STAP細胞:共著者、実験に「不信」…論文取り下げ提案
毎日新聞 2014年03月10日 20時47分(最終更新 03月11日 21時46分)
新たな万能細胞「STAP細胞(刺激惹起<じゃっき>性多能性獲得細胞)」の発表は、生物学の常識を覆す成果と位置付けられ、著者の小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーが30歳の女性だったこともあり、大きな注目を集めた。だが、一転して疑問点が次々明るみに出る事態となった。
◇「分からなくなった」
「自分がやった実験が何だったのか、分からなくなった」。10日、毎日新聞の取材に、論文の著者の一人である若山照彦・山梨大教授は語った。ネットで指摘された疑問点は、STAP細胞の作製を報告した英科学誌ネイチャーの論文で、▽STAP細胞から作ったとされるマウスの胎盤の画像が他の条件で作ったものと似ている▽遺伝子の働きを調べた画像に別の画像から切り張りされたような跡がある▽論文の補足部分の一部が別のチームが過去に発表した論文とほぼ同一−−など。
さらにSTAP細胞とは無関係な画像が、ネイチャー論文に使われていた疑惑が浮上。若山教授によると、小保方さんが2012年末のセミナーでSTAP細胞について発表した際も、この画像を使っていたことが分かったという。若山教授は「私が研究の正当性を信じるためにも、やり直すのが大事」と語った。
一方、共同研究者の丹羽仁史・理研プロジェクトリーダーは「論文の表現上のミスは理研とネイチャー誌に報告済みだ。根幹部分が真実であることは疑っていない」と説明している。【須田桃子、西川拓】