辻垣内智葉 日出づる処の皇子?
くろたんイェイ〜♪
今回考察するのは辻垣内智葉。
去年の個人戦3位。
海外傭兵集団臨海女子のレギュラー中、唯一の日本人にしてエース。
そんなガイトさんに元ネタとなる神仏は存在するのか?
存在するとしたらそれは誰なのか?
注:今回は長めです。
ガイトさんの元ネタに関しては、著名な剣術家や侠客で考えたりもしましたが、長いこと日本武尊(ヤマトタケル)を想像していました。
そう思えたのがこのシーン。
漫ちゃんの導火線を切断したこの描写が、草を薙ぎ払い、迎え火を放ち、敵を滅ぼした日本武尊のエピソードにちょっと似てるかな、と。
ただ最近、特徴的な描写や諸々の考察から臨海全体のモチーフを仮定してみて、視野を広げて考えたところ、もっと合致しそうな人物がいました。
正直かなり意外な人物なんですが…
タイトルの通り、
聖徳太子です。
聖人政治家というイメージの聖徳太子は、極道の娘さんっぽいガイトさんとは一見かなり縁遠い存在に見えます。
ただガイトさんが極道っぽいキャラ付けになったのは、アバターアイテム(?)の長ドスを持たせた結果かもしれません。長ドスっぽい剣なら太子も持っていましたし、トータルで考えても合致する箇所が多いと思えるので、以下挙げていきます。
◆辻垣内智葉という名前
まずガイトさんの名字「辻垣内」。「〜垣内」という地名、またそれに因む人名は関西に多いようです。こちらのサイトによると、昭和30年代の調査による奈良県内の、垣内及びその字が含まれる地名は5000以上存在し、小字(こあざ)の垣内は千数百例あるとしていますが、その後の行政区画の変更などにより、現在ではかなり減っている とか。
名字・辻垣内の全国分布はこんな感じ。
和歌山、奈良、大阪と関西が多め。
一方聖徳太子ですが、斑鳩に宮殿を構えていました。こちらのサイトによれば、斑鳩の小字で最も目立つのが〜垣内という地名。辻垣内も斑鳩町小吉田の古地名にあったそうです。
また斑鳩宮の隣に建てられたのが法隆寺。そしてその法隆寺に瓦を供給した瓦窯の一つと言われているのが辻ノ垣内瓦窯です(同じ生駒郡内とはいえ法隆寺とはちょっと距離があるので実際は近場の平隆寺のみに瓦を供給してたのかも?平隆寺も太子建立と伝えられるそうです)。
また太子といえば、十人の請願を一度に聞いて、そのいずれにも的確な答えを返したという逸話が有名ですが、それに因んだ異名が豊聡耳(とよさとみみ)。その聡明さから「聖の智(ひじりのさとり)有り」という記述もあります(『日本書紀』)。
ガイトさんの名前は、以上の太子関係の地名やエピソードに由来するのではないでしょうか?
◆誕生日
ガイトさんの誕生日は1月2日。
姫始めの日とあるので、そっち関連を想像してしまいますが、「飛馬(ひめ)始め」と書いて乗馬始めという意味もあるそうです。
一方聖徳太子ですが、黒駒という名馬に乗って空を飛んだ話が有名です。まさに「飛馬」。
「厩戸皇子」にしてもそうですが、太子は結構馬関連の話が多いようです。
ガイトさんの誕生日については、別の意味も込められている可能性もあるかもしれませんが、それについては後述します。
◆事前に来る牌が分かっているかのような打ち筋
大明槓を仕掛け優希の待ちを殺すと同時に、嶺上から二萬をツモり即座に聴牌に構えるチートっぷり。四萬が見えている筈は無いのに優希のペンチャン搭子を見透かしている洞察力。これらは一体何に由来するのでしょうか?
元ネタと思われる太子には、「兼知未然」という表現が『日本書紀』にあります。「兼ねて未然(ゆくさきのこと)を知ろしめす」、予め未来のことを知ることができた。オカルトネタの多い太子の逸話の中でも一際オカルト。ガイトさんの打ち筋の特徴は、この兼知未然に由来するのではないでしょうか?
さすがに怜の能力のように、他の対局者の動きを正確に予知するのは無理のようですが。
というか臨海レギュラーだとこの特徴(能力?)は多かれ少なかれ標準装備っぽい。
なにこの会話、怖い…。
◆無名校の一年でも侮らない(VS 「片岡」優希)
かっけぇ…。ガイトさんで最高に好きな台詞。
これは太子でいうと、大国の隋相手に「日出づる処の天子」の文面で有名な強気の対等外交(「侮ってくれるな」と言わんばかり)を仕掛けたことに由来するのではないでしょうか?
