「STAP細胞」論文問題は本日、理化学研究所の発表で山場を迎えますね。
STAP細胞論文の調査について【理化学研究所】 http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140311_2/
私 OT は科学分野には疎いのですけど、大学の中で大学教員の方々と仕事をしていたことがあります。それまでに持っていた素朴な「科学者」のイメージと違うのにずいぶん驚きました。
「割烹着のリケジョ」には目がくらみましたけど(笑)、疑惑に発展して「やっぱりなぁ、あの世界であの見たまんまはないだろ」という感じがしてきました。
さて、今日の会見でこの問題は、
「データにミスがあったので、論文は取り下げる。しかし研究自体は間違っていないので、さらに調べを続ける」という線の発表が行われるのではないか、
時間稼ぎそのもので、世間の多くの人たちはそのうち忘れてしまうはず。世間が忘れてくれないと困る事情がドス黒くあるからだ。
こんな見立てと情報を、ある方(私は科学者として尊敬)が送ってくれたので、そこからリンク貼ったり裏をとったりして書いておきますよ。
再生医療はアベノミクスの重要分野だってことをよくみておこう http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130711/mca1307110503001-n1.htm
政府は10日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使う再生医療の産業化に向けた検討会議を始動させた。再生医療産業の育成は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の第3の矢になる成長戦略の柱の一つで、会議では関連製品の安全を確保するルールを作成する。
この記事でその実働部隊も書かれているので要確認。
会議は「再生医療等基準検討委員会」の名称で、経済産業、厚生労働、文部科学の3省の担当者や有識者で構成。座長には、岡野光夫・東京女子医科大教授が就任した。
大きな組織のトップに座る方は重要です。
岡野光夫・東京女子医科大学教授
東京女子医科大学 医学部 教員一覧 http://www.twmu.ac.jp/medical-staff/m-staff-5.html
岡野氏は、先端生命医科学研究所の所属。
さらにさっそくこの一覧の中に名前が見えてくる大和雅之教授。
東京女子医科大学 グローバルCOE 「再生医療本格化のための集学的教育研究拠点」 http://twins.twmu.ac.jp/gcoe/84.html
「グローバルCOE」って見た瞬間、きな臭いものを感じ始める私。「なんとかCOE」って「政府の紐付き予算」と言われてて、なにかと現場にはキツイものなのです。
それは置いといて、サイトには大和雅之氏の顔写真も掲載されていますね。ロンゲな方なんだ。
ということで「割烹着のリケジョ」小保方氏は同じ再生医療分野で岡野光夫教授や大和雅之教授と仕事仲間と言ってよいでしょう。年齢差はものすごくありますけど(そこも引っかかる)。
というか、大和雅之教授は今回のネイチャー論文の共著者だし。
STAP論文、共著者の役割は 小保方さんら計8人 http://www.asahi.com/articles/ASG3F643RG3FPLBJ00D.html
東京女子医大の大和雅之教授、米ハーバード大のマーティン・バカンティ医師、小島宏司准教授の3人は主に、この時期に小保方さんを指導し、研究に協力したという理由で、共著者になっている。 (朝日新聞デジタル 2014年3月13日 中村通子 )
研究者と「ベンチャービジネス」
一方、再生医療分野にベンチャービジネスの会社があります。
株式会社セルシード http://www.cellseed.com/
「私たちセルシードは安全で質の高い最先端の再生医療製品を提供します。」
この会社の役員であり、かつ大株主でもあるのが、岡野光夫教授。そのソースですが「有価証券報告書」というものがネットでも読めるんですね。
左の目次から「大株主の状況」をクリックすると岡野氏の名前も掲載されており、この報告書の時点で138,000株(2.59%)と確認できます。
再生医療分野が拡大すればセルシード社は繁盛しもうかります。当たり前です。
アベノミクスの実働部隊のリーダーで、ベンチャービジネス会社の大株主であるのが岡野光夫教授なのです。
そんな岡野教授が、2011年に「割烹着の」小保方さんと共著論文を書いていたのにも注目です。
小保方さんの2011年論文といえば早稲田大学での博士号論文が「コピペ疑惑」で話題ですが、それとは別で「Natuer Protocol 論文」と呼ばれるもの。
Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice
http://www.nature.com/nprot/journal/v6/n7/full/nprot.2011.356.html
なんと!大和雅之教授も共著者として入っているのを確認。いままで見てきた構図からしたら、この論文は本当にインパクトあるものですね。
で、その論文の内容は。タイトルにある「 cell sheets 」。これがズバリ先の「セルシード社」の製品なのだそうです。
「なのだそうです」というのは、科学の英語論文なんてまともに読めっこないし、電子的に入手しようと思うと課金されちゃうんで、自分で確認するのは諦めたわけですけど。
この製品を持ち上げ、商品の売上に貢献する研究になっている。
科学者が科学の論文として書いたものによって、自分が携わっている会社の利益にもなる。役員どころか大株主になっている会社の。
これが問題でなくてなんでしょう、ということで研究の世界では「利益相反事項の記載」をしなかった義務違反が指摘されています。
小保方晴子の疑惑論文4(Nature Protocol誌) http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/nature-protocol.html
同じ2011年の論文と言っても、小保方さん個人の早稲田大学博士論文より重大に思えるのですが、「割烹着のリケジョ」にだけ目が行ってるうちはそれに気づけません。
「STAP細胞論文」発表でセルシード社株は?
そうなると1月30日の「STAP細胞論文」発表でセルシード株がどうなったかもみておかないとなりません。
そして翌31日、セルシード社の新株予約権が大量行使されました。
第11回新株予約権(行使価額修正条項付)の大量行使及び行使完了に関するお知らせ 株式会社セルシード (PDF)
これによりセルシード社は4億5千万円もの資金調達に成功。さらに、3月4日になり次回の新株予約権発行を発表しています。
「最大で27億円強を調達することを前向き評価する買いが流入している。」そうです。
セルシードが急伸、CBと新株予約権による資金調達を評価http://minkabu.jp/stock/7776/news/658166
しかし、これも今日の理化学研究所の発表で「いったん取り下げ、沈静化待ち」の展開となるとどうなるでしょうね。
大和雅之教授のツイッターが、Natuer論文発表直後は連日投稿があったのに2月5日でぴったり止まっていたり、3月上旬の学会発表もキャンセルしたとの情報もみました。
今後どんな展開になるのか?私にこの問題でメッセージをくれた科学者の方の見立てを紹介しておしまいにします。
小生は、小保方氏が以上の背景の中でデータをねつ造したと思います。「STAP細胞」なるものの存在はなく、再生細胞は他の細胞が混じったものを見間違えたか、すべてがねつ造されたかのいずれかでしょう。前者の場合は、混入の経路を探索することをしないで「STAP細胞」なるものを作り上げたことになります。そのような行為を彼女一人が行ったのか、他の共著者も巻き込んだのかはわかりません。一連の疑惑が解明されれば、小保方氏の博士号(STAP細胞ではない)は文献の盗用などで剥奪、「STAP細胞」ねつ造の現場となった理研の神戸の再生医療研究センターは解体、ビジネスとつながった論文ねつ造事件であることがわかれば、岡野・大和教授も追究される可能性があります。しかし、かつての汚職事件と同じように、マスコミの追及は次第に弱まって、事件の本質が闇に葬られる可能性も残っています。あるいは小保方氏だけが切られて、他はお構いなしの「トカゲのしっぽ切り」。その最大の理由が「アベノミクス」です。