Updated: Tokyo  2014/03/14 13:19  |  New York  2014/03/14 00:19  |  London  2014/03/14 04:19
 

今どきのセックス産業は企業並みの経営戦略-研究

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  3月13日(ブルームバーグ):業績を高めるために従業員同士で競争させる、売り上げのノルマを設定する、進化するテクノロジーを積極的に取り入れる。

企業のビジネスのことのように聞こえるが、裏の世界である風俗産業にぴったり当てはまる。アーバン・インスティチュート(ワシントン)が12日発表した研究結果が示した。

研究を率いたメレディス・ダンク氏によれば、「客引きの多くは経営の知識があり、利益を最大にするためにどうすればよいかを知っている」。元商品アナリストの同氏は「客引きらは自分のことを経営者や事業主、起業家と考えている」と述べている。

研究は米国の8都市で行った多数の客引きと売春婦、治安当局者からの聞き取り調査に基づいている。そのうち7都市(ワシントン、アトランタ、ダラス、シアトル、サンディエゴ、マイアミ、デンバー)を合わせた風俗産業の売上高は2007年に、9億7500万ドル(約1000億円)に上った。論文によると、これはインフレ調整後で現在の10億ドルに相当する。もう一つの都市はミズーリ州カンザスシティーだが、この都市は経済的分析には含まれていない。

米司法省から49万9000ドル(約5100万円)の助成を受けたこの研究は、セックス産業の事業としての側面を取り上げた最初のものの一つだ。アーバン・インスティチュートによると、この研究のために警察当局者と客引き、売春婦合わせて260人を超えるインタビューが行われた。

三井物産からソニーを経て

ダンク氏は三井物産で商品アナリストだったほか、ソニーで広報を手掛けたこともある。その後2009年に刑事司法の博士号を取った同氏は今回の調査で、服役中の客引き73人および売春婦36人を12、13年にかけてインタビューし、「Estimating the Size and Structure of theUnderground Commercial Sex Economy in Eight Major U.S. Cities(米国8都市における違法セックス産業経済の規模と構造の考察)」と題した340ページのリポートをまとめた。

地下経済であるセックス産業のビジネスとしての側面を理解することは、犯罪防止と取り締まりに役立つはずだと同氏は語った。

セックス産業では売春婦の勧誘や、新規の顧客開拓にインターネットとモバイル技術が活躍している。インタビューに答えた客引きの半分以上が、何らかの形のオンライン広告を利用したと答えた。また70%以上が、米プロバスケットボールNBAのプレーオフなど、男性が大勢集まる大きなイベントが開催される都市に出張したことがあると答えた。自然災害の被災地も現金を持てあました作業員が多く、稼ぎ場になるという。

客引き1人に対し、平均で5人の売春婦が雇われている。女性たちは商品のように扱われ、「金やプラチナのように」と表現した客引きもいる。

義兄弟の契り

売春婦にノルマを課す客引きもいる。意図的に売春婦たちの間の競争をあおる方法も使われている。「600ドルをノルマにしている。550ドル、あるいは599ドルでも、ノルマを果たさずに戻ってきたらもう1回仕事に行かせる」とある客引きは語っている。

景気低迷は価格を押し下げはしたが、調査に答えた業者の大半は「セックスへの高い需要は常に市場に存在するという共通認識を持っている」ことを研究は示した。

また、客引き間の競争は研究者らが考えたほどは熾烈(しれつ)ではなかった。「困った時には助け合う義兄弟のような意識の客引きは多い」とダンク氏は述べた。

原題:Underground Sex Economy Mirrors Business Practices, StudySays(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Del Quentin Wilber dwilber@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Steven Komarow skomarow1@bloomberg.netJoe Sobczyk

更新日時: 2014/03/14 08:07 JST

 
 
 
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