人権侵害:ネット使用が過去最多更新 教職員体罰は倍増 

毎日新聞 2014年03月14日 10時46分(最終更新 03月14日 13時11分)

教職員による体罰で、救済手続きを開始した件数
教職員による体罰で、救済手続きを開始した件数

 ◇法務局被害相談、大阪市立桜宮高事件報道を機に増大

 全国の法務局が2013年に教職員の体罰による人権侵害の疑いがあるとして救済手続きを始めた件数が前年比約2.4倍の887件に急増、過去最多を更新したことが法務省人権擁護局の統計で分かった。同局では12年12月、大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が顧問の教諭から体罰を受けて自殺した事件などの報道を機に、法務局への被害相談が大きく増えたことによるとみている。

 救済手続きは、被害相談を受けた法務局が事実関係を調査し、人権侵害をしたと確認した本人に改善を求めたり、捜査機関に刑事告発したりする仕組み。

 体罰事案に対する救済手続きの開始件数は12年は370件。現在と同様の統計を始めた01年以降では過去最多だったが、今回はさらに大きく伸びた。

 具体的には、高校の教員から体罰を受けたとする生徒の親からの相談があり、調査したところ、教員が部活動で指導に従わなかった生徒の腹を蹴るなどした事実を確認。救済措置として教員本人に反省を促し、校長に再発防止を要請したケースがある。他にも教員が児童や生徒に対し▽黒板消しを投げてぶつけた▽首を絞めた−−などの例があったという。

 一方、13年に救済手続きを開始した件数を巡っては、インターネットを利用した人権侵害(957件、前年比42.6%増)や、学校でのいじめ(4034件、同1.2%増)も過去最多を更新した。【伊藤一郎】

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