原因としては、鉄や血液が赤ちゃんの分にも使われるため母親の体内で不足しがちになることが挙げられます。妊娠中は浮腫(むくみ)が起こりやすいことも重なって、下肢の異常感覚が強まると考えられます。
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ニコ
この記述で、栄養素欠乏が脳に強い影響力を持っていることがおわかりいただけたでしょうか?
レストレッグス症候群では足りないものを補いましたね?
私は次に挙げる二つの資料から皆様にさらに脳と栄養素の関係性について考えていただきたいのですが、まずはご一読お願いします。
慢性疼痛メカニズムをあらためて確認する資料を挙げます。
複雑な要素が絡んで起こっていますね。
心因だけでもなく刺激だけでもなく神経の変化によるものだけでもなく、ここに、各作用から起こる栄養素消耗が見え隠れしています。
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痛みの神経機構 新潟大学医歯学総合病院|歯科麻酔科
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/anesth/study.html
現在考えられている慢性疼痛のメカニズムについて
慢性疼痛は“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されています。
その背景には一般に急性疼痛の原因である侵害受容性疼痛、炎症による痛みが長期的に関与している場合に加えて、神経自体の障害によって引き起こされる神経障害性疼痛の要素、さらに痛みの状態を複雑にしてゆく不安やストレスといった心理/社会的な要因が絡み合っている状態と考えられます。このため痛みの診断/治療には多方面からのアプローチを必要としています。
また慢性疼痛の治療を困難にしている要因の一つに末梢性と中枢性の感覚信号を増強させる“感作”があります。口腔顔面領域の痛みは三叉神経三叉神経によって脳へ伝えられます。末梢で生じた感覚は三叉神経節を通り、延髄に入り三叉神経脊髄路核で次の神経に乗り替わり、視床に伝達され内側、後外側核より情動に関与する帯状回や島、扁桃体などの内側系と体性感覚野を中心とした皮質の外側系へと投射されます。
末梢性の感作には以下のようなメカニズムが考えられています。
1.侵害受容器が炎症性のメディエータにより常に活性化されやすい状態になり、発火の閾値が低下してしまう。
2.末梢神経の損傷で神経や神経節にナトリウムチャネルが異常に増加する、その結果異常な活動電位が発生する異所性発火を生じる。
3.末梢神経の損傷でαアドレナリン受容体が異常に増加して、そこに交感神経が伸びだし、交感神経からのノルアドレナリンの放出でαアドレナリン受容体の活性化により異常な活動電位が発生する。
一方、中枢性の感作では、三叉神経が延髄での2次ニューロンに乗り替わる部位での異常が示唆されています。
1.侵害刺激が低頻度で連続的に加わると痛覚ニューロンが刺激以上に発火するようになり、ついには刺激がなくなっても発火が続くようになってしまう。
2.高頻度で連続的な刺激が加わると、ニューロン間のシナプスの伝達効率が長期的に増強する現象の長期増強(LTP)が生じる。
3.シナプスでの痛みを伝えるイオンチャネルが活性化して、グルタミン酸やサブスタンスPといった神経伝達物質の増加。
4.障害神経から放出される神経栄養因子が神経の異常な発芽を促し、本来痛みの神経と接続しない感覚に痛み情報がつたえられてしまう神経線維の可塑的な変化が生じる。
5.神経周囲に存在するグリア細胞の活性化によって神経の興奮性が増強される。
我々の現在の研究は、特に三叉神経の末梢での異常を検出し、そのモデルの構築や慢性痛にならないための予防や治療方法の創出に力がそそがれています。
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ニコ
上記を参考にして、栄養素治療の可能性を具体的に上げます。
ちょうど良い資料がありました。こちらを読んでみてください。
そろそろここで総括を入れ終わりにしますが、私がお伝えしたいことは、中枢性過敏症候群の病では、どの病においても栄養素補充療法で脳が炎症対応で消耗した栄養素を補充してやることで、各刺激源除去治療の効果が倍増し、かつ他の中枢性過敏症候群や欝病など合併する症状を封じることが可能だということです。
下記は鬱病の脳で起こる「炎症」について詳しく書かれたものです。
私は中枢性過敏症候群のうちいくつか病を合併する下地が「脳」の細胞の状態にあると、多くの患者の観察から情報を得ています。
(詳しく知りたい方はブログコメントでご連絡ください。)
…ともあれ、下記を読んでいただければ、私が言わんとするところが明らかです。(苦労しての私の下手な説明は要りませんです;)
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崎谷 博征 (さきたにひろゆき)総合医、医学博士 奈良県立医科大学・大学院卒業
*脳神経外科専門医、ガンの研究で医学博士取得。総合医。臨床心理士。
うつ病の脳で何が起こっているのか
http://depression.uh-oh.jp/html/therapy9.html
脳の機能変化では、うつ病では実際に持続的に視床下部─下垂体─副腎皮質(HPA)軸が活性化され、血液中のステロイドホルモン(グルココルチコイド)が高いことが分かっています(1)(2)。HPA軸の活性化はストレス学の創始者であるハンス・セリエが提唱したストレス応答反応なのですが、通常は時間が経つにつれ、活性が低下してきます。これは血液中の高いストレスホルモン濃度を脳が感知し、フィードバック機構が働くためです。うつ病の人では、このフィードバック機構がうまく作動しないために持続的にステロイドホルモンの血液濃度が高いのです(3)。
ステロイドホルモン濃度が持続的に高いことで、海馬などの神経細胞はアポトーシス(細胞の自殺)を起こして死滅していきます(4)(5)。また神経細胞の新生、成長に必要な脳由来神経栄養因子(BDNF)は、ステロイドホルモンによって低下することが分かっています(6)。すでにうつ病と診断されている人は、そうでない人より血液中のBDNF濃度が低いことが報告されています(7)。また、自殺企図を行ったうつ病患者さんを対象にした研究結果では、BDNFが著明に低下していたことも報告されています(8)。
このような生理学的な変化が脳の委縮となって、P.8の1.のような感情の変化や2.のような実行・行動機能の低下を来たしているのです。
それではうつ病に見られる痛みや全身倦怠感などの身体症状はどこから来るのでしょうか?これは風邪を引いたときに抑うつ症状になることや、肝炎の治療で用いるインターフェロンによって約半数以上にうつ病と同じ症状が出ることなどから、なんらかの炎症反応と抑うつ症状との関係があることが想定されていました。インターフェロンは感染などで起こる炎症反応時に、リンパ球から出されるサイトカインという物質です。
精神的ストレス、感染、化学物質などによる慢性炎症によって、リンパ球から炎症反応をオンにするサイトカイン(炎症性サイトカイン)が持続的に放出されることが、抑うつ症状の発症につながっていることが示唆されてきました。そして、実際、うつ病の患者さんの血液中の炎症性サイトカインはうつ病でない人よりも有意に高いことが分かっています(9)。
