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3年前の震災直後に起きたおかしな8つの現象~過ちを繰り返さないために

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東日本大震災からまだたったの3年しかたっていないのに、あの時、起きたことをほとんどの人が忘れているのではないだろうか?東京で地震に遭遇し、何度となく襲いかかる余震に、「もう日本は終わってしまうのではないか」とすら思ったものの、3年過ぎたら復興を後回しにしてオリンピック開催でバカ騒ぎ。いつか必ず近いうちに日本で大地震または大噴火が起きる。自然災害の際に311の過ちを繰り返さないために、当時、何が起きたか、振り返ってみたい。

1:風評被害?!



覚えているだろうか?東日本大震災直後に発売されたAERAが、表紙に防護服をまとった写真をでかでかと載せ、「放射能がくる」と題したところ、「風評被害を助長する!」「売れるために恐怖心を煽りすぎ!」と批判されたことを。

あの時、多くの人は、日本の政府の発表を信じないといいながらも、「まさか日本でチェルノブイリ原発事故のようなひどい事故が起きるわけがない」「放射能汚染でひどいのは福島原発周辺ぐらいで、多くの人には関係ない」と思っていたのではないか。

だから東日本大震災直後にこのような表紙で雑誌を出したことに批判が集まった。思うに震災直後の世間の空気ってなんかかなり変だったような気がする。なんというか冷静に事態を見ることではなく、「事故はたいしたことはない!みんなでがんばれば乗り切れる!だから風評被害を広げてはならない!」みたいな見えない空気が支配していた。



でも実際には放射能汚染は日本中に広がり、しかもそれはネット上に出回る海外の情報サイトに頼るという、とんでもない異常な状況が起きていた。

自然災害が起きた時、政府が信じられない、マスコミが信じられないといいながらも、最も怖いのは、事実を見つめようとしない世間の空気にあると思う。

2:食べて応援

震災直後、東北のモノを食べて応援!なんて雰囲気が結構あったように思う。それも政府やマスコミや企業が主導したわけではなく、無知な善良なる一般市民が被災地のために良かれと思い、「被災地に行ってボランティア活動はできないけれど、食べて応援ならできる!」とネットでこうした動きを拡散させていたように思う。

でも今にして思えば震災直後でろくに放射能検査もされていない危険なものを、食べて応援なんてもっての他だったはず。しかし当時はまさかそんなに汚染がひどいとは思わず、善意から食べて応援しようという動きを広めていた。

2011年4月の時点で食材の放射能汚染について問いただした議員は、「みんなで東北のモノを食べて応援する時に、なんてこと言うんだ!」と批判されたという。

災害時に恐ろしいのは無知なる市民の善意の押しつけだ。

3:意味なし自粛

被災地が大変な時に花見とはけしからん!といった政治家をはじめ、政治家に限らず、多くの人たちが、「被災者の方に申し訳ないから、イベントをとりやめよう」と自粛していた。しかし自粛しても何の意味もない。むしろ自粛により経済活動が停滞することで復興にマイナスにすらなる。

自粛をすれば被災者に配慮しているみたいなとんだ思い違いした、偽善的な行動で自己満足する国民の空気に疑義を唱えたのは、被災地にある酒蔵。「お花見を自粛せず、被災地のお酒を飲むことで応援してほしい」と訴えた。

放射能汚染の危険があるものを食べて応援なんて無邪気に言っているわりに、放射能汚染の危険のないものは自粛して被災地にダメージを与えるという、滑稽ともいうべき行動がまことしやかに行われたのが震災直後の雰囲気だった。

そういえば震災が起きた3月の末頃に、ブログで「疲れたらおいしいものを」と題して、おいしそうな食べ物の写真をアップしたら、「そんな写真をアップするなんて不謹慎だ!」という人がいた。多分その人もその時は震災パニックで、正常な判断が一時的にできなくなっていただけだと思うけど、パニック時ってほんと人が恐ろしい。

4:節電

原発事故が起き、誰もが節電しなきゃと思った。東京の駅やホーム、地下道、ビルの施設などは、普段から見ると「真っ暗」と思うほど、使っている照明を少なくしていた。でも1週間も過ぎると、むしろその「真っ暗」が当たり前に思えてきて、今までが明るすぎたのではないかと反省した。

震災当初は、原発事故が起きたので、電気は不足し、夏はクーラーもつけられず、暑さで死人が出るのではないかとすら言われていた。しかしそれはまったくのでたらめだった。

結果、原発事故が起きてまだ3年しか過ぎていないにもかかわらず、節電して「真っ暗」にしていた施設は、すっかり震災前の不必要な明るさを取り戻している。

あの時、節電しようと思ったことはもう忘れたの?節電すれば自社の経費削減にもなるわけで、震災直後の節電意識を続ければいいものの、原発がなくても電力が不足していないことをいいことに、すっかり無駄な電気を使う生活に戻ってしまった我々。それで「原発動かしていないから燃料費が高騰して大変だ!」とかいわれても、まず節電すべきなんじゃないの。あの震災直後の危機意識を持って。

5:会社にいかなくても仕事ができちゃった

震災が起きた当初は、ガソリン不足や電力不足により、車での移動は困難を極め、また公共交通機関も大幅に本数を減らしていた。出社したくても出社できない会社員が多くいた。

ところがあるIT企業では、震災を契機に在宅勤務ができることがわかってしまった。このIT企業。お客さんには「わが社のIT技術を使って労働環境のクラウド化を」なんて進めて商品やサービスを売っていたのだが、自社はどうかというと「いや顔を合わせて仕事しなきゃ仕事はできない!」なんて思っていて、自社のクラウドサービスを使った働く場所のノマド化ができていなかった。

しかし震災が起きて出社できない社員が出てきた。そこで仕方がなく自社のクラウドサービスを使ったところ、会社に行かずに自宅で仕事をしようが大半のことが簡単にできてしまった。

「在宅勤務やノマド化なんて無理」と思い込んでいただけで、いざ震災になったらできてしまったのだ。

震災直後、企業は災害時にもきちんと事業が継続できるよう、BCP(事業継続計画)を策定し、デジタルデバイスを使ったノマド化に乗り気だったのに、3年過ぎたらもうそんなことは面倒だ。「いいからとにかく会社に来い!それが仕事だ!」という意味なし移動を強制する会社が増えてきてしまった。

人がどうしても行かなければならない仕事はいっぱいある。でも人が移動せずともできる仕事もいっぱいいる。震災の教訓を思いだし、いつ何時災害が起きても、仕事がスムーズに行えるよう、ノマド化を進めるべきではないか。

かさこ
政治・金融・社会問題などさまざまな話題を提供。

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