工作機械大手「ヤマザキマザック」(愛知県)の技術情報を不正に取得したとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の罪に問われた中国籍の元社員、唐博被告(33)の初公判が3日、名古屋地裁(前田巌裁判長)であった。唐被告は「罪を犯した覚えはない」と起訴内容を否認した。

 起訴状によると、唐被告は2011年8月、不正に利益を得る目的で、技術情報に関する6件のファイルを複製したとされる。

 検察側は冒頭陳述で、唐被告がこの情報を複製する数日前、中国在住の知人から機械の情報を送るようメールで頼まれていたと指摘。また、複製の翌日には中国の地方政府関係者に「情報を盗んできた」とインターネットを通じて売り込んでいたことを明らかにした。唐被告は12年3月に同業他社への転職が内定。その直後にも、ヤマザキマザックの技術情報を大量に複製していたという。

 これに対し、唐被告側は複製した情報は営業秘密にあたらないとしたうえで、「不正の目的はなかった」と主張し、無罪を求めた。さらに情報の売り込みについては「冗談だった」と述べた。

 前田裁判長はこの日、11年に改正された不正競争防止法に基づき、企業秘密に該当する機械の製法などに関する情報は法廷で明らかにしない方針を示した。今後、被告人質問や証人尋問の一部が非公開になる可能性がある。