それは、少しずれた世界線の物語 (ESSM)
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英国フルボッコは続くよ

新)アンケートスタート



episode.3「反撃…」

…我が国は、回避しなければなりません。2030年ごろに生じるであろう。最悪の災厄を…

…2021.04.10 研究方針演説
科学技術省未到達域技術センター長 香月 夕呼…









結論から言おう、英国は開戦から5時間以内に、英国が有する空軍力と海軍力のほとんどが壊滅した。

海上自衛隊潜水艦隊伊-900型SSN 6隻、伊-950改型SSCN 2隻、航空自衛隊戦略群96式戦略爆撃機 24機から放たれた合計180発の菊花巡航誘導弾は、その弾頭に装備されたハイパーサーモリバック弾頭を起爆させ、その基地機能のほとんどを喪失させた。
そして、クイーン・エリザベス、プリンス・オブ・ウェールズを基幹とする英海軍空母機動部隊も、伊-900型、伊-920型、伊-950型の魚雷攻撃により壊滅した。
プリンス・オブ・ウェールズは、距離の違いはあれ、また日本海軍に沈められたのであった

ただし、いずれも民間施設へはほとんど被害は出していない。一部例外としては民間企業のドックに入梁している艦船を破壊するためにドック攻撃したが、我が国は英国とは違い国際法を遵守し、正義の為の戦争を行っていると言うことの強調でもある。

国際世論は、日本に同情的であった。
英軍機の小田原の奇襲攻撃後、防衛省はCNN・ABCやニューヨークタイムズ・ワシントンポストと言った、海外メディア(無論、国内メディアも)に陸上自衛隊の中央即応群を基幹とした小田原救援派遣部隊に同行させ、世界で初めてISにおける直接奇襲攻撃を受けた街の惨状を伝え始めた。

そして、英国代表候補生の発言も報道され、「イギリスは人種差別思想がはびこるのか」とNATO諸国からも非難されていた。

同日13時30分
NATO・EU・英連邦は本事変の中立・不介入を英国と日本に通知

同日14時00分
PRSM緊急理事会終了、PRSM諸国は日本の立場を支持、日本に対する好意的中立をとる。

同日16時55分
防衛省はイギリスが外部侵攻能力のほとんどを喪失したと断定、対英報復作戦「オペレーション:バビロン」の終了を宣言

同日23時00分(JST)
米国防総省、緊急会見
日本の立場を支持、英国へのF-35B戦闘機の新規引き渡しを拒否、並びに、日本に対し、SM-3・SM-2ER・SM-6の供給を確約

同日23時30分
国連安全保障理事会で緊急理事会が開かれるが、日本が英国に対する武力制裁を提案するが英国と中華人民共和国が拒否権を行使しなにも決まらぬまま閉会。

翌日01時36分36秒
大西洋上の4隻のヴァンガード級原子力潜水艦から16発づつのトライデントD5が放たれるが、早期警戒衛星ネットワーク「JAEWS(日本国早期警戒衛星システム)」や、NOLADの早期警戒情報によりJNMD(日本国本土弾道ミサイル防衛システム)が自動起動、FCS-3MD・AIM-54F・AMD・閃光・各防空サイトなどにより全弾迎撃される。
日本政府緊急会見、英国を厳しく非難、人口密集地への戦略爆撃及び核攻撃、非核型新型爆弾の実戦投入などを含む対英報復作戦第二段階の発動を警告。

翌日03時30分
日英、米国が提案した講話協定受諾
通称「日英1日戦争」終結

翌日06時00分
日本国、有事宣言・第1種非常事態宣言解除。
全自衛隊のデフコンを3に移行、海上自衛隊連合艦隊を解散。


そして、時間は巻き戻る…



「まもなく、終点吉祥寺、吉祥寺です。本日もJR東日本をご利用くださいましてありがとうございました。なお、先端技術研究特区内を通過する中央線特別快速は反対のホームからの発車です。」
「科学技術省先端技術研究特区管理庁からのお願いです、入域事前登録が行われているの皆様並びに住民の皆様は、住民基本台帳ネットワークカードを無人入域ゲートのICカード読み取り機にタッチし、生体認証を行ってください。それ以外の方は、窓口にて入域申請を行ってください。」
JR吉祥寺駅、吉祥寺出入域管理ゲートを併設する学園都市への鉄道アクセスの東を担い、1日にのべ15万人が出入域する一大ターミナル駅だ。

