STAP細胞 理研が写真流用の疑いで調査3月11日 19時32分
理化学研究所などのグループが発表した「STAP細胞」の論文で、研究の核心部分を証明する複数の写真が別の論文から流用された疑いのあることが分かり、理化学研究所は調査を始めたことを明らかにしました。
「STAP細胞」は、神戸市にある理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーなどのグループが作製に成功したと科学雑誌「ネイチャー」に発表したものですが、共同著者の若山照彦山梨大学教授が重大な問題があるとして論文の取り下げを呼びかけ、理化学研究所も取り下げを視野に入れて検討しています。
この論文について理化学研究所は11日会見し、研究の核心部分の一つでSTAP細胞に万能性があることを示した3枚の写真が、3年前、小保方さんが書いた博士課程の論文にある写真と極めてよく似ていて流用された疑いのあることを認めました。
極めてよく似たこれらの写真は、博士論文では、骨髄から採取した細胞からできた組織の写真と説明されていますが、ネイチャーの論文では、STAP細胞が分化してできた組織の写真だと全く異なる説明がされています。
これについて理化学研究所の担当者は、「新たな指摘を重く受け止め、調査を開始した。事実関係を把握して報告したい」と話しています。
スキャンしてデータ化か
データ解析を行っているセキュリティー会社によりますと、「STAP細胞」の論文に掲載されている問題の写真は撮影した生の画像データではなく、紙の文書をスキャンするなどしてデータ化したものを切り貼りしたとみられるということです。
論文から写真だけを取り出して分析すると、写真の上の部分に別の写真の一部とみられる紫色などの線が入っているのが分かるということです。
重要なデータだったので衝撃的
理化学研究所が調査を始めたことについて、論文の取り下げを呼びかけた山梨大学の若山照彦教授は、「写真はSTAP細胞がさまざまな細胞になる能力を示す論文の中でも重要なデータだったので衝撃的だった。このデータが信頼できないとすれば自分が実験で扱っていた細胞はいったい何なのか分からなくなってしまう。ミスなのか故意なのかも含めて何がおこったのか全く分からないので、調査でその理由を明らかにしてほしい」と話しています。
「単純ミス超えている」
理化学研究所が発表したSTAP細胞の論文の画像やデータに不自然な点があると相次いで指摘されていることについて、日本分子生物学会は11日、「多くの作為的な改変は単純なミスである可能性を遙かに超えている。適正な対応を強くお願いする」とする緊急の理事長声明を発表しました。
国内1万4000人の研究者が参加する日本分子生物学会は11日、公式ホームページで、STAP細胞の論文への対応について、緊急の理事長声明を発表しました。
声明では、「多くの作為的な改変は単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いている。成果の再現性は別問題として論文に対しての適正な対応を強くお願いする」としています。
そのうえで、理化学研究所に対して、STAP細胞に関する2本の論文の生データの即時開示や論文の撤回などの適切な対応と、公平性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告を求めています。
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