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東日本大震災の復興予算は、5年で25兆円におよぶ。 被災地以外への「…
東日本大震災の復興予算は、5年で25兆円におよぶ。
被災地以外への「流用」がすでに問題になったが、被災地では予算が使い切れず、先送りしている実態がわかった。
集中復興期間が終わるまで、あと2年。経緯を検証し、執行期間の延長など軌道修正をはかるべきだろう。
朝日新聞が岩手、宮城、福島3県と各市町村の決算から集計したところ、震災をはさんだ10年度から12年度にかけ、使われなかった予算を積む「基金」の残高が3兆円近く増えていた。
大震災では、被災自治体が自己負担せずにすむ復興交付金制度が設けられた。
ところが、昨年度までに交付されたこの補助金のうち、業者との契約まで済んだのは半分強にとどまっている。
震災から3年たっても、復興はなかなか進まない――。基金の急増は、そんな感覚を裏打ちするデータと言えよう。
どこに原因があるのか。福島県のように、除染のため、本格的なインフラ復旧が遅れる事例もある。
ただ見過ごせないのは、復興を担う市町村の人手不足だ。
津波で壊滅的な打撃を受けた沿岸部の自治体は、もともと小規模で職員も少ない。そこに膨大な予算が流れ込んだ。職員1人あたりの額が震災で20倍以上になった自治体もあり、とてもこなせない。
疲労をため込んで心身を病む職員も少なくなく、「もっと働け」というのは酷だ。
全国から派遣される応援職員や、任期付きの「助っ人」職員で補ってはいる。しかし、必要な技術や知識を持つ人材の供給は限られており、これ以上の増員に限界も見えている。
追い打ちをかけているのが、東京五輪の開催決定で強まった資材や人件費の高騰である。入札の不調が相次ぎ、事業の実施がさらに遅れている。
15年度末までの集中復興期間を決めた震災直後には想定されていなかった事態だ。
もし無理な態勢のまま期限を意識して予算の消化を急げば、計画通りの事業の質や量が確保されない。「有利な補助金があるうちに」と、ムダな事業を誘発するおそれもある。
これまで明らかになったマンパワーなどの制約条件や事業執行の難しさを踏まえ、柔軟な対応を検討し、被災自治体に「焦らなくていい」というメッセージを送るべきだ。それが増税で賄われた資金の有効な使い方につながる。
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