アンネ本破損:「紙片、移動中に捨てた」再逮捕の男供述

毎日新聞 2014年03月15日 07時30分

 東京都内の公立図書館などで「アンネの日記」や関連本が相次いで破られた事件で、器物損壊容疑などで再逮捕された東京都小平市の無職の男(36)が警視庁捜査1課の調べに対し、「破り取った紙片は、事件後に自転車で移動する途中に捨てていた」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。同課は複数の場所で捨てることで証拠隠滅を図った可能性もあるとみている。

 供述などによれば、男は主に自転車で図書館や書店を回り、破り取った紙片は衣服のポケットなどに隠して持ち去っていた。紙片は移動中に川や民家の敷地などに捨てていたという。

 警視庁は、被害が確認された「ジュンク堂書店池袋本店」(豊島区南池袋2)周辺などの防犯カメラの解析から、店内で不審な動きをしていた男を突き止め、ビラを張る目的で立ち入ったとして建造物侵入容疑で今月7日に逮捕。杉並区立南荻窪図書館で関連本23冊を破ったなどとして14日に再逮捕した。

 これまでの調べに対し、男はアンネの日記を標的とした理由について「アンネ自身が書いたものではないと批判したかった」という趣旨の供述をしているという。

 広島県福山市のホロコースト記念館の大塚信館長(65)によると、欧州では約30年前に著者を巡る論争があったが、筆跡鑑定などからアンネ・フランクが書いたと結論づけられているという。大塚館長は「男の主張には全く根拠がない。非常に偏った考えだと感じる」と話した。【松本惇、山崎征克、神保圭作】

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