免疫と神経系との関連が研究され、従来の医学の教科書にも載っていないような大変興味深いことが次々と報告されるようになりました。近年の研究の結果、内臓で分泌されるインシュリン、ガストリン、グルカゴンなどのホルモンが脳の神経細胞でも分泌されていることが分かってきました(10)。これら神経細胞でも分泌されるホルモンと神経細胞が放出するドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質を合わせて「神経ペプチド」と総称します。リンパ球が放出したサイトカインは脳の視床下部に働き、これらの「神経ペプチド」の量を変えて、免疫反応を調整することが分かりました。たとえば、炎症が強く起こり過ぎているときには、視床下部のHPA軸に働いて、免疫を抑えるように調整します。その一方で、脳に働いて発熱させて、さらに炎症を活性化させるように働く場合もあります(11)。
驚くことにリンパ球は、サイトカインという炎症性物質だけでなく、脳(下垂体)が分泌する神経ペプチドと同じものを分泌することが分かっています。成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、エンドルフィンなどの脳内麻薬など広範囲に及びます(12)。リンパ球の放出する神経ペプチド、さらにリンパ球は、それらの神経ペプチドの受容体を持つことも明らかにされました(13)。このように脳以外にも全身に慢性炎症が起こることで、脳やリンパ球から神経ペプチドが放出され、抑うつ症状や全身倦怠感や痛みが出るのです。偏頭痛、過敏性腸炎、慢性疲労症候群、線維性筋痛症、全般性不安障害などに伴う抑うつ症状も、慢性炎症からサイトカインを通じて、脳からのステロイドホルモン、脳やリンパ球からモノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)の変化が起こることで説明がつきます。
したがって、従来の薬物療法の根拠となった「モノアミン仮説」あるいは「モノアミン受容体仮説」というのは、慢性炎症の一連の流れの末端のさらに一部の変化を見ているにすぎません。「モノアミン仮説」あるいは「モノアミン受容体仮説」とは、神経細胞間(シナプス間)のセロトニンやノルアドレナリンといったモノアミン神経伝達物質の枯渇あるいはモノアミン受容体の増減によってうつ病が発症するというものです。
参考文献
American Psychiatric Association, Diagnostic and statistical manual of mental disorders 4th edition, Text Revision, (2000)
Psychoneuroimmnology fourth edtion
(1)Nature, 386(1997), 824-827
(2)J. Neurosci., 12(1992), 3628-3641
(3)European Neuropsychopharmacology, 5(1)(1995), 77-82
(4)J. Psychiatry Neurosci., 29(6)(2004 November), 417?426
(5)Neuroscience, 104(1)(2001), 57-69
(6)The Journal of Neuroscience, 15(3), (1 March 1995), 1768-1777
(7)Journal of Affective Disorders, 101(2007), 1-3
(8)QJM, 104(5)(2011), 455-458
(9)Eur Neuropsychopharmacol., 18(3)(2008 March), 230?233
(10)Diabetes, 49(11)(2000), 1766-1771
(11)Cell Immunol., 132(1)(1991), 84-93
(12)Prog. Allergy, 43(1988), 68-83
(13)Physiolog. Rev., 69(1)(1989), 1-32
続きを読む:うつ病の治療P.10へ
治療P.1P.2P.3P.4P.5P.6P.7P.8P.9P.10P.11P.12P.13
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ニコ
補足しますが。
欝による全身倦怠感や痛みですが、代謝の問題で起こる問題ですが、化学物質による活性酸素影響でも起こります。
上記には副腎との連動も触れられていますが、副腎疲労症候群やミトコンドリア病と化学物質過敏症の関連性がこの脳科学情報に絡んできます。
女性では月経時の肩こり・頭痛など症候群が著しくありますが、それらと基礎を同じくすると考えます。
それはまた別記事にしたいと思います。
記事終了
※オマケ情報※
先日もテレビ朝日のビートたけしの「みんなの家庭の医学」のペインクリニックの名医北原雅人先生の回お拝見していて、加齢による筋筋膜炎治療の効果を最大限に引き上げることに、抗加齢医学・順天堂大学 白澤卓二先生の栄養治療が有効だと感想を持ちました。
刺激源を除去することに加え、この知識を医師が得たとき、まさに「無敵のペインクリニック」治療が誕生すると思いました。
余談ですが。中枢性過敏症候群の私のエピソードも記します。
(ちょっと気になるニュースに関連して余談を入れます。)
あの習近平さんの御国からの越境大気汚染は非常に危険なもので、私も北京オリンピック建設ラッシュ時分から偏西風の加減で激しい頭痛を経験してきました。
そして、現在に至ります。
まさに、あれが中枢性過敏症候群による頭痛だったと思います。
花粉症と診断されて後、抗ヒスタミン剤で余計激しく長期の頭痛を起しました。
しかも、耳鼻科の先生は逃げ、問い詰めたら内科への受診をすすめられましたが、またそこで抗不安剤治療で薬剤過敏になり、オマケのように今では消炎鎮痛剤も使えません。その後ヘルペス発症で咽頭痛と微熱持ちで慢性疲労症候群症状から化学物質過敏症状態まで発展しました。知識が無ければこうなるというお話です。
本日米国大使交代が発表されましたが、中国に住んでる皆さんご自身が少量でもあの大気状況は中枢感作症候群刺激源になりえることを知るべきかと思いました。
日本に住んで、親がひどいアレルギー持ちで公害都市大阪市に生まれ、長年家族の世話をしてきた私に起こったこの症状ですが、かたちは違えど条件さえ揃えば、それが筋筋膜炎なのかいずれなのか、中枢性過敏症候群は静かに大きな口を開けてあなたを呑みこむ機会をうかがっている…かもしれませんよ。(懐かしいテレ朝「ブラックホスピタル」調でこの編集を終わります;)
<紹介しなかった資料…崎谷先生の存在で学習を省略できたので;)
脳構造図
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/karada/jin013.html
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/karada/jin010.html
むずむず関連雑学
~むずむず脚症候群の詳しい原因~
http://www6.ocn.ne.jp/~rls/no11/index.html
A11神経核など
2013年11月18日
嗅覚過敏と体調不良のメカニズム最前線
アスペルガー診断と化学物質過敏症診断を持つ私に起こる嗅覚の過敏と発熱・意識混濁/について一般の科学情報から真相に迫りたい。
【 現在の私の嗅覚反応の状況 】
現在私は慢性疲労症候群治療で用いられる栄養療法と同等以上の対策を行った結果、嗅覚過敏は薄くなっている。
化学物質過敏症患者で解毒治療がすすんだ患者で起こる「ニオイを感じない状態」だ。
けれど、閉鎖空間で時間経過に伴う頭痛・動悸・吐き気・発熱・傾眠・気絶が起こる。
匂っている自覚がないので回避が遅れて気分が悪くなってから慌てて換気するはめになる。
さて、これが理解を阻んでいるいわゆる「嗅覚過敏」だけれど、これは心因だけで起こっているのだろうか?
