自民、公明両党は12日、教育行政への自治体の首長の権限を強め、責任の所在を明確にする教育委員会制度の抜本改革案で合意した。政府は与党合意に基づき、地方教育行政法改正案を4月上旬に閣議決定し、今国会に提出する方針。首長の教育現場への介入に慎重だった公明党の同意により、今国会で成立する公算が大きくなった。

 与党合意では、首長が教育長と教育委員長を一体化した新たな「教育長」の任免権を持つ。任期は3年。首長と教委の意思疎通をスムーズにするために新設する「総合教育会議」は各自治体の常設機関とした。メンバーは首長、教育長と教育委員で、有識者も参加できる。

 会議を主宰するのは首長で、教育行政の基本方針を定める「大綱」の中身を協議する。教科書採択や個別の教職員人事は、公明党の慎重論に配慮して、執行機関として引き続き残る教委の専権事項としたが、大まかな方針は「大綱」で示すことができる。会議は、予算執行に関わる事務を協議するほか、いじめなどの緊急事態にも対応する。

 国の教育行政への関与では、いじめ自殺などの再発防止策を教委に講じるよう文部科学相が指示できるようにする。