東芝データ流出:元技術者、転職に情報利用か 直後に提供
毎日新聞 2014年03月14日 15時00分
東芝の研究データが韓国企業に流出した事件で、東芝が提携している半導体メーカー「サンディスク」元社員の杉田吉隆容疑者(52)=不正競争防止法違反容疑で逮捕=が、韓国半導体大手「SKハイニックス」への転職直後にデータを提供したとみられることが捜査関係者への取材で分かった。営業秘密を持ち出すことで東芝のライバル社への転職を有利に進めるねらいがあったとみられ、警視庁捜査2課は報酬の有無なども含めて調べている。
警視庁などによると、杉田容疑者は2008年5月にサンディスクを退職。2カ月後にSK社に転職し、韓国・チョンジュ市内の工場で働き始めた。
杉田容疑者はサンディスクの技術者だった07年4月〜08年5月、三重県四日市市にある東芝の工場で、「NAND型フラッシュメモリー」のデータ保持に関する情報をUSBメモリーにコピーして持ち出し、08年7月ごろSK社に提供したとして逮捕された。
捜査2課は杉田容疑者がサンディスクの退職直前まで営業秘密にアクセスする権限を与えられていたことから転職に向けて、データ持ち出しを以前から準備していた可能性が高いとみている。
また、持ち出されたデータは、フラッシュメモリーが記憶できる情報の容量や期間に関する検査結果などだった。SK社では社内ネットワークの共有フォルダー上で保管され、技術者らが誰でも閲覧できる状態だったとされる。同課はSK社が杉田容疑者が持ち出したデータを製品開発の参考にした可能性があるとみている。【浅野翔太郎、福島祥】