まず何故嗅覚過敏で発熱が出るのかを調べた。
心因である場合は下記のメカニズムによる。
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【 発熱の原理 】
次の刺激信号により脳から交感神経と筋肉に発熱の指令が伝えられ体温上昇が起きる
■風邪による発熱の原理
炎症性サイトカインとプロスタグランディンE2 (PGE2からの刺激による
■ストレス性高体温症(心因性発熱)
心理的ストレス
岡 孝和(九州大学大学院医学研究院 心身医学 准教授)
1996年九州大学大学院助手、1998-2002年ハーバード医科大学、2002年産業医科大学医学部講師、2008年より現職。
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しかし、私の体験では疑問が出る。
私の老母は老いから同じ過ちを繰り返すようになり「意図しない盲検テスト」を私に行う。
それは検者被検者ともに「全くやる気がない完全盲検テスト」であるのだが、換気が悪い条件では時間経過により必ず私に症状が出る。鼻づまりでニオイが感じないにも関わらずである。
これについては「中毒作用」を検討したいが、後ほどにして先に嗅覚が心因に寄らずニオイの快不快を即座に識別するというイスラエルのワイズマン科学研究所の報告を紹介したい。
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●ナショナルジオグラフィックニュース「においを判別するメカニズム解明か」
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20111004001
人間の鼻腔内でにおいを感知する部位には、何百万もの嗅覚受容体が存在する。最新の研究から、嗅覚受容体は無秩序に分散しているのではなく、特定の領域に局在していると判明した。その領域は、脳がにおいの快・不快を判別するための前処理など、さまざまな機能を担っていると推測されている。~
今回の研究によれば、嗅覚に関する情報はすべてが脳で処理されるわけではなく、一部は嗅覚ニューロンによって前処理されることになる。つまり、鼻に専用の小さな脳が備わっているのに等しい。
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これを読むと心因を介さないメカニズムの存在により、人が体調不良を起す可能性をご理解いただけるだろうか?
嗅覚過敏の「病の起源」を探るため次の文章を引用したい。
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●独立法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター
2009年6月10日 嗅覚を伝える神経系の発生メカニズム
http://www.cdb.riken.jp/jp/04_news/articles/09/090610_wntreceptors.html
嗅覚は、えさを探す、危険を察知する、など生命維持のために必須な行動に密接に関与している。
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ハエの実験ですが、人間も古代においてはハエと同じくエサを探すことと危険回避に嗅覚を用いたことは想像に難くない。
これとイスラエルのワイズマン科学研究所の報告を照らし合わせると化学物質過敏症において嗅覚過敏症状で体調不良が出るしくみがすべて「心因」とみなすことは不適切である可能性がある。
もちろん、どの病の患者においても自身の病態をいまひとつ的確に把握できない患者がいるだろう。
またこの化学物質過敏症という病においては逆に「科学的専門知識ゆえに」という心理的作用からの恐怖が加わる病で実に複雑な背景が存在する。
私のように学習障害スレスレの「物理5点」という明白な成績を出せる人間以外において、その恐怖心は痛ましい限りであることが想像される。
また、これは少々物議を過去には醸していたことだが、患者には過度の食物アレルギーから脳細胞が栄養素不足を起し神経伝達機能に障害を起している患者が存在する。
NHK「病の起源ー欝ー」でCG化され映像で放送されているが、「欝」患者の脳では栄養素欠乏による脳神経細胞の萎縮が明らかにされている。
原因は過剰なストレスホルモンの作用によるものが説明されていたが、その炎症に消耗される栄養素欠乏状態と次を比較していただきたい。
患者において過度の食物アレルギーを有し栄養不足が顕著な患者では、特に嗅覚刺激とそれへの応答としての症状が激しいことが見受けられるが、食物アレルギーによる除去食での栄養素不足が脳細胞に影響を及ぼしている可能性が否定できるだろうか?
私は無類の食いしん坊で化学物質過敏症で過去に推奨されて支持を得ていた「除去食」の概念を一部実行していない。
患者には顰蹙ものであるが肉食女子である。しょうがや椎茸、代謝に余裕が出たら添加物食への飽くなき挑戦(と失敗も含め)を怠らない。
けれどこの無謀さが証明したのだが、他に慢性疲労症候群での栄養素治療と同等以上の栄養素補助により、私の「嗅覚過敏」は薄い。
炊飯のジャーのニオイも平気・新品の掃除機は窓全開なら不織布マスクで平気(洗濯後使用・新品マスクに皮膚炎あり)
およそ、食物アレルギー対策を行っている嗅覚過敏を出す過剰な患者とは明らかに異なる。
(もちろん食物アレルギーは無い。パン酵母にカンジダリスクを抱えているだけ)
以上のことから、高学歴と栄養素欠乏が「心因作用」を強めることを私は否定しない。
ただし、過去の研究者における嗅覚過敏による体調不良を心因原因とする心因単独での原因説については、以上のことから逆に大変非科学的見解だと記録したい。
心因だけの原因なら、心因を起すだけの知識がそもそも欠乏している私にそれが出せようもない。
しかし、私が一時期栄養素欠乏症状が激しかった頃、確かに炊飯のニオイで頭痛がひどく目が覚めていた。
頭痛を感じて目が覚めていたのである。これは、意識に上らない反応の存在を示している症例と言えると思う。
栄養素治療が効果を示した現在、炊飯のニオイに妊産婦のような症状は出ない。
また、私が毎日グルタチオンのブロッコリー抽出物を摂取していることを付け加えたい。
さらに補足してある問題を紹介したい。
それは…私の「極度の鼻づまり」についてです。
私はニオイを自覚できないのに、前述の老母の完全盲検テストにおいて換気状態が悪い中で時間経過で体調不良が起こる。
「ニオイがしない」
とはいえ、口呼吸はできるし、鼻に全力をそそぎ吸気すれば少量の空気は鼻腔を通過する。
そう、かなり激しいバキューム(吸引)音とともにで、そこまで詰まって空気が吸えない。気管支なら窒息している。
時々急な鼻づまりに気がつかず酸素欠乏になり息苦しくなるくらい詰まっている。
(何かに夢中だと時々やること。)
であることを考慮すれば…
次に挙げるのが鼻づまりと嗅覚鈍麻についての解説だが、これは口呼吸から肺に取り込まれる8割~9割の吸気について嗅覚の前処理を介さない過敏応答の可能性についての検討をこの論議に加えなければならないことを示しているものだと思う。
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においが分からないhttp://www.naoru.com/nioi.htm
「ニオイは鼻または口を通って入り、鼻腔の天井にある嗅粘膜にぶつかります。ここでニオイは電気的な信号に変えられ、神経を伝わって第一次中枢の嗅球、さらには大脳皮質へ行き、どんなニオイがが認知されます。このルートの一部でもやれれると嗅覚障害が起きます。多いのは鼻づまりや嗅粘膜の障害で、原因の約8割を占めます。
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ここでまた私のプロフィールをあえて持ち出さねばならない。
多少嗅覚に口呼吸からの嗅覚刺激が入ると思うが、大好きなNHK大河ドラマに見とれている私は一言一句聞き漏らすまいとして呼ばれても気づかない傾向がある。
たとえ閉鎖空間で刺激物とともに置かれ時間経過したとしても、嗅覚についても心因が入る余地は極めて低いことを考慮しなくてはならない。
そして、ニオイもしない成分(あるいは意識で認識していない成分)に脳が炎症を起すメカニズムの存在を主張しなくてはならない。
新たにひとつ京都大学の研究報告についての情報を紹介したい。
これは現在の私の情報収集量と知能では読解が困難ですが知識人には是非読んで頂きたい。
その上でさらに情報提供を続けたい。
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■京都大学
慢性痛の原因となる神経炎症応答の増悪機構を解明-新しい鎮痛薬開発の可能性-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120315_3.htm
今回、私達は、好中球、マクロファージやミクログリアといった痛みの慢性化に関わる免疫系細胞に存在し、活性酸素種のセンサーとして機能しているイオンチャネルであるTRPM2(トリップエム2)の働きに注目し、TRPM2を遺伝子操作により欠損させたマウスを用いて、慢性痛、特に炎症性疼痛や神経障害性疼痛との関連を検討しました。
■TRPA1チャネルが担う生体における新しいO2センサー機構 2011年9月27日 高橋重成・森 泰生
(京都大学大学院工学研究科 合成・生物化学専攻分子生物化学分野)
http://first.lifesciencedb.jp/archives/3598
■Transient Receptor Potential(TRP)チャネル
http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/mori-lab/research-b.html
ーーーーーーーーーーーーーーー
もちろん私には詳しいことは知りようが無い。
けれど是非お耳に入れたいことがある。
私の経験によると近所で有害ゴミを燃し消火せず煙をひと晩放置する住民がおり、化学物質過敏症で栄養消耗症状が激しくたびたびヘルペス痛みを呈していた頃、私は屋内にその煙が充満したままひと晩過ごし、視神経の激痛に苦しんだ翌朝に瞼が開かなくなったことがある。
現在でも瞼は自由にならない。
これに加えて新調した畳の和室を訪問した折、その日の深夜私の視神経がまたギリギリと締上げちぎるような痛みを出しひどい頭痛と共に苦しんだ。
近所の有害ゴミ焼却の時の症状と同じであった。
一体、嗅覚の過敏性でこのような具体的変化が普通起こりうるのであろうか?
