ウクライナ:ロシア編入承認へ…住民投票

毎日新聞 2014年03月16日 21時30分(最終更新 03月16日 21時37分)

クリミア自治共和国の首都シンフェロポリの投票所で、票を投じるアクショーノフ首相=2014年3月16日、ロイター
クリミア自治共和国の首都シンフェロポリの投票所で、票を投じるアクショーノフ首相=2014年3月16日、ロイター

 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)田中洋之、モスクワ真野森作】ウクライナ南部クリミア半島で16日、ロシア連邦への編入の賛否を問う住民投票が始まった。投票は午後8時(日本時間17日午前3時)に締め切られ、17日に暫定結果が発表される。事前の世論調査では約8割の住民が賛成しており、ロシア編入が支持されるのは揺るがない見通し。ロシアもクリミアの編入に前向きな姿勢を示しており、プーチン大統領の政治的決断が注目される。

 ◇プーチン氏の判断焦点

 クリミアの住民投票は、ロシア編入に賛成か、あるいはウクライナにとどまり自治権の拡大を目指すか、の二者択一。有権者数はクリミア自治共和国と特別市のセバストポリに住む18歳以上約150万人。投票にはロシアや欧米など23カ国から約70人の監視団が派遣された。民間調査機関による出口調査も行われ、投票締め切り後に公表される。

 クリミアは長いロシア領の歴史があり、ロシア系住民が6割を占める。親ロシア派の自治共和国とロシア黒海艦隊の基地があるセバストポリ市は、政変によって新政権に民族主義勢力が加わったことに反発。ロシアがクリミアを軍事的に掌握するなか、それぞれの議会が今月6日にロシア連邦入りを決議し、同時に住民投票の実施を決めた。一方、少数派の先住民族クリミア・タタール人はウクライナ残留を希望する傾向が強く、住民投票をボイコットする動きが出ていた。

 クリミア自治共和国とセバストポリ市の両議会は今月11日、住民投票でロシア連邦編入への賛成が過半数を占めれば、即時に独立するとの宣言を採択しており、投票結果を受けてクリミアは独立宣言するとみられる。ロシアへの編入をクリミアと「国家同士」で協議する体裁を整える狙いがあり、ロシア側は編入正当性の根拠にする構えだ。

 ロシアは住民投票が国際法に合致しており、住民の意思を尊重するとの立場で、下院では21日にクリミアの編入に向けた法案の審議が予定されている。一方、ウクライナ新政権や欧米諸国は、住民投票はウクライナ憲法や国際法に反しており、ロシアによる事実上の「クリミア併合」だとして強く反発している。

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