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【競馬・ボート・競輪】[ボート]14年SG第1弾「ボートレースクラシック」尼崎であす開幕2014年3月17日 紙面から 今年最初のSGレースとなる、尼崎ボートの「第49回ボートレースクラシック(総理大臣杯)」が18日から23日まで開催される。初日の12Rには優勝戦線を占うドリーム戦が組まれたが、1号艇を手にした池田浩二はF2の身。2月の近畿地区選を制している松井繁や瓜生正義がシリーズをリードしていくか。このレースを待っていた太田和美や、直前のとこなめ周年で優勝を飾った井口佳典も不気味な存在だ。ニューヒーローが誕生するSGとしても有名な今シリーズ。ベテランから若手まで好調な選手がそろい、波乱を巻き起こす可能性も十分だ。 松井が今年も王者の貫禄を示している。2月の住之江・近畿地区選では優勝戦、インから0秒01のスタートを決めて快勝。早々とG1をゲットした。 松井は毎年、1月1日に「今年もグランプリ(賞金王決定戦)で優勝することを誓う」と話す。年間のレースをトータルに考え、狙ったレースは死に物狂いで勝ちに出る。準地元のような尼崎はもちろんターゲットの一つ。尼崎では2009年のボートレースダービー(全日本選手権)を含めSG、G1で6勝を飾っているドル箱水面。これは地元の住之江、相性抜群の津に続く実績だ。 昨年の年頭はF休みだったが、今年はFもなく、リズム良くレースを消化。新ペラ制度になってからは休みの間にペラを作る必要もなくなり、「体力的にも精神的にも解放感があった」と激しいレースに耐えうる体調面での余裕も生まれた。新ペラ制度の導入は年齢的にも吉と出た。 グランプリ(賞金王決定戦)には95年に初出場して以来、05年を除き18回出場。そのうち、ベスト6に進出したのが14回。優勝を飾ったのが3回。「年齢的にもこれからはきつくなるけど、区切りの20回までは何としても出たい」と賞金王を見据えて、尼崎で勝負に出る。 今年序盤の成績を振り返って太田はこう言う。「とこなめ(周年記念)では予選落ちしたけど、その他の記念では準優に乗っているし、悪くないですよ。最初は出走回数のこともあったし、無理はしてなかった」。 予選落ちした前節のとこなめでも、エンジン的には「悪い足ではなかったんですよ。ペラもそんなにズレてなかった。展開とかもありますからね」と予選落ちのショックはない。 「とこなめの調整を踏まえて、尼崎では思い切ったことも試すかも。住之江と同じで尼崎のペラは難しいからね。でも、水面は5、6コースが利くイメージ。外枠の時でも勝負できるし好きな水面ですよ」 近畿地区の選手として、尼崎は走り慣れた水面。コースやエンジンの特徴は隅々まで頭に入っている。加えて、太田は新ペラ制度になってから「攻めのレース」に徹して、成績を上げてきた。昨年はとこなめグラチャンでSG連覇を達成。41歳にして、さらに地力がアップ。ボート界の第一線を突っ走っている。 「自分がされたら嫌なことを相手にしていきたい。これからも攻めていくレースに変わりはないですよ」と若手に負けない切れのあるターンワークを繰り出して今年SG初優勝を狙う。 井口は今年、1月末の戸田から、始動した。2節目の地元津一般戦で優勝したが、舟足的には、もうひとつ納得できる仕上がりではなかった。2月のとこなめ東海地区選では初日に出遅れるというS事故も経験。悪い流れに乗りそうなムードも漂ったが、この流れを断ち切るきっかけを下関周年でつかんだ。 「下関は準優には乗ったんですが、仕上がりには全然納得してなかった。でも、最終日の最後のレースでペラを調子が良かった時の形にたたき変えたら、いままでにない手応えを感じた。そのイメージで次のとこなめ周年を戦ったんですけど、最終日は申し分ない足に仕上がりました」 前節のとこなめ周年では2日目のドリーム戦で差し切り勝ちして、予選をトップで通過。優勝戦もイン一気の速攻を決めて今年G1初優勝を飾った。G1優勝を手土産に上々のリズムで今年初のSGを迎える。 尼崎は2012年のオーシャンカップでインから逃げ切って優勝した思い出の水面。シリーズ優勝の期待も高まるが、井口は「相性は悪くない水面ですけど、あまり意識せずにやっていきます。ただ、とこなめの結果が良かったので、自信を持って臨める。それが大きい」と精神面でも、エンジン面でも優位に立つ可能性が高い。 2月の芦屋・九州地区選でイン速攻を決めて快勝した瓜生。続く、蒲郡の一般戦で連続優勝を飾り、今年も順調にきている。ただ一つの誤算は下関周年初日のF。「S展示が勘通り。本番は放ったけど、集中力を欠いてました。でも、これを引きずっていてはだめ。反省点を生かして頭を切り替えていきます」。