もし、サイトカインの産生がなければ、これは起こりえないのではないだろうか?
お断りしておくが、有害ゴミ焼却ではひどく匂いその他近隣住民の中でも不調を訴えた方があった。
しかし、新調した畳の和室では私は有機溶剤吸収缶マスク着用だった。
化学オンチの私には何が起こったのかわからない。
'におわなかった’のだから。
さて、現在私の瞼はその後もう片方も垂れて不自由になっている。
今もって、原理もわからないのに上手に心因が起こったのか不思議でならない。
TRPチャネルは15年前には知られていなかったそうだが、米国アレルギー学会ではどのように認識しているのだろう?
私にはスーパー等の洗剤売り場を有機溶剤吸収缶マスク着用で歩いていて時間が経つと落涙・鼻汁・発熱が起こるのだが、これはアレルギー?
閉鎖空間で一時間ほど滞在する来客の柔軟剤や香水や防虫剤刺激で発熱・意識混濁が起こるのは心因?それとも中毒?
この疑問にさらに資料を追加したい。
ーーーーーーーーーーーー
MrKのぼやき
http://mrknoboyaki.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/09/post_6255.html
2011/09/12 辛く(から・つら)くても快感?
9月6日付 Washington Post 電子版
How your harsh reaction to horseradish may lead to new pain-managing medicines どのようにしてセイヨウワサビ(horseradish)に対する強烈な反応が新たな疼痛管理医学につながるのか
<一部抜粋>
それらはとりわけ、口、鼻、のど、目そして顔のすべての感覚細胞のいたるところに存在する。これらの小孔が開くと細胞は脳に信号を送る傾向を示すが、これによって脳は、くしゃみ、咳、流涙あるいはその他の化学物質を排除するような行動を起こさせる。
痛みを感じるところにはすべて TRP チャネルが存在します」と Yale School of Medicine の薬理学教授 Sven-Eric Jordt 氏はいう。
<一部抜粋>
「15年前は TRP チャネルが何であるかわかっていませんでした」とノースカロライナ州 Winston-Salem にある Wake Forest University の感覚生理学者 Wayne Silver 氏は言う。
<一部抜粋>
日常感覚にまつわるこれらの体験は
感覚機能に関与する
TRP(Transient Receptor Potential)チャネルファミリーが
関係しているようである。
このチャネルが感覚細胞に存在することが初めて
発見されたのは1997年のことである。
TRP スーパーファミリーは哺乳類では6つのサブファミリーを
構成し、それぞれ複雑な機能を持っているという。
感覚だけでなく、細胞の分化・増殖、炎症などにも
役割がある他、同性愛やハゲなどにも関わっている可能性が
示唆されている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
TRPチャネルの働きを化学物質過敏症患者の嗅覚の過敏性による体調不良と結びつける私の考えは飛躍しすぎだろうか?
化学物質負荷は酸化ストレスである。
これが生命活動を維持するために有害物質への危険回避刺激を反映して神経伝達回路機構であるシナプスの強化・形成を行う可能性はないだろうか?
わが国には繊維筋痛症患者研究家や戸田克広医師により「中枢感作症候群(あるいは中枢性過敏症候群)」という概念が海外の文献より紹介されている。
これは筋筋膜炎にも適用される概念で、刺激源が違えど慢性疲労症候群や化学物質過敏症もこの概念の一部だという。
化学物質過敏症患者や慢性疲労症候群患者や筋筋膜炎患者で「脳の炎症を回避する行動を促す刺激応答症状のシナプス形成が行われていないだろうか?
いずれも危険を知らせる刺激は脳により回避処理が行われるはずだと思う。
化学物質過敏症の診断がある私は、過去に隣接する畑の無秩序な農薬散布の真っ白な霧を被った軽度の中毒症状体験がある。
その後も続く薬剤との(シックハウス・農薬・殺虫剤・有害ゴミ焼却)接触暦は私の脳に本当に心因以外のシナプス形成や強化を成していないだろうか?
