STAP論文:神戸の理研センター長「取り下げやむなし」

毎日新聞 2014年03月13日 15時00分(最終更新 03月13日 17時24分)

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー=神戸市中央区で、川平愛撮影
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー=神戸市中央区で、川平愛撮影

 新たな万能細胞「STAP細胞」(刺激惹起性多能性獲得細胞)の作製成功を発表した英科学誌ネイチャーの論文に数多くの疑問点が指摘されている問題で、筆頭著者の小保方晴子・研究ユニットリーダーらが所属する理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の竹市雅俊センター長が13日、毎日新聞の取材に「論文は取り下げざるをえない」と語った。一連の問題発覚後、竹市センター長が論文の取り扱いについて言及したのは初めて。「14日の記者会見で、すべて説明する」とも話した。

 竹市センター長は「論文発表前にデータを見て、個人的にSTAP細胞の存在を信じた。だが、科学には作法がある。論文の体をなしていなければ、(著者自身の)思いとは別に、取り下げざるを得ない」と沈痛な表情で語った。日米の研究チーム14人の著者のうち、同センターには小保方さんら9人が所属。ネイチャーによると、論文撤回には原則、著者全員の同意が必要という。

 STAP細胞の論文は、今年1月30日付で掲載された後、実験データ画像を切り張りしたように見えることや、STAP細胞と関係のない画像の使い回しなど数多くの疑問点が指摘された。さらに、小保方さんが早稲田大大学院在籍中に執筆した博士論文(2011年2月)にも、20ページ以上にわたり米国立衛生研究所の文書とほぼ同一の記述があることが分かっている。

 理研は外部の専門家も交えた調査委員会でネイチャー論文を調査しており、14日の記者会見で進捗(しんちょく)状況を説明する。

 竹市センター長は、細胞接着分子「カドヘリン」を発見した功績で知られ、ノーベル医学生理学賞の候補とされる。00年の同センター設立からセンター長を務め、12年に小保方さんを研究ユニットリーダーに採用する際、研究内容を聞いている。先月上旬、毎日新聞の取材に「データに疑う余地はなかった。聞いた瞬間から信用した」と話していた。【斎藤広子】

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