直前のとこなめ周年では初日連勝しながら、予選落ちとなったが「伸びが良かったし、舟足的にはパターンに入ってましたよ」とエンジンの調整力にかげりは見せていない。 尼崎は2012年のオーシャンカップ以来で「乗りやすいイメージがないんですよ。空回りする感じで、正直言って、合わせ切れていないですね」とこれまではあまりいい経験はない。 だからといって、苦手意識や気負うこともない。「普通に練習するようにレースができたらいい。リラックスして走ることが、結果につながってますからね」とあくまで自然体で臨む。「整備やペラもそう。狭い範囲にとらわれず、広い観点から、いろいろなことを試していきたい。今年に入ってからも、普段通りにできているし、Fを除けば順調に来てますよ」と今年初のSGに向けての準備はしっかり整えている。 ◆(3)松井両にらみ 18日ドリーム戦見どころF2の池田だが、下関、とこなめ周年記念ではコースは主張しており、進入は枠なりか。ただ、Sはやはり無理できないだけに割り引く必要があるだろう。 そんな中、軸になるのは準地元の松井。2月の住之江・近畿地区選で今年もすでにG1を制覇。3コースからまくり、まくり差しの両面をにらみ、自在に攻める。カドから鋭いハンドルを入れるのは太田。瓜生は下関周年記念での勇み足はあったものの、好調は持続しており、堅実に連争いに加わる。前本、新田の外枠両者も展開をつくテクニックは十分で侮れない。 ◆総展望松井繁、太田和美、瓜生正義とともに初日ドリーム戦に池田浩二、前本泰和、新田雄史が登場する。昨年の賞金王・池田は大会連覇の権利も持つがF2の身。操艇技術は超一流ながら、直前の地元G1とこなめ周年同様、積極的に勝負できない状況での参戦になる。 昨年5月の福岡・ボートレースオールスター(笹川賞)を勝ち上がり、SGウイナーの仲間入りを果たした新田。初めて臨んだグランプリ(賞金王決定戦)でもファイナリストに名を連ねて3着。近況成績は目立っていないが、シリーズ序盤にリズムをつかめれば、俊敏ターンの連続で予選上位突破の可能性は十分だ。 前本は昨年末のグランプリシリーズ(賞金王シリーズ戦)でSG初優勝後も勢いが止まらない。宮島新春レース、2月三国で優勝、下関G1中国地区選で優出(5着)。さらに直前の桐生も優勝し、一般戦ながらことし早くも優勝3回。強気なコース取りから、再度大仕事を狙う。 ドリーム戦には乗らないが新田の師匠、井口佳典がとこなめ周年優勝の勢いを持って乗り込んでくる。尼崎は2009年のボートレースダービー(全日本選手権)で優出4着、12年のオーシャンカップ優勝など実績がある。的確なスタート、ハンドルワークで主役の座を狙う。 井口と同じ85期銀河系軍団の田村隆信、湯川浩司、丸岡正典、森高一真らも好勝負必至。30代半ばに入り、心技体が充実している。ボート界の主流になりつつある中、ことし初のSG戦で存在感を示したい。 遠征陣を迎え撃つのが吉川元浩、鎌田義、吉田俊彦の兵庫トリオ。2月住之江周年を制した吉川は直前の浜名湖でFを切ったが、地元SG戦だけにスリットへの集中力をより高めて優勝戦線に生き残る。鎌田、吉田俊はファンの期待に応える熱い走りでSG初制覇を狙う。 田中信一郎、浜野谷憲吾、白井英治、山口剛、峰竜太らSG常連組に、進境著しい毒島誠、桐生順平らも優勝チャンス十分。昨年の当地周年覇者で強さが本格化してきた徳増秀樹にも注目が集まる。 ◆尼崎解説 好天時にはよく向かい風が吹く尼崎は淡水で水質は硬く、比較的に癖のない水面で知られる。その上に1Mがスタンド側に振られておらず、旋回半径に余裕を持てるコース形態で、基本的にはインコースが有利と考えていい。 春季である昨年3月から5月までの1コースの1着率は51.0%。2コースは同12.3%、3コースは同13.4%、4コース同13.0%、5コース同8.2%、6コース同3.0%。数字的にもイン有利は明らか。Sが的確で、ターン巧者がズラリと集結するボートレースクラシックとあれば、よりイン優位の傾向は強まりそう。 気になるのは風が出た時。冬場の六甲おろしほどではないにしても、天気がいい時には向かい風の吹くことが多い尼崎。センターから攻める選手が力強く出て行くケースがあり、そんな時には波乱も十分に期待できるはずだ。 ◆23日優勝戦はBSフジで中継BSフジで毎週日曜日午後4時から放送している「BOAT RACEライブ 〜勝利へのターン〜」では、23日に尼崎・SG「第49回ボートレースクラシック(総理大臣杯)」最終日を中継する。司会は島崎和歌子、堂前英男。ゲストはプロボクサーで、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太と、医師の木下博勝。
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