脳にまつわる「3つのバイアス」に注意して、日々の後悔を減らす
脳があなたをだます仕組みや、逆にあなたが脳を「ハッキング」する方法については、これまでにも何度か紹介してきました。でも、脳は私たちを欺く巧妙なテクニックを持っているので油断は禁物です。ここで紹介する「DNews」の動画は、そのうちの3つを、ピンポイントでわかりやすく説明しています。その3つとは、サンクコスト(埋没費用)、楽観バイアス、確証バイアスです。
この動画は3分ほどの短いものですが、脳がそもそも持っている「だまし」の仕組みについて、とても簡潔に解説しています。そうした仕組みのせいで、たとえ自分では「意志の力があるから大丈夫」と思っていても、ついつい脳にだまされて、間違った行動を取ってしまうのです。
失ったものを高く評価する「サンクコスト」
例えば、サンクコストの誤り。これは、「手に入れられそうなもの」より、「失ってしまったもの」を高く評価しやすい心理を指します。満腹なのに食べ続けたり、失敗した買い物を正当化してしまったり、大嫌いだと言いながら同じテレビ番組を見続けたりするのは、すべてサンクコストの誤りが原因です。
生存にも役立つ「楽観バイアス」
次に説明されているのが、楽観バイアスです。人間には「悪いことは自分の身にふりかからない」と信じる傾向が備わっています。悪いことにつながる行動をしている時でさえ、そう信じてしまうのです。これを楽観バイアスといいます。もちろん、このバイアスは悪い方だけでなく良い方にも機能し、生存や成功に役立つ場合もあります。
自分の世界に閉じこもる「確証バイアス」
動画の最後に登場するのが、確証バイアスという興味深いテーマです。これについては以前にも何度か過去記事にて紹介しましたが、確証バイアスとは、自分がもともと持っている世界観と一致する視点や、それを裏づける意見だけを探して、それだけに時間を費やしてしまう傾向を指します。
確証バイアスが作用すると、他人の経験から学ぶ機会を失い、自分の世界観を狭めてしまいます。「自分は正しい」と信じられる居心地の良い場所に閉じこもり、真実から目をそらしてしまうのです。
どのケースでも、あなたにできることは多くないですが、そうした傾向が存在することをできるだけ意識して行動するようにしましょう。ここで紹介した傾向は、私たち自身がもともと持っている癖なので、完全になくすことはできません。ですが、脳の仕組みを理解し、できる限り意識して物事を決めるようにすれば、阻止できないわけではないのです。下のリンクでは、動画で紹介されている研究(動画の説明部分に記載)の詳細を読むことができます。DNewsの動画も見られるので、興味があればチェックしてみてください。
3 Dumb Ways Your Brain Sabotages You |YouTube
Alan Henry(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
- 9割の人間は行動経済学のカモである ―非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす
- 橋本 之克|経済界