社会

大須演芸場:「年内に新生」所有者代理人が再開に意欲

11日前

立ち退きが完了し、安全対策のため柵が設置された大須演芸場=名古屋市中区で2014年3月3日午後4時16分、大竹禎之撮影
立ち退きが完了し、安全対策のため柵が設置された大須演芸場=名古屋市中区で2014年3月3日午後4時16分、大竹禎之撮影

 先月3日に閉館した名古屋市中区大須2の大須演芸場の建物所有者が、演芸場としての早期再開を目指していることが3日分かった。所有者代理人の弁護士が、毎日新聞の取材に「年内に新生演芸場の第2幕が開けられる状態にこぎ着けたい」と初めて明言した。民事執行法に基づく強制執行を受けた建物は、閉館1カ月のこの日、正式に所有者に引き渡され、演芸場としての再開に向けた耐震・防災調査が始まった。

 弁護士は「再開に必要なのは、建物の現状把握や改築・補強のための試算、地元商店街や地域と一体となって演芸場の運営を進めてくれる新たな席亭の選定だ」などと課題を挙げ、「寄付金やスポンサーの公募も視野に入れ、多方面から検討したい」としている。

 演芸場は1962年建築の木造軽量鉄骨2階建て延べ388平方メートル。現在の建物所有者は、舞台美術を手掛けてきた名古屋市の企業で2000年に所有権を取得したが、前席亭の度重なる賃料滞納から、強制執行を申し立てた。席亭を交代させることで、再出発の環境が整ったとしている。

 この日は午後1時半、名古屋地裁の執行官が演芸場を訪れ、前席亭の退去を確認した。続いて、所有者の代理人と建物明け渡しの手続きを行った。所有者側は、建物調査中の安全を確保するため、建物正面に柵を設置した。5月初めまでに建物の現状を調べ、結果を基に、必要な補強工事などの検討を行うという。【尾崎稔裕】

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