2014年03月13日

2014年F1規約: エンジンの改革 - 基本的な解説 1

2014 regulations: F1's engine revolution

パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014

F1の史上最大の規約変更で最も話題になったのはエンジンの変更である。この変更の背後にある推進力は、F1マシンの全体的効率を劇的に改善しようとする試みである。これを可能にするために、ドラッグとダウンフォースを低減するために設計された空力学的変更に加え、いくつかのエネルギー回生システムが導入された。

その結果、単純な自然吸気エンジンではなく「パワーユニット」を構成するシステムの複雑な組み合わせになる。これは、エンジンあるいは今年からの名称パワーユニットのメーカーにとって完全に新しいチャレンジになる。このようなパッケージの最適化には、2013年までの自然吸気V8エンジンよりもかなり多くの技術とシステム管理が関わってくる。

パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014
 パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014

基本

新しいエンジン方式は決まっており、2014年から少なくとも2020年まで継続される。規約は、クランクシャフトに平行な軸を持つターボ―チャージャーでバックアップされる1.6リットルV6エンジンを厳しく規定している。このターボは、電動モーター(MGU-H)にエネルギーを送り、バッテリーを充電することができる。

逆に、バッテリーからのエネルギーは、ターボを回転させるために利用されたり、2009年に導入されたKERSシステムと同様、リア・ホイールにパワーを伝える他の電動モーター(MGU-K)に利用されたりする。

バッテリー(またはキャパシタ)は、電気ブレーキ・システムを通じてリア・ホイールから充電することもできるので、これらの流れをどのように操作するか、つまりバッテリーからのパワーをいつ使い、エネルギーをいつ回収するのがベストなのかを理解するのがコツである。

これらの変更の結果、トルクが増加するので、ピレリは最初幅の広いリア・タイヤを製造するよう依頼された。しかしチームは、マシンのリア・エンドの空力学に影響するため、これを拒絶した。

また増加したトルクのため、より強力なギアが必要になるので、ギアボックス内には前進ギア8速と後退ギア1速が収納される。また、チームはレース間でギア比を変更できないため、各チームは開幕戦前に使用するギア比を申告しなくてはならない。しかし、2014年は、全く新しいドライブトレイン規約の導入による未知の変数をカバーするため、ギア比は1度の変更が認められている。

全体的にエンジンは長さが短くなるが、ギアボックスは長くなり、やや幅が狭くなる。またギアボックスの位置が低くなるため、上部に冷却部品と、ターボチャージャーを設置する余裕ができるので興味深い。

パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014

パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014

パワーの源

システムの組わせは複雑であるが、マシンを走らせるために必要はエネルギーは、以前と同様すべて燃料から引き出されることを覚えておくことが重要である。エネルギー回生システムは、廃棄されていたエネルギーの抽出を重視している。

しかし、これまでとの違いは燃料搭載量の制限であり、エンジニアは一定量の燃料から最大限のパワーを引き出すことに集中しなければならない。

2014年規約は、レース全体の燃料消費量を100kgに、燃料流量を100kg/hに制限している。つまり、90分間のレースであれば、平均燃料流量は約66kg/hとなり、2時間近く続くシンガポールGPなどでは、約50kg/hとなる。

パワーユニットのエネルギー・フロー

パワーユニット: ルノー・スポーツ・エネルギーF1-2014

2014年F1規約: F1エンジンの改革 - 基本的な解説
part 1 | part 2

-Source: F1 Technical

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markzu at 04:18│Comments(0)F1技術解説 

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