アンネの日記破損:器物損壊容疑 書店侵入の男を再逮捕
毎日新聞 2014年03月14日 12時07分(最終更新 03月14日 13時43分)
◇供述通り、被害書籍の紙片見つかる
東京都内の公立図書館などで「アンネの日記」や関連本が相次いで破られた事件で、警視庁捜査1課は14日、図書館の本を破ったとして東京都小平市の無職の男(36)=書店への建造物侵入容疑で逮捕=を器物損壊容疑などで再逮捕した。同課によると、「まちがいありません」と容疑を認めているが、供述にあいまいな点もあることから刑事責任能力の有無も含め慎重に調べている。
逮捕容疑は今年2月5日、杉並区の区立南荻窪図書館に侵入、アンネ関連図書23冊を何らかの方法で破ったとしている。
捜査関係者によると、被害に遭った図書館には破られたページが残っていなかったため男が持ち去った可能性があるとみて追及したところ、「破った本は都内の民家の敷地内に捨てた」などと供述したという。捜索の結果、被害書籍の一部と見られる紙片が見つかった。また、一部の図書館の防犯カメラには男に似た人物が被害本が置かれていた書棚に手を伸ばして本を取る様子が映っていた。
男は2月19日と22日、豊島区南池袋2の「ジュンク堂書店池袋本店」にビラを張る目的で立ち入ったとして今月7日逮捕された。店内の防犯カメラには男が手袋をして書棚にビラを張る姿などが映っていたとされる。
ビラには漫画家の写真が添えられ、「アシスタントとゴーストライターは違います」などと意味不明の言葉が手書きされていた。同店では2月21日、3階の売り場で「アンネの日記」2冊が破られているのを店員が発見した。1月にもアンネ関連の児童書6冊が破られており関連を調べている。
都内の公立図書館では昨年2月以降、中野区や武蔵野市など5区3市の38カ所で計311冊の被害が確認された。対象地域は23区北西部や隣接市に集中しており、同一犯とみて捜査していた。【松本惇、山崎征克、神保圭作】
◇アンネの日記
第二次世界大戦中にドイツ系ユダヤ人少女アンネ・フランク(1929〜45年)によって書かれた日記。ナチスドイツの迫害を逃れ、家族らと隠れ住んだドイツ占領下のオランダ・アムステルダムでの13歳から約2年間の生活を記録し、世界記憶遺産に登録されている。アンネはポーランド・アウシュビッツの強制収容所に送られ15歳で亡くなったが、戦後、アンネの父オットー・フランクが書物として出版した。
◇被害が確認された主な書籍
アンネの日記
アンネの童話