(※脳と慢性炎症とその影響について詳しくは別記事にします。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
嗅覚過敏についてさらに海外ウィキペディア翻訳から調べます。
原文については掲載文字数制限の都合上省略します。
途中用語解説を加えます。
【 海外ウィキペディア 嗅覚過敏 】
引用元
千日ブログ ~雑学とニュース~ : 嗅覚過敏(嗅覚過敏症)とは何か? 妊娠・片頭痛・神経症など
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-2027.html
なお、「嗅覚過敏症」(嗅覚過敏)は英語で"Hyperosmia"と言うようなのですが、英語版Wikipediaでは単独の項目がありました。
参考のために原文とエキサイト翻訳を載せて終わりとします。
<Wikipedia本文訳文>
嗅覚過敏は、芳香用のより低いしきい値によって通常引き起こされる、増加した嗅覚の鋭さ(高められた嗅覚)です。[1]
嗅受容器と嗅覚皮質の間のどの時点でも異常に増加した信号がある場合、この知覚障害は発生します。
環境上で、嗅覚過敏の原因は遺伝かもしれません、あるいはベンゾジアゼピン禁断症候群の結果。
-------------------
※用語解説※
ベンゾジアゼピン離脱症候群」出典:ウィキペディア 転載:精神医療の真実 聞かせてください、あなたの体験http://ameblo.jp/momo-kako/entry-10918987596.html
<一部抜粋して紹介>
「離脱症状が永続化する理由は、薬剤受容体の変化、精神的要素、特に多量投与された者については脳や神経構造への損傷、以上の複合要因と考えられている。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
背景:臭覚システム
臭気剤が鼻腔を入力する場合、それらは嗅上皮の基礎でにおい受容体に拘束します。
これらの受容器は、篩板によって移動して、嗅球の球状層に突き出る双極ニューロンです。[2]
球状層では、嗅受容器ニューロンからの軸索は固有の嗅球ニューロンからの模樹石で混合します:
mitrial/房飾細胞およびドーパミン作用性のperiglomerularセル。
嗅球から、僧帽弁状/房飾細胞は嗅覚皮質に外側嗅索(脳神経、私)経由で軸索を送り込みます。それは梨状皮質、扁桃のentorhinalな皮質および部分を含んでいます。[2]
entorhinalな皮質から、軸索は視床の中間の背核まで及びます、その後、それは眼窩前頭皮質に移る。[2]
遺伝子的原因
メナシェらによる研究で、OR11H7P偽遺伝子において異なる一塩基変異多型を持った個人がイソ吉草酸用のより低い受容体活性化しきい値を持っていることが分かりました。これらの個人が嗅覚過敏の[3]この単一の臭気剤。
ケラーらによる別の研究で、完全な人間のにおい受容体OR7D4を持った人々がandrostenoneとandrostadienoneに、より敏感でこのようにそれらは不愉快である(半機能的なOR7D4を持った個人が2つのアミノ酸置換に帰着して、OR7D4偽遺伝子に2つの非同意語の一塩基変異多型を持っています)と分かる、ことが分かりました。[4]
単なる単一の臭気剤用のではなく一般的な嗅覚過敏を備えたものの遺伝的背景についての広範囲な研究はまだありません。
環境上原因
嗅覚過敏の環境上の原因についての広範囲な研究はありませんでした。しかし、いくつかの可能な原因に関するいくつかの理論があります。
Atianjohらによる研究では、アンフェタミンがげっ歯動物の嗅球中のドーパミンのレベルを減少させることが分かりました。[5]
この根拠で、アンフェタミン使用がげっ歯動物と人間の中の嗅覚過敏を引き起こすかもしれないことは仮定されました。しかし、より進んだ研究はまだ必要です。
この理論は、パーキンソン病の患者が嗅球にドーパミン作動性細胞の増加を持っており、通常hyposmiaを示すという事実に間接的に支援されます。アンフェタミンが嗅覚過敏を引き起こすかもしれないという考えの逸話の支援が来る[5]オリヴァー袋のアンフェタミンをとった後の高められた嗅覚を持った患者のアカウント。[6]
炭化水素の吸入が嗅覚過敏を引き起こす場合があることはさらに言われました、嗅球中のドーパミン作動性ニューロンの破壊により最もありそう。乾癬の治療で処理された[7]メトトレキサートは嗅覚過敏を引き起こすと知られており、片頭痛の履歴のある患者の中でそうする可能性がありそうです。[8]
しかしながら、これは研究の一部ではなく観察だけです;
したがって、それはまだ確認されていません。
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※用語解説※
パーキンソン病
難病ドットコムhttp://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=5&sid=9&kid=1(7)嗅覚低下(転載元誤字情報 嗅ぐ⇒臭いに訂正)
パーキンソン病では、臭いがわからなくなることが、しかも、ふるえなどの運動症状に先立って出現することもあります。臭いの低下により味覚も鈍く感じることがあります。臭いの低下は心配な症状ではありませんが、よい治療法もありません。
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処理 (引用者注:治療が適訳)
それが治療していなくても、原因が環境上ならば、正常な嗅覚の鋭さは通常時間にわたって返るでしょう。[6][7]
感覚が耐えられなくなる場合、嗅覚過敏の人は期間の強い臭気剤から追い出される必要があるかもしれません。[7]
それらが望ましくない副作用、ブチロフェノンあるいは塩酸チオリダジンにより中止された前に、ドーパミン拮抗薬がである両方はhypersosmiaを扱うために使用されました。[7]
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ドーパミンレベルが低いと嗅覚が過敏になると解釈していいのだと思いますが、いかがでしょうか?
訳文が変ですが、抗精神薬ではドーパミンレベルを下げる治療があるようですね。
訳文はその副作用で嗅覚過敏が起こっている患者が存在するということでしょうか
下記をご確認ください。
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※用語解説※
お薬110番http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1172001.html
・塩酸チオリダジン【薬理】
おもに、脳のドーパミン2受容体を遮断することで、ドーパミン神経の過剰な活動により発現する陽性症状をおさえます。
・ブチロフェノン系ハロペリドール【薬理】
脳のドーパミン2受容体を遮断することで、ドーパミン神経の過剰な活動により発現する陽性症状をおさえます。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドーパミン拮抗薬(ドーパミンきっこうやく)とはドーパミン受容体に結合し、ドーパミン作用を阻害し作用を減弱させる薬物群の総称。現在、ドーパミン受容体には5種類のサブタイプが知られている。中枢神経系、末梢神経系、血管、腎臓などにドーパミン受容体は分布している。
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ここまで読んでさらに「妊婦のつわり」について触れたい。
何故妊婦は'におい’に敏感になるのか?
資料として編集し次を引用したい。
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プロラクチノーマhttp://home.hiroshima-u.ac.jp/nouge/right/prolactinoma.htm
プロラクチノーマとは下垂体にできるできものです。
1)生理不順(月経不順)、無月経(生理が止まる)
2)乳汁漏出(妊娠していないのにおっぱいが出る)が主な症状です。
プロラクチンは体内のドーパミンというホルモンによってコントロールされています。このドーパミンに似た成分を持つ薬によってプロラクチンをコントロールするのです。
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ニコ:妊産婦と似た症状を起す原因の治療にドーパミンが用いられることから推測できることがあると思います。
この情報について、私の場合ですが化学物質過敏症による嗅覚過敏が起こった頃、過度の睡眠障害があり、月経量が非常に少なく、排卵日のオリモノは多いです。
予想されるのはドーパミン量が少ないこと。
現在月経は順調で以前より月経量もぼちぼちあります。オリモノは多いです。(言いたくありませんが病態解明のため)
しかし、下記に私の場合と異なる記録報告を紹介しておきます。
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食品・薬品 安全性研究ニュース 第13号
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzen_news/13.html
「多物質過敏症の発生機序,仮説と研究の方向」
辺縁系は内分泌ホルモン分泌の調節にも関与している.側頭葉癲癇の女性では,多発性卵巣嚢腫の頻度が異常に高い報告がある.扁桃核は性ホルモン活性を調節する視床下部に連絡しているが,MCS に扁桃核が関係している仮説と符合して,MCS の女性は,健康女性や MCS 以外の化学物質不耐症女性に比べて卵巣嚢腫の頻度が高く,各種の月経異常が多い.化学物質不耐症の中年女性例で,午後4時の血漿プロラクチン基礎濃度を測定したところ,対照例と比べて低かった.ドパミン受容体刺激薬および拮抗薬に対するプロラクチン等ホルモンの反応については,さらに研究して MCS 患者と正常例とで測定し検討しなければならない.中枢神経のセロトニン作動性神経の異常も季節的情動異常のプロラクチン分泌に関与しているので,同様の試験をセロトニン作動薬および拮抗薬で行うことも化学物質不耐症のために有用な資料となるであろう.
