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Bitcoinゴールドラッシュの勝者は誰か?

取引手数料から考えるBitcoinの信用創造と崩壊シナリオ

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2014年3月14日(金)

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 MtGOXの放漫経営については報道で徐々に実態が明らかとなりつつあるが、Bitcoin自体のアルゴリズムやスキームについては、MtGOX破綻と分けて考える必要があるとする論調が多い。確かに、MtGOXの閉鎖後もBitcoin価格は堅調に推移しているが、Bitcoinネットワークを支えるコスト構造や決済の実需については十分に理解されているとは言い難い。本稿ではBitcoinそのものを支える手数料や運営コストの構造を明らかにしていく中で、この仕組みが本当に持続可能なのか、今後どのような問題が起こり得るかについて検討していく。

決済額ではなくデータ量で決まる手数料

 Bitcoinを使っていて分かりにくいことの1つに手数料の考え方がある。

 約600円に相当する0.01BTC 以下の少額取引には約6円(0.0001BTC) の手数料がかかる。新しく掘り出された額面の小さなコインでは即座に送金できず、5倍の手数料0.005BTC (30円) を支払って処理の優先順位を上げることを促される場合がある。それ以上の取引についてはデータ量に応じた手数料が徴収される。

 取引のデータ量は分かりにくいのだが「148×入力数 + 34×出力数 + 10バイト」となり、1000バイトから1万バイトまでの送金手数料は無料、超えた分は1000バイト毎に0.0001BTCかかる。ここでいう入力とは支払いに使うコインの枚数、出力は通常だと送金と釣り銭で2つ、一度に複数アドレス宛に送金する場合は送金先の数+1(釣り銭)となる。

 同じ金額を送金する場合であっても、手元にあるコインの持ち合わせに応じてデータ量が変わるため手数料が異なる。額面の大きなコインを持っていれば小さなデータ量で多額を送金できるし、額面の小さなコインばかり持っているとデータ量が膨らんでしまう。これは硬貨で500円を支払う場合に500円玉を使うのと10円玉を使うのとで重さが違って、額面ではなく重さによって送金手数料が決まっていると考えると分かりやすい。

 具体的な例でいうと、私が六本木の『Pink Cow』でビール1杯をBitcoinで支払うと6円の手数料を取られて、時々追加で24円払わないと決済がなかなか終わらない場合がある。ところが数人分の勘定である数千円をまとめて支払うと0.01BTCを超えるので送金手数料はかからない。

 例えば3月8日にペンシルバニア州で行われた取り引きをみると、約42BTC (約270万円) の送金が手数料無料で行われている。(注) 持ち合わせのコインの組み合わせにもよるが、数百万円程度の送金であれば無料で行える場合が多いようだ。

 それでも数多くのコインを束ねる取り引きでは取引手数料がかかる。例えばSatoshi DiceというBitcoinオンラインカジノで2013年2月、0.02BTC (当時のレート1BTC = 2850円で計算して約57円) を賭けて1280BTC (当時で約365万円、持ち続けていれば現在は8000万円以上) を獲得した利用者がいた。このときは賭けられた数百の少額コインが取り引きに使われたが、手数料は0.0286BTC (約81.5円) しかかかっていない。

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 このようにBitcoinでは、数百万円の国際送金を日本国内の同じ銀行内での振込よりも安い価格と短い時間で実現できている。一般にクレジットカードでは難しい数百万円から数億円の決済も可能だ。インターネットの普及で国際通話の料金が暴落したように、Bitcoinは国際決済のルールを変える可能性がある。

 ここで説明した取引手数料は運用のための紳士協定に過ぎず、技術的には任意の手数料を設定して送金できる。600円以下の少額決済で手数料無料の取引をつくることも可能だが、運用指針から外れた手数料の取引は採掘所が処理しない場合もあるため、約定に時間がかかりがちとなる。


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