PC遠隔操作公判に新展開 片山被告の逆襲を恐れる検察


by ジャーナリスト・江川紹子 (更新 2014/3/13 07:00)

「真犯人」からメールで送られた画像 (c)朝日新聞社 

「真犯人」からメールで送られた画像 (c)朝日新聞社 

 パソコン遠隔操作事件で勾留が続いていた片山祐輔(ゆうすけ)被告(31)が保釈された。検察の猛反対で裁判所の判断は二転三転したが、逮捕から389日目の3月5日、ようやく保釈が実現した。その翌日、単独インタビューに片山被告が応じた。(ジャーナリスト・江川紹子)

*  *  *
――法廷で、昨年1月3日の江の島の防犯ビデオが再現されました。ここで、猫に遠隔操作ウイルス「アイシス」のソースコード入りマイクロSDカードが取り付けられた、とされています。検察官が「これが被告人」と主張したビデオの人物は片山さんでいいですか。

 いいと思います。

――なぜ江の島へ?

 バイクや車で走るのが好きで、2週間に1度くらいは遠出をしています。江の島は、バイクで湘南方面を走りたいのがメイン。猫と触れ合いたいとも思って、前年のクリスマス頃から、ルートや猫スポットをネットで調べていました。

――検察官は、観光客が撮った写真から猫に首輪をつけられたのは22分の間とし、「あの時間帯に首輪をつけ、写真を撮れたのは、被告人しかいない」と言っています。

 かなりのこじつけ。普通に見れば、ただの観光客の一人にしか見えないと思います。犯人が送った写真は僕が撮ったのではありません。検察官が、写真3枚を撮ったという位置で、僕の手の中にスマホのようなものがあるのは1カ所だけ。問題の写真は、望遠機能がついたカメラで防犯カメラの範囲外で撮ったものかも。

――あの日の撮影機材はスマホだけ?

 はい。猫は全部で、5、6匹撮りました。

――写真はどこに保存しましたか。

 僕は、スマホに差してあるマイクロSDに保存したいんですけど、あの機種はいったんSDを抜くと設定がリセットされて本体保存になっちゃうんです。なので、本体に保存されることの方が多かったかな、と。

――その日は?

 分かりません。

――そのSDカードは今はどうなっていますか。

 機種変更をした時に、新しい携帯で使っていたので、差したままの状態で押収されました。ただ、特別弁護人の話だと、それが証拠開示されてないんです。

――もしかして、その日の写真が入っているかも?

 かもしれない。

――他にも、あるはずなのにオープンになっていない証拠はありますか。

 僕は昨年1月4日に携帯で川崎に行く経路を検索したことになっているらしいんです。検察は(犯人が送り付けた写真に写っていた)神奈川新聞を手に入れるため、と見ているようですけど、JRの防犯ビデオ映像が出てこないんです。地下鉄で最寄り駅から大手町で乗り換えて東京駅に行く映像は出てるんですよ。東京駅のエキナカで食事をして午後に秋葉原に行ったと思うんですけど、なぜ地下鉄のビデオはあるのにJRの分がないんでしょうか。

週刊朝日  2014年3月21日号

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