(2014年3月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロシアがクリミア支配を強めるに従い、欧州諸国の首脳は態度を変え始めた〔AFPBB News〕
もしかしたら筆者は、欧州勢に厳しすぎたのかもしれない。そうであることを願う。ロシアがクリミアに対する支配を強めるなか、大陸欧州の民主的指導者たちは重要な橋を渡りつつある。
欧州首脳はウラジーミル・プーチン氏のことを、自分たちがかつて、おだてて、そうなるよう仕向けられると思ったロシア大統領像ではなく、ありのままのプーチン氏として見るようになっている。ロシア政府のウクライナ進撃に対する各国間の反応の違いは、待ち望まれた現実主義の兆しに道を譲りつつある。
14日日曜日に予定されている、不正操作された住民投票にロシア政府がどう反応するかは誰も確信が持てない。結果はあらかじめ決められている。欧州諸国の政府内で飛び交うブラックジョークでは、プーチン氏が既に母国ロシアへのクリミアの返還を支持する票を数え終えたとされている。
欧州のある外相は、近い将来の「アンシュルス(ドイツ語で併合の意)」について公然と話している。欧州連合(EU)と米国は恐らく15日に制裁強化で対応するだろう。
プーチン大統領の計算は?
即時の併合がロシア政府にとって都合がいいのかどうかは分からない。プーチン氏は、国際法を踏みにじり、力ずくで欧州の境界線を引き直す用意がいくらあっても、法律的に微妙な問題に心を砕いている。世界各国にとっては馬鹿げたように見えるが、それがクリミアを占領しているロシアの部隊がバッヂを付けていない理由だ。
こうした部隊は、住民投票が自由と公正からほど遠いことを裏付けているが、ロシア政府の見せ掛けの法律尊重主義者たちは、クリミアがウクライナからもぎ取られた後の選択肢を検討している。
プーチン氏の中の法律家は、とりあえずクリミアが独立している形にすることに利点を見いだすかもしれない。戦術家もこれに同意するかもしれない。クリミアが正式に併合された後では、交渉する用意がある「ふり」をするのが難しくなるからだ。もしかしたら、沿ドニエストル共和国のように、クリミアも憲法上曖昧な状態のままにしておかれるかもしれない。それでも、プーチン氏は何が何でも併合へ突き進むかもしれない。
欧州諸国の間では、ロシア政府に適用すべき制裁のレベルについて依然議論がある。一方には――ギリシャやキプロス、そしてある程度イタリアも思い浮かぶ――、事態の深刻化を避ける方法は、プーチン氏に望むものを何でも与えることだと考えているように見える国がある。
もう一方には、ポーランド、スウェーデン、バルト諸国など、ロシア政府の注意を引き付けるのは唯一、強硬な対応だと強く主張する国がある。