プレーオフ1ホール目で優勝を決めガッツポーズする一ノ瀬優希=土佐CCで(市川和宏撮影)
|
 |
◇ヨコハマタイヤ・プロギア<最終日>
▽16日、高知県香南市・土佐CC(6232ヤード、パー72)▽晴れ、気温13・7度、風速3・7メートル▽賞金総額8000万円、優勝1440万円▽57選手(うちアマ1人)▽観衆4576人
前日まで首位と2打差の3位につけていた一ノ瀬優希(25)=加賀電子=が1イーグル、4バーディー、1ボギーの67をマーク。通算7アンダーで並んだ酒井美紀(22)=国際スポーツ振興協会=をプレーオフ1ホール目で破り、昨年3月のTポイントレディス以来のツアー通算2勝目を飾った。1打差6アンダー3位にアマチュア森田遥(17)=香川・高松中央高2年=と韓国の宋ボベが入り、横峯さくら(28)=エプソン=は2アンダー14位、森田理香子(24)=リコー=は4オーバー32位だった。
闘志をムキ出しにするタイプの一ノ瀬が、無欲で1年ぶりの2勝目を手にした。「まさかこんな、2戦目で優勝できるなんて。とにかくうれしいです」と一ノ瀬。10番パー5ではピンまで残り138ヤードの第3打を7番アイアンでカップインさせ、イーグル奪取。この日だけで5つスコアを伸ばしてホールアウトすると、プレーオフではピン右から3メートルのバーディーパットをきっちり沈めて、1ホールで勝負をつけた。
「今年のオフは今までで一番練習してない」。前週シーズンが開幕しても、一ノ瀬の心は不安に占拠されていた。1月に左鎖骨を痛め、まともに練習を再開したのは2月下旬。「(今季使用する)クラブを決めたのも、沖縄に入る前日。とりあえず去年のものと2セット持って出かけたんです」という。その今季初戦のスタートホールはダブルボギー…。
「だから今週は、とにかく打ち込んで不安を取り除こうと思ってた」。豪雨で9ホール打ち切りになった木曜のプロアマ競技後も、練習場でボールを打った。プレーオフに向かう前も、パッティング練習でなくドライバーショットに精を出した。少しだけ回復した自信を胸に戦った。
心の支えはもう1つ。コースメモに書き込んだ「いいのも自分。悪いのも自分」という言葉。前日、親交のある岡本綾子さんと食事をともにした際、会話の中でズシンと心に響いたフレーズだった。「15番でアマチュアの森田さんが先にバーディーパットを決めた時も、プレーオフの最中も、これを読んで自分に言い聞かせてました」という。
鎖骨の痛みが消えたこれからが、一ノ瀬の2014シーズン本番。この日の収穫は、さらなる勝利にも結びつきそうだ。 (月橋文美)
この記事を印刷する