悩みは特にありません。

くだらないことしか書かない自信はあります。

わたしのオネーギン。

わたしには10歳違いの姉がいて、昔からずっとおねえちゃんって呼んでましたが30過ぎた頃から呼ぶ際にだんだんこっぱずかしさを覚えるようになってきて、36歳の今ではもう「もっぱずかしい」とか「ぬっぱずかしい」ぐらいなので、だから少し前から姉のことはオネーギンって呼んでます。

そのオネーギンがこのあいだ急に「ブログってやったことある?」って尋ねてきました。身に覚えがありすぎる。動揺して「ないよ。ないて! なんでそげなんこと言うと?」って意味不明にキレてしまいました。よくよく聞けばオネーギン自身がブログをやってみたいというただそれだけの話らしく、ホッとしたのもつかの間、はたしてこの人にそんなことをさせてよいのかしらんと不安にもなったのです。
オネーギンは基本的にオープンマイハートの人なので、多分書かなくてもいいようなこと、たとえば郵便番号とか電話番号とか基礎年金番号とかとにかくありとあらゆる番号をブログに書いてしまうんじゃないかという心配がまずありますし、あとオネーギンの特性として「他人のことばに過剰に反応する」というのがあるために、ちょっと心配なのです。

オネーギンは茨木のり子の「自分の感受性くらい」という詩の冒頭(ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて)を読んで「説教されてるみたいでムカツク」と感じる人です。
それに普通の人が「きのう旦那が夕飯作ってくれて」みたいな話をしただけで「自慢されてムカツク」と感じる人でもあります。
だから自分がブログやるなら当然他人のブログも読むだろうし、そしたらいちいち心がパサついて大変なんじゃねえのって思うのです。謙遜している人に対しても「謙遜のふりして自慢してる」と感じるのですから、自慢に対する嗅覚が犬なみにすごいんです。オネーギンドッグなんです。

普通の人が普通の話をしているのだけなのに「自慢」と感じるというのは、その話題が自分の願望なりコンプレックスなりを刺激する事柄だからですよね。わたしも「年収八千万です」って相手から言われたら「へーすごいですねー」って感心するだけ(自分の年収と差がありすぎて全然想像がつかない)ですけど「はじめて、しかも二週間で書いた小説で新人賞をとりました」みたいな話には「チッなんだよッてめえ眩しいよッ」て思うしね。(これはわたしがこの世のあらゆる天賦の才能というやつをゲボ吐くほど羨ましがる女であるという人情味溢れるエピソードです素敵でしょ)
だから「自慢してる!」って感じる相手ほどあなたが羨ましく思う相手なんだねって世間様にまる見えになっちゃうから、世界まるみえテレビ特捜部になっちゃうから気をつけたほうがいいよってオネーギンに忠告したいんですけど、やっぱほら言い方間違うと妹風情がなにぬかすみたいな空気になっちゃうので、どういう言い方をすればカドが立たないか模索中だし、今さっき固ゆで卵を食べて口の中がモサモサしてるから、とりあえず誰かわたしにお茶を淹れてくれんかなって思ってます。わたし思ってます。