原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、新たな段階に入った。 …[続きを読む]
環境省はあくまで、水俣病の被害をできるだけ小さかったことにしたいのだろ…
環境省はあくまで、水俣病の被害をできるだけ小さかったことにしたいのだろうか。
水俣病かどうかを決める認定基準の新しい運用指針を、同省が熊本県などに通知した。
そこには、患者の認定について新たな証明を求める内容も盛り込まれた。各地の被害者らの戸惑いは大きい。
日本最大の公害病の一つとして世界的にも認知された国家の宿題でありながら、今なお数万人が「患者」と認められない奇妙な立場にたたされている。
政府はもう、かたくなな対応をやめ、補償の道を根本から考え直す真剣な方策に取り組む必要がある。
水俣病の認定をめぐる混乱の核心は次の問いにあった。
両手足の感覚障害だけの水俣病が存在するか否か――。
政府はこれまで、運動失調や視野が狭くなるといった症状との組み合わせにこだわった。
だが、最高裁が昨年春に結論を出した。感覚障害だけでも、総合的な検討で認定の余地があると認めたのだ。
ところが環境省は「認定基準は否定されていない」と強弁を続け、基準を延命させた。
そして、感覚障害だけでも認めると譲歩したかに見せつつ、実際は認定の幅を広げない関門として「総合的な検討」を逆に利用した。それを細かく示したのが、今回の通知だ。
最大の特徴は、どれほど有機水銀に汚染されていたのか、半世紀も前の証明を申請者に求めた点にある。
居住地や家族状況はまだしも、当時の頭髪やへその緒などの有機水銀濃度、漁業従事歴の確認まで例示している。
これまでは、汚染地域での生活歴があれば、どれほど汚染を受けたのかはほぼ不問だった。
そもそも、その調査を怠ってきたのは政府自身であろう。ほとんどの被害者にとっては証拠が残っているはずもない。
環境省は、そうした資料提出を必須条件にはしないという。だが、そこに恣意(しい)は入り込まないか。資料がなければ認定されないのではないか。被害者側が不安を訴えるのは当然だ。
通知では、過去の申請についての決定を再審査しないことも明記した。最高裁の判決で、これまでの基準の運用が否定されたにもかかわらずだ。
環境省は、認定患者の拡大を何とか食い止めようとする意固地な態度を、まず改めねばならない。外部の専門家や被害者もまじえ、認定基準から補償制度の再構築まで改めて議論し直す場を設けるべきだ。
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