謎のASM模擬標的であります。
新年、明けましておめでとうございます。
今年は実家にも帰れず、見事に寝正月でございます。
昨年は個人的に色々なことがありました。
また、マル防関連の業務に就いたのが一番大きいですかね、
早速、かつてお世話になった場所を訪ねる機会も度々です。
先日も、約10年ぶりに舞鶴の地を訪れました。
舞鶴基地には視界に入っただけで、あたご級 x 1隻、
たかなみ級x 1隻、はつゆき級x2隻、はやぶさ級 x 2隻
対岸のユニバーサル造船には、ましゅう級補給艦がおりました。
こうして見ると、我が海軍も立派なものですね。
CIWSのMk15 block1bが頼もしく見えました。
さて、話は変わって装備施設本部の19年度実績を見ていたら
面白そうなものを発見しました。
ASM模擬標的です。契約相手方は三菱電機、契約金額は
4EAで451,080,000円となってます。
これは一体何でしょう?
最初、見たときはASM-2ベースの巡航ミサイル模擬標的かと
思ったのですが、違うようです。
なお、契約理由は以下となってます。
本件は、F-15航空機から発射し、設定された飛
しょうパターンに従い、飛しょう制御できる機能を有
する基地防空用地対空誘導弾の空対地誘導弾対
処能力の評価に関する試験評価用標的を製造する
ものである。業態調査の実施時点において、当該製
造に必要な技術及び設備を有する社のうち、三菱電
機㈱以外の社は契約履行期間では製造できないお
それがある等の理由で辞退している。なお、該社は
契約の履行に当たって必要な火薬類取締法に基づ
く販売の許可については既に保有しており、武器等
製造法に基づく製造の許可については申請に先立
ち所管官庁と調整しているところであり、また、同法
に基づく製造許可の取消等の処分を受けていない
ことから、本件の契約締結までには製造の許可を取
得できる見込みである。また、「平成19年度「誘導
武器等」の契約希望者募集要領(装備施設本部公
示第85号。19.12.14)」により公募を行ったとこ
ろ、応募者は該社1社のみであり、該社から提出さ
れた資料に基づき審査した結果、募集要領を満足し
ているものであった。上記の結果、本件の履行能力
を有し、かつ、契約締結の意思を表した該社と随意
契約をする。 火薬類取締法販売営業許可:18環
改保火第95号(18.7.12)(根拠法令:会計法第
29条の3第4項、予決令第102条の4第3
これのヒントはF-15から発射されるということ、契約相手先が
三菱電機ということです。
F-15J/DJに搭載できるミサイルはMRMがAIM-7F/Mと
AAM-4、SRMがAIM-9、AAM-3、AAM-5となってます。
その内、三菱電機がプライムとなっているのはAIM-7F/Mと
AAM-4です。これ以外のミサイルを積むのは母機適が必要
となることから、考え難いです。
ライセンス物のAIM-7を弄るのは難しいですから、これは
AAM-4ベースの標的ではないか。AAM-4がASMを模擬して
基地防空用SAMの標的となると、トマホーク型の超低高度
巡航型ではなく、高高度高速飛翔型の対地ミサイルを模擬
する標的ではないかと判断する訳です。
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コメント
あけましておめでとうございます。
いつも興味深く拝見させていただいております。
>高高度高速飛翔型の対地ミサイル
ロシアのKh-15のような空中発射型の高速対地ミサイルやARMを想定している可能性がありますね。
基地防空用誘導弾とはやはり短SAM(改Ⅱ)でしょうか。
一口にMDと言っても、対地ミサイルの速度も飛行プロファイルも様々で、受け身専門の我が国としては辛いところです。
投稿: みっちぇる | 2009年1月 6日 (火) 12時44分
あけましておめでとうございます、
いつも楽しく拝見させていただいています。
やはりロシアの高速巡航ミサイルを
警戒してのことなのでしょうね、
あの国は低空飛行だとか小技に頼らず
スピードで突っ切ろうとするから…
投稿: 樫倭 | 2009年1月 6日 (火) 20時55分
本年もよろしくお願いします。
>>謎のASM模擬標的
なかなか興味深いモノですね、上の皆様の指摘通り、高速のARMもしくは低RCSの今時の高速CMを想像を想像させますね・・・
さて空自は既出通り、MDに続く、ネタとしてCM対策を挙げおりますが、先日某海モノ軍事誌におきまして、海幕長を逃した前SF司令官殿の論文が載りましたが、ご本人の意見として、艦艇によるCM防衛が提唱されておりました・・・・
ひょっとしたら次の防衛関係全般のメシのネタは「CM防衛」なのかも知れませんね・・・
まあMDよりは正面戦能力強化に繋がりそうで前向きなネタかもしれません。
投稿: エンリステッド | 2009年1月 6日 (火) 23時33分
あけましておめでとうございます。
ブログの方には初めてお邪魔します。
なんとも怪しい話のように思えます。
基地防空用地対空誘導弾の空対地誘導弾対処能力の評価とすると、100%短SAM(改Ⅱ)の評価用ということになりますが、本当にAAM-4ベースで機動可能な標的を使用するとすれば、相当に高性能なミサイルを想定していることになります。
現有短SAMは、巡航ミサイル対処能力がないと言われるのに、急にそこまで求めるとは考え難いです。将来短SAMでさえないのに。
低高度で速度は低下するとしても、高高度から短SAMの近傍に落下するミサイルを想定するとすれば、AAM-4の速度を考慮するとSRBMの迎撃が出来る可能性さえ出てきます。
短SAMはダシにしているだけで、ARM開発が本音のようにも見えました。
単純に、Cも採用しなかった航空であること及び試験場所(静内ではなく、おそらく新島)の制限を考えると、またもや陸自主体に開発した改Ⅱの対固定翼機対処能力に不信があるだけのような気もしますが・・・
投稿: 数多久遠 | 2009年1月 6日 (火) 23時49分
えーと。短SAM改善型はCM対処、AH対処という部分では特にホーミングヘッド能力に格段の違いがあります。別設計と言っていいでしょう。今年既に新島での射撃試験が終わり、その後寒冷地射撃をいつもの港町付近で行います。もう駄目押し試験の状態なんです。
投稿: あっさむ。 | 2009年1月15日 (木) 23時22分
ASM-2を改造した模擬標的(AAM-4用)がありますが、あれだと誘導装置が無いらしく、もし基地防空用地対空誘導弾が邀撃に失敗した場合問題になるという話を聞きました。よって本標的が必要になるのでは?
投稿: | 2009年1月21日 (水) 20時22分