立場・力量的には、
ガイトさん>優希
隋>日本、と構図が真逆ですが。
また太子には有名な片岡山伝説というものがあります。
いわゆる聖人は聖人を知るという話ですが、東場におけるガイトさんと優希の攻防には、高いレベルで通じ合うものが感じられました。
↑これとか。二回戦までの優希にこれが止められたんでしょうか?優希の成長度合いを示す描写の一つだと思われますが、ひょっとしたら聖人同士の相互理解である片岡山伝説も投影されているのかも(優希の名字がここからとは思いませんが)。
◆回想シーンの憩ちゃん
優希と重ねられるように回想された去年の憩ちゃん。
立先生は対戦するキャラ同士の元ネタにつながりを持たせることが多いと感じられますが、ここもその一つに見えます。
憩ちゃんの元ネタと思われるのは薬師如来。
一方法隆寺の薬師如来ですが、金堂の「東の間」に安置される銅造薬師如来坐像(国宝)の光背銘には「用明天皇が自らの病気平癒のため伽藍建立を発願したが、用明天皇がほどなく亡くなったため、遺志を継いだ推古天皇と聖徳太子があらためて推古天皇15年(607年)、像と寺を完成した」という趣旨の記述がある。 とのこと。実際のところ、薬師信仰は太子の時代より後だそうですが、光背銘に依るなら縁の深い仏様だと言えます。
◆ネリーが懐いてる
物語的にはガイトさんが姐御肌で面倒見が良いから、だと思われますが、元ネタ的にはこういうことかも。
◆長ドスと左手による居合い
長いことアバターアイテムと思われていたガイトさんのコレ。三期OPで夜の街を持ち歩いている姿が描かれましたが、咲世界の治安はどうなってるのでしょうか。ガイトさんによって守られているのでしょうか。
長ドスの特徴としては反りの少ない直刀のものが多いことです。ガイトさんの長ドスも反りは浅めに見えます。
一方聖徳太子の剣として有名なのが七星剣と丙子椒林剣。サガフロ2に出てきた剣です。どちらも直刀(日本刀に反りが加わるのは平安時代から)。
↑七星剣(天田昭次氏による写し)。
↑丙子椒林剣。
七星剣は刃の部分に北斗七星が描かれていることがその名の由来ですが、七星の他には雲形文・三星文・竜頭・白虎などが描かれています。
ガイトさんの長ドスの刃は装飾のない実用一本な感じですが、柄の部分には雲形文が掘られているように見えます。
後は左利きについてですが、太子の筆跡は左方向への突出が特徴だそうで、これがガイトさんの左利きにつながったかも?ちょっと苦しいですが(太子には一応左利き説はあるようです。ただ根拠のはっきりしない相当マイナーな説に思えました)。
別の可能性として、左利きと居合いのアクションについては太子にちょっと関係のある武人の要素も入ってると考えた方が良いかも。
太子に仮託されて創始された軍学+武術に聖徳太子流という流派があります。剣術も含みますが、この聖徳太子流剣術の師範を一時務めていたのが、新撰組の斉藤一。
斉藤一といえば、るろ剣等の「突き」のイメージがありますが、居合いにも通じていたと言われます。またこれもフィクションの影響ですが、左利きのイメージが広く流布しています。誕生日は1月1日説と1月2日説がありますが、後者ならばガイトさんと一致。
少々大胆かも知れませんが、太子流つながりで斉藤一要素もガイトさんには付与されているのだ、と考えると、左手による居合いの他、三期OPで夜回りしてる絵図も説明しやすい気が。
夜回り…ですよね、これ。辻斬りとかカチコミとかじゃなくて。
◆火消のイメージ
準決・先鋒戦後半は、ガイトさんVS漫ちゃん爆発モード、という展開でした。
冒頭で引用した導火線を切断する描写や、燃えさかる炎を背景に悠然と構える姿や、
この台詞。さらに地域の人望家といった感じの出撃前の描写から、実はガイトさんはヤのつく家系ではなく、江戸町火消の家系なのではないか?とふたば咲スレで語られていたことがあります。町火消と侠客は近い存在なので、町火消でヤのつく家系という可能性もありそうです。
ところで江戸時代の消火活動は破壊消防なので、火消を担当していたのは家屋の構造を知り尽くし、掛矢や鳶口などの道具の扱いに長けた鳶職でした。そして彼らが信仰していたのが聖徳太子(太子講)。
つまりガイトさんが火消や侠客っぽいキャラ付けになった理由を聖徳太子から考えると、
「太子の剣」→「長ドス」の他に、
「太子信仰」→「鳶職」→「江戸の町火消」→「侠客」
という連想の可能性もあるかも?
◆世界レベルの力、先生キャラ
ガイトさんといえば世界レベルの選手が揃う臨海において、皆がエースと認めるその実力。
一方聖徳太子ですが、複数言語を理解したと言われ、当時の最新の教養である仏教にも通じた世界に通用する一級の知識人。実力主義の冠位十二階を制定したことでも有名です。また仏典に注釈をつけ推古天皇に講義したとも伝えられます。つまり先生キャラ。これがガイトさんの
これにつながったのではないでしょうか?ところでこの女の子達、下の絵の子供達にちょっと似てるような気が…。
もっともこちらは男の子達ですが。
以上いくつか挙げてきましたがどうだったでしょうか?
聖徳太子説を思いついた当初は、とりあえず他の候補と併せ比較検討してみよう、という軽い気持ちでした。それが調べるにつれて符合しそうな点が増えるので「え…マジで?」という感じ。
説の真偽に関わらず清澄と臨海が決勝に進んだ場合、さらに熱いガイタコ描写が見られるような気がするので楽しみです。
終わり。
【参考出典】
・GUITER CONSTRUCTOR様
・奈良県立橿原考古学友史会様
・三郷町公式ホームページ
・斑鳩大辞典様
・占い人間学様
・KATANA-JAPAN 人間国宝 天田昭次-official site-様
・日本吉 NIPPON-KICHI様
・『日本書紀(四)』(岩波文庫)
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2014-03-15 00:00
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咲-Saki- |
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