理化学研究所の野依良治理事長らは14日、都内で記者会見を開いた。常識では考えられないようなミスが次々と見つかり、驚きを隠さなかった。なぜ、重大な過誤があったのか。その理由は明かされず、会見時間は4時間を超えた。主な一問一答は以下の通り。
――日本を代表する研究機関で疑惑が起きた。
野依理事長「大変ゆゆしき問題だ。科学の主張を説得させる客観的事実が論文に記載されるべきだが、極めてずさんで、あってはならない」
――論文の画像が2011年の学位論文と酷似していると指摘され、疑念が大きく膨らんだ。小保方晴子氏の説明は。
石井俊輔調査委員会委員長「学位論文とは言及していないが、昔の画像を間違えて使ってしまいましたと発言している」
――そんなことが起きうるのか。
石井委員長「客観的にみると、かなり珍しいケースだ」
竹市雅俊発生・再生科学総合研究センター長「通常の研究者はこういうことはしない。論文の体をなしていない」
――画像の加工について小保方氏は問題とは思っていなかったのか。
石井委員長「やってはいけないことという認識はなかった、申し訳ありません、ということだった」
野依理事長「未熟な研究者が膨大な実験データを集積しながらずさんに無責任に扱ってきたのはあってはならないこと。徹底的に教育しなおさないといけない。氷山の一角かもしれないので、倫理教育をもう一度徹底してやりなおしたい」
――共著者がチェックすればミスは防げたのでは。
野依理事長「今回の研究では4チーム14人の協力者がいる。複数の研究グループが強みを生かし、信頼して齟齬(そご)なく統合する責任者が必要だった。チーム間の連携に不備があった」
――この1カ月、調査中を繰り返し、何も説明しなかった理由は。
川合真紀理事「放置していたわけではない。すぐに調査を始めてデータを検証してきた。1日や2日でできる作業ではない」
――STAP細胞は本当に存在するのか。
竹市センター長「共著者の中には自身で検証を重ねていて、一部ポジティブ(前向き)な結果が出ていると聞いているが、第三者の検証は受けていない」
――小保方氏は今どこにいるのか。今回の件は故意だったのか。
川合理事「神戸にいる。本人は間違いであったとしており、未熟であったということに反省の言葉を発している」
野依良治、石井俊輔、竹市雅俊