科学技術省先端技術研究特区
科学技術省が主導運営する、 あらゆる大学や企業の研究組織を集約し、互いに刺激・交流し会うことによって、より一層の先端技術の発展を図ると言う目的で1972年に設立された。
研究者が人口の4割を占める研究者の街にして、世界標準より数十年進んだ最先端科学技術が研究・試験運用されている科学の街。
IS関連技術の発展により、外部との技術差はある程度は縮まったといわれている。

んっなぜ電車なのかって?
…経費削減だよ。


いくら、日本国が財源があっても、先進国中トップクラスの社会保障体制を堅持し、4個航空機動部隊を主力とする北東アジア最強の軍事力をもつ…

…予算がいくらあっても足りない。


現に科学技術省はその莫大な特許収入により研究関連予算の78%を賄い、最新鋭技術の研究に莫大な投資をしている。
陸海空の自衛隊を所管する防衛省は、航空機や艦艇のエンジンを共用化、調達・整備・運用コストの削減を進め、文化教育省も大学教育などの関しての業務を科学技術省に移管、年6回行われる全国学力診断テスト並びに学習課程認定試験の業務を民間企業に委託、効率化を図っている。

細々とした努力の積み重ねで得た予算を先端科学技術研究を行う機関や企業に配分、それによる援助で1990年代以後、日本の高度な科学技術は世界をリード、人類を新たな次元に押し上げて来た。

その最先端である先端技術研究特区を物理的に守るのが、出入域管理ゲートと壁だ。

出入域管理ゲートと言うのは読んで字のごとく、出入域を管理する現代の関所だ。ここでは特区住民と特区内に勤務する職員は、先端技術研究特区統合カード「AIOCard」と生体認証のみで出入域、日本国籍保持者は住基カードと生体認証顔写真撮影で出入域できるが、外国籍保持者の場合は短時間とはいえ審査が必要で、特定国籍保持者にいたっては即棄却されるほど審査が厳しい。

現に某ありとあらゆる物の起源を主張する国は、「日本帝国主義復権のための拠点」だこと等をいって国際社会で非難している…だが決して経済制裁等は実施できない。

そう、この世界における電子部品や産業用ロボット、半導体生産プラントなどの日本のシェアは5~7割だ、例えば、産業用ロボットのシェアではシェアの90%を占める上位3社の内2社は日本企業、世界中の人型自立制御ロボット(アンドロイド)に使われているCPUはNEST社のRSシリーズだし、世界中の三次元半導体生産ラインの装置は9割超がTEMS社製と例をあげ出すときりがない。
つまり、
日本に経済制裁をかける

日本から主要な基幹部品・プラント等が入ってこなくなる

その国の経済ストップ
…と言う、恐ろしいシステムなのだ。

……いや、科学技術立国政策は日本に技術的アドバンテージによる安全保障をもたらしている。

そもそも、我が国が行っている科学技術立国政策は、日本人の真面目で勤勉な国民性と発想力、そして莫大な科学技術関連予算に由来する。この国民性は日本人と台湾人しかもっていない為、他国には再現が難しい。(台湾もこのやり方を取り入れ、科学技術立国を目指し一定の成果をあげている。)

義務教育課程・高等学校課程の各課程をライセンス化、独学などで必要単位(ライセンス)を早期に取得すれば、その課程をいくらでも飛び級可能(と言ってもシステム的に7年分しか飛び級できない)、最短15歳で大学を卒業でき、優秀な研究者の大量確保の為、理系教育を重視し、その後も官民合同の社会人学修支援制度社会・生涯学修支援制度などの様々な方法で自分を高め続ける事を支援され、その制度を利用し、生涯にわたって自己を高め続けるという国民に支えられたこのシステムは世界最強と言ってもいい。

自動出入域管理ゲートのICカード読み取り部にAIOカードをタッチし、指静脈認証、光彩・顔複合認証等の操作をこなし、ゲートを出る。

そこからJRから出場し、行政庁交通局の地下鉄に乗り換え、3駅ほど乗り、快速に乗り換え、2駅。

日本中の叡知が集まる、科学技術省の本局…「科学技術省三鷹本部施設群(通称:三鷹キャンパス)」だ。

総予算 12兆8000億円…,中小国の国家予算に匹敵する莫大な予算を有し、観測・研究用艦船36隻、航空機180機と世界最大級の円形加速機「MEC」、世界最速の量子演算直並列スーパーコンピューター「澪」などの多数の最新鋭研究機材を有し、我が国の科学技術立国政策の基盤となる。

