あれだけ体に悪いタバコがやめられない理由は脳にあったという研究報告
Photo by Sibel
辞めたくてもやめられない悪習、タバコ。なぜそこまでやめられないかの理由に脳が深く関わっていることが明らかになりました。
百害あって一利なしのタバコ。ストレスが解消されて気分がスッキリするのも禁断症状が緩和されたからだとされ、何のメリットもないはずなのになぜかやめられない人が大勢います。
その理由はニコチン中毒である、「喫煙」という行為に依存している、などと説明されてきましたが、脳のタバコに関する受け取り方という新しい視点からの報告が行われました。一言で言うと「喫煙者の脳はタバコのポジティブな情報に影響を受けやすい」ということ。
カナダのInstitut universitaire en sante mentale de Montreal and Universite de Montrealの研究者たちによると、常習的な喫煙者たちはタバコに関するポジティブなイメージとネガティブなイメージに曝された時に情動反応が変化します。研究著者のLe-Anh Dinh-Williamsさんは
「我々は喫煙の描かれ方によるバイアスを観察します。例えば我々の研究では、喫煙者の脳はタバコをやめることを奨励するようなイメージよりも喫煙をポジティブなものとして捉えたイメージにより強く刺激されます。と述べます。この研究者たちの目的は、なぜ健康への悪影響があるにも関わらず、人はタバコを吸い続けるかの理由を解明することです。
喫煙者はまた、喫煙によって引き起こされるネガティブな結果のイメージよりも、嫌悪感に満ちた嫌煙のイメージにより影響を受けます」
研究者たちは神経画像処理技術を用い、30人の喫煙者に様々なイメージを見せてゆくという実験を実施。イメージの内容は肺がんなどのタバコに関するネガティブなもの、そしてタバコには関係ない(死の床につく老人のような)ネガティブなイメージ、そしてタバコに関するポジティブなイメージです。
この結果について共同研究者のStephane Potvinさんによると
「多くの要素が絡み合うことでタバコをやめることが困難になっています。その理由の説明のひとつとして、タバコが喫煙者の脳を「騙して」いることが挙げられるでしょう。とのこと。
私たちの実験では、喫煙者の脳のモチベーションを司る部位はタバコに関する喜ばしいイメージをみた時により活動的になり、喫煙のネガティブな影響に直面した時には活動が低下しました」
喫煙のポジティブな面ばかり強調して実際の健康への影響には無頓着、嫌煙家には激しく噛み付くといった喫煙者像、思い当たる人もいるのではないでしょうか。
ただしこの心地よい情報だけに耳を傾けて都合の悪いことには知らんぷり、アンチには敵愾心を燃やすというのは喫煙だけに限った話とも言えなそうな印象。タバコを他の趣味、嗜好やネット上の言説に置き換えても通用しそうではあります。
非喫煙者も他人事ではないかもしれません。
Is this why some people can’t stop smoking Mail Online
(Photo by Sibel)
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