武器三原則:月内緩和へ…公明大筋了承 紛争国輸出禁止
毎日新聞 2014年03月12日 22時01分(最終更新 03月13日 01時34分)
政府は12日、武器輸出を事実上禁じてきた「武器輸出三原則」に代わる新たな輸出管理原則の原案「防衛装備移転三原則」を自民・公明両党の安全保障プロジェクトチーム(PT)に提示した。国際紛争当事国への輸出を禁じたうえで、紛争国について「平和および安全を維持・回復するため国連安保理が取っている措置の対象国」と定義した。公明党もおおむね了承し、政府が目指す3月中に閣議決定される見通しが強まった。
武器輸出三原則は1967年に佐藤内閣が「共産圏」などへの輸出を禁じ、76年に三木内閣が全面禁輸に踏み切った。新原則が適用されれば一定の要件を満たせば輸出可能となり、武器輸出は従来の「原則禁止」から大きく転換されることになる。
政府は自公PTで、新原則を(1)国際的な平和および安全の維持を妨げることが明らかな場合は移転しない(2)移転を認め得る場合を限定し厳格審査する(3)目的外使用および第三国移転は適正管理が確保される場合に限定−−とする方針を説明。このうち(1)に関して「紛争国への移転」も禁止すると明記し、安倍晋三首相も同日の参院予算委員会で、共産党の井上哲士氏に「万が一にも国際紛争当事国に武器が渡ることがないよう厳格に審査する」と答弁した。
原案が定めた紛争国の定義については、PTで「国連安保理の措置とは具体的に何を指すのか」などと明確化を求める指摘が相次ぎ、政府が再調整することになった。ただ、武器輸出は限定的にすべきだとの立場の公明党も、新原則の概要については「個別に判断し許可するのであれば歯止めはかかる」(上田勇衆院議員)と評価しており、ほぼ原案通りに閣議決定される可能性が高い。
一方、首相は井上氏への答弁で、政府が現行の三原則の例外を認めて武器を輸出してきたことに触れ、「新原則はこれまで積み重ねてきた例外化の実例を整理するもの」としたうえで、「ロシアのように平和条約がない国に輸出することは考えられない」と語った。【青木純】