蹴球探訪
原 博実 日本の船頭になる(1月20日)
トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 紙面から一覧 > 記事
【スポーツ】吉田 告別式後に東京へ 火葬場行かず「大好きだよ」絶叫2014年3月15日 紙面から
レスリング女子55キロ級で五輪3連覇の吉田沙保里(31)=ALSOK=が14日、津市内で営まれた父栄勝さん(61)=11日死去=の告別式に参列。15日に開幕するワールドカップ(W杯)での優勝を約束した。式後は東京に直行、計量を終えると4日ぶりに練習を再開。栄和人日本代表監督(53)は15日の予選起用を明言。新採用の53キロ級でも父に教わった攻めの姿勢を貫き、再スタートを切る。 父の遺志を胸に女王がマットに帰ってきた。東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで計量後、練習を再開した吉田。父が教えてくれたタックルを繰り出す。告別式でひつぎに語りかけた言葉をかみしめるかのようだった。 「お父さんは世界一です。五輪3連覇してありがとうと言ってもらえてうれしかったよ。新しい階級でもお父さんに教えてもらったレスリングを忘れずに頑張ります」 移動のため、火葬場まではついていけず、最後はおえつして「大好きだよ」と絶叫。母や兄2人とがっちりと握手を交わすと、涙で霊きゅう車を見送った。その足で、特急、新幹線、在来線を乗り継いで計量会場へ。そこには仲間たちがいた。 長年ともに日の丸を背負ってきた浜口京子に肩を抱かれた。かつてのライバルで、今回米国のコーチとして来日した山本聖子さんとも抱擁。ロシア、中国、カナダ…。各国の選手が次々に寄ってきて、握手を交わした。 今回初めて53キロ級で出場する団体戦で、2キロオーバーまで許される計量は54・1キロでパス。ここ3日間、食事ものどを通らず心配されたが、メディカルチェックも問題なく、マットに上がる条件はクリアした。 「明日(15日)どこかで1試合か2試合使います。決勝に進めばしっかり優勝に貢献してもらいたい」。告別式を終え、一緒に上京した栄監督は15日の起用を明言し、期待を寄せた。 「日本のみんなと顔を合わせて、頑張ろうという気持ちになった。父も日本のコーチとして一緒に戦ってくれると思う。優勝が父の喜ぶことだと思うので、気持ちを切り替えて、優勝できるように頑張っていきたい」。そう言った吉田の目に涙はもうなかった。 (高橋雅人) PR情報
おすすめサイトads by adingo
|