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STAP細胞って何?

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「ノーベル賞級の大発見」と騒がれたSTAP細胞に、いろいろ疑惑が出ていますが、小学生のみなさんは、そもそも細胞とは何のことかわからないでしょう。そこで理化学研究所のやさしい解説を、さらに簡単にして解説しましょう。

みなさんの体は、たくさんの体細胞からできていますが、たとえば指の細胞は、指になったあとは他の細胞にはなりません。しかし受精した卵子の細胞は、体のいろいろな部分に分化します。これは受精卵の中の幹細胞の特徴で、こういう特徴は大人になると消えると思われています。
幹細胞を人工的につくることができれば、みなさんの体細胞からそっくり同じクローンをつくることができます。これは羊や牛や馬では実現していますが、人間では成功していません。

幹細胞を遺伝子組み換え技術でつくったのがiPS細胞で、山中伸弥さんはこれでノーベル賞をもらいました。人間のiPS細胞ができれば、病気になった臓器などを遺伝子組み換えでつくれます。

今度のSTAP細胞は、体細胞に「刺激」を与えるだけ幹細胞になるという(本当なら)画期的な発見です。理研の小保方晴子さんによると、マウスの体細胞を弱い酸性の液(オレンジジュースぐらい)に30分ぐらいつけるだけで「初期化」されて幹細胞になるそうです。この幹細胞は卵と同じで、何にでもなれます。小保方さんはSTAP細胞をつかって、上の写真のような「キメラマウス」をつくったと発表しました。

しかしこういクローンを幹細胞からつくるのは、ありふれた技術です。問題は、クローンのもとが体細胞かどうかです。これについて理研のプレスリリースでは「T細胞は、いったん分化すると組み替えが起こります」と書いてあるのですが、作り方ガイドでは「組み替えが見られなかった」と書いてあります。

ここがむずかしいところですが、ちょっと単純化して説明します:T細胞(体細胞の一種)は分裂するとき遺伝子が組み換えられるので、その細胞には組み替えた跡が残っているはずです。それを「初期化」してSTAP細胞にしたのなら、その複製された細胞にも組み替えた跡が残っているはずです。しかし幹細胞なら、そういう組み替えの跡はありません。

小保方さんの論文では、STAP細胞にそういう組み替えの跡が見られるということが決定的な証拠になっていたのですが、それが理研のチームに否定されるという困ったことになりました。

この論文の共著者である若山さんが「論文を取り消そう」といいましたが、理研は「手違いがあったが根幹の部分は正しい」といっており、小保方さんが出てこないので真相はわかりません。もう1ヶ月以上、姿をくらましているのは変ですね。理研も小保方さんも、ちゃんと説明すべきです。

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池田信夫
経済学者。株式会社アゴラ研究所代表取締役

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