- 2014年03月14日 21:40
風俗の是非はどうでもいい
きむらえりですこんにちは。わさびが食べられません。同伴お寿司はダメ、ゼッタイ。
以前性風俗に関して、クローズアップ現代の内容と私が書いた記事(http://mlabo.net/2014/01/1727/)がリンクしたり、風俗嬢の書いた記事がBLOGOSで話題になったりと、風俗がちょっとしたブームになったのですが最近いまいち下火になってきてしまったので
性風俗の問題をどう扱っていくべきか、もう少し進んだことを。
風俗で働くことは悪なのか?
BLOGOSの性風俗関係の記事やコメント、Twitterの反応などを見る中で多く目につくのは、「風俗で働くのは良いことか悪いことか」ということ。
正直、風俗で働くことの是非なんて、いちいち議論しても意味無いと思う。
性風俗産業ってものすごく古くからある産業。風俗を無くそうっていう方向に法改正が進むにつれてどんどん派遣型のお店が増えて、働く女性の安全が保障されにくくなっているのが現状です。
性に関する感覚は個人の経験やプライベートな感情がどうしても入り込みますから、「性」を売り物にすることの是非についての議論が何か意味のある結論を出すことは不可能と考えられます。
貧困×風俗のテンプレート
私が前回記事を出したタイミングで偶然にもクローズアップ現代が風俗で働く貧困女性の特集をやっておりまして(http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3458_all.html )
貧困女性の最悪の象徴が性風俗になっているなあって感じます。
クロ現で放送されていたことはあくまで貧困の問題であって、性風俗のそのもの問題には何一つ触れていません。それを見ながら、「フーゾクはどーのこーの」なんて語るのは見当違いも甚だしいというか何というか(私が書いていた内容にもリンクしてしまう部分があったのはちょっと反省)。
風俗嬢を画一化しないで
風俗嬢になったきっかけや働いている理由を「貧困」にまとめようとする人や「楽に稼げるからだろ」としか思わない人。
多くの人は性風俗に関する多様性を認めようとしません。(多様性を認めないのは性風俗に限った話じゃないか…。)
性風俗ではありませんが夜の仕事というカテゴリで言えば私自身、水商売の話をした時に
家族構成、虐待経験、レイプ経験、初交年齢、経験人数などなど根掘り葉掘り聞かれた挙句、
「いやあ、そういう仕事する人って絶対何かしら過去に問題があると思うんですよね!」
って言われて絶句。悪気はなかったんでしょうけど超不快でした。
風俗を始める理由、続けている理由、その他性風俗に関して客観的に見て「問題だ!」と感じることは色々あるのかもしれませんが、30万人の風俗嬢がみんな同じ人間なわけがないので、ご理解いただきたいなと思います。
本当に必要なこととは?
「性風俗」について本当に考えたいのであれば、自分が考えようとしているのが「社会の中の一部としての性風俗」なのか、「風俗嬢という女性の困っていること」なのかを見つめることが重要ではないかと感じます。
社会構造としての性風俗の話であれば、「風俗」について考えるのではなく、クロ現の通り貧困問題やシングルマザーなどについて考えるべき。
風俗嬢という女性が困っていることに着目したいのであれば、性感染症の予防や働く環境の安全、お金のリテラシー、性風俗を上がった後にできる仕事のことなど。SWASH(http://swashweb.sakura.ne.jp/)という団体の取り組みが素敵です。
「性風俗の問題」って「医療の問題」って言うのと同じくらいざっくりしているのです。人手不足の問題や医療費の問題や看護学生の実習の問題や…いろいろありますよね?それと同じ。
性風俗について語ることは自由だし、語ってくれる人が増えるのは嬉しいことですが、風俗の「何」を考えているのかをはっきりさせることで、今よりもっと素敵な議論ができるんじゃないかなと感じます。
医療関係者に向けて
「風俗嬢の実態、教えます」で医療関係者には散々叩かれたのですが、やっぱり医療者・医療系学生の視野はものすごく狭いです。
風俗嬢の産婦人科へのハードルを上げるような記事を平気でブログに書く産婦人科医には本当にびっくりしたし(http://swashweb.sakura.ne.jp/)、
風俗で働いているシングルマザーの友人から「病院に行くのは気まずくて嫌だ」と言われた時には心から申し訳ない気持ちになりました。
医療者だって当然人を傷つけたいわけではない筈なのに、医療者の言葉で傷つく人は沢山います。
医療者という、いつどんな人と関わるか分からない上相手の人生に深く立ち入る可能性がある仕事をする立場として、自分の価値観は一旦置いておいて、目の前の相手をとりあえず受け容れるというスキルは必須と思います。
自分と一見関係の無い世界に少しでも興味を持つことが、そんなスキルを身に着けるためのひとつの方法なのではないでしょうか?
この記事を書いた人
- 木村 映里
- 1992年生まれ。日本赤十字看護大学看護学部3年在学。元キャバクラ嬢。看護学生団体ION2013年度代表。価値観の多様性やマイノリティ問題に興味あり。家庭医療、LGBT、虐待問題、性教育、らへんは話し始めると止まらない。風俗嬢の支援を行う非営利型社団法人GrowAsPeopleにてインターン中。
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