新たな万能細胞の発見として世界を驚かせた発表から44日、STAP(スタップ)細胞の論文は国内外から示された様々な疑義により、研究の根幹が揺らぐ事態に発展した。4時間に及んだ14日の理化学研究所の記者会見でも、細胞が本当に存在するのかどうかは釈然としないままだった。科学者を志す学生らは「早く真相をはっきりさせて」と求めた。
ノーベル化学賞受賞者でもある野依良治理事長らは午後2時すぎから、東京都内で会見。海外メディアの姿も見られ、「世紀の発見」に浮上した疑惑への関心の高さをうかがわせた。
「科学社会の信頼性を揺るがしかねない事態を引き起こした」。冒頭、野依理事長らは厳しい表情のまま深々と頭を下げた。不正の有無の調査は続けるとしたが、「極めてずさんで、あってはならないこと」と論文の不備を認め、苦渋の色をあらわにした。
会見ではSTAP細胞が存在するかどうかの質問も相次ぎ、理研側は「第三者の検証を待つしかない」と繰り返すばかり。当初は「研究成果そのものは揺るがない」との立場だったが、川合真紀理事(研究担当)は「楽観的に見ていたきらいは否めない」と釈明した。
川合理事によると、理研の研究者が論文を雑誌に投稿したり、学会で発表したりする際は所属長の許可がいるが、全ての論文に目を通すかは「ケース・バイ・ケースで、個々の研究者の良識がベース」。野依理事長は「氷山の一角かもしれないので、倫理教育をもう一度徹底してやりなおしたい」と強調した。
一方、小保方晴子研究ユニットリーダーら論文の執筆者は姿を見せず、文書でコメントを出したのみ。上司で発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長は、論文撤回を勧めた際の小保方氏の様子について「心身とも消耗した状態で、『はい』とうなずく感じだった」と話した。
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