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トップページ > 神代ふみあき書庫 > 赤松・椎名系作品 > GS Fateっぽい何か > 第十七話(OTR版)
姉の罠にはまりつつ、どうにかこうにか休日の学校まで来たんやけど、いつもどおりの生徒会雑務やった。
シロちゃんはぐるりと修理コースで、俺は修繕コース。
どっちもどっちだけど、シロちゃんが使うのが工具で、俺が使うのが大工道具という差がある。
と、いうか・・・・
「ハードル蹴り壊すなや、黒豹」
「うっせー! 黙って直せよ」
「蒔の字、無償労働者にその言い方はあるまい」
「そうだよ、蒔ちゃん。衛宮君たちは、いわば善意の労働者なんだよ?」
「へっ! こいつら兄弟は、自分をいじめるのが大好きなマゾっ子なんだよ。だからこういう扱いでもご馳走なんだよ!」
「ありえんな。そういう状況は美女美少女からの攻めであればご馳走だが、黒豹如きでは、な」
ふ、と鼻で笑うと、きー!と癇癪の黒豹。
「て、てめー!」
そう叫んで振り抜かんとする足を受け止めた。
ぎょっとした顔の黒豹、蒔寺の顔を見上げる。
「何でも良いけどよ、壊せば自然に治るもんじゃねーんだ。次はなおさねーぞ」
すっと、息を吸った黒豹は、小さくつぶやくように謝って、その場を去った。
「すまんな、ただやん。あれも情緒不安定でな」
「この前の大会前の体調不良、やっぱ利いてるか?」
「ああ、二年最後の県大海でアレではな。しかし八つ当たりの対象にされるほうがたまらん」
「俺は構わんけど、備品には当たらせるなや? 来期の予算を削られんぞ」
「うん、ありがとね、衛宮君」
「いいっていいて、美女美少女の味方だしな、俺」
ま、情緒不安定は、魔術的な何かがかかわっている可能性もあるし、ちょっと調べてみんといかんかな?
蒔寺が強襲してきたのは、生徒会準備室だった。
ストーブやら扇風機やらの修理中に、あいつに似合わない風情でこちらを見ている。
何か言いづらそうだったので色々と突付いてみた所、半ば逆切れで兄貴を怒らせたみたいだから一緒に謝ってくれ、という話らしい。
つうか、
「なにしてんだよ、蒔寺」
「・・・・うー」
まぁ、兄貴の事だから、美女美少女の味方を僭称して許してくれると思うぞ? と俺が言うと・・・
「あー、それ、むり。私如きじゃ、って忠夫に言われた」
黒い笑みの蒔寺をみて、兄貴に念話を送る。
「(あにきーあにきー、やべーぞ、黒豹、マジ泣き寸前だぞ)」
「(シロちゃんや、ちょっと解析してくんね? 黒豹らしからぬ言動が多すぎなんだわ。ぶっちゃけ精神操作されてね?)」
思わず内心で眉をしかめる。
そういうことなのかー? と思わなくもない。
さてさて、どんな結果が出るのやら?
遠坂凛は憤っていた。
なにしろ、無軌道な呪法による広域精神障害が仕掛けられたからだ。
これはセカンドオーナーである彼女の管理責任を問われかねない内容だが、実際のところは、その呪法で小銭を稼いでいるという事実が一番ムカついているのかも知れない。
まず始めに疑ったのは世界の越境者たちであったが、彼女たちはかなり前向きに世界順応を考えており、まっとうな稼ぎをすることで納得しているので関係がなかった。
では誰か、そう考えてみても知人関係者ではないだろうという結論は出ている。
つまり、ぬっころしても心が痛まないということであった。
「ふふふ、この怒りと悲しみとやり場のない思いを全て叩きつけてやるわ!!」
おもいっきり八つ当たりであった。
この呪法、どこで発見されたかといえば、冬木の市内情報誌であり、その占いコーナーに堂々と掲載されていたものだった。
内容も野暮ったいため読者が少なかったのは幸いしたが、それでも三桁の被害者が出ているのは見逃せないものがあった。
この件が時計塔に発覚すればどんなことになるのかわかったものではなかった。
そんなわけで、鼻息も荒く、遠坂凛は編集局のドアを蹴破ると、なぜかどこかで見たような男が此方を見ておびえていた。
「この記事を書いたのは、あなたかしら?」
「・・・な、何の用だ、遠坂!!」
どうやらこの男、遠坂凛の知り合いのようであったが、彼女は思い当たるものがなかった。
思わず首をかしげて「あんただれ?」とつぶやくと、男は激昂した。
「・・・く、くそ!! くそ!!! くそ!!!! お前たちはいつもそうだ!!! 上から目線でいつも僕を見下げて!!!! くそ、くそ、くそ!!!!」
見下げても何も、初対面よね? と小首をかしげる彼女に対して、男は顔を隠すほど伸びていた前髪をかきあげる。
「僕を忘れたとは言わせないぞ、遠坂凛!!!」
「だれ?」
にっこり微笑む凛の台詞に、男は、シンジと呼ばれていた男は、その場で崩れ落ちたのだった。
時計塔送りか? と兄貴が聞くと、遠坂は苦々しく笑う。
「こんなののために回収部隊なんか勿体無いわよ」
そんなわけで、身体チェックした後で記憶を消し、大阪あたりに放逐することになるそうだ。
実際、自分に魔術師の素養がなくても、相手にあればそれを利用できるというやり方は巧妙で悪質だった。
少なくとも魔術師のやり方ではなく、テロとか暗殺者のやり方といえる。
そう、じいさんあたりが好きそうなやり方、そうだよな?
「あー士郎、僕もそっちは既に卒業してるしねぇ」
「でも、本業の時ならm、絶対に『おいしい』とかいって使っていたわよね?」
「あー、アイリ?」
「お父さん、さすが!!」
「あー、イリヤ?」
泥を啜ってんも勝ちに行く、そんな姿勢であると家族に認められているんだから胸を張ったほうがいい、と兄貴にまでいわれ、結構落ち込むじいさんだった。
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