MCS の本体に関する論争には,経済,法律および行政規制の強力な影響が及んでいて,それを性急に二元論(心因性の反応が化学物質によって誘発される ?)で片づけようとしているが,問題をもっと注意深く体系的にそして総合的に検討すべきである.「心因性」とする結論の多くは,MCS 患者の安静時の観察に基づいている.その患者たちは,身体障害者給付や賠償請求訴訟に関係しており,いろいろな意味での病症利得の問題に向けて偏向しやすいことが知られている集団に属している.MCS その他の化学物質不耐症者における曝露試験は,症例の選定を行い法律的あるいは障害者給付のような動機づけがない例を参加させるべきである.
ーーーーーーーーーーー
私には化学物質過敏症による金銭的疾病利得が無いことを付け加えますが、この調査がもっと進められると良いと願います。
ただし、MCSがあっても即座に気絶するのはただの解毒不足の栄養失調による脳の栄養不足からだと覚えておいてください。
清浄な空気で換気が良い場所では起こりません。(吸った濃度にもよりますが)
さて、そろそろ私が得ている情報とその分析報告は一旦これでおわりです。
あとの過敏性のメカニズムについては、脳科学分野で別記事にします(A11領域について含め)
最後に次のふたつの資料を補足します。
前述のWikipediaの変な訳文を説明することができると私は思います。
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この薬を飲んでいたら要注意!ドパミンを原因とするむずむず脚症候群
http://supplementmanual.blog33.fc2.com/blog-entry-10.html
ですが、このドパミン(ドーパミン)がむずむず脚症候群の原因の一つになっているとする説には現在のところ異論がないようで、むずむず脚症候群の治療に当たっても、まず第一に、ドパミン阻害薬やドパミンの分泌を抑制する抗うつ薬や抗ヒスタミン薬を服用していないかをチェックし、服用している場合には、投薬の減量や場合によっては服用の中止を検討すべきだとされています。
ドパミンの機能障害によるむずむず脚症候群においてチェックすべき服用薬
ドパミン阻害薬 抗うつ薬 抗ヒスタミン薬 これらの薬を服用している場合には、むずむず脚症候群発症の原因を、ドパミンの機能障害と考えるべきで、まずは投薬の減量や中止を検討すべきだと言えます。
慢性疲労症候群患者ブログ「疲労と闘うライフハック」様から次を紹介して、一旦この記事編集を終了します。
脚以外もむずむずする「レストレスレッグス症候群」にどう対処するか(上)(下)
http://susumu-akashi.com/2013/01/restlesslegs/
http://susumu-akashi.com/2013/01/restlesslegs-2/
特に線維筋痛症の場合、症状が脚だけでなく全身に広がることが多いとされています。ですから、もしかすると、CFSやFMSの患者がうったえる不快感とレストレスレッグス症候群は関係があるかもしれません。
前述のメカニズムの項で、レストレスレッグス症候群は、軽微な刺激をシャットアウトする脳の領域が働いていないのではないか、という説を紹介しました。慢性疲労症候群や線維筋痛症、化学物質過敏症も同様に、本来認識しないはずの軽い刺激で、疲労や激痛やアレルギー反応を感じてしまうと言われています。
線維筋痛症がわかる本の著者、戸田克広先生は、海外にはレストレスレッグス症候群を含むこれらの病気をひとくくりにした中枢性過敏症候群(CSS)という概念があることを書いておられます。一定の閾値(反応を引き起こす最低の限界値)に達しない刺激に反応してしまうほど、中枢神経が過敏になっている状態のことをいうようです。
いずれの病気にしても、まだ研究途上なのではっきりしたことは言えませんが、根底の部分で、似通ったところがあるのかもしれません。
ーーーーー
2013・1119 編集終了
(過去2年の調査に基づく情報分析報告です)
※加筆(2013.11.19 )総括※
記録を終わり翌朝考えがまとまったけど「化学物質過敏症における嗅覚過敏はベンゾジアゼピン離脱症状に似ている」(私の場合)と思った。
他の因子ももちろん加勢してはいるだろう。
思い出したのだけど、嗅覚過敏は合成洗剤と柔軟剤洗濯である日「気絶」した後から始まったこと。
その時点で化学物質過敏症の存在を知人に聞き知っていたけど、例により化学オンチの私は「私はそんな深刻な難病にかかる柄じゃないよね」とお気楽に考えてしかおらず、これまたド天然老母の「もらった洗剤がたくさんあるけん、そいば使こてしもたら変えればよかたい。」と、せっけん洗濯に切り替えず、実に素直に親の言うことを実行していた中「気絶」した。
合成洗剤洗濯を止め、食事も無添加生活に切り替えたところ「嗅覚の変化」が起こった。
今回の報告記録中の次の件の引用が最もふさわしいように私の場合は思う。
(妊産婦の低ドーパミン説も興味深いが、条件がすべて合うと言えない点もあり、やはり私には有力でない原因のひとつにすぎないようだ。)
「離脱症状が永続化する理由は、薬剤受容体の変化、精神的要素、特に多量投与された者については脳や神経構造への損傷、以上の複合要因と考えられている。」
2013年現在の脳科学研究の進展状況を反映していない化学物質過敏症研究はもはや価値を持たないと医学会は認識するほうが無難だと私は思う。
とくに米国研究は献金汚染による利害構造からの圧力的思考の介在が否めないので、きちんとした研究者ならこの「石油利権」「製剤利権」について考慮し海外情報を鵜呑みにしてはならないことを付け加える。
現に慢性疲労症候群でもポルフィリン症でも有機溶剤過敏はあり、精神疾患の併発もある。そして、化学物質過敏症でもある私は光線過敏症を先に持っていた。
これは偶然だろうか!?
2000年前後で発表された化学物質過敏症心因説を強調する研究報告は、もはや価値を持たない人権蹂躙の歴史と言える。
脳のA11領域など、脳科学情報については別記事とします。
2013年11月17日
Wish I want you to read to the World Health Organization
"2013年11月16日 ニコ"の英訳
和文翻訳:訳文:
November 16, 2013
ニコ greeting
It is niko with Asperger Syndrome, AS luger diagnosis and chemical sensitivity diagnosis.
Although it seemed that chronic fatigue syndrome condition was probably coming previously from a chemical sensitivity, however it might inspect rural areas, while mind and body repeated doctor shopping from the result which is a healthy body, it resulted in the state of presenting a condition characteristic of a chemical sensitivity finally.