私達の職場でもある、未到達技術域研究センターというのは他の研究部門と一線を画している。
ありとあらゆる分野をまたにかけ分野統合型研究を行う機関であり、かなり奇抜な研究を行う事も多いので楽しいと言えば楽しいのだが…ガチガチの何学をやりたいと言う人には向かない職場だ。

そして、報告の後、香月(こうづき)センター長から言われた一言は…
「「半休?!」」
はもった、いやそもそも香月センター長が言いそうにない一言が飛び出した。
「真田副長、説明は任せておくわ」
そうして、 香月センター長は執務室から去っていった。
「御坂くん・遊佐くん、君たちは少し働きすぎなんだ、だいたい3月期の実勤務338時間は働きすぎだ、そこでセンター長は君達に半休を命じているんだ。」
「「はぁ…」」
「まあなんだ、午後だけだが遊んできてはどうかね、気分転換にもなるぞ。」
笑いながら、真田副センター長は出ていった



「「ど…どうする?!」」

「秋葉からどうぞ」
「いやいや雪乃から…」
話が始まらない…
ふと、机の上を見る。
「…んっ?!」
メモと共にクーポン券が挟まっていた。

「本館エントランスの「メークイン」の無料券だわね……、「すぐには、決まらないだろうから、まあコーヒーでも飲みながらゆっくり考えるといい…真田」」

「真田さんはよく人を見ていると言うか……ある意味恐ささえ感じる。」

「激しく同意するわ」

「まあ、とりあえずタダコーヒーでも飲みに行きますか。」

「ええ」

そうして、私達はセンター長執務室を出て、メークインに足を進めた。

同日同時
東京都市ヶ谷駐屯地内
防衛省中央作戦室

「ーー矢上統合幕僚長、入室いたしました。」

ナビゲーションAIの声に続いて、最後に着席した統合幕僚長矢上(やがみ) 直行(なおゆき)が中央作戦室独特の六角形の会議席から見渡した先には、会議席に居並ぶ将官・幕僚や官僚が、緑・白・青の制服、そして黒のスーツの壁を作っていた。 自分の向かいの席からこちらを凝視する三人の将官に、矢上は目を細めた。

彼自身も歴戦の海自艦上航空隊(JMDF-AFT)F-14パイロット(トムキャットライダー)であったに矢上でさえ、この場で顔を合わせる度に極度の緊張を強いる彼らこそ、陸上自衛隊の緑・海上自衛隊の白・航空自衛隊の青、そして宮内庁・国家安全保障省・内閣府の黒を代表する男達だった。

陸将たる陸上幕僚長 桐原 勇次
海将たる海上幕僚長 兼 統合幕僚副長 山木 健二
空将たる航空幕僚長 兼 航空総隊司令 大山 秀男

元第一空挺団。短く刈り上げられた白髪、赤銅色の肌も厳しく、陸幕長となった今でもたまに現役の隊員に交じって空挺降下などの現役の隊員と同じ訓練をこなす、制服に大柄な体躯を包んだ威丈夫の陸幕長。

水上打撃艦隊出身で 「スマートで 目先が利いて 几帳面 負けじ根性 これぞ船乗り」を体現したかのような精悍な顔立ちに口髭の似合うこれぞ紳士という海上幕僚長。

F-15Jパイロット(イーグルドライバー)で彫りの深い顔立ちの上に、口元にニヒルな笑みを浮べている空幕長には、矢上はF-14CJパイロットとして駆け出しの頃に海空統合訓練で大山率いるF-15J装備の戦闘航空団に散々鍛えられた記憶がある。

……その彼らこそ、このような時(有事)に各部隊を率い存分な働きを示してくれる男達だった。

陸幕長は最前線ではないものの、最前線一歩手前まで赴き、部隊を鼓舞し、海幕長は横須賀地下指令施設で、この場には居ないが、海自機動部隊のトップたる連合艦隊司令長官は司令部旗艦「やまと」でそれぞれ指示を飛ばし、空幕長は入間の航空総隊指令部から日本全国の部隊に指示を飛ばす。



