STAP論文:「切り張りダメとは…」小保方さん謝罪

毎日新聞 2014年03月15日 08時20分(最終更新 03月15日 12時45分)

記者会見で、質問の答えを考える理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(左)。中央は共同で研究を行った若山照彦・山梨大教授。右は同センターの笹井芳樹・副センター長=神戸市中央区で2014年1月28日、川平愛撮影
記者会見で、質問の答えを考える理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(左)。中央は共同で研究を行った若山照彦・山梨大教授。右は同センターの笹井芳樹・副センター長=神戸市中央区で2014年1月28日、川平愛撮影

 やってはいけないという認識がなかった−−。英科学誌ネイチャー誌に「STAP細胞」の作製成功を発表した小保方(おぼかた)晴子さん(30)らの論文で、改ざんとの認定にいたったDNA画像の切り張りについて、理化学研究所の調査委員会にそう答えていた。「学問の世界でやってはならない」という行為を疑問視していなかった姿勢に、理研幹部は「あるべきことでないことが起こった」と漏らした。

 理研が14日、東京都内で開いた記者会見で明らかにした。会見には約200人の報道陣が詰めかけ、4時間に及んだ。

 冒頭、野依(のより)良治理事長は「甚だ遺憾です」と述べ、約8秒間頭を下げた。

 質問は、データに意図的な操作があったかどうかに集中した。理研幹部は「倫理に反する振る舞いがあった」と認めつつも、「引き続き調査する」と明言を避けた。STAP細胞の存在の有無についても「調査の対象範囲を超えている」「第三者の検証を待つしかない」と歯切れの悪い回答に終始した。

 DNA画像の切り張りについて、小保方さんは「やってはいけないという認識がなかった」と話したといい、調査委の石井俊輔委員長は「抵抗がなかったのか倫理観を学ぶ機会がなかったのか。コメントするのは適切ではない」と語った。

 また、同じネイチャー誌に掲載された別の画像は、博士論文に使っていたものだったが、投稿に当たり小保方さんは当初、博士論文で使っていたと説明していなかったという。石井委員長は「だまそうとしているかどうかはわからない」と応じた。

 若さやかっぽう着姿で「リケジョ(理系女子)の星」として注目された小保方さんだが、最近は公の場に出ていない。理研によると、今月上旬に論文撤回を提案されると、うなずきながら小声で「はい」と答え、精神的にも疲れ反省しているという。理研は調査終了時に小保方さんらに弁明の機会を設ける方針。

 「似たようなことが起こっているのであれば、時代のなせる業、カルチャーが変わったなと非常に心配している」。ノーベル賞受賞者として研究の厳しさを知る野依理事長は険しい表情で述べた。【一條優太、斎藤有香、奥山智己】

最新写真特集