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» 2014年03月17日 08時40分 UPDATE

「食べログ」掲載は「営業妨害」か「表現の自由」か “秘密の隠れ家バー”怒りの提訴、異例の法廷闘争 (1/3)

「秘密の隠れ家」をコンセプトにしたバーが、掲載情報の削除を求めて食べログを提訴。「掲載され秘密性の演出が台無しになった」と訴え、食べログ側は「表現の自由」などと争う姿勢を示す。

[産経新聞]
産経新聞

 膨大な数の飲食店の中から、希望にぴったりな一軒を手軽に探せるグルメ情報サイト「食べログ」。料理の感想など利用者の声が掲載され、店の実態が分かると評判の口コミサイトで、アクセス数は1カ月に5千万件以上に上る。そんな超人気サイトからの店舗情報削除などを求め、大阪市内のバーが大阪地裁に民事訴訟を起こした。このバーのコンセプトは「秘密の隠れ家」。一見してバーとは分からない外観と、非日常的な店内とのギャップが売り物だ。バー側は「掲載され秘密性の演出が台無しになった」と訴え、食べログ側は「表現の自由」などと争う姿勢を示す。飲食店にとって宣伝にもなるはずの人気サイトへの掲載。ただ、掲載を敬遠する店も少なからずあるようだ。

「開けるな」の扉

画像 趣向を凝らした“秘密の隠れ家”を演出していた大阪市内のバーが「食べログ」に掲載され、演出が台無しになったとして削除を依頼。しかし、食べログ側は「表現の自由」として拒否し、問題は訴訟に発展した。このバーは看板もなく外からだけでは存在が分からないといい、入店する際も扉の横のインターホンを押してから…という(写真はイメージ)

 3月上旬の夜、大阪市内の路地にあるビル。看板などは見当たらず、外からは何の建物かはまったく分からない。鍵のかかった鉄扉の横にあるインターホンを押し、カメラに向かって紹介者と名前を告げると、「どうぞ」という声とともに開錠された。

 急な階段を上がった先にはもう1枚の扉。「開けるな」という札が多数掲げられ、異様な雰囲気を醸し出す。少し躊躇しながらもドアを開けると、バーカウンターやソファなどが置かれ、間接照明に包まれたスペースが広がった。カウンターでは、常連客らしき数人が店員と談笑していた。後から入店した客らも、店員やほかの客と気軽に話しながら、ビールやカクテルを楽しんでいる。

 バーが営業を始めたのは約4年前。経営者の男性の知り合いや、そこから紹介を受けた人たちで連日遅くまでにぎわっている。

 「外観と室内のギャップ、隠れ家のような雰囲気を楽しんでもらいたい」と物件選びから丹念にイメージを作り上げ、「事前にネットで情報を知ってから来てもらうと、演出の意味がない」として、客に口コミサイトへの投稿をしないようにも呼びかけていた。

 ところが、平成24年11月ごろ、来店したとみられる人が食べログにバーの写真や感想を投稿。常連客らからは、雰囲気が損なわれることを懸念する声も寄せられた。

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