(A chemical sensitivity and chronic fatigue syndrome are the illnesses which may merge.)
although it seems that it was able to diagnose in nine states somehow in "Kyushu University" those days, information was not prudent in a local university hospital -- as -- neither diagnosis nor suggestion was obtained.
My chronic fatigue condition came to show the anaphylaxis to the chemical substance soon.
Since it was complications, which could not call it how, but since prescription of the nutrition treatment currently used under chronic fatigue syndrome medical treatment was filled when the nutrition treatment taught to itself by chance was me, by the time housekeeping was made from just before bedridden, it recovered.
However, if it strives for the improvement of physical strength which aimed at social rehabilitation too much after the recovery, the body will suffer from that strange condition which is clothed in armor and which becomes heavy like conversely now.
It resulted here, was aware of the merger with chronic fatigue syndrome at last, and began information analysis for "the life hacks (chronic fatigue syndrome patient Mr. information site) which fights with a blog and fatigue", such as a report of research of Osaka City University, from this summer (2013) to reliance about chronic fatigue syndrome.
"My chemical sensitivity has the same foundation as chronic fatigue syndrome."
It is this blog that was made to obtain that firm belief and to try to reorganize chemical sensitivity research information analysis from the general medicine approach according to chronic fatigue research.
When I had chronic fatigue syndrome diagnosis now, the time when it was not troubled with the prejudice from the self-governing body on account of multiple handicaps more than needed came.
the perseverance of the teachers of researchers including Osaka City University -- I think that it is the result of strong general medicine approach.
Of course, although the sense of the respect as for which a stain is not in 仁 of the teachers who protect a chemical sensitivity patient does not wither, However, although correspondence of the administration by multiple handicaps which should be obtained essentially cannot be obtained, either but it is regretful in my case, since it cannot finish being regretful, I want the elucidation from general science which understands these both.
In order to get many of the doctors and people of a subject study area of research to recognize the necessity for the 病態 elucidation of a chemical sensitivity and to have them recommend research by truth and a specialist, The production of an information dissemination site aims at the contents and collation which the patient itself verified, and I have you read correctly by the contents which are easy to understand from general science is aimed at.
原文:
2013年11月16日
ニコごあいさつ
アスペルガー診断と化学物質過敏症診断を持つニコです。
おそらく化学物質過敏症より慢性疲労症候群症状が先に来ていたと思われますが、地方でいくら検査しても心身ともに健康体である結果からドクターショッピングを重ねる中、遂には化学物質過敏症に特徴的な症状を呈する状態に至りました。
(化学物質過敏症と慢性疲労症候群は合併する可能性がある病です。)
どうも当時九州では「九州大学」でのみ診断が可能だったようですが、地元の大学病院では情報が行き届かなかったようで診断も示唆も得ませんでした。
私の慢性疲労症状はやがて、化学物質への過敏性を示すに至りました。
合併症ですのでどちらがどうと言えませんが、偶然独学した栄養療法が私の場合慢性疲労症候群治療で使われている栄養療法の処方を満たすことから、寝たきり寸前から家事ができるまでに回復しました。
しかしその回復後、過度に社会復帰を狙った体力づくりに励むと逆に身体が甲冑をまとうかのように重くなる奇妙な症状に現在苦悩しています。
ここに至り、ようやく慢性疲労症候群との合併を自覚し今夏(2013)から慢性疲労症候群について大阪市立大学の研究報告など「ブログ・疲労と闘うライフハック(慢性疲労症候群患者様情報サイト)」を頼りに情報分析を始めました。
「私の化学物質過敏症は慢性疲労症候群と基礎を同じくする」
その確信を得て、慢性疲労研究に準じる一般医学アプローチから化学物質過敏症研究情報分析を再編しようと試みることにしたのがこのブログです。
今、慢性疲労症候群診断が私にあれば、重複障害ゆえの自治体からの偏見に必要以上に苦しむことがない時代が来ました。大阪市立大学を始めとする研究者の先生方の根気強い一般医学アプローチの賜物だと思います。
もちろん、化学物質過敏症患者を擁護する先生方の仁におしみない敬意の念が枯れることはありませんが、しかし、私の場合は重複障害による本来得られるべき行政の対応も得ることができず、悔やんでも悔やみきれないため、この両者を理解する一般科学からの解明を私は欲しています。
多くのお医者さんや各科学研究分野の方々に化学物質過敏症の病態解明の必要性を認識してもらい、真実、専門家による研究をすすめていただくため、一般的科学から理解しやすい内容で患者自身が検証した内容と照合を図り正しく読んでもらえる情報提供サイトづくりを目指します。
和文翻訳:訳文:
November 16, 2013
ニコ greeting
It is niko with Asperger Syndrome, AS luger diagnosis and chemical sensitivity diagnosis.
Although it seemed that chronic fatigue syndrome condition was probably coming previously from a chemical sensitivity, however it might inspect rural areas, while mind and body repeated doctor shopping from the result which is a healthy body, it resulted in the state of presenting a condition characteristic of a chemical sensitivity finally.
(A chemical sensitivity and chronic fatigue syndrome are the illnesses which may merge.)
although it seems that it was able to diagnose in nine states somehow in "Kyushu University" those days, information was not prudent in a local university hospital -- as -- neither diagnosis nor suggestion was obtained.
My chronic fatigue condition came to show the anaphylaxis to the chemical substance soon.
Since it was complications, which could not call it how, but since prescription of the nutrition treatment currently used under chronic fatigue syndrome medical treatment was filled when the nutrition treatment taught to itself by chance was me, by the time housekeeping was made from just before bedridden, it recovered.
However, if it strives for the improvement of physical strength which aimed at social rehabilitation too much after the recovery, the body will suffer from that strange condition which is clothed in armor and which becomes heavy like conversely now.
It resulted here, was aware of the merger with chronic fatigue syndrome at last, and began information analysis for "the life hacks (chronic fatigue syndrome patient Mr. information site) which fights with a blog and fatigue", such as a report of research of Osaka City University, from this summer (2013) to reliance about chronic fatigue syndrome.
"My chemical sensitivity has the same foundation as chronic fatigue syndrome."
It is this blog that was made to obtain that firm belief and to try to reorganize chemical sensitivity research information analysis from the general medicine approach according to chronic fatigue research.
When I had chronic fatigue syndrome diagnosis now, the time when it was not troubled with the prejudice from the self-governing body on account of multiple handicaps more than needed came.
the perseverance of the teachers of researchers including Osaka City University -- I think that it is the result of strong general medicine approach.
Of course, although the sense of the respect as for which a stain is not in 仁 of the teachers who protect a chemical sensitivity patient does not wither, However, although correspondence of the administration by multiple handicaps which should be obtained essentially cannot be obtained, either but it is regretful in my case, since it cannot finish being regretful, I want the elucidation from general science which understands these both.
In order to get many of the doctors and people of a subject study area of research to recognize the necessity for the 病態 elucidation of a chemical sensitivity and to have them recommend research by truth and a specialist, The production of an information dissemination site aims at the contents and collation which the patient itself verified, and I have you read correctly by the contents which are easy to understand from general science is aimed at.
