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【社説】

児童虐待増加 まず、命を守りたい

 子どもへの虐待が増えている。頼るべき親の下で苦しむ子をどう見つけ、保護へとつなぐのか。虐待の影には親の苦境も潜む。児童相談所や警察など関係機関、地域のさらなる連携が望まれる。

 東京都葛飾区で一月末、二歳の女児が暴行されて死亡した事件で、無職の父親が逮捕された。女児の腹を踏み付け死亡させた疑いがもたれている。

 愛知県豊橋市ではトラック運転手の父親が、一昨年に双子姉妹を入院先の病室や自宅アパートなどで暴行し、死亡させたとして逮捕された。

 幼い子どもの体に残った四十カ所のあざ、頭蓋骨骨折の傷…。残酷な死亡事件はあふれる虐待ケースの氷山の一角である。

 昨年一年間に全国の警察が虐待の疑いがあるとして、児童相談所に通告した十八歳未満の子どもの数は初めて二万人を超え、過去最多を更新した。この十年間で二十倍を超える勢いである。

 児童虐待防止法では一般の人にとっても通告は義務と定められている。学校や病院だけでなく、「子どもの泣き声が聞こえる」と、住民からも通報が寄せられるようになった。虐待への関心の表れだろう。

 通告のケースは「心理的虐待」が半数以上を占める。子どもに直接心ない言葉をぶつけるのを目撃してのものだ。子どもの前で配偶者に暴力をふるう「面前DV」も急増し、虐待だという認識が広がりつつある。「身体的虐待」や「育児放棄」も前年より18〜8%増えた。

 大切なのは、児相や警察が関係機関と情報を共有し、子どもの安全を確かめ、救出や保護に連携を強めることだ。虐待を生まない支援や環境をどう整えていくかも考えたい。

 昨年、警察が摘発した虐待死事件では二十五人の子どもが犠牲になった。加害者のほとんどは親で虐待の事実を隠そうとした。

 豊橋市のケースも児相が父親による虐待を疑い、面会を重ねていながら父親が暴行を繰り返していたとされる。児相が虐待を知りながら、命を守り切れなかったというのは深刻だ。

 一つ一つのケースにかかわるには人の力と時間がいる。児相職員は不足しており、人材の手当ては先決だ。加害者の親には貧困や病気などで孤立し、ストレスをためている場合が多い。問題の根本に向き合い、支援を続けることが子どもの命を守ることにつながる。

 

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