矢上は、前任の統幕長から「みんな、優秀な人たちですから」と言われたことを思い出した。


「矢上統合幕僚長、統合作戦会議総員参集しました」

と、矢上に向き直った副官の四宮 葵 三等海佐のソプラノが会議室に冷たく、そしてある種の深みを持って響き渡る。

それがすべての合図だった。

矢上は無言で頷くと、統合幕僚長就任以来9度目となる統合作戦会議の口火を切った。

「……公務とはいえ、私自身が遅参したのはまことに遺憾に堪えない。では、始めよう……海幕長、「オペレーション:バビロン」第1段階(フェーズ1)の進捗状況はどうか?」

だが公務とは、練馬駐屯地での小田原救援派遣部隊に対する訓辞と激励、その前後の交通渋滞だ

「対英報復作戦「オペレーション:バビロン」第1段階(フェーズ1)における防空網制圧は97%成功しました。なお、我が方の部隊は今だ敵に発見されていない模様」
海幕長が答える。

そして矢上は次の言葉を口に出す。
「それで、第2段階(フェーズ2)は?」
…中央の三次元(3D)マルチファンクション(MF)プロジェクター(P)の冷却ファンの微音が響き、電子音共に会議席の中央に戦術マップが示され作戦説明が始まる。
「オペレーション第2段階(フェーズ2)96式戦略爆撃機(B-4) 8機による、菊花四型(きっかよんがた)空対地巡航誘導弾(AGM-04-4)による、ドッグ・通信施設等、及び第1段階を補完し敵本土防空網の完全制圧。及び、潜水艦部隊による、敵空母機動部隊の撃滅です。」
ナビゲーションAIが答える

矢上は次の言葉を放つ
「空幕長・海幕長、作戦参加部隊は…どうだ?」

「士気・練度共に最高で、2時間…2時間頂ければ、連合艦隊は敵機動部隊を完膚なきまでに殲滅して御覧に入れます。まあ、もっとも敵地上哨戒機部隊の来援がなければですが。」
海幕長はそう答えた。
空自(こちら)もほぼ同じです。敵戦闘機部隊の要撃がない限り、2時間で敵施設群を瓦礫の山に変えて見せましょう」

ふと、全体から笑いが漏れた。
ふと誰もが、日露戦争の際、明治天皇の御前でバルチック艦隊撃滅という大啖呵を切った東郷平八郎連合艦隊司令長官の逸話を連想したのに違いない。

「英国はまだ…」
矢上はその後の言葉が出さなかった。
…いや、出せなかったといってもいい。

「はい、降伏(しろばた)休戦(おやすみ)も、何も…ありません」
隠語を使い内閣府の職員が言う。

矢上はふと思う、対米開戦を裁可した御前会議は、こんな決断だったのかと…

…思い起こせば、対蘇戦役(たいそせんえき)・第一次対馬紛争・第二次対馬紛争・沖縄事変などの決断もこうした部屋で下したのであろう。


……矢上は自分の手に委ねられた『もの』の重さを、改めて悟った。
ふと、宮内庁から派遣されている連絡要員の方を見る。

「陛下は、「防人達には我が国の平和と安定を任せる」とおっしゃいました」
侍従の双葉(ふたば) 光希(みつき)が陛下のお言葉を伝える。

そして矢上は総理大臣並びに今上陛下から賜った、統合幕僚長の職権を持って発令する。
「…全作戦参加部隊に第2段階(フェーズ2)の発動を通告する、四宮君、準備を」

「はっ」

通信システム士官から報告が入る
「CosumoEyeとのデータリンクを確認、統合凡地球指揮(JGCS)システム接続正常、各部隊オンライン」
本来は高度に暗号化された電子書簡で発令するのだが、矢上は統合幕僚長になってから、ずっと自らの声で部隊に対し発令していた。
1つの矢上のこだわりだったといってもいい。

「統合幕僚長の矢上だ、現時点を持って、「オペレーション:バビロン」第1段階(フェーズ1)の終了を宣言する。第2段階(フェーズ2)日本標準時(JST)13時00分を基準(ゼロアワー)とし、作戦を開始せよ。諸君らの武運を祈る」