原文:
2013年11月16日
ニコごあいさつ
アスペルガー診断と化学物質過敏症診断を持つニコです。
おそらく化学物質過敏症より慢性疲労症候群症状が先に来ていたと思われますが、地方でいくら検査しても心身ともに健康体である結果からドクターショッピングを重ねる中、遂には化学物質過敏症に特徴的な症状を呈する状態に至りました。
(化学物質過敏症と慢性疲労症候群は合併する可能性がある病です。)
どうも当時九州では「九州大学」でのみ診断が可能だったようですが、地元の大学病院では情報が行き届かなかったようで診断も示唆も得ませんでした。
私の慢性疲労症状はやがて、化学物質への過敏性を示すに至りました。
合併症ですのでどちらがどうと言えませんが、偶然独学した栄養療法が私の場合慢性疲労症候群治療で使われている栄養療法の処方を満たすことから、寝たきり寸前から家事ができるまでに回復しました。
しかしその回復後、過度に社会復帰を狙った体力づくりに励むと逆に身体が甲冑をまとうかのように重くなる奇妙な症状に現在苦悩しています。
ここに至り、ようやく慢性疲労症候群との合併を自覚し今夏(2013)から慢性疲労症候群について大阪市立大学の研究報告など「ブログ・疲労と闘うライフハック(慢性疲労症候群患者様情報サイト)」を頼りに情報分析を始めました。
「私の化学物質過敏症は慢性疲労症候群と基礎を同じくする」
その確信を得て、慢性疲労研究に準じる一般医学アプローチから化学物質過敏症研究情報分析を再編しようと試みることにしたのがこのブログです。
今、慢性疲労症候群診断が私にあれば、重複障害ゆえの自治体からの偏見に必要以上に苦しむことがない時代が来ました。大阪市立大学を始めとする研究者の先生方の根気強い一般医学アプローチの賜物だと思います。
もちろん、化学物質過敏症患者を擁護する先生方の仁におしみない敬意の念が枯れることはありませんが、しかし、私の場合は重複障害による本来得られるべき行政の対応も得ることができず、悔やんでも悔やみきれないため、この両者を理解する一般科学からの解明を私は欲しています。
多くのお医者さんや各科学研究分野の方々に化学物質過敏症の病態解明の必要性を認識してもらい、真実、専門家による研究をすすめていただくため、一般的科学から理解しやすい内容で患者自身が検証した内容と照合を図り正しく読んでもらえる情報提供サイトづくりを目指します。
2013年11月16日
ニコごあいさつ
アスペルガー診断と化学物質過敏症診断を持つニコです。
おそらく化学物質過敏症より慢性疲労症候群症状が先に来ていたと思われますが、地方でいくら検査しても心身ともに健康体である結果からドクターショッピングを重ねる中、遂には化学物質過敏症に特徴的な症状を呈する状態に至りました。
(化学物質過敏症と慢性疲労症候群は合併する可能性がある病です。)
どうも当時九州では「九州大学」でのみ診断が可能だったようですが、地元の大学病院では情報が行き届かなかったようで診断も示唆も得ませんでした。
私の慢性疲労症状はやがて、化学物質への過敏性を示すに至りました。
合併症ですのでどちらがどうと言えませんが、偶然独学した栄養療法が私の場合慢性疲労症候群治療で使われている栄養療法の処方を満たすことから、寝たきり寸前から家事ができるまでに回復しました。
しかしその回復後、過度に社会復帰を狙った体力づくりに励むと逆に身体が甲冑をまとうかのように重くなる奇妙な症状に現在苦悩しています。
ここに至り、ようやく慢性疲労症候群との合併を自覚し今夏(2013)から慢性疲労症候群について大阪市立大学の研究報告など「ブログ・疲労と闘うライフハック(慢性疲労症候群患者様情報サイト)」を頼りに情報分析を始めました。
「私の化学物質過敏症は慢性疲労症候群と基礎を同じくする」
その確信を得て、慢性疲労研究に準じる一般医学アプローチから化学物質過敏症研究情報分析を再編しようと試みることにしたのがこのブログです。
今、慢性疲労症候群診断が私にあれば、重複障害ゆえの自治体からの偏見に必要以上に苦しむことがない時代が来ました。大阪市立大学を始めとする研究者の先生方の根気強い一般医学アプローチの賜物だと思います。
もちろん、化学物質過敏症患者を擁護する先生方の仁におしみない敬意の念が枯れることはありませんが、しかし、私の場合は重複障害による本来得られるべき行政の対応も得ることができず、悔やんでも悔やみきれないため、この両者を理解する一般科学からの解明を私は欲しています。
多くのお医者さんや各科学研究分野の方々に化学物質過敏症の病態解明の必要性を認識してもらい、真実、専門家による研究をすすめていただくため、一般的科学から理解しやすい内容で患者自身が検証した内容と照合を図り正しく読んでもらえる情報提供サイトづくりを目指します。
おそらく化学物質過敏症より慢性疲労症候群症状が先に来ていたと思われますが、地方でいくら検査しても心身ともに健康体である結果からドクターショッピングを重ねる中、遂には化学物質過敏症に特徴的な症状を呈する状態に至りました。
(化学物質過敏症と慢性疲労症候群は合併する可能性がある病です。)
どうも当時九州では「九州大学」でのみ診断が可能だったようですが、地元の大学病院では情報が行き届かなかったようで診断も示唆も得ませんでした。
私の慢性疲労症状はやがて、化学物質への過敏性を示すに至りました。
合併症ですのでどちらがどうと言えませんが、偶然独学した栄養療法が私の場合慢性疲労症候群治療で使われている栄養療法の処方を満たすことから、寝たきり寸前から家事ができるまでに回復しました。
しかしその回復後、過度に社会復帰を狙った体力づくりに励むと逆に身体が甲冑をまとうかのように重くなる奇妙な症状に現在苦悩しています。
ここに至り、ようやく慢性疲労症候群との合併を自覚し今夏(2013)から慢性疲労症候群について大阪市立大学の研究報告など「ブログ・疲労と闘うライフハック(慢性疲労症候群患者様情報サイト)」を頼りに情報分析を始めました。
「私の化学物質過敏症は慢性疲労症候群と基礎を同じくする」
その確信を得て、慢性疲労研究に準じる一般医学アプローチから化学物質過敏症研究情報分析を再編しようと試みることにしたのがこのブログです。
今、慢性疲労症候群診断が私にあれば、重複障害ゆえの自治体からの偏見に必要以上に苦しむことがない時代が来ました。大阪市立大学を始めとする研究者の先生方の根気強い一般医学アプローチの賜物だと思います。
もちろん、化学物質過敏症患者を擁護する先生方の仁におしみない敬意の念が枯れることはありませんが、しかし、私の場合は重複障害による本来得られるべき行政の対応も得ることができず、悔やんでも悔やみきれないため、この両者を理解する一般科学からの解明を私は欲しています。
多くのお医者さんや各科学研究分野の方々に化学物質過敏症の病態解明の必要性を認識してもらい、真実、専門家による研究をすすめていただくため、一般的科学から理解しやすい内容で患者自身が検証した内容と照合を図り正しく読んでもらえる情報提供サイトづくりを目指します。