今の時代、「学費が払えない学生が多くいる」という問題もあるが、ここでいう危機とはそうではない。ご存知の方もいるでしょうが、デリバティブという金融派生商品などへの積極的な投資に失敗したのである。要するに金融投資に失敗したということである。なぜ大学が金融投資から収入を得ることを考え始めたのかと言うと、やはり少子化への生き残り策であったことは理解に苦しくない。学生減による収入減への回避のつもりが余計に金融リスクを負うハメになった。もし、多額の借金をして投資している大学があって、金融危機が長期化すれば、有名私立大学とて倒産してもおかしくはない。現に学校債を出している大学もある。
大学の本分とは何か?金融商品への投資によって利益を得ることか?学生への投資によって利益を得ることではなかったか。本業以外での失敗が、本業をも危うくする状況に追い込んでいる。
この度の惨状は、大学のマネジメントがもてはやされたひとつの結果である。独立行政法人となった国立大学に比べ、国からの援助の薄い私立大学の場合、確かに自らマネジメントしなければならないため、経営管理としてのマネジメントをする必要性もあろう。
しかし、同じ負けるにしても、負け方が非常に悪い。極端な話、私には投資先における主客が転倒しているようにも思える。何度も言うが、投資すべき対象は学生である。言い方に問題あるかもしれないが、大学生は、その大学の半製品で、卒業して製品になるまで大学には教育する義務があり、そのために校舎を建てたり、図書館を設置したり、パソコンを導入したりといった必要な投資を実施する義務ががある。そうすることで優れた人材を輩出し、大学の知名度を上げていく。それが大学の本分、すなわち利益であるはず。
今回の失敗は大学の本業での大きな失敗ではなく、そうでない部分での大失敗であることに大問題があり、ここに「失敗の仕方の悪さ」があると思う。いい負け方は先に繋がるが悪いとどうしようもない。このまま投資ファンド学部や金融リスク学科を作るなら話は別かもしれないが…。
今必要なことは、原点回帰すべきだと思う。そこを起点に立て直すべき。教育の意味とは何か?それを全うしての失敗か?投資に手を出すこと自体、今ある研究に自信が持てない証拠ではないか?学生に教えることがあるならば、よそ見せずに、正面から学業・研究による学生への投資に励んで欲しいものである。教えることがないなら傷口がさらに大きくなる前に身を引くべきである。
本業の失敗は本業で取り返せもするが…、私のような素人目にも「負け方が非常に悪い…」と感じる。少子化問題や金融危機そのものよりも、そこに至るまでの教育機関としてのスタンスに疑問を感じる。一本筋通ったところが見えない。これが大学の最大の危機である様に思える。
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私大、運用で評価損 慶応535億円・上智110億円・早稲田28億円
有力私立大学の間で資産運用の評価損が膨らんでいる。慶応義塾大学は3月末時点で評価損が535億円、上智大学も110億円程度にのぼる。少子化による収入の先細りを補おうと株式運用などに乗り出す大学が増えているが、昨年秋以降の金融危機で運用環境が一変。リスク管理の難しさが浮き彫りになった。
慶応大学は1500億円程度の資金を運用。年3―4%の利回りを目標に約8割を株式や投資信託に振り向けてきたが、積極運用が裏目に出た。金融商品の減損損失が膨らみ、2008年度決算は269億円の支出超過(赤字)になった。早稲田大学の3月末の評価損は外国債券中心に28億円。このほか、不動産の証券化商品では評価額が19億円と投資額から7割下落している。 (07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090528AT2D2702027052009.html
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この記事で、「評価損が発生している」じゃなしに、「膨らんでいる」と記載がある点がポイントですよね。大学は90年代のバブル崩壊でいったい何を勉強してきたのか。いったい今まで何してたんでしょうね…そういう気になります。
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