980円の受験サプリに
競合は現れるか(後編)

リクルート・マーケティングパートナーズ・山口文洋さんに聞く

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980円で受験コンテンツを提供する受験サプリ。前回のその価格を実現させたからくりを聞いたが、後編の今回は、今後の展望について、責任者であるリクルート・マーケティングパートナーズ執行役員の山口文洋さんにお話しを聞く。

 

継続して学習する仕組みをいかにつくるか、
それが今後のカギ

――前回お話しくださったなかで、対面授業ではない点についてお伺いさせて下さい。そこが低価格を実現したカギでもあるのですが、対面授業の優位性は大きいように思えますが。

山口:確かに教育システムとして対面授業のメリットは計り知れず大きいです。生徒は仕組みで教えてもらうのはなく、先生から習うものなのです。ですから人と人の関係は教育において大きな要素を占めていると思います。

 事実、受験サプリを使ってくれた子どもたちのネットの書き込みを見ると、「この先生のおかげで合格しました!」というものが非常に多い。子どもたちは、受験サプリではなく先生とつながっている感覚です。先生方のツイッターなどにも書き込んだり質問したりもしています。だから、我々は子供たちと先生方をつなぐ場を提供しているのです。リアルでなくてもバーチャルでもつながりが出来上がると思っています。そのためには、コミュニケーションのインタラクティブ性はもっと高めていくことが必要だと思っていますし、まだまだこれから改善していけると思っています。

――また、動画学習という仕組みは、子どもが強い意志がないと継続して勉強できないのではないでしょうか。

山口:おっしゃる通りです。いまはアーリーステージですので、セルフ・コントロールができ自律的に勉強できる子供たちが使ってくれている状態です。しかし、これから普及させていく段階では、継続して学習できる仕組みが必要になってくると思います。

 成功のカギは、利用者が感覚的に利用できる機能・UI、継続させる仕掛け、実力がつく実感をもってもらえる学習効果アップの可視化の仕掛けを構築できるかだと思います。サービスのユーザーエクスペリエンスは突き詰めていこうと思っております。

 その実現に向けてのいま、2つの取り組みを実行しています。ひとつは高校においてです。受験サプリを使って下さっている高校では先生方が生徒の伴走者として付き添って下さっています。その結果、生徒さんが継続して学習できているという面があるようです。反転授業の要素も多分に入っていると思っているのですが、教師・保護者が伴走して実現できるノウハウも磨いている最中です。2つ目の取り組みはビッグデータの活用です。利用者のログについてビッグデータを扱う東京大学の松尾豊准教授の研究室と共同研究しており、ユーザーの最適な利用モデルや授業動画コンテンツの最適化などをオンライン学習プラットフォームのあるべき世界を探っていっています。

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