九州電力は12日、賃金1カ月分を生活支援給付として支給することを労働組合(組合員数約1万人)と妥結した。今夏の一時金(ボーナス)は2年連続で見送るが、冬の一時金は原発再稼働の動向や今後の業績回復の見込みを踏まえ、改めて協議する。

 昨年は年間の一時金をゼロとし、退職金から前払いする形で夏と冬に賃金1カ月分ずつを支給していた。今年は3期連続で赤字を見込む状況ながら、「退職後の生活に与える影響が大きく、これ以上の退職金からの前払いは難しい」(広報)と判断。一時金とは違う名目で支給する。

 九電は昨春の電気料金値上げにあたり、国の審査で地元の大企業平均並みまで年収を減らすよう求められた。これを受け、会社側は年間一時金を全額カット。組合側も今春闘でもベアと年間一時金要求を見送り、代わりに生活支援策を求めていた。ローンを抱える社員への支援としては、財形貯蓄を止めたり、住宅ローン返済がある希望者へ50万円を限度に貸し付けたりする制度を今年も続ける。(角田要)

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