山形浩生 の「経済のトリセツ」

2014-03-17 ケインズ『お金の改革論』

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エンゲルスからちょっと寄り道して、若き日のケインズ。ケインズがマネタリストでもっと明解な文章を書いた頃の代物の全訳。

まだ「ケインズ経済学」にはなっていない。その一方で、ブレトン=ウッズ体制につながるアイデアの萌芽は出ている。貨幣数量説全面支持の本だと言われるけれど、三章読むと必ずしもそうではないね。基本は貨幣数量説だけど、でもきちんとその通りにいかない場合もたくさんあるから注意しようね、というのが延々書いてあって、貨幣数量説をボコボコに否定した『一般理論』と、実は立場的にそんなに遠くないように思う。注意しようね、の部分を細かく詰めると、一般理論でのお金の話になる。

提言とかは、なにせ金本位制時代のものだからいまは歴史的な興味だけになるけれど、「長期的にはわれわれみんな死んでいる」という有名な、ぼくのお気に入りのせりふが出てくる一冊。

お金の改革論 (pdf 400kb)

当然邦訳あって、『貨幣改革論』とか『通貨改革論』という邦題になっている。もちろん一切見てません。金本位制時代のテクニカルタームとか概念とかは、いろいろわかりにくいのでまちがっている部分もあるかとは思う。

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