様々な疑義が指摘され、論文撤回の動きも出てきたSTAP細胞。多くの研究者が指摘している最も大きな矛盾点は、T細胞受容体遺伝子の再構成について、Nature誌の論文の記載と、2014年3月5日に公表されたプロトコルの説明とが異なっていることだ。

 Nature誌のSTAP細胞の論文の概要はこうだ。CD45陽性のリンパ球を37℃・pH5.7の弱酸性溶液で25分処理後、多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子であるLIFを含む培養液で培養すると、多くの細胞は死滅するものの、残った生存細胞の30%から50%がOct4陽性細胞に変化。細胞は多能性マーカーであるSox2やSSEA1、Nanogなども発現していたほか、マウスへの皮下移植で三胚葉に分化した。さらに、マウス胚盤胞に注入してマウスの子宮に戻すと、キメラマウスが作製でき、STAP細胞の多能性が証明できたとしている。