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警視庁 異例の捜査態勢で臨む
03月14日 11時40分

警視庁は、被害が広い範囲にわたっていることから、2月24日、被害が最も多かった杉並区の杉並警察署に捜査本部を設置しました。
凶悪事件を捜査する捜査1課のうち、誘拐や企業恐喝を担当する「特殊班」を専従させ、近隣の警察署からも捜査員を集め、器物損壊事件としては異例の態勢で捜査に乗り出しました。
捜査本部では、破られた本の提出を受けて詳しく鑑定するとともに、被害に遭った図書館や大型書店の防犯カメラの映像を解析して、不審な人物の特定を進めました。
その結果、2冊が破られた池袋の書店で小平市に住む36歳の男が先月、売り場を行き来する様子が写っていたほか、被害が見つかった翌日に、書店内に無断でビラを貼っていたことが分かったということです。
このため警視庁は、男がビラを貼る目的で書店に不法に侵入したとして建造物侵入の疑いで3月7日に逮捕し、一連の事件にも関わった疑いがあるとみて捜査を進めていました。
警視庁と各自治体によりますと、被害は都内の5つの区と3つの市の38の図書館で、合わせて311冊にのぼっています。
被害が最も多いのは杉並区で11の図書館で121冊、次が中野区で5つの図書館で54冊、練馬区が9つの図書館で44冊、新宿区が3つの図書館で40冊、豊島区が3つの図書館で12冊、武蔵野市が2つの図書館で17冊、東久留米市が2つの図書館で13冊、西東京市が3つの図書館で10冊です。

東京・杉並区の田中良区長は「アンネ・フランク関連の図書を毀損するという卑劣な犯行を繰り返した犯人が逮捕され、本当によかった。事件の詳細はまだ分からないが区民の知る権利を保障し、憩いの場でもある公立図書館において、特定の図書を毀損する行為はいかなる理由においても許されない。
全国から、また、国を超えて図書の寄贈や励ましのメッセージが寄せられたことに対し心から感謝するとともに、この事件を契機に平和の尊さについて考える機会にしていきたい」とコメントしています。

容疑者が逮捕されたことについて広島県福山市にある「ホロコースト記念館」の大塚信館長は「事件についてはいろいろな憶測が飛び交っていたが、思想に基づいた組織的な犯行ではないと見られるということでまずは安堵している。
今回の事件で世界の反応は早かったが、日本でも関係者の方が迅速に対応してくれたことに感謝している。きのう、アンネのいとこから『一部の心ない人がしたことだと思うが私たちは多くの人がアンネの平和への願いを深く受け止めていることを理解している。このことを通して友情を壊すのではなく、さらに深めていくことができると確信しています』というメールを受け取ったばかりだったので、これからあらためて連絡して安心をさせたい」と話しています。