日本経済新聞社は「電子版(Web刊)」の有料・無料読者の皆さんを対象とした週1回の意識調査を実施しています。第170回は、論文の信ぴょう性が問われているSTAP細胞を巡る騒動について、皆さんのご意見をうかがいます。
お昼時の定食屋で隣のテーブルにいたおじさん3人組が大層盛り上がっていました。「どうせ嘘だと思っていたんだよ」「悪気がありそうな人にはみえないけどな」「まあ、いずれ白黒はつくんだから」……。電子版読者の周辺でも似たような会話がなされているのではないでしょうか。
2012年にiPS細胞の臨床応用をしたと名乗りを上げた男がいましたが、数日を経ずして全くのでたらめと判明しました。STAP細胞が簡単につくれるかどうかも世界中の科学者が再現実験に取り組んでいます。遠からず結果が出るでしょうから、門外漢がうんぬんしても仕方ありません。
ただ、ここまでの経緯を振り返ると、多くの教訓を引き出すことができます。企業人でしたら、部下が「注文取ってきました」「どこと」「××社」「え~、あそこつぶれるかも」「契約しない方がよいですか」などという経験はありませんか。
STAP細胞の責任者である小保方晴子氏をうんぬんする以前に、所属先である理化学研究所がきちんと研究結果を把握できていたのか。部下が「世紀の発見」といってきたら、よく確かめもせず一緒にはしゃいでしまったのでしょうか。
3月14日に理研は調査の中間報告をしましたが、6つの写真のうち2つは不正ではないが、4つは継続調査中などと聞くと、やはり初動段階での確認が不十分だったという印象は拭えません。
野依良治理事長は「大変ゆゆしき問題。極めてずさんで、あってはならないこと」と頭を下げました。ノーベル賞受賞者にここまでさせたことを組織として恥と思ってもらいたいものです。
もちろん英雑誌「ネイチャー」の権威に寄りかかって「リケジョ」「おばあちゃんの割烹(かっぽう)着」などと持ち上げたマスコミにも騒動の責任の一端はあります。
偉大な発見・発明をしても他の研究者よりも遅ければ誰も評価してくれません。他方、不確かなことを発表すれば信用に傷が付きます。どちらに軸足を置くのか。難しい問題です。
今回は3月18日(火)までを調査期間とし、19日(水)に結果と解説を掲載します。毎回実施している内閣支持率調査にもご協力ください。アンケートには日経電子版のパソコン画面からログインして回答してください。ログインすると回答画面があらわれます。電子版の携帯向けサービスからは回答いただけません。
STAP細胞、野依良治