こうして、オペレーションバビロンは第2段階(フェーズ2)が始まった。



Side:Akiha

「うん、まあそういうことで違いはないんだけどね、あれ(09-AG-34G)は」

はろー、秋葉です。
現在、雪乃から行動阻害剤(09-AG-34G)の作用と効果プロセスを尋ねられ困っております。


…いや、さあ…活性化プロセスから神経伝達の阻害のプロセス説明したいけど……特定機密保護法対象(特機法対象)だよ!?
開発終了年度は2013年だから…

…2043年迄は絶対に他言無用…


…万が一喋ったら、良くてクビ(懲戒免職)、悪ければ刑務所

…ここ懲戒くらったら、日本の研究機関じゃ働けないし、研究者生活以外したくはないし…

…だってさ、自分のやりたくないことやって働きたくないし、働くなら自分の好きなこと(研究)やりたーい~

…いや、バレなきゃ犯罪じゃないって某宇宙邪神ラブコメディみたいならいいんだけど。

…世の中バレない秘密はないし、破られない金庫は無いしね。…

…科学技術省保安部職員がよく言う一言、「壁に赤ハエ(某国のスパイ)あり、障子に(某稀代の天災)(けして誤字にあらず)』

「だから、電気的妨害はわかるんだけれど、どうジャムするのよ」

「もう、そこ特機法対象事案」

「え~」

…ふと、私自身、大学時代を思い出したのも事実だ…


…雪乃と二人でお茶をしながら、レポートを書き上げ、お互いが配属された研究室であーだこーだから言いながら、お互いの研究を手伝いあっていた…


…あの頃を





…だが、この幸せも長くは続かないだろう…





…願わくは、この厄災は私だけに降りかかって欲しいものだが…


























…さて、兎さん…()()()をいつ取りに来るんだい??








Side:Yukino
この時の秋葉の微笑みは、()()()()()()で、()()()()()()()()()な…

…そう、まるで余命を宣告された不治の病の患者が、その事実を家族にひた隠しにし、後に遺されるであろう家族の団らんを見つめているような不自然さを…

…まるで自分の死期を悟っていたかのように…と思ったのは、おそらく幼なじみとして、また同僚として秋葉を一番長い間見てきた私だから感じられたのかも知れない。



同日同時
北極海上空
航空自衛隊戦略群47航空隊「96式戦略爆撃機(B-4)
コードネーム「ハスラー」

「-…-…_…_-…-」

最初は、単なる電子音だった。


いや、だが日本が誇るステルス戦略爆撃機「B-4」のパイロットならば、訓練で聞きなれた音だった。

統合凡地球指揮(JGCS)システムのA-5暗号通信の高度に暗号化された、通信前照合暗号だ

そして、それは次の瞬間には、 明瞭な女性…いやナビゲーションAIの声となった。

「…NCCS(It is to)より(a hustler)ハスラー(from NCCS.)、「我輩は猫である(I Am a cat)」」



「…こちら(This is)ハスラー(hustler)リーダー(leader)復唱してくれ(repeating.)復唱(request)を要請(repeat.)

一瞬の沈黙、ナビゲーションAIが音声認識をおこない、返答があるはずだった…が

「有人管制に切り替わります…」

我輩は猫である(I Am a cat)我輩は猫である(I Am a cat)(It is all)部隊(a party)(all)装備(ueponns)使用自由(free)

同日同時
日本近海
「たかなみ型ミサイル駆逐艦"むらくも"」

海は穏やかで、風は凪いでいた。

「「ゆうばり」より、各艦、対弾道弾警戒態勢に移行」

現代の汎用人工知能(AGI)技術の結晶である、MMSは戦術ネットワーク以外に量子暗号化バスを持ち、MMS同士で会話などを行うことが可能で、これはその暗号化強度故、戦闘時における、簡易的な指揮や緊急の目標指示などにも利用される。
むらくもは量子暗号化ネットワークのアンテナ兼レシーバを耳に当てながら声を発した。

「むらくも、了解…これより対弾道弾警戒態勢に移行します」

彼女の僚艦である、「しまかぜ」からも通信がある

「しまかぜ、了解しました!!」


そして、彼女の上司の「ゆうばり」は確認する。

「ゆうばり、確認しました」

そして、彼女の僚艦である、「しまかぜ」が物騒なことを言い出す。

「おっそーいー!、さっさと撃ちなよー」

むらくもがため息をつきながら、説教をしようと思い、インカムに手を伸ばす前に

「あのね、「しまかぜ」ちゃん撃たれない方がいいんだからね…」

彼女らの上司が苦言を呈していた。


…彼女らがこのような、雑談をしているその時

…日本標準時 2022年 04月11日 12時48分 00秒 日本のミサイル防衛システムが最高レベルの警戒態勢に移行し、陸海空統合の弾道弾防衛が管制した






うおい、ぎりまにあった


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