【社説】旧式兵器導入による無駄遣い、誰に責任を問うのか

 韓国国防部(省に相当)は12日、金寛鎮(キム・グァンジン)長官主催の防衛事業推進委員会を開催し、北朝鮮の弾道ミサイルを低空で迎撃できるパトリオットPAC3ミサイルの導入を最終決定した。PAC3の導入には1兆2000億ウォン(約1150億円)以上の予算が配分されるという。

 韓国軍は2006年から09年にかけ、ドイツ軍が使用していた中古のパトリオットPAC2を 48基導入したが、これには1兆3600億ウォン(約1300億円)の予算が使われた。ところが空軍の実務担当者たちはこの時点ですでに「中古のPAC2ではなくPAC3を導入すべき」と主張していた。PAC2は本来航空機を撃墜するために開発されたもので、これを後から弾道ミサイルの迎撃も可能なように改良が施されたものだが、実際に北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を阻止するのには根本的に限界があるというのがその理由だった。

 韓国軍が導入した中古のパトリオットミサイルは、2011年にミサイルの目となる8台のレーダーのうち3台が故障し、数カ月にわたり稼働が中断するなど、実際の運用に当たってさまざまな問題が表面化していた。最終的に韓国軍はPAC2導入の決定を下してから8年後、あらためてPAC3を導入することにしたわけだが、最初からPAC3にしていれば、1兆ウォン(約960億円)以上の予算を使わずに済んだとの批判は避けられないだろう。

 韓国軍は2010年、北朝鮮による延坪島砲撃を受け「北西部の島々や北方限界線(NLL)周辺における朝鮮人民軍の動向を長時間にわたり監視できる装備が必要」という理由から、240億ウォン(約23億円)を投入して戦術飛行船2機の導入を決めた。ところがそのうちの1機は飛行中に墜落し、もう1機は欠陥が見つかったため実戦配備が遅れている。

 国防部と防衛事業庁は今後、兵器の新規導入に当たっての拙速な決定や判断ミスで巨額の予算を浪費した場合、その責任を追及する方策を決めておかねばならない。例えば決定に関与した人物の実名を公表するといった制度も検討に値するのではないか。

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