2013年の外国為替市場では円安基調が続き、外国為替証拠金(FX)取引で利益を出した投資家が多いとされる。アベノミクスで金融市場が注目を集め、FXを新たに始めた投資家も多いようだ。昨年1年のFX取引で一定の利益を出していると、原則として確定申告が必要になる。2月17日~3月17日の確定申告に向けて主なポイントをまとめた。
FX取引で課税対象の利益として扱われるのは、売買による為替差益と、金利差に応じて受け取るスワップポイントだ。税率は復興特別所得税を含めて20.315%。反対売買を行うことで利益が確定していない未決済のポジション(持ち高)は、基本的に課税対象にはならない。
またFX取引では、かかった費用を必要経費として収入から差し引くことが可能だ。具体的には、取引に使うパソコンの購入費用や、投資セミナーの参加費用、経済誌の購入費用などだ。
税理士の柴原一氏は「利益に対して一律に何%と基準が決まっているわけではなく、自分にとって必要だった経費を申告することが基本」と話す。「パソコンでも利用状況の半分程度がFXの場合などは、購入費用の半額を申告するのが説明がつきやすい。重要なのは税務署に対して、費用の算定根拠をきちんと説明できること」という。
さらに店頭FXと、「くりっく365」などの取引所FX、日経平均先物などの先物取引で出た利益や損失は損益通算できるようになっている。
では、具体的に確定申告が必要になるのはどういう場合か。年収2000万円以下の会社員の場合、給与所得と退職金以外のFX取引などの利益が20万円を超えると申告が必要になる。専業主婦の場合は、利益が基礎控除の38万円を超えると申告が必要だ。外為どっとコム総合研究所の調査によると、昨年1年間で利益を出した投資家は48.8%で、損失が出た投資家の20.9%を上回る。確定申告が必要な投資家は増えそうだ。
もっとも、損失が出ていても確定申告のメリットがある。損失を最長3年間、翌年以降に繰り越せる「損失の繰越控除」を受けることができるためだ。例えば13年の年間損益が100万円の損失だった場合、14年に50万円の利益が出ても利益ゼロの扱いになり、15年に残り50万円分の損失を繰り越せる。繰越控除の手続きには申告が必要だ。
セントラル短資FXでは税理士による確定申告セミナーの動画を配信するなど、FX各社は確定申告に関する情報提供を充実させている。確定申告の手続きに悩んだ場合は取引している会社の情報を参考にするといい。
[日本経済新聞夕刊1月22日付]